秋になるとたくさんの実をつけ、かつ地面に落ちるために拾いやすいことから子どもたちに大人気のドングリ。
テレビやインターネットなどで“食べられる”という情報だけを耳にして、試してみたいと思っている人も多いでしょうが、一口にドングリと言っても様々な種類があります。
また、最近では木の実の栄養効果にも期待が高まっておりドングリを使った様々な商品も見られるようになってきました。
今回の記事ではこの“ドングリ“に焦点を当てて、美味しく食べられる種類や、アクの強い種類。また、おすすめの食べ方や見分け方などを紹介していきたいと思います。
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こんなにあるの!?様々な種類のドングリたち
日本で普通みられるドングリは約20種類ほどあり、その全てを完璧に同定するのは非常に面倒ですが、ここからはその中でも特によく見られる種類を紹介したいと思います。
また、各種ドングリの特徴や食べられるかどうかについてもあわせて書いていきますので、「ドングリを食べて見たい」と言う人はぜひ参考にしてみて下さい。
コナラ属
非常に数が多く公園や街路などにも積極的に植えられているため、通常ドングリと言うとこのコナラ属を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし同属の品種にはアク成分(主にタンニン)が多く含まれており、生食には向きません。
どうしても食べたい場合には流水・藁灰・木灰などを使って、しっかりアク抜きをした上で粉末にしてお菓子に入れたり、よく砕いてから水にさらし、デンプンを抽出するなどの工夫が必要になります。
以下ではコナラ属の中でも最も多く見られるクヌギ・ミズナラの見分け方と特徴を紹介しています。
クヌギ
クヌギはブナ科コナラ属の落葉高木で夏場には幹から樹液が染み出す事から、カブトムシやクワガタムシが多く集まり、夏場の子どもたちにとってはなくてはならない存在として知られています。
また、古くからシイタケ栽培の原木としても利用されており人間にとっては非常に身近な樹木の一つです。
この木の見分け方としては、樹皮が灰褐色で比較的厚いこと。また、葉のふちとドングリの殻斗が鋭くとがっていることから簡単に見分けることが出来ます。
本種のドングリはアクが強く、現代ではほとんど食べられることは無いようですが、比較的大型のドングリをつけるため、大昔にはトチ・クリなどと並んで主要な食料の一つだったようです。
ミズナラ
ミズナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、日本を含めた温帯の代表的な広葉樹の一つです。水分が多く燃えにくいことからこの名が付きました。
ドングリの形にはあまり特徴が無く良くも悪くも“普通”の形なので、一般にドングリといえば同種を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
また、同種は多くの広葉樹と同じく紅葉するため、秋になると山野の原生林を美しい赤色に彩ってくれます。
ミズナラの葉はクヌギと同じく葉のふちが尖っていますが、ドングリの殻斗は丸くなめらかなため、これから見分けられます。また、樹皮には縦に大きな裂け目があり灰褐色になり、こちらからも見分けることが出来ます。
ミズナラのどんぐりもクヌギと同じくアクが多いので、もし食べてみたい場合は重曹や灰と一緒に鍋で何回か水を入れ替えながら煮てアク抜きする必要があります。
余談ですが、本種を含めたブナ科の巨木の根元には有名な“マイタケ”が発生するため、ドングリ拾いのついでに探し見ると良いでしょう。
シイ・マテバシイ属
シイ・マテバシイ属のドングリには食用として利用できるものが多く、アクもほとんどないため茹で・炒りのほかに、なんと生で食べることもできます。
以下では同属の代表的な品種を紹介しています。
スダジイ
スダジイはブナ科シイ属の常緑広葉樹で関東地方で普通シイ・シイの実と言う場合には本種を指します。
本種も多くのドングリの木と同じく、公園や街路樹神社の境内などにも広く植えられており、夏には独特の香りの花を咲かせます。
見分け方としては細かい切れ込みの入った樹皮や、葉の裏面に灰褐色の毛があることから。また、ドングリの殻斗に特徴があり、熟すと3つに裂けることなどから見分けられます。
スダジイの木は寿命が長く、樹齢500年をも超える巨木になることもあるため、神社などでは御神木として扱われることもあります。
マテバシイ
マテバシイはブナ科マテバシイ属の日本固有の常緑広葉樹で、スダジイと同じくアクが少ないため食用に利用されます。
ドングリを細かく砕き天日に干して乾燥させた“ドングリ粉”からは、縄文時代を模したクッキーなどのお菓子を作ることもできます。
本種の見分け方としては、樹皮が緑色を帯びた暗褐灰色でなめらかなこと、葉とドングリに光沢があること。また、葉の長さは5cmから20㎝にもなり、ブナ科の中でも最も大きいこと、更には常緑樹ですので、冬にも葉が落ちないことから見分けることが出来ます。
ブナ属
日本で主に見られるブナ属の木には主にブナとイヌブナの二種類がありますが、ここではより利用価値・認知度ともに高い“ブナ“についての解説をします。
ブナはブナ科ブナ属の落葉高木で、日本を含めた温帯の山地の主要構成種です。
ある程度の大きさ(だいたい樹齢50年~)まで育った本種がつける果実(ドングリ)は山野の野生動物の主要な栄養源となっており、アクも少ないために以前は人間も同様に炒ったり油を搾ったりして食べていたようですが、現在ではほとんど食べられません。
見分け方としては葉のふちが丸く波打つことや、樹皮が灰褐色でなめらかなこと、また、果実が熟すと殻斗が裂けることなどがあります。
クリ属
クリはブナ科クリ属の木で、秋にはトゲトゲとした殻斗をまとった果実をつけることが特徴です。
本種は栽培され一般にも販売されているほど有名な食品ですが、山野に自生している“柴栗(別名:ヤマグリ)”はこちらよりも実が一回り小さく、甘味が強いのが特徴です。
また、クリの木は日本においてはほぼ全国的に自生しており、果実を採取するほかに栗焼酎や栗茶、蜜源植物としても利用されており日本人にとってはとてもなじみ深い木だと言えるでしょう。
ちなみに、山で採ってきた栗の実には“クリシギゾウムシ”と呼ばれる虫の幼虫が入っていることが多々ありますが、これは別にそのまま食べても害はありませんし、生まれてきてから今まで栗のみを食べていたためか特有の旨味と香りを持ち、なんなら美味しいので気にせず食べましょう。
見分け方としてはもちろん果実を見れば一発ですが、淡黒褐色で厚く縦に裂ける樹皮や、細長い葉からも同定できます。
拾って楽しい、食べて美味しいドングリ拾い
さて、ここまで様々な食べられるドングリの種類と見分け方について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
最近ではドングリが含む多くの栄養成分から健康効果も期待されており、いわゆる“ドングリ粉”を使ったお菓子も販売されているようです。
毎年この時期になると公園で子どもたちがドングリ拾いをしている様子が見られますが、この記事を読んだ皆さんも、この機会にたまには童心に帰って無心でドングリを拾って、ついでに食べてみませんか?
ドングリ拾いの持つ魔力により、きっと気づいたときには袋いっぱいのドングリを集めていることでしょう。
ギア
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