山梨県にある昇仙峡は「日本一の渓谷美」で有名な国内有数の景勝地です。特に紅葉シーズンは激込みする観光名所なので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今日は、昇仙峡にある羅漢寺山(弥三郎岳)と白砂山に登ってきました。難易度も高くなく、ロープウェイでサクッと登頂できるコースもあるので、登山入門者の方にもおすすめですよ。
目次
岩の上からの絶景「羅漢寺山」
山梨県甲府市にある羅漢寺山(らかんじやま)は、奥秩父山地の南西部に位置する標高1058mの山で、弥三郎岳、展望台、パノラマ台の総称です。「山梨百名山」「甲府名山」に選定されています。
羅漢寺山はロープウェイで山頂近くまで行くことが出来るので多くの観光客で賑わっています。因みに羅漢寺山の山頂標識はロープウェイ乗り場の前にあるパノラマ台にあります。
弥三郎岳はパノラマ台から展望台を経て、徒歩20分程度で行くことが出来ます。大きな一枚岩の山頂が特徴で、絶景パノラマビューを楽しむことが出来ます。
観光スポットから外れた場所には、山梨県にある「日向山」を彷彿とさせる天空のビーチが広がる「白砂山」という絶景の山があります。観光客が殆ど来ないので、静かな登山を楽しむことが出来ますよ。
「羅漢寺山」登山コース
羅漢寺山の登山コースは、ロープウェイで山頂まで行ける観光登山コースから、歩きごたえのあるコースまでバリエーション豊かです。主なコースを簡単にまとめてみました。
パノラマ台駅から登頂する
- ロープウェイを使って山頂を目指す、標高差約30m/片道約0.5km/約20分程度のコース
- 最寄りの駐車場は、昇仙峡無料駐車場(駐車可能台数約80台/無料・トイレ有)
仙娥滝駅から登頂する
- ロープウェイを使わないで山頂を目指す、標高差約350m/片道約2.1km/約80分程度のコース
- 最寄りの駐車場は、昇仙峡無料駐車場(駐車可能台数約80台/無料・トイレ有)
長澤橋から登頂する
- 白砂山を経て弥三郎岳を目指す、標高差約550m/片道約5.9km/約165分程度のコース
- 最寄りの駐車場は、天神森市営駐車場(駐車可能台数約70台/無料・トイレ有)
今日ご紹介するのは、ロープウェイを使わないで白砂山と弥三郎岳を登るコースです。最悪、下山でロープウェイを利用できるので、「ロープウェイ登山以上、がっつり登山以下」の良いとこどりなお勧めコースですよ。
コースは以下のような流れになります。
モデルコース 標高差約350m/総距離約6.8km/コースタイム約210分程度
昇仙峡無料駐車場→仙娥滝駅裏の登山口→分岐→富士山遥拝所→白砂山分岐→白砂山→パノラマ台→展望台→弥三郎岳→パノラマ台駅→昇仙峡無料駐車場
順を追って説明しますね。
昇仙峡無料駐車場→仙娥滝駅裏の登山口
最寄りの駐車場は、中央自動車道双葉スマートインターから車で約30分の場所にある昇仙峡無料駐車場で、約80台の車を停める広さがあります。駐車料金は無料で、トイレもあります。
昇仙峡は観光名所だけあって、上記駐車場以外にも無料・有料含め、沢山の駐車場があるのでお好きな駐車場に停めましょう。ただ、紅葉シーズンは大変混雑するので駐車も一苦労です。
登山道は、昇仙峡ロープウェイ「仙娥滝駅」の脇にある道を進んだところにあります。少しわかりづらいのですが、山梨ワイン王国と仙娥滝駅の間にある小道を進みます。
麦坂道(ばくざかどう)の標識が見えたら正解です。そのまま道なりに進みましょう。
登山口の標識が無いので分かりづらいのですが、どうみても登山道と判る道が出現するので、すぐに分かるかと思います。
仙娥滝駅裏の登山口→分岐
ここからは本格的な登山道です。チェックポイントとなる分岐までは距離にして約1.6km、標高差約320メートルを約55分かけて登ります。大変整備された登山道で歩きやすいです。
それもその筈で、この道は「麦坂トレイル」というトレッキングコースで、MTBのコースでもあるからです。道の所々にMTB用の看板が立っています。
半分くらい歩くと橋が見えてきます。ここまでは緩やかな林道歩きといった雰囲気であっという間です。
しかし、橋を渡ってからはつづら折りの急こう配が永遠と続きます。登れど登れどゴールが見えず、一番辛い区間です。
長かったつづら折りの急登を終えると羅漢寺山と白砂山の分岐に到着します。昇仙峡ロープウェイ「パノラマ台駅」は目と鼻の先で、一帯は観光スポットです。
分岐→富士山遥拝所
筆者は先に白砂山に登ることにしたので、昇仙峡ロープウェイとは反対方向に進みます。絶景スポットでもある「富士山遥拝所」までは100メートルもありません。
富士山遥拝所は名前の通り、富士山ビューが美しい展望台です。富士山と記念撮影をする為に多くの観光客で賑わっています。
白砂山へ向かう登山道は大変分かりづらく、富士山遥拝所の標識真横にある、細い脇道を下った場所にあります。富士山の記念撮影をしている方々の真横を通り過ぎるのは少しだけ気が引けます。
富士山遥拝所→白砂山分岐
白砂山分岐までは距離にして約0.5km。約15分の道のりです。折角稼いだ標高ですが、標高差約100メートルを一気に下ることになります。
急こう配の下り坂を降り切ると、歩きやすい尾根道歩きです。アップダウンも緩やかで、快適な登山を楽しむことが出来ます。
白砂山分岐に到着です。右に進むと獅子平方面で、長澤橋から登頂する登山コースです。ここから先は急こう配の予感がしますよね。
白砂山分岐→白砂山
白砂山山頂までは距離にして約0.7km、標高差約50メートルを15分かけて登ります。そこそこの勾配ですが、そこまで距離は長くないのでゆっくりと登りましょう。
歩き進めていくにつれて、段々と登山道が白くなっていきます。まるで砂浜のようですね。
さらに進むと、いきなり景色が開けて、別世界にワープしたような白い世界が広がります。この展開は正に、山梨県にある「天空のビーチ」の異名を持つ「日向山」と同じです。
見晴らしの良いこの場所が山頂かと思っていましたが、違いました。山頂は更に先にあるようです。砂浜のような岩だらけの道のりを進みます。
白砂山山頂に到着です。標高は986メートル。山頂標識は地味ですが、花崗岩が風化して出来たザレ場は、同じ山の景色とは思えない別世界でした。
木々に囲まれているので360度パノラマビューとはいきませんが、展望は良く、南側に目を向けると富士山をばっちりと拝むことが出来ます。
東側に目を向けると、これから登る弥三郎岳や、パノラマ台といった羅漢寺山の山容が目の前に聳えたちます。
山頂よりも、山頂手前の白い岩が広がる場所のほうが絶景で、解放感があります。目の前に見える弥三郎岳は、岩がむき出しの荒々しい山容ですよね。早速向かってみましょう。
白砂山→パノラマ台
白砂山から周回して弥三郎岳に行くことが出来れば理想なのですが、地形的にそういったルートになっていないので、一旦来た道を引き返します。約30分程度の道のりです。
富士山遥拝所まで戻ると、右手に階段があるので登ります。分岐を経由せずに、パノラマ台にそのまま行くことが出来ます。
階段を登りきると鳥居が見えてきました。八雲神社に到着です。羅漢寺山という山名から羅漢寺という寺があるのかと思っていましたが、まさかの神社です。縁結びの神としても知られているんだそうですよ。
パノラマ台は八雲神社の目の前です。パノラマ台には昇仙峡ロープウェイパノラマ台駅をはじめ、売店もあります。パノラマ台からは富士山の絶景を眺めることが出来ます。
因みに、パノラマ台には羅漢寺山の山頂標識があります。ここから先は観光名所が続くので観光客だらけになります。登山の恰好をしていると浮くので、羅漢寺山に登るのであれば本格的な登山装備で挑まないほうが良いかもしれません。
パノラマ台→展望台
展望台までは距離にして約0.1km。約5分程度で到着です。観光名所だけあって、高低差も殆ど無く、大変整備された歩道です。
多少の登りはありますが、スニーカーでも余裕で歩くことが出来ます。展望台らしき場所には巨大な看板が立っているので一発でわかります。
展望台に到着です。360度パノラマビューではなく、方角的に富士山も見えませんが、南アルプスの山々を一望することができます。
展望台→弥三郎岳
弥三郎岳山頂までは距離にして約0.4km、標高差約30メートルを15分かけて登ります。ここから先は一気に観光客が減ります。
登山道は整備されているとはいえ、道は狭くなり、起伏も激しくなっていきます。展望台までの道のり程整備はされていません。
弥三郎岳登山口の標識が見えてきたら階段地獄の始まりです。ここから一気に標高を稼ぐイメージで足場が悪くなっていきます。
階段は狭く、観光客が多いこともあり行列になります。しかも、意外と急こう配です。無理して登ると危険なので、譲り合いながら山頂を目指しましょう。
階段を登りきると巨大な1枚岩に到着します。眺望は素晴らしいのですが周りに柵は無く、しかも岩は丸くなっています。端のほうを歩くと滑落する危険があるので注意が必要です。
巨大な1枚岩はそこまで広くはありません。高度感があり、一歩間違えると滑落の危険がある場所に多くの観光客が殺到するので、ちょっと怖いと思いました。高所恐怖症の方には居心地が悪い場所かもしれません。
弥三郎岳山頂は巨大な1枚岩の先にあります。巨木に通路が遮られ、登るのも一苦労です。鎖があるとはいえ、通路が狭く、すれ違いは不可能なので道を譲りあいながら山頂を目指しましょう。
弥三郎岳山頂に到着です。標高は1058メートル。最後の最後は足場が悪く危険で、観光名所とは思えない難易度だと思いました。弥三郎岳の山頂標識も地味で、分かりづらい場所にあります。
弥三郎岳山頂からの景色
山頂は木々に囲まれ、360度パノラマビューとはいきませんが眺望が良く、高度感があります。登ってきた方向に目を向けると巨大な1枚岩のある場所越しに羅漢寺山の山容と遠くに八ヶ岳連峰を一望できます。
南西方向に目を向けると、先ほど登った白砂山の山容をばっちりと拝めます。大変美しい山容です。
西側は木々に囲まれているので解放感はありませんが、展望は悪くありません。雲が無い快晴の日であれば絶景を拝めた筈です。
弥三郎岳山頂も花崗岩でできた一枚岩です。真ん中あたりには三角点がありました。山頂は大変狭く、周りに柵が無いうえに多くの観光客でごったがえします。一通り景色を楽しんだら次の方と交代しましょう。
弥三郎岳→パノラマ台駅→昇仙峡無料駐車場
ピストン山行なので同じ登山道で下山します。パノラマ台駅までは徒歩20分程度です。巨大な岩場を降りるまでは危険続きなので慎重に下りましょう。
昇仙峡ロープウェイパノラマ台駅があるパノラマ台まで戻ってきました。弥三郎岳の階段さえクリアしてしまえば、帰りは爆速です。
このコースが素敵なところは下山でロープウェイを利用できるところです。ロープウェイを使うと僅か5分で下山出来ますよ。
筆者はロープウェイを利用しないで、同じ登山道を使って下山することにしました。理由はロープウェイ乗り場が激込みで、どれくらい並ぶか予測がつかなかったからです。歩いても約45分程度で下山できます。
MTBも走ることが出来る大変整備された道のお陰で下山は爆速です。森林浴を楽しみながら歩きましょう。
おまけ:仙娥滝へ寄り道する
昇仙峡には沢山の観光スポットがあります。昇仙峡無料駐車場から徒歩10分程度の場所に、日本の滝百選に選定されている仙娥滝(せんがたき)があるので寄り道しました。
仙娥滝入口までは沢山の売店が道の両側に軒を連ね、流石は観光名所といった雰囲気です。
仙娥滝入口から先は階段が続くアップダウンの激しい道のりですが、流石に観光名所だけあってしっかりと道が整備されています。
仙娥滝に到着です。昇仙峡の最奥部に位置するこの滝は、落差が30メートル程度あります。秋の紅葉シーズンのみならず、四季を通じて数多くの観光客が訪れる昇仙峡のシンボルです。
羅漢寺山を登ってみてわかったこと
羅漢寺山は、観光名所とは思えないスリリングな登山を楽しみつつ、お気軽に2座も踏破できてしまう登りごたえがある山でした。
羅漢寺山に登ってみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 羅漢寺山は弥三郎岳、展望台、パノラマ台の総称
- 国内有数の観光名所「昇仙峡」にある山。紅葉シーズンに登りたい
- ロープウェイで登頂できるコースもり、登山入門者にもおすすめ
- 「白砂山」は観光客が殆ど来ない絶景の山なので一緒に登りたい
- 仙娥滝駅から登頂するコースは登山口が少しだけ分かりづらい
- 白砂山は「日向山」を彷彿とさせる天空のビーチが広がる
- 観光名所なので登山の恰好をしていると浮くところが気になる
- 弥三郎岳手前は観光名所とは思えない難易度で危険個所がある
- 柵の無い滑落の危険がある場所に観光客が殺到するので怖い
- 弥三郎岳は高所恐怖症の方には居心地が悪い場所かも
- 仙娥滝駅から登頂するコースは下山でロープウェイが使える
- 登山と観光を一緒に楽しめるボリューム満点の山
紅葉シーズンを狙いたい!登山と観光を一緒に楽しめるボリューム満点の山
羅漢寺山は国内有数の観光名所「昇仙峡」にある山だけあって登山以外にも見どころが満載の山でした。今回は山麓にある観光コースの大部分は省略しましたが、がっつり観光地まで周回すると1日がかりのボリュームです。
羅漢寺山は登山と観光を同時に楽しむことができるので、いつもとは違った登山を楽しむことができますよ。紅葉シーズンは激込みする紅葉スポットですが、いつもより早く家を出て紅葉シーズンを狙いたいところです。
ギア
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