浅間山に積もった雪が、まるでガトーショコラみたいで絶景だという噂を耳にしました。浅間山外輪山の最高峰「黒斑山」から眺めるガトーショコラな浅間山は、冬にしか見ることが出来ないということで、多くの登山者が訪れるんだそうです。季節限定の絶景は魅力的ですよね。
しかしながら筆者は雪山登山未経験なので、登山道に雪が積もる前に登ることにしました。粉砂糖少な目なガトーショコラを求めて黒斑山へ行ってきましたよ。
目次
四季折々の姿を見せる浅間山外輪山の最高峰「黒斑山」
長野県と群馬県の県境ある「黒斑山(くろふやま)」は、上信越自動車道小諸インターから車で約30分。浅間山の第一外輪山最高峰で、「花の百名山」に選定されている標高2,404mの山です。


日本百名山である浅間山と、麓に広がる佐久平を一望できる絶景が続き、その景色は海外のようです。それでいて初心者でも簡単に登ることが出来るとあって多くの登山者が訪れます。
これだけでも期待が高まるのですが、黒斑山は季節ごとに異なった絶景を魅せてくれるところが人気の秘密です。
夏場はヒメシャジンなどの高山植物を楽しむことができて、紅葉時期はカラマツ林が色付き、浅間山の麓は幻想的な色どりになります。そしてなんといっても冬は、冠雪でガトーショコラのような山容の浅間山を楽しむことが出来ます。多くの登山者が魅了されるのも頷けますよね。
「黒斑山」登山コース

黒斑山単体で登山する場合、登山ルートは1つです。
・車坂峠から登頂する
最寄りの駐車場は「高峰高原ビジターセンター」にある「車坂峠駐車場」(駐車可能台数約50台/無料・トイレ有)

黒斑山は周回コースになっているので、景観が素晴らしい表コースか、距離が短く樹林帯が続く中コースを選択できます。
・表コースから登頂する
標高差約450m / 片道約2.9km / 徒歩約120分程度
・中コースから登頂する
標高差450m / 全長約2.6km / 徒歩約110分程度

標高差はどちらも一緒で、中コースのほうが少しだけ距離が短い程度です。大きな違いは景色が良いか良くないかです。結構重要ですね。一般的には景観の良い表コースから登り、中コースで下山します。
今日は景色の良い定番の表コースから登頂し、中コースで下山する周回ルートをご紹介いたします。
車坂峠から頂上へ

車坂峠にある「高峰高原ビジターセンター」には売店やトイレがあります。営業時間は8時から17時で、冬季は閉鎖するので、閉館時はトイレの利用が出来ません。

その場合、隣にある「高峰高原ホテル」のトイレを借りることが出来ます。入口には喫煙所もあり、ありがたいですね。

登山口は「高峰高原ビジターセンター」の道路を挟んだところにあります。広場のような雰囲気になってる場所にコースマップや登山届のボックスがあるのですぐに分かると思います。
と書かれた標識の方向へ向かいます.jpg)
登山口からは黒斑山(表コース)と書かれた標識の方向へ向かいます。


はじめは樹林帯の緩やかな登山道を登っていきます。木々がそんなに密集していないので開放的な登山道です。
黒斑山の表コースは開けた場所が多く、全体的に景観が素晴らしいので登っていて楽しい山でした。

20分ほど緩やかな登山道を登りきると、一旦下ります。看板を見かけなかったので気付かなかったのですが、車坂山の山頂だったことを後で知りました。
車坂山山頂から避難シェルターを目指す

車坂山を下りきった場所から約1km程度先にある避難シェルターまでは標識や目印が無く、淡々と登っていきます。とはいえ開けた山道や樹林帯が交互に続くので全体的に景観が素晴らしく、苦痛ではありませんよ。

開放感のあるザレ場は道幅が広く、危険個所はありませんが、足元が滑りやすく、意外と傾斜があります。

後ろを振り返ると、絶景が広がります。開けた登山道はこういった楽しみがあるので個人的には好きです。良い道だと思います。


時々樹林帯のトンネルが現れたり、トンネルを抜けると開放感抜群のザレ場が現れたりと、とにかく飽きません。登っていて楽しい山です。

そういったバリエーション豊かな山道を進んでいくと階段エリアに突入します。

階段を登っていくと、浅間山の山頂がチラ見えしはじめます。この角度からだと、まだ積雪を確認できませんね。


そうこうしているうちに避難シェルターに到着です。
黒斑山の傍にある浅間山は爆発的な噴火をする活火山なので、万が一に備えた避難シェルターがあります。黒斑山も噴火警戒レベルが3になると入山禁止になります。
避難シェルターから槍ヶ鞘を目指す

避難シェルターから絶景スポット槍ヶ鞘(やりがさや)までは、雪に覆われた坂道を登りきるとすぐです。ここから山頂まではテンポよく絶景ポイントが出現するのでなかなか足が前に進まなくなりますよ。


槍ヶ鞘に到着です。ここでやっと浅間山の全容を眺めることが出来ます。山頂にうっすらと雪が積もっていますね。粉砂糖少な目のガトーショコラです。
槍ヶ鞘は浅間山外輪山の小ピーク(頂上)で、表コースから登った場合のみ行くことが出来ます。この時点で絶景ですが、この先は更に絶景が待ち受けています。左に見える崖の頂上は、トーミの頭です。
槍ヶ鞘からトーミの頭を目指す

トーミの頭までは開けた稜線を登ります。そこそこ急な登りですが、右手に浅間山を眺めながらの登山なので、絶景に夢中で登りが気にならないと思います。

途中で中コースとの合流地点に差し掛かります。下りは中コースを利用すると、少しだけ早く下山できます。

トーミの頭が見えてきました。岩だらけの絶景スポットです。

トーミの頭は標高約2300mの小ピークです。黒斑山の一部であり、手軽に行ける浅間山の展望台として有名です。黒斑山は目指さずにトーミの頭を目指す登山者も多いと聞きます。

トーミの頭からは浅間山と麓に広がる佐久平を一望できます。流石は有名な絶景スポットだけあって信じられない位の絶景でした。ここからだと、浅間山がほんの僅かにガトーショコラ化していますね。

切り立った崖の壁は浅間山外輪山です。手前から黒斑山→蛇骨岳→仙人岳→鋸岳と続きます。日本とは思えない壮大な景色ですよね。


トーミの頭は岩がむき出しの岩稜帯で、岩萌えの方にとっては堪らないスポットだと思います。
また、トーミの頭は浅間山の登山コースでもあります。2021年11月現在、噴火警戒レベルが1に引き下げられているので、前掛山(浅間山)の登山が可能な貴重な時です。そんなこともあり、浅間山を目指す登山者でごった返していました。
へ行くには.jpg)
前掛山(浅間山)へ行くには「草すべり」という急坂を下ります。名前の通り滑りそうになる位の急な坂道を下るルートです。
トーミの頭から山頂へ


黒斑山までは約400mです。多くの登山者は前掛山(浅間山)を目指すようで、急に登山者が少なくなりました。
山頂までは森の中に続く稜線を歩くので、絶景とはしばしお別れです。早く山頂に着きたいですよね。

そう思っているといきなり景色が開けたりするので困ります。しかもトーミの頭からは見ることが出来ない景色が広がるので、足が前に進みません。別の意味で山頂が遠いです。

浅間山外輪山と浅間山の間に谷のように広がる馬蹄形カルデラは、何時間でも眺めていられるほどの絶景でした。

黒斑山に近づいていくと、段々ガトーショコラが濃くなっていってる気がします。方角的に北のほうは雪が溶けにくいからだと思います。

山頂手前の平坦な樹林帯には、浅間山監視カメラがあります。ネットからライブカメラ映像を確認できるので、登山前に浅間山の見晴らしを確認できますよ。

ケーブルが這っている平坦な樹林帯の先には山頂がある筈です。

と思ったら、見晴らしの良い高台が行く手を阻みます。山頂まであと50メートル程度なのですが、本当に山頂が遠いです。

数々の誘惑に負けながらやっと黒斑山山頂到着です。標高2404m。浅間山外輪山の最高峰です。

浅間山の北側の頂上付近は、粉砂糖少な目なガトーショコラの山容をしています。浅間山の釜山火口は、黒斑山山頂からが一番よく見えるんだそうです。山頂にある白い物体は雲ではなく、噴煙です。浅間山が活火山であることが判ります。

黒斑山山頂自体は木々に囲まれているので、他の場所ほど見晴らしが良いわけではないのですが、それでもこの景色です。黒斑山自体が絶景スポットだらけという、嬉しい悲鳴があがる山でした。
更なるガトーショコラを求めて浅間山外輪山の先を目指す

時期が早すぎたのでしょうか。思った以上に雪が少なく、ガトーショコラ感が少な目でした。黒斑山は浅間山の西に位置するので、雪がまだ積もらないのかもしれませんね。

浅間山外輪山は、浅間山を囲むように北へと伸びていて、浅間山の方角はざっくりですが黒斑山から見て東、蛇骨岳から見て東南東、仙人岳から見て南東、鋸岳からみて南南東といった位置づけだと思います。
浅間山外輪山の先端である鋸岳まで進めば、方角的に理想のガトーショコラに出会えるかもしれません。さらなるガトーショコラを求めて浅間山外輪山の先を目指すことにします。

蛇骨岳を目指して進みます。北に向かっていることもあってか、積雪が目立つ登山道になってきました。

後ろを振り返ると黒斑山が見えます。山頂が木々に囲まれている様子が良く判りますよね。

所々で開けた稜線にでるので絶景ポイントだらけなのですが、雲が出てきたので先を急ぎます。

黒斑山から蛇骨岳までは30分程度です。段々とガトーショコラ感が強くなってきた気がします。

蛇骨岳に到着です。標高2366m。浅間山の雪の積もり具合が明らかに違いますよね。この先へ進めば、更なるガトーショコラに出会える筈です。

とはいえ蛇骨岳は見晴らしの良い岩稜帯で、360度パノラマビューの絶景の山です。ここからの景色も捨てがたいのです。

特に、今までは見ることが出来なかった北方面に広がる浅間高原の紅葉が大変絶景で、なかなか先へ進めません。

そうしているうちに浅間山に雲がかかってきました。雲が晴れてくれるか、30分程様子を見ることにしました。

しかし、待てば待つほど浅間山は雲に隠れていきます。どうやら店じまいのようです。残念ですが諦めて下山することにしました。山の天気は本当に難しいですよね。
黒斑山に登ってみてわかったこと

「黒斑山」は非常に登り易いのに珍しい絶景が拝める山でした。黒斑山に登ってみてわかったことをまとめました。
季節ごとに異なった絶景を楽しめるのでリピートしたくなる

黒斑山は季節ごとに違った顔を見せてくれる山です。
今回は時期的に紅葉のシーズンだったので、カラマツ林が色付いて大変な絶景でした。浅間山の麓から続く紅葉のグラデーションは、マロンショコラとでもいいましょうか。とてもレアな景色でした。
夏場はヒメシャジンなどの高山植物を楽しむことができて、真冬であれば本格的な浅間山のガトーショコラを見ることが出来るので、何度もリピートしたい山であること間違い無しです。
どこを歩いても絶景だらけでなかなか前に進めない

黒斑山までの道のりは、これでもかと言わんばかりの絶景が続き、見え方も場所によって異なるので飽きません。見どころが多すぎて困るという嬉しい悲鳴があがる山でした。
登山中は樹林帯と見晴らしの良いガレ場が交互に続き、油断が出来ません。なかなか足が前に進まない山ですよ。
登山初心者でも登り易い

黒斑山単体の登山であれば標高差約450m、往復約5km、3~4時間程度と、楽々日帰り登山が可能です。
標高差がそんなに無いのでビギナーでも登り易い山ですよ。しかも絶景が続くので登頂中もそんなに苦痛にならないと思います。
物足りない方は外輪山を周遊するルートがオススメ

浅間山外輪山は黒斑山だけではなく、蛇骨岳、仙人岳、鋸岳の山から成る山です。見晴らしの良い稜線を浅間山を眺めながら登ることが出来ます。
今回は天気の関係で断念しましたが、次回こそは外輪山を周回したいと思いました。がっつりと登山を楽しみたい方は外輪山を周遊するルートがオススメです。
登山する前に火山状況のチェックは忘れずに

浅間山は活火山なので、登山前に火山情報や気象情報の確認はしっかりとしましょう。黒斑山も浅間山の近くにあるので、噴火警戒レベルが3になると入山禁止になります。
例え噴火警戒レベルが2以下であっても、浅間山が活火山であることは変わらないので登山も自己責任になります。
ガトーショコラはほんの一部!季節ごとに異なった絶景を楽しめる山です

黒斑山は登山初心者でも比較的楽に登ることが出来るのに、写真や映像では伝えきれないダイナミックな絶景が広がる、まるで海外にいる気持ちになる山でした。
今回は浅間山のガトーショコラを求めて登りましたが、それは黒斑山の魅力のほんの一部でしかありません。季節ごとに異なった絶景を楽しめるので、何度でもリピートしたくなる山でした。
ギア
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