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自生している野生の茶の木を乾燥させて自家製のお茶を作ってみる

自生している野生の茶の木を乾燥させて自家製のお茶を作ってみる

京都や静岡など、お茶の産地に住んでいる人は飽き飽きするほどに見ているであろう茶の木(チャノキ:ツバキ科ツバキ属)。

実はこの茶の木、もともとは中国から輸入されて来たものなのですが、古くから日本でも栽培がされているがゆえに、九州や伊豆半島など一部の地域では半野生化しているのです。

そして私の住んでいる京都でも同様に、普段からよく訪れる茶畑から近い山においては自生している野生化した茶の木を見つけることができ、少し前からちょくちょく摘んで来ては色々と試しているのですが、最近やっと納得の行くレベルの加工ができるようになってきたので、これを機会に記録に残してみようと思います。

ネットで色々なページを見ていると、茶畑さえ近くにあれば上記の地域以外でも生えていることがあるそうなので、皆さんも探して見てください。お茶以外にも紅茶とか作れて楽しいですよ!

近所の山で自生している茶葉を採取する

早速、いつもお世話になっている山に茶葉を採取しに来ました。

野生の茶の木。山道の脇に並んで生えている。

導入部分でも書いた通り、茶の木自体は近くに茶畑さえあれば割とどこでも生えていますが、特に沢の近くの湿り気の多い場所に群生しているのを良く見かける気がします。

茶の木には大きく分けて、インド原産のアッサム種と、中国原産の中国種がありますが、日本にある茶の木のほとんどは中国種で、これは比較的寒さにも強いため数百メートルほどの山であれば頂上付近でも生えていたりして、しばしば驚かされます。

採取する際には、必ず上の方についている数枚を枝ごと切り取るようにしましょう。

葉っぱだけを手で千切ると、当然後には裸の枝の部分だけが残るわけですが、木はその部分もなんとか維持しようと栄養を送り続けます。

まあ茶の木は結構強いので、その程度では枯れはしないでしょうが、ただでさえ栄養状態の悪い冬場にやることではありませんし、これは本種に限らず山で植物を採取する際のマナーのようなものですかね。

もちろん一株から大量に採るのもやめておきましょう。

大きい株なら全体の形を整えるように枝先を少しずつ切り取る。数十センチ程度の小さな株には手をつけないでおこう。

と、ここで「あまり茶の木をじっくり観察したことがない!」という方のために簡単な見分け方を紹介しておこうと思います。

とはいえ、冬場はほとんどの木は枯れて葉が落ちるので、同じくツバキ科・常緑樹で見た目も良く似た“ヤブツバキ”との違いをここでは特に取り上げます。

上の画像を良く見て下さい。

ヤブツバキのほうは鋸歯(フチのギザギザ)が目立たず、葉脈も茶の木と比べると浅いです。さらに冬場なら茶の木には白く小さな花が咲いているので、簡単に見分けはつくでしょう(まあ実際に山で見ると全部同じように見えるんだけど)

…と、ここまでで、ある程度の量の茶葉を採取することが出来たので、いよいよ自家製のお茶作りに移ろうと思います。

一点注意ですが、加工すると一気に体積が減るので、ちょっと多いかな?と感じる程度の量を確保しておきましょう。いざ出来た!という時になって1,2杯分しかないと、かなりガクッとくるのでw

お茶の香りを楽しみつつ自家製番茶作り

これが本日、採取してきた茶葉になります。

採ってきた茶葉は枝から外しておきましょう。

番茶と言っても製法は煎茶とほとんど同じですので、まずは通常通り葉を蒸します。蒸し時間は新芽を使う場合には大体数十秒ほどなのですが、今回のように古葉を使う場合には柔らかくなるまでかなりの時間蒸す必要があります。

葉の量にもよりますが、大体5分程度たてば、初めの青臭かった香りが明らかに甘いお茶の香りに変化するので、そのタイミングで止めましょう。

ちなみに茶葉の量が多い場合には合間合間で火を止めて、全体がまんべんなく蒸せるようにかき混ぜる必要があります。

蒸し終えたら葉を全てザルに開け、団扇などで急速に冷やします。

この工程によって茶葉の色が深くなり、香りも良く立ちます。

次はもっとも重要ともいえる揉捻(揉む)の工程です。

葉に含まれている水分を絞り出すように、かなり力を入れて揉みましょう。この工程で葉の組織が壊れ、茶を煮出したときに成分が染み出しやすくなります。

…で、最後は乾燥の工程なのですが。

以前私がネットで調べた情報を頼りに番茶を作った際に、フライパンを使って煎りながら乾燥させたところ、火が通りすぎたためか番茶というよりも、むしろ”ほうじ茶”といったほうが正しいような中途半端なものになってしまったため、今回はオーブンを使った方法を試してみようと思います。

といっても、最後まで完全にオーブンで乾燥させてしまうと結局同じになってしまいますので、ある程度まで水分を飛ばした後は軒下にでも置いておきましょうか。

茶葉を薄く敷いてオーブンに入れ、ドライハーブを作る要領で100℃程度の温度で10分加熱します。低温からじっくり乾燥させたいので余熱はなしで。

このままじっとおいておくと火の通りにムラが出てしまうため、合間で混ぜたり、ひっくり返したりしましょう。

オーブンでの加熱が終わったら、風通しの良い軒下などの場所に放置し、仕上げの乾燥をおこないます。

今回のように真冬に作る場合には3日ほども置いておけば完全に乾燥すると思います。

身近にこのような都合の良い場所がない場合には、最後までオーブンを利用しても良いですが、その場合にはもちろん火が通りすぎないように様子を見ながら行ってください。

そしてこれが軒下で干し終えたものです。途中で1度雨が降ったため、4日間置いておきました。あとは最後に、これをフライパンでパリパリになるまで完全に乾燥させます。

えっ、「フライパンは使わないんじゃなかったのか」って?

確かに蒸した後すぐにフライパン”だけ”を使って乾燥させてしまうと、火が通りすぎて先ほども書いたように完全なほうじ茶になってしまいます。

しかし自然乾燥ではどうしても水分が少し残ってしまうため、最後の最後はやはり熱の力を借りる必要があるのです。

また、ほかにも仕上げに火を少し通すことで”香りが強まり甘味が増す”という理由もありますので、ここは素直に文明の利器を使わせていただきます。

こんな感じで大きめのフライパンに茶葉をのせ、あくまでも弱火でじっくりと乾燥させていきます。

目安として表面温度は100℃以下で。

もちろん、これもたまに火を止めて揉みながら行います。

時間をかけて、じっくりじっくり乾燥させると、茶葉の色が濃くなり、非常に強い、が、さわやかなお茶の香りが当たりに漂いはじめます。

そして、更にこのまま同じ工程を続けると

よく見慣れた、緑茶独特の細長い形に茶葉が変化していきます。

これが手で触ると粉々になるくらいに乾けば完成です!

いよいよ実際に飲んでみましょう。

野生の茶の木で作った自家製のお茶は一味違います

さっそく急須で淹れてみました。

香りは非常に良く、少し抹茶にも近い感じがしますね。

気になる味に関しても、旨味こそ成分的な問題もあって新茶に劣るものの、口当たりのまろやかさと嫌味の無い渋みはとても番茶とは思えない高貴なものになっております。

正直、この作り方を見ると多くの人が「めちゃくちゃ面倒じゃん」と感じたかと思いますが、しかし自分で作ったもの、自分で採ってきた季節のものを飲む(あるいは食べる)というのは、お金さえ出せば時期を選ばずに何でも手に入るという現代だからこそ、とても価値のあることだと筆者は思います。

自分で採った茶の木をお茶にする過程を楽しむ

採りに行く工程で楽しみ、作る工程で楽しみ、そしてそれを実際に飲んだり食べたり出来る。結構な趣味ではありませんか。

山菜採りやキノコ狩りなど、自然にあるものを食べてみる…ということに興味を持っていた方は、この機会にぜひ試してみませんか?もちろん強制は出来ませんが、やってみると意外とハマるかも

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  • フリーランスライターとして日銭を稼ぎ、道端の雑草を食べながら日々を生きています。フィールドワーク全般が趣味で、野草・薬草・キノコについて勉強中です。

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