日本百名山「立山」に登ってきました。標高3000m超えの山ですが「立山黒部アルペンルート」のお陰で、北アルプスの山の中では比較的アタックしやすい山です。
今日は、立山の主峰三峰を縦走する1泊2日の絶景ルートのご紹介です。登り初めから下山まで、ただただ絶景だけが続く、ボーナスステージのような山でしたよ。
目次
絶景の霊山「立山」
富山県にある「立山(たてやま)」は、北アルプス北部、立山連峰に位置する雄山(おやま:3,003m)、大汝山(おおなんじやま:3,015m)、富士ノ折立(ふじのおりたて:2,999m)3つの峰の総称です。
富山県最高峰の山で「日本百名山」「新日本百名山」「花の百名山」「日本百高山」「富山の百山」に選定されています。
立山は日本三霊山の1つで、立山三山「浄土山(過去)→立山雄山(現在)→別山(未来)」を巡る立山登拝で多くの巡礼者が訪れた山岳信仰の山です。今でも雄山山頂には雄山神社が祀られ、祈祷を受けることができます。
ただただ絶景の山で、山頂からは360度大パノラマが広がるのは勿論のこと、登り初めから下山まで絶景だけが続くという、見どころしかない山です。
立山は、登山口でもある標高2,450mの立山室堂まで「立山黒部アルペンルート」を利用してアクセスができるので、標高3000m超えの山の中でも難易度が低い山です。シーズン中は本当に多くの登山客が訪れます。
「立山」登山コース
出典:歩こう立山立山の登山で人気のコースは大きく分けて3つです。
雄山だけを目指すピストンコース
- 室堂ターミナルを起点・標高差約550m/総距離約5.5km/約180分~240分程度
- 初心者でもチャレンジしやすい人気のコースです。唯一日帰り可能なコースですが、かなりタイトな山行になります。可能であれば1泊2日で登山計画を立てることをお勧めします。
立山三峰を縦走する周回コース
- 室堂ターミナルを起点・標高差約560m/総距離約8.2km/約330分~390分程度
- 雄山、大汝山、富士ノ折立の立山三峰を周回するコースです。時計回りと反時計回り、どちらが良いかで悩みがちです。個人的には登りが緩やかで、雄山が激込みしない時間に登頂できる反時計回りがお勧めです。
立山三山を縦走する周回コース
- 室堂ターミナルを起点・標高差約560m/総距離約13.4km/約480分~540分程度
- 立山三山を縦走する健脚者向けのコースです。距離が長く、1日で踏破は大変なので、2泊3日のスケジュールで2日に分けて踏破をするのが一般的なようです。
コースタイム上では日帰り登山が可能な難易度ですが、立山黒部アルペンルートの始発と終電のことを考えると物理的に困難です。一般的には山小屋やホテル、テント場で宿泊をして1泊2日の山行計画を立てます。
今日ご紹介するのは、雷鳥沢キャンプ場を起点に、雄山、大汝山、富士ノ折立の立山三峰を反時計回りに縦走する1泊2日の周回コースです。
コースは以下のような流れになります。
モデルコース(標高差約730m/総距離約6.5km/コースタイム約300分~360分)
雷鳥沢キャンプ場→分岐1→分岐2→一ノ越山荘→立山一等三角点→雄山山頂→大汝休憩所→大汝山山頂→富士ノ折立分岐→富士ノ折立山頂→大走り分岐→雷鳥沢キャンプ場
※補足
雷鳥沢キャンプ場→分岐1
第一のチェックポイントとなる分岐までは距離にして約0.2km、標高差20メートルを10分かけて登ります。登山口から暫くは分岐が多く、結構迷ってしまったので細かく纏めますね。
雷鳥沢キャンプ場から出発する場合、キャンプ場ど真ん中を走っている十字路から「剣岳・大日岳方面」へ進みます。
キャンプ場から称名川へ降りて橋を渡ります。水が大変冷たく、飲み物を冷やしたり水遊びを楽しむキャンパーが多い憩いのスポットです。
橋を渡ると分岐があるので「大走り・一ノ越方面」へ進みます。
直ぐに橋が見えてくるので渡りましょう。目の前にはこれから登る立山の山容を一望できます。
暫く歩くと再び分岐の標識が見えてきました。便宜上「分岐1」と書きましたが、名もなき分岐です。「室堂ターミナル(登山道経由夏季のみ)」へ進みます。
分岐1→分岐2
次の分岐(便器上、分岐2としました)までは距離にして約1km、標高差100メートルを30~40分かけて登ります。ここから先は道なりに歩くだけです。それにしても登山開始時から絶景しかありません。
暫くは平坦な道のりで雄大な絶景だけが広がります。立山登山は出発点の標高が既に2000メートルを超えているので樹林帯歩きがありません。日差しを遮るものが無いので日焼け対策は万全にしましょう。
段々と勾配が強くなっていきますが、登山道は大変整備されていて歩きやすいです。360度見晴らしがよい絶景続きなので、登山開始から足がなかなか前に進みません。
ずっと勾配が続くわけではなく、所々で平地があるので小休止ができます。目の前に聳え立つ山は、立山三山の1つ「浄土山」です。
絶景に見とれながら進んでいくと分岐2に到着です。室堂ターミナル方向へ進むと遠回りになりますが、一ノ越山荘までは比較的緩やかな道のりです。殆ど方は一ノ越方向へ進むので筆者もそちらを選択しました。
分岐2→一ノ越山荘
一ノ越山荘までは距離にして約1.2km、標高差300メートルを50~60分かけて登ります。ここから先はいよいよ本格的な登山道といった雰囲気で、勾配がきつくなります。
とはいえ、絶景しかない褒美ゾーンだらけの道なので苦になりません。辛くて足が進まないというよりは、絶景だらけで足が進まない山です。
後ろを振り返ると雷鳥沢キャンプ場が遠くに見えます。左側から噴煙が上がっている場所は地獄谷です。
遠くにチェックポイントの一ノ越山荘が見えてきました。最後は急登が続く岩場の道のりです。
一ノ越山荘に到着です。トイレや売店、食堂があるので休憩には最適です。雄山山頂までは信じられない急傾斜なので一息つきましょう。
一ノ越山荘からは槍ヶ岳をはじめとした北アルプスの山々を一望できる絶景スポットがあります。ご褒美しかなくてこの時点でお腹がいっぱいです。
一ノ越山荘→立山一等三角点
立山の一等三角点がある場所までは距離にして約0.6km、標高差300メートルを60~70分かけて一気に登ります。写真でもその傾斜が伝わる程の物凄い斜度で、左端に見えている建物まで直登ぎみに進みます。
雄山までは岩場の急登続きにも関わらず、信じられない数の登山者が登頂する超人気のコースなので、混雑防止に登りと下りでルートが明確に分かれています。間違った道に入ると高確率で怒られるので注意してください。
本当に岩だらけなので登りづらいです。登りは赤色で、下りは黄色で分かりやすく案内がペイントされているので矢印に従って登りましょう。
疲れたら後ろを振り返ってみてください。信じられない絶景が目の前に広がります。一ノ越山荘がこんなに小さく見えます。いかに短い距離で標高を稼いでいるかが良くわかります。
遠くにはみくりが池や室堂ターミナル、地獄谷、雷鳥沢キャンプ場といった室堂平の主要スポットを一望できます。岩場のハードな道のりですが、それ以上のご褒美のお陰で苦になりません。
目の前に建物が見えてきました。最後の急登を登り切れば立山一等三角点のある場所まですぐそこです。
立山一等三角点に到着です。ここからは槍ヶ岳・穂高連峰といった北アルプスの主要な山々を一望できます。
立山一等三角点→雄山山頂
雄山山頂は距離にして200メートル程度。目の前に見える建物は立山頂上雄山神社です。トイレがあるのはありがたいですよね。休憩にも最適です。
先を進むと鳥居があります。奥に見える建物が雄山神社の峰本社で、山頂標識がある場所です。
山頂に行くためには参拝料700円を支払います。混雑時は社務所の前は大行列になるので、雄山に登るのであれば早い時間に目指したいところです。
峰本社のある山頂は、写真の通り大変狭いので交代制です。筆者は早朝に到着したので待ち時間は10分程度でしたが、混雑時は最悪1時間以上並ぶことになるのではないでしょうか。
峰本社には宮司さんがいらっしゃってお祓いを受けることが出来ます。お祓い中は撮影禁止です。お祓いが終わると、富士山の方角に向かってクライマックスの万歳三唱です。
晴れた日であれば雄山から微かに富士山を拝むことが出来ますよ。いうまでもなく山頂は360度大パノラマの絶景です。
お祓いと万歳三唱が終わると記念撮影タイムです。山頂標識は峰本社右隣にあります。雄山の標高は3003メートル。交代制で限られた時間しか山頂にいることができないので、山頂標識の前は行列になります。
雄山山頂→大汝休憩所
大汝休憩所までは距離にして約0.4km。登り返しはありますが20分程度で到着します。記念撮影が終わったら混雑する前にサクッと下までおりましょう。
大汝山の分岐は鳥居の手前にあります。ここから先は登山者が少なくなるのでゆっくりと天国ロードを満喫できますよ。
峰々をトラバースしながらの稜線歩きなので、思っていた程アップダウンはありません。
後ろを振り返ると、雄山山頂と峰本社を一望できます。遠くから見ても一発で雄山山頂だと分かる突起です。
大汝休憩所が見えてきました。売店や食堂、トイレがあります。繁忙期のみ営業しているので、10月以降は閉まります。
大汝休憩所→大汝山山頂
大汝山山頂は大汝休憩所の手前にあるのですが、大汝山は大変狭く、はっきりいって岩登りなので山頂をスルーする方もいるんだそうです。山頂を目指さない方はこのまま山荘を目指しましょう。
岩が壁のように立ちはだかっていますが、岩にペイントされた案内に従って登ればそこまで危険ではありません。山頂まではあっという間です。
大汝山山頂に到着です。標高は3015メートル。立山の最高峰です。剱岳が目の前にドーンの360度大パノラマです。
反対側に目を向けると雄山の山頂越しに北アルプスの山々が一望できます。
大汝山の山頂は大変狭く、撮影待ちの行列になります。見た目から分かる通り、大汝山の山頂ははっきりいって岩です。
大汝山山頂→富士ノ折立分岐
富士ノ折立分岐までは距離にして約0.4km。登り返しは程んどなく、15~20分程度で到着します。360度大パノラマが広がる、天国ロードの稜線歩きです。
稜線からはみくりが池、地獄谷、雷鳥沢キャンプ場が米粒のように見えます。大日岳越しに富山の街並みと日本海まで一望できるという、大絶景ポイントです。3000メートル級の稜線からの景色は、非日常の異次元の空間です。
目の前に見える突起物が富士ノ折立です。山頂には沢山の登山者が居ますね。肉眼でもはっきりと見えます。
あっという間に富士ノ折立分岐です。時間が無い方は富士ノ折の山頂を目指さず、パスできます。
富士ノ折立分岐→富士ノ折立山頂
富士ノ折立山頂は100メートル先にある岩山を約50メートル登った場所です。既に多くの登山者が待機していますね。
山頂まではゴツゴツの岩場をトラバース気味に登ります。あっという間の距離とはいえ、岩にペイントされた案内が少なく道が不明瞭です。道を譲りあいながら登りましょう。
富士ノ折立に到着です。標高は2999メートル。立山三峰で一番標高は低いのですが、他の2座と異なり山頂で長居できるので、ゆっくりと360度大パノラマを満喫できます。
南側に目を向けると、先ほど登頂した大汝山山頂と大汝休憩所越しに北アルプスの山々を一望できます。
このまま少しだけ東側に視線を動かすと、北・中央・南アルプスといった日本アルプスから富士山まで、視界に飛び込んできます。
東側に目を向けると、黒部ダムにせき止められた人工湖「黒部湖」や後立山連峰を一望することができます。
西側に目を向けると室堂の数々の名所と大日岳越しに富山の街並みと日本海を一望できる大パノラマです。
北側に目を向けると、これから歩く美しい稜線の先に剱岳が見えます。右下に見える雪は日本で7か所にしかない氷河です。
富士ノ折立山頂からの景色は、個人的に3つの峰の中で最も絶景だとおもいました。エスケープするのは勿体ないので、是非とも踏破したいところです。
富士ノ折立山頂→大走り分岐
立山三峰を制覇したので、いよいよ下山です。大走り分岐までは距離にして約0.6km。標高差150メートルを25~30分かけて下ります。
実は今回の山行で筆者が一番見たかったのはこの稜線です。立山三峰より先はゴツゴツとした岩場から砂のような美しい稜線が広がり、まるで滑走路のようです。
右手に見える氷河は「内蔵助(くらのすけ)氷河」といいます。2018年に認定された、底部の氷が約1700年前にできた日本最古の氷河なんだそうです。
後ろを振り返ると、立山三峰の荒々しい岩肌の山と、砂のような稜線のコントラストが美しく、ずっと眺めていられます。
小高い丘を越えた先に分岐点があります。目の前には日本海が広がり、白砂のような山容と、青い空と海のコントラストが美しいですよね。
大走り分岐に到着です。時間があれば真砂山や別山の縦走にもチャレンジしたいところです。
大走り分岐→雷鳥沢キャンプ場
雷鳥沢キャンプ場までは距離にして約1.8km、標高差570メートルを90~100分かけて下ります。左側にみえる脇道を進みましょう。
砂のようなつづら折りの激下りがひたすら続く滑りやすいこの道は「大走り」と呼ばれています。名前から富士山の下山コース「大砂走り」を思わせますが、矢張り爆速で下山ができる定番の下山コースなんだそうです。
目の前に室堂の雄大な景色を拝みながら下山が出来るのですが、思っていた以上に距離が長く、ひたすら激下りです。目の前の雷鳥沢キャンプ場が近いようで遠くに感じます。
立山三峰を縦走する際、「大走り」から登頂する時計回りルートか、先に雄山を目指す半時計回りルートかで迷うかもしれませんが、個人的には反時計回りをお勧めします。登りで使うには本当に大変な道です。
長い長い激下りの「大走り」が終わると、あとは平坦な道のりです。目の前にはゴール地点の雷鳥沢キャンプ場が見えます。
雷鳥沢キャンプ場に戻ってきました。キャンプ場に戻る前に称名川の冷たい水でリフレッシュしたいところです。
立山三峰を縦走してみてわかったこと
立山三峰は登り初めから下山まで360度大パノラマの絶景だけが続くという、ご褒美しかない縦走路でした。立山三峰を縦走してみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 立山という山は存在しない。雄山・大汝山・富士ノ折立3つの峰の総称
- 登り初めから下山まで絶景だけが続くという、見どころしかない山
- 立山黒部アルペンルートのお陰で3000メートル超えの山でもアタックしやすい
- 日帰り登山は物理的に困難なので1泊2日で山行計画を立てるのが一般的
- 個人的には立山三峰を縦走する周回コースがお勧め
- 立山三峰を縦走するのではあれば反時計回りでの周回がお勧め
- 雄山山頂は参拝料700円を支払わないと入れない
- 雄山だけに登るのであれば恐ろしく激込みするので早朝に登頂したい
- 立山の最高峰は大汝山。山頂は大変狭く、撮影待ちの行列になり長居できない
- 富士ノ折立山頂は他の2座と異なり山頂で長居できるのでお勧め
- 富士ノ折立山頂から大走り分岐までの稜線は砂のような美しい稜線が広がる
- 大走りは思っていた以上に距離が長く、ひたすら急登なので下山での利用が定番
北アルプスの虜になること間違いなしの絶景の山です
立山は写真や映像では伝えきれないダイナミックな景色が広がる山でした。折角立山に登るのであれば1泊2日で立山三峰を縦走したいところです。北アルプスの虜になること間違いなしです。
決して初心者向けの山ではありませんが、今まで見たことも無いような信じられない絶景を拝むことが出来ますよ。
ギア
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