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ミントテロに注意!増えすぎた野生ミントの使い道を考える

ミントテロに注意!増えすぎた野生ミントの使い道を考える

ハーブ類は意外と身近な場所にも自生するということは以前にも書きましたが、先日、近所の河原でこんなものを見つけました。

野生で自生しているミントスペアミント?甘みを含んだ香りがします

はい、どう見てもミントですね。

ミントには大きく分けてペパーミント、スペアミント、クールミント(ハッカ)の3つの種類があり、日本在来のニホンハッカはクールミントに属するのですが、上のものは明らかにこれとは異なります。

本種は交雑種(自然に多種と掛け合わされたもの)が非常に多く、このように野生化したものははっきりとした同定が難しいのですが、外見や香りの特徴から見ると明らかに純粋なニホンハッカではないでしょう。

つまりコイツは何らかの理由で海外から輸入されてきた種がこの場に定着してしまったということで、これは当然、生態系保全的に考えると良い事とは言えません。

というわけで、今回の記事ではこのミントを美味しく食べて、かつ外来種駆除もしてしまおうと言う目的で書いていきます。

外来種としてのミントの危険性

ネットで軽く調べてみるとミントテロという言葉が目につきますが、これはつまりそのまま“ミントを使ったテロ”のことを指します。

…いや、これでは説明になっていませんよね。

そもそもハーブ類というのはかなり繁殖力が強い性質をもつものが多く、さらにその中でもミントというのは地下茎を持つため尋常でないスピードで増えていくのです。

この性質を利用して、ミントの茎や種を嫌いな奴の庭に投げ込み、あたり一面ミントだらけにしてやろう・・・というのが俗にいうミントテロです(絶対マネしないでください)

河原の赤紫蘇河原の赤紫蘇。本種も元は中国原産だが栽培種が野生化(帰化)したと言われている

また、テロがどうとか以前にコイツらが野生化して大量に増殖してしまうと非常に厄介です。

これが先ほども挙げた在来種のニホンハッカであれば特に“重大な“問題は無いと言えるのですが、今回のように住宅街近くの河川においては故意でなくとも誰かが庭で育てていた外来ミントの種が地面に飛んで行って発芽したり、地植えの場合には地下茎が延びて敷地外から発芽してしまうケースも多く、気づいた時には辺り一面がミント畑になっている…ということも普通に有り得ます。

これはミントだけに言えることではないですが、外来種が繁栄することによって、その場所にもともと生えていた植物(特に繁殖力の弱い貴重なもの)はどんどん数を減らしてしまい、当然の流れとしてその植物を食草としていた生物なども減り、最後には生態系全体への重大な影響を引き起こします。

そのため、この記事を見てくださっている皆さんも出来るだけ注意して、一度広まってしまったものは個人の力で何とかするということは難しいでしょうが、周囲の生態系への配慮は常に怠らないようにしていきたいですね。

…まあ、それはそれとして私自身はタダでミントが採れて嬉しくもあるんですけどね(おい)

野生ミントの使い道を考えてみる

気付けばクソ長い前置きになってしまいましたが、記事のメインであるミントの実食に移ります。

採取してきたミント

取り急ぎ先ほどの場所に生えていたものを採取してきたので、これを使って何かしらの用途を模索していきましょうか。

ミントの味や香りは皆さんご存知で今更感があると思いますが、やはり野生化しているものと栽培ものでは多少の違いが出てくるのは必至。それによってベストな使い道も変わってくることでしょうしね。

ハーブティー

まずは基本中の基本、ハーブティーからです。初めのほうにも書いた通りミントは非常に交雑が多く、細分化すると数千種類にもなると言われていますが、当然私はその全てを知っているわけではありませんし、野生種だと細かい見分けも付きにくいです。

そのため、ここである程度の香りや味の特徴を知っておこうという魂胆ですね。

では、やっていきましょう。

ミントを煮だしする

まずは普通に水から煮だしていきます。

ハーブ類に含まれる香りの多くは“精油”と呼ばれる成分によって成り立っており、これは揮発性・油溶性の性質をもつため、その全てを水で抽出することは不可能ですが、湯気からはすでに良い香りがただよっています。

一般にミントというとス~っとするメントールの香りが想像されますが、本種に関してはどちらかと言うと甘みを含んだ優しい香りがするため、このことからもやはり純粋なニホンハッカでは無いと言うことがはっきりしましたね。

このまま何かしらの変化があるまで火を入れていきましょう。

・・・で、数分後。

ミントを煮だすと黄色くなる

なんか黄色くね?

住宅街…河原…黄色…犬のおしっk

嫌な想像しか膨らみませんが、普通に考えて煮だすことによって色が変わるほどの高濃度で吸収・保持している訳は無いので問題ないでしょう(たぶん)

ちなみにこの時点で香りは先ほどから少し変化しました。どのように変わったかというのを完璧に伝えるのは難しいですが、始めよりメントール成分が少し前に出てきたというか、ちょっと尖ったような香りがしますね。

いや、あくまでもミントの香りではあるんですが。

とはいえ、これ以上煮出し続けるのは危険な気がしたので、一度火を止めカップに注ぎます。流石にこのまま直で飲んでも美味しくはないでしょうから、このお湯で紅茶を出して飲むことにしました。

煮だしたミントで紅茶を作ってみる

はい、完成。

色合いは非常に良いですが、問題は味ですよ味。飲(イ)ってみましょう。

…うん。
なるほどなるほど。

渋いね。

これはダメです。

あまり自分で作ったものを不味いと言うことのない私ですら断言できます。野趣あふれると言えば聞こえは良いですが、紅茶の味が分からなくなるレベルの渋さというか青臭さ?があり、飲み終わった後、マイナス要素の塊のようなものが舌に残ります。

まあ、それでも蜂蜜を入れることにより驚くほど中和されて飲みやすくはなりましたが、ストレートではとても飲めたものじゃありませんね。

デザート

先ほどのハーブティーは散々でしたが、火を通すとダメになるという一つの事実を得ることが出来ました。

コンビニデザートに飾りとしてミントを添える

ということで単純にデザートの飾りとして使ってみます。コンビニで売っている安物のケーキですが、これだけで一気に高級感が出るような気がしますね。

そして、やはりフレッシュなままで食べると渋みもあまり出ない、ということも明らかになりました。香りも非常によく、この方向性で使うのが良さそうです。

ミントジュース

見出しからもう嫌な予感がプンプンしますが、気にせず続けていきます。

先ほどまでの過程で生のまま使うのが良い、ということが分かったこの野生ミントですが、“ハーブティーがダメなら生のままミキサーにかけてジュースにすれば良いのではないだろうか?“という天啓があったのでやってみることにします。

…いや言いたいことはわかります。なんとなく結果も見えています。

しかし失敗を恐れていては前に進めないこともまた事実です。

やってみるまでは良いか悪いかの判断というのはできませんし、そもそも野菜ジュースとか青汁とかがあるほどですし、意外と良いものが出来る可能性も否定できないと思うんですよね。

野生のミントをミキサーにかける数十本のミントと水に、気持ち程度のハチミツを加える

ええい、ままよ!

ミキサーにかけられたミント

緑色すぎるミントのミックスジュースうわぁ…と思わず声が漏れてしまう綺麗なグリーン

出来ました。

いや、見た目は酷いものですが香りはそれほど悪くないですよ。…見た目はホントに酷いですが(念押し)

正直あまり飲みたくありませんが、まあ作ってしまったからには仕方ないです。

覚悟を決めて、行きます!

ゴクリ。

ん?

もう一口。

…あれ、これ割と美味くね?

青臭さも多少はあるとは言えそれほど気になりませんし、普通に甘みを含むほのかなミントの香りでスッと飲めます。

そして何よりハチミツが強いですね。

野草特有の苦みやえぐみを違和感のないレベルで抑え込んでおり、完璧な調和がとれています。

まあ、胸を張ってオススメできるようなものでもありませんが、今回のように思いがけず大量に手に入ったという時には試してみても罰は当たらないのではないでしょうか。

また、余談ですがミントには花粉症予防や、消化器系の諸症状への薬効があるらしいので、飲めば健康になる!…かも知れない。

野草としてのハーブは優秀!だけど…

多分この記事を見ていただいている方は多少なりとも植物に興味がある人がほとんどだと思いますが、ミントのような外来のハーブが野生化していることを知っている人はそう多くないことでしょう。

ハーブがタダで使える、ということだけを取り上げれば多くの人はそれを便利だと感じるでしょうが、それによって他の植物が追いやられる可能性がある…という事は植物に興味がない人でも知っておいたほうが良いことです。

園芸を楽しんでいる人は種や草本が外に出ないよう気をつけ、普段から山や河原を歩く人はこれらの外来種が広がっていないかたまには探してみる。

これが個人個人で行う、自然に対する最低限のマナーではないでしょうか。

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  • フリーランスライターとして日銭を稼ぎ、道端の雑草を食べながら日々を生きています。フィールドワーク全般が趣味で、野草・薬草・キノコについて勉強中です。

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