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クーガーに遭遇したら逃げずに戦え。アメリカの公園のアドバイスが勇ましい件について

米国カリフォルニア州オレンジ郡というところに住んで20年以上になります。ロサンゼルスから車で1時間ほどに位置して、それほど都会から離れているというわけではないのですが、自然に恵まれていてトレイルランやキャンプをする場所には不自由しません。

つい最近のことなのですが、私がよく走りに行くトレイルが一時閉鎖されることになりました。また例によって新型コロナウイルスが原因かと思えば、ニュースをよく見るとそうではないことがわかりました。

「マウンテン・ライオンがトレイル付近を歩いているところが複数の人に目撃されたので」がその理由だったのです。

角谷剛

野田知佑氏の著作に影響を受けてアウトドアに目覚める。ひとり旅キャンプをこよなく愛し、自転車や徒歩やカヌーなど自力での移動が得意。クロスフィット、陸上長距離、野球と異なるスポーツのコーチを務めるかたわら、多くのスポーツ・アウトドア関連のウェブサイトに寄稿するライターでもある。

マウンテン・ライオン(クーガー)とは

マウンテン・ライオン(クーガー)

マウンテン・ライオンとはネコ科に分類される大型の肉食獣です。クーガーとかピューマとか呼ばれることもあります。ここではよく知られているクーガーという名称を使います。

クーガーは北米から南米まで広く分布しているそうで、ここカリフォルニアでも何回か人が襲われたニュースを見聞きしてきました。山の中を1人で走るランナーやハイカーはクーガーの標的になりやすく、マウンテンバイクに乗っていて襲われた人もいるそうです。

しかし、私自身は今までクーガーに遭遇したことはなく、動物園でしか実物を見たことはありません。それはそれは獰猛な姿をした猛獣のような動物で、私にはメスのライオンと区別がつきません。こんなのに出くわしたらまず逃れようがないなと思ったことを覚えています。

「危険を覚悟してください」公園利用者へのメッセージ

そんなクーガーが出没しているというのですから、トレイルが閉鎖されるのは当然だと思えたのですが、翌週には再開されました。別にクーガーを捕獲したわけでも、山狩りをしたわけでもありません。

あるトレイルの入り口にはこんな看板が立っています。

Whiting Ranch Trail にある看板

あなたはクーガーの土地に入ろうとしています。クーガーはこの付近に生息していて、いつ現れるかは予測できません。十分に注意してください。クーガーは警告なしに人を襲うことがあります。あなたの安全は保証できません。危険があることを十分に理解するよう警告します。

そしてオレンジ郡公園管理局(のようなもの)がホームページやSNSなどに発表した「もしクーガーに出くわしたらどうする」のアドバイスは以下のような内容でした。

公園利用者へのメッセージ – OC Parks 

・逃げるな!

・地面にしっかり立ち、両腕を振り回し、大声を上げろ!

・それでもクーガーが襲ってきたら、石を投げつけろ!

・クーガーにあなたが獲物ではなく、攻撃してくるかもしれないと思わせろ。

・なるべく体を大きく見せろ。もし小さな子供を連れていたら肩に担げ。

・しゃがんでも無駄だ。クーガーはあなたより先にあなたを見つけている。

私はハンターでも特殊部隊でもありません。野生のクーガーを相手に生身で戦うなんて、そんなことは絶対に無理だと思います。しかし、それでもこのトレイルには私のようなソロランナーもいれば、家族連れでピクニックを楽しむ人で賑わっているのです。

自然は彼ら野生動物のものなのだから、人間がそのテリトリーに入るときは危険を承知で楽しむべきだ。自分の身は自分で守れ。根底にあるのはそんな考えなのだと思います。他にもそんな例がありますので、いくつか紹介しましょう。

ガラガラヘビは人間がちょっかいを出さなければ大丈夫?

ガラガラヘビ

ガラガラヘビは南北アメリカに生息する毒ヘビです。普段は野ネズミやウサギなどの小動物をエサにするそうなのですが、人間に噛みつくこともあり、最悪の場合は死に至ることさえもある危険な存在です。

このガラガラヘビも私がよく走る近所のトレイルに出没します。暖かくなった春先から夏にかけての数か月がもっとも頻繁に現れるシーズンのようで、私も何回か目撃しました。

彼もしくは彼女がズルズルと地面を這いまわっているときは、そのお姿が見えなくなるまでじっとその場でお待ち申し上げるわけですが、困ったことにトレイルの真ん中でじっと動かないでいるときもあります。小さな無害のヘビぐらいだったら跨いでいけばいいのですが、体長1メートル以上もある大ヘビに近づく勇気は私にはありません。

驚いて動き出したりしないよう、そっと来た道を引き返したことがあります。もちろん、1メートルと言うのは私が友人や家族に話を盛るための数字であって、実際には40~50センチぐらいだったでしょう。

別のトレイルの入り口には、ガラガラヘビについてもこんな注意書きの看板が立てられています。

Quail Loop Trail にある看板

ガラガラヘビをこの付近で見かけるかもしれません。彼らはこの自然コミュニティの大切な仲間です。彼らから攻撃してくることはありません。しかし、邪魔をされたり追い詰められたりすると、彼らは自分を守ろうとします。

この「彼ら」が、まるで人間のことを指しているのでは、と感じてしまうのは私1人でしょうか。

コヨーテから逃げ出さないように子供に教えてください

コヨーテ

コヨーテは山間部だけではなく、住宅地にも時々やってくることがあります。私も何回か道路や公園で見たことがあります。実は一度だけ、家の裏庭を横切っていたことさえもあります。

コヨーテはオオカミに近い野生の肉食獣だということですが、体の大きさは中型犬ぐらいで、出くわしたとしてもクーガーのような恐怖感を感じることはありません。むしろコヨーテの方が人間を見つけると逃げていくことの方がほとんどです。

コヨーテの実害のほとんどはペットが襲われることなのですが、ごく稀に小さな子供にも危害を与えることもあります。

これは私の自宅から歩いて10分くらい、住宅地内にあるごく普通の公園に立っている看板です。ここでもコヨーテに出会ったら、逃げずに戦えとアドバイスがあります。大人に対するものなのですが、子供にもそう教えてくださいと書いてあります。

Woodbridge North Lake にある看板

・逃げるな。または背を向けるな。

・体を大きく見せて、大声を上げろ。

・腕を振り回し、物を投げつけろ。

・コヨーテを睨んだまま、ゆっくり後ろ向きに離れろ。

キャンプ場のクマ対策

野生動物への敬意に溢れて、同時に自衛のための勇ましいアドバイスを紹介してきましたが、さすがのアメリカ人もクマと戦えとまでは言わないようです。

元々カリフォルニアは州旗にクマが描かれている土地です。もちろん現在では都心部に近いところでクマを見かけることはありませんが、山間部のキャンプ場ではもっとも注意が必要になる野生動物です。

カリフォルニア州の旗

私もキャンプ場でクマに出くわしたことが何回かあります。例によって「体長2メートル以上の凶暴なハイイログマがこっちに向かって唸りながら走ってきた」と周囲に吹聴するわけですが、真実は「せいぜい大型犬ぐらいの大きさの大人しいクロクマが20メートル先ぐらいを歩いていた」とここで告白しておきます。それでも私を怖がらせるには十分だったのです。

キャンプ場にはベアーボックス(Bear Box)と呼ばれる鉄製の箱が各キャンプサイトに設置されています。そこに食べ物や飲み物はもちろん、ヘアスプレーや歯磨き粉など匂いがするありとあらゆる物は全てその箱に入れるようにと指示されます。とにかくテントの中にはクマがクンクン匂いを嗅ぎにくるようなものは一切置かないようにします。

Mommoth Lakes Twin Lakes Campgroundに現れたクマ。右にあるのがベアーボックス

ベアーボックスの内部

何しろ、テントサイトに停めた自動車の窓にくっきりとクマの足跡がついていたこともありますので、このルールだけはおろそかにできません。

カヌーイストの野田知佑さんの著書にはアラスカやカナダの原野を旅するときにはクマに備えて銃を持っていく話がよく出てきます。それを真似できる人は多くないでしょうし、日本でキャンプをするなら尚更です。戦えない以上はクマに遭遇しない注意が大切になります。

自然の中でキャンプをするなら野生動物との遭遇は常に考慮すべき

自然環境の変化によるものでしょうか、近年は日本でもクマが人里やキャンプ場近くに出没する事例が多く発生しています。北海道の公式ホームページでも「ヒグマに注意」と題したページを設けて、注意を喚起しています。

ベアーボックスのような頑丈な箱が設置されているキャンプ場は日本には少ないかもしれませんが、食べ物の匂いでクマを引き寄せないこと、という基本原則は日米に共通しているようですので、覚えておくべきかもしれません。

角谷剛

野田知佑氏の著作に影響を受けてアウトドアに目覚める。ひとり旅キャンプをこよなく愛し、自転車や徒歩やカヌーなど自力での移動が得意。クロスフィット、陸上長距離、野球と異なるスポーツのコーチを務めるかたわら、多くのスポーツ・アウトドア関連のウェブサイトに寄稿するライターでもある。

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