三重県にある秘境「オハイ」では、海辺の断崖絶壁から1日数時間だけ、エメラルドグリーンに輝く「オハイブルー」と呼ばれる海の絶景を眺めることができます。
SNSの拡散とNHKで取り上げられたこともあり、近年知名度が増してきてますが、ハイキング気分でサクッと行ける場所ではありません。そこで今日はオハイまでのコースの詳細をまとめました。
目次
頂山の断崖絶壁にある海の秘境「オハイ」
三重県尾鷲市九鬼町にある「大配(オハイ)」は、標高398メートルの山「頂山」の海岸線にある断崖絶壁の岩場です。
リアス式海岸の間に映えるエメラルドグリーンの海は「オハイブルー」と呼ばれ、柱状節理の切り立った崖に日が差し込む時間だけ見ることできる、地元の方でも知る人ぞ知る絶景スポットだったんだそうです。
オハイでは目の前に熊野灘が広がる海の絶景だけでなく、背後の岩場を滝のように流れる湧き水も圧巻の景色です。原生林に覆われた登山道はありのままの自然が残り、山行中も見所が満載です。
元々船釣りを行う漁場として知られる、徒歩でのアクセスが困難な秘境でしたが、近年地元の有志によってたことで多くのハイカーや観光客が訪れるようになりました。
「オハイ」トレッキングコース
オハイを目指す場合、頂山の山頂を経由するコースと、直接オハイを目指す最短コースのどちらかを選ぶことが出来ます。どちらから登ってもスタート・ゴール地点は一緒です。
頂山を経由するコース
- 標高差約370m/片道約3.9km/徒歩160~180分程度
- 最寄りの駐車場は「九鬼町観光駐車場」(駐車可能台数約30台/無料・トイレ無)
直接オハイを目指すコース
- 標高差約175m/片道約3.4km/徒歩100~120分程度
- 最寄りの駐車場は「九鬼町観光駐車場」(駐車可能台数約30台/無料・トイレ無)
頂山を経由するコースは、頂山のピークを踏みたい方や、絶景スポット「ハカリカケ岩」も満喫したい健脚者向けのコースといった印象です。下山では直接オハイを目指すコースを通る周回コースが人気です。
今日ご紹介するのは直接オハイを目指すピストンルートです。原生林歩きを満喫できる標高差が少ない最短ルートで、コースは以下のような流れになります。
モデルコース 標高差約175m/総距離約6.8km/コースタイム約200~240分程度
九鬼町観光駐車場→尾鷲市消防団第8分団→旧九鬼小学校→猪垣広場→展望スポット→景子橋→分岐→オハイ→九鬼町観光駐車場
順を追って説明しますね。
最寄りの駐車場・公共交通機関
最寄りの駐車場は、紀勢自動車道尾鷲北インターから車で約20分の場所にある「九鬼町観光駐車場」です。駐車台数は約30台で駐車料金は無料。トイレはありません。
アスファルト舗装された駐車場は九鬼コミュニティセンター利用者専用駐車場なので利用禁止です。観光利用者向け駐車場は砂利の駐車場なので間違えないようにしましょう。
公共交通機関を利用する場合、バスの利用も可能ですが1日数本しかないので電車を使ったほうが現実的です。JR紀勢本線「九鬼駅」から徒歩約15分程度で九鬼コミュニティセンターへアクセスできます。
九鬼町観光駐車場→尾鷲市消防団第8分団
九鬼コミュニティセンターから暫くの間は九鬼町の居住区を歩きます。地元の方の生活の邪魔にならないように歩きましょう。目印となる尾鷲市消防団第8分団の建物までは距離にして約0.5km、約10分程度です。
堤防を左に曲がり、暫く海沿いの道を歩きます。漁港があるので沢山の船が停泊していますね。堤防沿いは釣りのメッカのようで、オハイに向かうハイカーを上回る沢山の釣り人で賑わっています。
九鬼町の海は本当に綺麗で、魚や海の底がくっきりと見える驚愕の透明度です。風の無い日は、まるで船が宙に浮いているかのような光景を拝めるんだそうですよ。
左手にある九鬼郵便局には最後の自動販売機があります。この先は自動販売機も水場も無いので、飲み水の補充はここでしっかりと行いましょう。
チェックポイントとなる尾鷲市消防団第8分団の建物が見えてきました。トイレがある唯一の場所なので、ここで済ませておきましょう。オハイは真っすぐ進まず、左の建物の前の道を左へ進みます。
尾鷲市消防団第8分団→旧九鬼小学校
旧九鬼小学校までは距離にして約0.2km、標高差約20メートル程度を約5分かけて歩きます。民家を縫うように進むのですが、道迷いしやすいポイントや、悩むポイントがあるので詳しく紹介します。
「オハイ方面入口」の看板を左に曲がった後は突き当りを右に進みます。迷路のように路地が入り組んでいますが、「オハイ方面」と書かれた看板が随所にあるので、案内板に従って進みましょう。
旧九鬼小学校までは階段を暫く登ります。この階段がなかなかの急こう配で、一気に標高を稼ぐイメージです。
小学校の前で階段が二手に分かれるのですが、看板に従って左側の階段を登ります。
すると、旧九鬼小学校の校舎と校庭が右手に見えるので、そのまま校舎左側の脇道を進みます。学校の中を通って良いのか戸惑ってしまうので、ここで道がわからなくなる方が多いんだそうです。
校舎の脇道を抜けると「九木崎遊歩道へ」の黄色い標識がみえます。このまま階段を進みましょう。
旧九鬼小学校→猪垣広場
猪垣広場までは距離にして約0.9km、標高差約40メートル程度を約20~30分かけて歩きます。引き続き民家沿いを歩きます。至る所に案内標識があるので、標識に従って進みましょう。
段々と民家が少なくなり、登山道らしくなっていきます。石段を登りきると九木崎遊歩道です。
九木崎遊歩道の標識からは、シダ植物に覆われた登山道歩きです。比較的緩やかな道のりなのでハイキング気分で歩くことが出来ます。
猪垣広場がみえてきました。ベンチとテーブルもあるので休憩にもってこいです。猪垣広場は分岐でもあり、道迷いポイントでもあります。何故なら、一見、右に進めばオハイに行けそうに見えるからです。
オハイへ向かう道はベンチの先に見える猪垣を超えた先にあります。「原生林 大配」と書かれた黄色い看板が目印です。ここで道を間違える方は多いようで、実際に何組か道を間違えて右に進んでいきました。
猪垣広場にある分岐の標識をよくみると、「オハイ方面猪垣を超える」と書かれています。オハイは道迷いのポイントが何か所かあるのでGPSアプリや登山地図を持参していないと不安になること間違いなしです。
猪垣広場→展望スポット
展望スポットまでは距離にして約0.4km、標高差約70メートル程度を約20~25分かけて登ります。オハイでは、途中に寄り道できるスポットが何か所かあるので、時間に余裕のある方は寄り道もアリだと思います。
この区間は急こう配の道のりが続き、登山らしくなります。原生林と苔むした岩に覆われた登山道は、世界遺産「熊野古道」のような幻想的な雰囲気です。
岩場の急登の先には見晴らしの良いスポットがあります。久しぶりに眺望が開けた場所からは一面大海原の絶景を拝むことが出来ます。山から海を眺められるなんて貴重ですよね。ベンチもあるので一息つけますよ。
展望スポット→景子橋
景子橋までは距離にして約0.4km、標高差約45メートル程度を約10分かけて歩きます。階段を登りきると急登ゾーンはひと段落します。
急登ゾーンが終わるとトラバース(山の斜面を横方向に移動すること)気味に登山道が続くので、緩やかな道のりです。道が細いので滑落しないように注意して歩きましょう。
景子橋に到着です。地元の有志の方で景子さんという方が作ってくださったのでしょうか?インパクトのある橋の名前です。
景子橋→分岐
分岐までは距離にして約0.6km、約20分程度です。出だしは起伏の激しい登り返しです。標高差数十メートル程度のアップダウンを繰り返しながら最高点に到着します。
折角稼いだ標高ですが、ここから先は下りのターンです。分岐までは標高差にして約60メートル程度を緩やかに下っていきます。オハイは一山超えた先の海岸線にあるので、登った標高差だけ下るイメージです。
分岐に到着です。オハイは右へ進みます。真っすぐ進むと頂山の山頂やハカリカケ岩に行くことが出来ます。周回コースになっているので体力がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
分岐→オハイ
オハイまでは距離にして約0.4km、標高差約115メートル程度を約15~20分かけて激下りです。気持ちの良い沢歩きを満喫できますが、登山道は狭いので、滑落しないように慎重に下りましょう。
ゴールに近づくにつれ段々と急こう配になり、岩がゴロゴロした滑りやすい道に変わっていきます。帰りには登ることになるので気持ちが萎えますよね。
段々と視界が開けて、岩肌がむき出しになった一帯に海が広がります。正にこの場所がオハイです。
マグマが冷え固まってできた柱状節理の岩場からは、果てしなく広がる熊野灘が一望できる海の絶景です。解放感が半端ではありません。
後ろを振り返ると、原生林をバックに柱状節理の岩場を流れる沢の水がまるで滝のようで幻想的です。登山とはまた違った景色を全方位で楽しむことが出来ます。
既に異次元の大絶景に満足気味ですが、「オハイブル―」はどこで見ることが出来るのでしょうか。オハイブルーを見ることが出来るポイントは岩場を右に進んだ先にあります。早速向かってみましょう。
オハイブルーを拝めるポイント
岩場を右方向へ進むと断崖絶壁のゾーンがあります。なかなかの高度感ですね。この岩を超えた先に、オハイブルーを見ることが出来るポイントがあります。
こちらがオハイブルーを拝めるポイントです。青く澄んだ海の中に切り立つ崖が既に圧巻の景色です。
視線を右に移すと、海の色がエメラルドグリーンに変わりました。これこそが「オハイブルー」です。入り江に日差しが差し込む午前中にしか見ることが出来ない、奇跡の絶景です。
切り立った崖には何とか人が進めそうな足場があり、屈指のインスタ映えスポットになっています。手作りのオハイの標識を手に記念撮影ができるとあって既に順番待ちの行列が出来ていますね。
足場は本当に狭く、かなりの高度感です。中にはギリギリまで進む猛者もいるそうですが、落ちたらタダでは済まないでしょう。実際に滑落事故が多発しているそうなので、無理をしないようにしましょう。
下を覗きこむと、吸い込まれそうになります。この場所の水深は約8メートルなんだそうですが、海の底がはっきりと見える驚きの透明度です。
エメラルドクリーンのオハイブルーを見ることが出来る条件は、波が少ない快晴の日、且つ、午前10時~12時あたりなんだそうです。本当に見れてよかった。
オハイ→九鬼町観光駐車場
オハイの絶景をたっぷりと満喫したので下山します。下山は同じコースを往復するピストンルートなので来た道に戻ります。コースタイムは行きと同じで約100~120分程度かかります。
何故なら登り返しがあるからです。景子橋までは標高差約175メートルの登り返しが待ち受けています。しかも、出だしから急登です。下山での登り返しは、意外とダメージをくらいます。
景子橋から先は下りに差し掛かるので楽になります。オハイのコースは標高差では175メートル程度ですが、同じ山を2回登るようなものなので累積標高で考えると500メートルを軽く超えます。
面白いことに行きと帰りでは風景が異なって見えます。帰り道では原生林に覆われた沢沿いの幻想的な景色がより一層際立って見えます。下山も楽しい道のりはお得感がありますよね。
九鬼の街並みと海が見えてきました。改めて海を眺めると本当に綺麗で透明感があることを再認識します。登山道を整備してくださっている地元の有志方々には感謝しかありません。
オハイを歩いてみてわかったこと
オハイまでの道のりは行きも帰りもコースタイムが同じで同じ山を2回登る感覚になり、思っていた以上にハードでした。オハイを歩いてみてわかったことをまとめました。
まとめ
- エメラルドグリーンに輝くオハイブルーが超絶景
- 秘境だったが道が整備されて行きやすくなった
- 九鬼町観光駐車場は駐車禁止場所があるので注意
- 道迷いポイントが多々。GPSアプリや地図はマスト
- 原生林に覆われた沢沿いの登山道が幻想的
- オハイからは海と山の絶景を同時に楽しめる
- オハイブルーを拝めるポイントは断崖の入り江
- 気象状況が良い午前中にしか見ることが出来ない
- 屈指のインスタ映えスポットは滑落の危険あり
- 登山と異なり行きと帰りでコースタイムが同じ
- 同じ山を2回登るようなもので行きも帰りも大変
登山はちょっと。という方はオハイクルージングがお勧めです
オハイまでは決して優しい道のりではなく、本格的な登山そのものです。十分な装備が無いままハイキング気分で目指すと、遭難や滑落といった重大な事故も考えられます。
登山はちょっという方には、船で行けるオハイクルージングの利用がおすすめです。観光気分で行けるお手軽さは勿論のこと、海からしか見ることが出来ない特別なオハイの絶景を拝むことが出来ますよ。
ギア
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