前回、登山に使えるアウトドアウォッチ「Amazfit T-Rex 2」の基本性能を登山目線で紹介しました。
今回はAmazfit T-Rex 2を実際に登山で使ってみて優れている点や使用感、さらには手持ちの「Garmin Instinct 2」と比較して良かった点をご紹介いたします。登山用アウトドアウォッチを探している方の参考になれば幸いです。
目次
Amazfit T-Rex 2を登山向けにカスタマイズ
Amazfit T-Rex 2は本当に多機能で、前回の記事でも紹介しきれていない機能が沢山あります。細かなカスタマイズが可能なので、設定次第では無限の可能性を秘めています。
逆の見方をすれば、設定を間違ってしまうとバッテリー切れの可能性や、思っていた実力を発揮しきれないということになります。
そこで登山で必要な通知設定から、バッテリーをなるべく長持ちさせるためのカスタマイズ、登山をより快適にするためのカスタマイズを行いました。実際に登山に行く際に参考にしてみて下さい。
カスタマイズ設定項目
表示と彩度
文字盤を常に表示するとバッテリーの減りが早くなるので、日常の使用では表示をオフにしました。
とはいえ、登山中にストレスを感じたくなかったので、ワークアウト起動中は「文字盤を常に表示」「自動彩度を有効」にしています。バッテリー重視の方は、これらの設定を無効にするとバッテリーの持ちは良くなります。
設定内容
自動彩度:ON
通常モードでは文字盤を常に表示しない/腕を上げたとき文字盤を表示
ワークアウトでは文字盤を常に表示
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > Amazfit T-Rex 2を選択 > スマートウォッチ設定 > 表示と彩度
GPSの設定
デフォルトの「高精度GPSモード」(バッテリー駆動時間最大26時間)と、「バランスGPSモード」(バッテリー駆動時間最大50時間)で検証した結果、そこまで精度に差がないように思えたので、「バランス」(シングルハンド:GPS + Beidou)に設定しました。
元々、Amazfit T-Rex 2のGPS精度はかなり良いみたいで、バランスモードでも正確に登山ルートが記録されていました。
登山では基本、開けた場所を歩くのでシングルバンドで消費電力を抑えた使い方が理想だと思います。逆に高い建物が多い街中のランニングでは、デュアルバンドが威力を発揮するのではないでしょうか。
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > Amazfit T-Rex 2を選択 > スマートウォッチ設定 > ワークアウト
クイックスタート
Amazfit T-Rex 2の右上の物理ボタンを押すと、ショートカットメニューを表示できます。登山で直ぐにワークアウトを起動できるので便利です。
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > Amazfit T-Rex 2を選択 > スマートウォッチ設定 > クイックスタート > 運動にチェック
天気予報
GPS情報を元に、最寄りの山の地域の天気を表示したい場合は「現在の場所」を選択します。
気象情報のプッシュ通知をONにすることで、山行中、気象アラートを受信できるので、忘れずに設定しておきたい機能です。
設定内容
気象警報のプッシュ通知:ON
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > Amazfit T-Rex 2を選択 > 天気アイコンをタップ
ウォッチフェイスの変更
登山で必要な情報を一覧で確認できるウォッチフェイスを選択しました。
心拍数や歩行距離、カロリー、天気、日の出、日の入り時間、湿度といった情報量が盛りだくさんなのでオススメです。
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > Amazfit T-Rex 2を選択 > 文字盤 > Prosperity
ルートの作成とインポート
ヤマレコで作成した登山計画や、Yamapの軌跡データをGPXファイルでダウンロードして、「Zepp」アプリに取り込みます。
※ヤマレコ、Yamapの利用には会員登録が必要です。
※スマートフォンからはGPXファイルをダウンロードできません。PC環境でのみ利用が可能です。
マイルートの反映
「Zepp」アプリに取り込んだ地図データをAmazfit T-Rex 2に取り込みます。
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > マイルートを選択 > 任意の地図を開く > 右上のハンバーガーメニューより「デバイスに送信」をタップ
健康モニタリング
筆者の場合、登山以外の私生活でもモニタリングを行いたいので、基本設定は有効にしました。登山用途メインでバッテリーの消費を抑えたい方は設定をOFFにしてください。
設定画面の場所
「Zepp」アプリより プロフィール > Amazfit T-Rex 2を選択 > 健康モニタリング
嵐アラート
気圧が急激に下がるとAmazfit T-Rex 2が検知してアラートでお知らせしてくれます。
設定画面の場所
「Amazfit T-Rex 2」本体右下ボタンを押す > 気圧高度計 > ベルアイコンをタップ
GPSを自動調整
ワークアウトを起動した際に自動的にGPS情報を補正してくれる機能です。GPSの補正が不要で登山できるので便利です。
設定画面の場所
「Amazfit T-Rex 2」本体右下ボタンを押す > 気圧高度計 > 上にスワイプして高度を開く > アイコンをタップ > 運動の開始時に調整をON
情報表示画面をカスタマイズ
ワークアウト中の情報表示画面をカスタマイズできます。1画面につき最大6種類まで一覧表示できます。
設定画面の場所
「Amazfit T-Rex 2」本体よりワークアウトを起動(クライミングを選択) > その他 > データページ
心拍数アラート
登山中、設定した心拍数を超えるとバイブ通知でお知らせします。
設定画面の場所
「Amazfit T-Rex 2」本体よりワークアウトを起動(クライミングを選択) > 運動アシスタント > 運動アラート > 安全な心拍数
コース逸脱アラート
マイルートから外れてしまった場合、バイブ通知でお知らせしてくれます。道迷いの危険性が軽減されるので活動前に設定をしましょう。
設定画面の場所
「Amazfit T-Rex 2」本体よりワークアウトを起動(クライミングを選択) > ナビゲーション > マイルート > これから登る山のマイルートをタップ > ナビゲーションの設定 > コース逸脱アラート
「Amazfit T-Rex 2」と「Garmin Instinct 2」を登山で使ってみた
Amazfit T-Rex 2の設定が終わったので、早速登山で使ってみます。
登山では定番のアウトドアウォッチ「Garmin Instinct 2」も装着して比較してみることにします。それぞれのスマートウォッチを左右の腕に装着して比較します。
それでは早速起動しましょう。「Amazfit T-Rex 2」本体よりワークアウトを起動して、ナビゲーション>マイルートより登りたい山を選択。ルートの使用をタップします。
あとはGOボタンを押せばワークアウトがスタートして、専用画面に切り替わります。
ディスプレイの比較検証
一番初めに感じたことは、「Amazfit T-Rex 2」の画面が登山中でもくっきりと見やすいということです。
AMOLEDディスプレイは思った以上に優秀で、直射日光下でも見やすく、登山中もしっかりと必要な情報を見ることが出来ます。
そして大型ディスプレイだと、登山中に必要な情報を一画面で瞬時に把握できるので高ポイントです。
しかも表示したい情報をカスタマイズできるので本当に便利です。登山中、ストレスを感じることはありませんでした。
「Garmin Instinct 2」でも必要な情報を瞬時に把握できますが、表示できる情報量に限りがあるので、全ての情報を見るには物理ボタンでスクロールする必要があります。この辺りは少しストレスを感じていました。
特にナビゲーション画面では圧倒的な差です。「Amazfit T-Rex 2」はカラー液晶で画面も大きく、あと何キロで目的地に到着するかも一発で分かります。
「Garmin Instinct 2」の場合は、物理ボタンでスクロールをしないと距離がわかりません。
全体のルートを表示して、どのあたりに居るのかも「Amazfit T-Rex 2」は簡単に把握できます。
地図ではないので詳細までは分かりませんが、スマホを取り出して、Yamapやヤマレコでルート確認する手間が省けます。
この機能のお陰で、時計をチラ見するだけで大まかなコースや残りの距離を確認できるようになるため大変便利です。
「Garmin Instinct 2」の場合、ワークアウト中は全体のルートを表示することが出来ないので、何処にいるのかを把握するのは大変です。
この辺りは「Amazfit T-Rex 2」に軍配があがります。
ただ一つ残念な点は、ルートの拡大や移動がタッチパネル対応していないところです。
ルート表示を切り替えるには右上の物理ボタンを押して、左の上下物理ボタンで操作する必要があります。この辺りはOTAアップデートで改善されると嬉しいかなと思いました。
各機能の比較検証
コース逸脱アラートも検証してみました。コースから故意に外れると、しっかりと検知してくれます。
不満があるとすれば「Garmin Instinct 2」ほど振動が強くないので、気づかない可能性がある点でしょうか。
心拍数アラートもしっかりと機能してくれます。ただ、「Garmin Instinct 2」と比べると、ワンテンポ反応が遅いのが気になりました。
恐らく「Garmin Instinct 2」の心拍数がリアルタイム計測で、「Amazfit T-Rex 2」が1分の測定頻度だからだと思います。
「Garmin Instinct 2」は、辛いとおもったタイミングで心拍数アラートが反応しますが、「Amazfit T-Rex 2」は辛いと思って休憩しているときに反応します。
画面の見やすさや情報量の多さでは、大液晶でカラーディスプレイの「Amazfit T-Rex 2」が圧倒的に便利です。
とにかくチラ見で必要な情報を瞬時に把握できるので、本当にストレスがありません。
何気に一番便利だと思ったのは「Amazfit T-Rex 2」がタッチパネル対応であるところです。「Garmin Instinct 2」はタッチパネル非対応です。
かといって、全く不満が無いかといえばそうでもありません。
「Amazfit T-Rex 2」はワークアウト中、専用の画面に切り替わるので、コンパスや天気予報といった、その他の機能が使えなくなります。
コンパスや天気予報を見たい場合、一旦ワークアウトを一時停止のうえ、「後で再開」をタップする必要があるのでこれは不便です。
「Garmin Instinct 2」はワークアウト中でも、通常のメニューを使うことが出来ます。このあたりは「Garmin Instinct 2」に軍配があがります。
バッテリー性能の検証
4時間ほどの山行を経て、ワークアウトでどれだけバッテリーを消費したか検証しました。
バッテリーの残量を比較してみると、Amazfit T-Rex 2のバッテリー残量は「75%」。Garmin Instinct 2のバッテリー残量は「88%」となっており、「Garmin Instinct 2」に軍配があがります。
Amazfit T-Rex 2はカラーの巨大液晶画面なので、その分バッテリーの消費も早くなる印象です。
あとはGarmin Instinct 2が白黒液晶の上、ソーラーバッテリー対応モデルなので、比較するには分が悪いかもしれません。
Amazfit T-Rex 2は細かな設定が出来るので、省電力の設定を行えばバッテリーの稼働時間をさらに長くすることが出来ます。この辺りはトライ&エラーで最善策が見つかるのかもしれません。
とはいえ、Amazfit T-Rex 2を使いこなすにはそれなりの学習コストがかかるので、ガジェット操作が不得意な方にはハードルが高い印象です。
ルートトラッキング性能
登山活動をそれぞれのアプリに取り込み、比較しました。ルートトラッキングの精度や、各種数値にそこまでの差は無い印象です。Amazfit T-Rex 2の精度は優秀です。
ちなみに登山とは話がそれますが、アプリの通知やメールの通知については、圧倒的に「Amazfit T-Rex 2」が使いやすいです。
なんといってもカラー液晶で情報量が多いので、本文までしっかりと確認できます。
「Garmin Instinct 2」では見出ししか表示されないので詳細を見たい場合は物理ボタンを押して詳細画面に遷移する必要があります。
普段使いで考えても「Amazfit T-Rex 2」は大変便利です。
もし普段使いで「Amazfit T-Rex 2」に弱点があるとすれば、電子マネーに対応していないことでしょうか。「Garmin Instinct 2」はSuicaに対応しているので電車に乗る時や買い物でスマートフォンや財布を取り出す必要がありません。
総評
「Amazfit T-Rex 2」と「Garmin Instinct 2」を比較して良かった点と悪かった点をまとめてみました。悪かった点については「Garmin Instinct 2」と比較をしない限り、気づかないような些細な内容ばかりです。
良かった点
- 大液晶カラーディスプレイのお陰で必要な情報を瞬時に把握できる
- 全体のルートからどの位置に居るのかを簡単に把握できる
- タッチパネル対応なので操作でストレスを感じない
- ナビゲーションメニューが非常にわかりやすい
- 表示したい情報をカスタマイズできる
- 通知機能が豊富で安全な登山ができる
悪かった点
- ワークアウト中は専用画面に切り替わるので他の機能が使えなくなる
- 地図の拡大や移動がタッチパネル非対応で物理キーで操作する必要がある
- 振動(バイブ)が弱いので気付かない場合がある
- 心拍数がリアルタイム測定ではない
- 設定次第ではバッテリーの消費が激しくなるのでチューニングが必要
- 多機能すぎて学習コストがかかる
登山から普段使いまで一度着けたら外せないアウトドアウォッチ
「Amazfit T-Rex 2」は登山で必要な機能を持ち合わせた理想のアウトドアウォッチでした。
ワークアウトでのバッテリー持続時間やナビゲーション機能があることはもちろんのこと、高解像度のカラーディスプレイのお陰で画面が見やすく、沢山の文字情報を表示できるのでストレスがありません。さらにタッチパネルで操作できるので、普段使いでは特に便利だと思いました。
Amazfit T-Rex 2は登山から普段使いまで、一度着けたら外せないアウトドアウォッチです。
Amazfit T-Rex 2についてもっと知りたいなら
\Amazfit|日本公式オンラインストア/
詳細・購入:https://www.amazfit.jp/products/amazfit-t-rex-2
本記事は公開時の情報です。アップデートなどにより公開時と仕様が異なっている可能性が御座います。最新の情報につきましては公式サイトをご確認下さい。
ギア
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