みなさん、キャンプで設営する時にロープワークで困っていませんか?今回はキャンプ場で実際にテントやタープを設営しながら、どのような目的で、どういった場面で、どんなロープの結び方を使用しているのか、その全てをご紹介したいと思います。
テントだけでなくハンモックの設営にも使える『全体重が掛かっても解けない結び方』を含めた「超実践的ロープワーク術」をとくとご覧あれ!
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目次
キャンプで実際に使ったロープの結び方一覧
今回のキャンプで使用したロープの結び方はざっくり8種類。
チェック
- ブレイクスヒッチ
- 調整可能グリップヒッチ
- トラッカーズヒッチ
- プルージックノット
- もやい結び
- 自在結び
- エバンスノット
- ツーハーフヒッチ
1と2はハンモックの設営に、3~8はタープ設営に使った結び方です。
一般的なキャンプを楽しんでいる方なら、5と6だけ覚えておけば十分ですが「こんな結び方知ってる?」とお友達にマウントとるためにも、ぜひ全部覚えて帰って下さい。
設営するテント(ハンモック)はこちら
本日のキャンプで設営したハンモックは「ヘネシーハンモック ハイパーライト」、タープは「DDハンモック スーパーライトタープ 3×3m」です。
使用したロープはタフグリッドの「750ミルスペックパラコード」。こちらは耐荷重340kgという高強度が売りの米国製パラコード。なかなか使いやすいですよ。
テント設営(ハンモック)に使ったロープの結び方
それでは早速、ハンモックの設営に使ったロープの結び方をご紹介します。少し特殊な結び方になるのでテント泊で使用することは少ないでしょうが、全体重を掛けても結び目が解けない信頼性の高い結び方となるので、覚えておくと便利なロープワークです。
引き解け結び(ロープの仮止め)
まずはハンモックの端から伸びているロープを、木にあらかじめセットしておいたカラビナに結び付けていきます。最初からいきなりロープの長さをピタリと決めるのは難しいので、一旦仮止めとして「引き解け結び」を使いました。
「引き解け結び」はその名の通りロープを引いたら結び目が解ける結び方になります。
超簡単なロープワークなのに使用頻度が高い便利な結び方です。これを覚えておくとタープ設営時の仮張りとか、とりあえず何かを結んでおきたい時なんかに使えますね。
引き解け結びは仮止めに便利
引き解け結びは、結び目から飛び出している方のロープを引っ張るだけで簡単に解けます。
このようにスルスルっと結び目が解けるので「あとで解くことを前提とした場面」で頻繁に使用される結び方となります。
「解きやすい≒結び目が緩くなりやすい」ということでもあるので、結び目が解けてしまうと一大事になる場面では使用しない方が良いですが、キャンプであれば引き解けで十分な場合が多いんじゃないでしょうか。
引き解け結びの結び方
引き解け結びの結び方はとても簡単です。結び目を作る時に先端のロープをすべて結び付けるのではなく、少し残した状態でロープの中間から結びつけるだけです。
ロープの先端もすべて結びつけると通常の「ひと結び」になります。
引き解け結びは他の結び目と組み合わせることで、撤収時にスピーディーな片付けが可能になります。
これから紹介するロープワークの中にも引き解け結びは使われています。結び目の最後に小さな輪っかが追加されていたら、引き解けになっていると思ってもらって大丈夫です。
ブレイクスヒッチ
ハンモックの片方を引き解け結びで仮止めしておきながら、もう片方のロープをしっかりと結びつけます。ここからは「体重が掛かっても解けない結び目」をしっかり結んでいきましょう。
ロープの長さにそこそこ余裕を持ちつつ、後からでもロープの長さ調整ができる「ブレイクスヒッチ」を結んでいきます。
ブレイクスヒッチの結び目はこんな感じです。このロープワークの特徴は、テンションが掛かっている間(ハンモックに寝転がっている間)はがっちり固定されつつ、テンションが抜けると簡単にロープの長さ調整ができることです。
あまったロープに引き解け結びで一つコブを作ってあげると、万が一結び目が解けそうになった時でも安心です。
ブレイクスヒッチの結び方
ブレイクスヒッチの結び方は、カラビナで折り返したロープを元のロープに4周以上巻き付けてから、結び目の始点の部分を通って中間地点から引き出すだけです。
これでハンモックのような全体重が掛かった状態でもズレない結び目の完成です。結び目を作ってからもロープの長さ調整ができるので、保持力と調整力の両立した結び目といえます。
余談ですが、ブレイクスヒッチは私の好きなロープワークの一つでして、以前にもガルダーヒッチと比較した内容を紹介しているので、よければそちらにも目を通してみて下さい。
調整可能グリップヒッチ(アジャスタブルグリップヒッチ)
先ほどのブレイクスヒッチと同じく、ハンモックの設営にも使える便利な結び目の一つがこちらの「調整可能グリップヒッチ」。
調整可能グリップヒッチ(別名:アジャスタブルグリップヒッチ)は、ブレイクスヒッチと同じようにテンションが掛かっている間は結び目ががっちり固定され、後からロープの長さ調整もできる便利な結び目です。
特に明確な使い分けはありませんが、実際にハンモック泊で何回か使用してみた感じでは以下のような違いを感じています。
- ブレイクスヒッチ = 結ぶのは手間だけど、結び目が固くなっても解きやすい
- 調整可能グリップヒッチ = 結ぶのは簡単だけど、結び目が固くなったら解きにくい
どちらも一長一短ありますが、タープ設営とかでも気軽に使えるのは調整可能グリップヒッチかなと思います。テントやタープぐらいであれば結び目もそこまで固くならないので、メリットだけを享受できます。
ハンモックで使用するんだったら、結び目がガッチリ固まっても解きやすいブレイクスヒッチの方が個人的にはおすすめかな。
調整可能グリップヒッチの結び方
調整可能グリップヒッチの結び方も簡単です。カラビナから折り返してきたロープを、元のロープに2周ほど巻き付けてから、2本のロープをまとめて結ぶだけです。
たったこれだけで、ブレイクスヒッチと同じように全体重が掛かるハンモックでも耐えられる調整可能な結び目が完成します。ちなみに実戦では結びの最後を引き解けにしているので、少しだけ形が異なっているのが分かるかと思います。
タープの設営に使ったロープの結び方
ハンモック設営が完了したので、続いてはタープを設営していきましょう。
今回はハンモックの上にリッジラインを張り、そこにタープを掛けて設営するスタイルにしました。ハンモック泊ではお馴染みの張り方かと思います。
エバンスノット
まずはロープの片方を木に括りつけて行きます。この時の結び目は「対象物を締め付けることができる結び方」であるエバンスノットを使いました。
エバンスノットの結び目はこんな感じ。通常の結び目より一巻き多いですが、これは解けにくさを考慮したもの。
エバンスノットで結び目を作ったら、元のロープを引っ張るとそのまま木を締め付けていきます。
エバンスノットの他にも木にロープを巻き付ける方法は色々ありますが、私の中ではこの方法が一番安全で楽かなと感じています。
「対象物を締め付ける結び方」としては後ほど紹介するツーハーフヒッチも同じ性質があるのですが、そっちより結び目が解けにくい(信頼性が高い)ので、解けてしまうと面倒くさい場面ではエバンスノットを採用しています。
エバンスノットの結び方
エバンスノットの結び方はとても単純です。対象物から折り返してきたロープを、元のロープと一緒に2周ほど巻き付けて結ぶだけです。
巻き付ける回数が1回だけだと通常の「止め結び」になりますし、巻き付ける回数を増やすほどロープの摩擦力が増えて解けにくい結びになります。こちらも実戦では最後を引き解けにしました。
トラッカーズヒッチ
エバンスノットで片方の木にロープを固定したら、もう片方はリッジラインをピンピンに張りたいので「ロープを通常の倍の力で張れる」滑車の原理を活用したトラッカーズヒッチを使用します。
まずは木から折り返して、元のロープのちょうど良さそうな位置に「引き解け結び」で輪っかを一つ作ります。
次に、木から折り返した方のロープを、作った輪っかに通してさらに折り返します。
こうしてロープを引くことで2倍の力でロープを張ることができます。この原理の仕組みは小学校6年生で教わる「滑車の力学」を思い出して下さい。私は忘れましたので、これ以上の説明はできません。
自在結び(トートラインヒッチ)
トラッカーズヒッチの最後は自在結び(トートラインヒッチ)を使って固定します。この時に使用する結び方に決まりはありませんが、自在結びは「ロープの長さを調整できる性質」がある結び方なので、後から張り具合を強めたり弱めたりしたい時に使用しています。
自在結びの結び目はこんな感じ。ロープの張りを強めたい時に、いちいち結び目を解かずに調整できるので、テントやタープの設営時に大活躍する結び方です。
例えば、ここで先ほど紹介したロープの長さ調整ができる「調整可能グリップヒッチ」を使っても良いですし、同じく「ブレイクスヒッチ」を使っても構いません。あえて使用していない理由は、単純に「自在結びの方が簡単に結べるから」だけです。
これでタープを掛けるロープが張れました。後は、タープを固定してペグダウンするだけでハンモックとタープの設営が完了です。
自在結び(トートラインヒッチ)の結び方
自在結びの結び方は単純明快。折り返してきたロープを、元のロープに合計3回巻き付けるだけです。最初の2回は折り返してきた方向に、最後の1回は引っ張る方向に、同じ向きで巻き付けると完成します。
自在結びのポイントは、ロープを巻き付けるときは3回とも同じ巻き方をするということ。元のロープに対して時計回りに巻き始めた場合は、最後も時計回りに。逆回りで巻き付けたら、最後も逆回りに巻けば大丈夫です。どちらの巻き方をしてもすべて一緒であれば問題ありません。
プルージックノット
トラッカーズヒッチと自在結びでピンピンに張ったリッジラインにタープを掛けましたが、このままだと風が吹いた時に不安定なのでタープとロープを固定したいと思います。そんな時に便利なロープワークが「プルージックノット」です。
プルージックノットに必要なのは、一繋ぎの輪っかになっているロープ。先ほどまで使用していたパラコードとは異なる、直径2mm程度のパラコードです。
実際に使っている商品は「アトウッド タクティカルコード 2.4mm」。少し細めで、中に4本ほどナイロン芯が入っています。これはこれで使いやすい細さですね。
細めのパラコードで作った輪っかに小さなカラビナをセットし、そのままリッジラインに巻き付けてプルージックノットを作ります。
こうやってくるくると3周ほど巻き付けたら、最後に引き絞って結び目の形を整えます。
こんな感じで結び目が綺麗にロープに巻き付いている状態が出来上がればプルージックノットの完成です。最後にカラビナをタープに引っ掛けて固定します。
プルージックノットは、引っ張られるほどに巻き付ける力が強くなるので「引っ張られている間は固定される」という性質を持った結び方になります。これも後からタープの位置を微調整したい時に使える結び目なので、パラコードとカラビナが余っていたら複数セット作っておくと何かと役に立ちますよ。
同じく反対側もプルージックノットでタープを固定します。
タープの両側をプルージックノットで固定したら、位置を微調整して最後にペグダウンしていきます。
プルージックノットの結び方
プルージックノットほど簡単な結び方もないですね。輪っかになっているロープを、引っ掛けたいロープに3回ほど巻き付けるだけで完成します。
結び方のポイントは結び目がキレイに揃うようにすること。結び目がぐちゃぐちゃになってしまうとロープの摩擦力が低くなってしまうので固定力が落ちてしまいます。
これぐらいの輪っかを何本か用意しておくと、ランタンなどを吊るす時にロープが斜めになっていても好きな位置で固定できるので便利ですよ。
テグス結び(フィッシャーマンズノット)の結び方
プルージックノットに使用する輪っかをどのように作っているかですが、テグス結び(フィッシャーマンズノット)という結び方で繋げています。
こちらの結び方も非常に簡単で、ロープの両端で止め結びを作ることで結び目のコブとコブが引っ掛かって抜けなくなっているという仕組みになっています。
厳密には結び目の向き・形を揃えるのが正しいテグス結びとなりますので、詳細を知りたい方は各々調べてみて下さい。ロープの両端で止め結びを二回ずつ結んだり、エバンスノットのように二重止め結びを結ぶことで、さらに解けにくい繫ぎ目にすることもできます。
もやい結び(ボーラインノット)
ついに登場しました。結びの王様「もやい結び」。テントやタープの張り綱を固定する時に便利な「簡単かつ強固、解きたい時にはすぐに解ける」まさにキングオブノットのロープワークです。
こちらも他の結びと同じように最後は引き解けにして、ロープを引っ張るだけで撤収が楽になるようにしています。
もやい結び(ボーラインノット)の結び方
もやい結びの結び方は、仕組みを覚えてしまえば簡単です。元のロープに輪っかを一つ作って、輪っかの始点をロックするように結び付けるだけで完成します。
もやい結びの結び方についても、過去に7種類のもやい結びのバリエーションを動画付きで解説しているので、そちらをご確認下さい。結ぶのも解くのも一瞬なのに固定力が強い結び目なので、覚えておいて損はありませんよ。
自在結び
先ほど紹介した自在結び(トートラインヒッチ)をここでも使っています。簡単に結び目が作れて「ロープの張り具合を調整できる」自在結びは、タープ設営には欠かせないロープワークですね。
もやい結びと自在結びの2つを覚えておけば、テントやタープの設営は各段に楽になります。いつもロープを結ぶのが下手で設営に時間が掛かってしまうという方は、この2つだけでも覚えて帰って下さい。次のキャンプからロープを結ぶのが逆に楽しくなるはず。
エバンスノット
木にロープを固定するときにも使用したエバンスノットは、タープをポールに固定したい時にも使える結び方です。
今回、先端に細い金具がついているタイプの通常のポールではなくトレッキングポールを使用しているので、この部分でしっかり固定できていないとタープがズレ落ちてしまいます。そういう時に、この「結んだ対象を締め付けられる」エバンスノットが活躍します。
ツーハーフヒッチ
最後に紹介するのが、こちらの「ツーハーフヒッチ」です。
タープ設営でちょうどいい場所にペグを打ち込むことが出来なかったので、近くに落ちていた大きめの石にロープを括りつけて固定することにしました。この結び方も、エバンスノットと同じ「結び付けた対象を締め付ける」働きを持っています。
エバンスノットを使っても良かったのですが、そもそも石自体が不安定で結び目以外の部分から解ける可能性もありますし、いつでも簡単に解いたり巻き直せるように、より簡単なツーハーフヒッチを使った方が楽かと思ったのでこちらを採用しました。
ツーハーフヒッチの結び方
ツーハーフヒッチの結び方は簡単かつ単純です。ロープを木や石やペグに巻き付けたら、元のロープに一周させてから、同じ向きでもう一回巻き付けるだけです。
結び方の手順は「自在結び」と同じで、巻き付ける回数が1回に省略されています。石だらけでペグが打てない河原サイトや、余った薪をまとめておきたい時などにも気軽に使える結び方なので覚えておくと意外と使えますよ。
ただ、自在結びとは違って「ロープの長さを調整する」という目的には向いていません。摩擦力が足りないので結び目がすべってしまいます。
目的に応じたロープワークの使い分け
これでタープとハンモックの設営が完成しました。ここで紹介したロープワークをざっくり2つの目的に分類すると以下のようになります。
この2種類のロープワークの中から、その箇所に必要な強度や目的に応じて使い分けられるようになると、キャンプでの素早い設営や撤収が可能になります。と言っても、最低限「もやい結び」と「自在結び」の2つを覚えておけばテントやタープの設営なら何とかなるでしょう。
この日は撮影しながらだったので設営に1時間ぐらい掛かってしまいましたが、設営完了のビールが私を待っていますのでそろそろ締めさせて頂きます。
ロープワークを知らなくても設営できる便利アイテム紹介
最後に、ロープワークを知らなくても簡単にテントやタープの設営ができる便利アイテムを紹介します。
自在金具
引用:Amazon
自在金具というのは、ロープを通すだけで自在結び(トートラインヒッチ)と同じ役割が得られる便利アイテムです。
2穴タイプや3穴タイプ、他にも三角形や丸型など特殊な形状をしている自在金具もあります。2穴タイプと比べてロープの摩擦が増える3穴タイプの方が固定される力は強くなります。自在金具の使い方はそれぞれの説明書を確認してください。
カラビナ
引用:Amazon
カラビナも、大きさや形状、強度、使用目的など様々な種類がありますが、キャンプで使う目的ならそこまで難しく考えなくても安物で十分でしょう。
ランタンを吊るしたいとかだったら金属製が良いですし、ハンモックに使用するなら耐荷重を確認したり信頼できるブランドのカラビナを選びたいところですね。
バンジーコード
引用:Amazon
テントやタープの設営の他にも荷物をまとめたり、日常的にも使えるゴム製のバンジーコードを何本か持っているとアウトドアの様々な場面で活躍します。
私は購入した薪をバイクの荷台に固定するために、サイドバッグにこっそり入れて持ち運んでます。バックパック一つでキャンプに行くのが好きとか言いつつ、ちゃっかりバイクで薪を運んでたりするのですが、そのぐらいは許してよ。
キャンプで使うロープの結び方は簡単なものばかり!
今回は実際にキャンプの中で使用したロープの結び方をご紹介しましたが、みなさまは次回のキャンプで使ってみたいロープワークは見つかりましたでしょうか。
私はこれでもハンモックキャンパーの端くれとして、常日頃なにか便利なロープの結び方が無いかとアンテナを張りめぐらしております。
もし「こんな時はこんな結び方が便利だよ」という情報がありましたら、いつでも私の個人ツイッターアカウントまでお知らせいただけましたら幸いです。
そして最後に。本日紹介したロープワーク…使うかどうかは、あなた次第です。ありがとうございました。
ギア
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