日本百名山「火打山」「妙高山」登山のベースキャンプ地として人気の「高谷池ヒュッテ」では、テント泊か小屋泊が可能です。高谷池湿原を一望できる絶景のスポットということもあり、予約困難な人気の山小屋でもあります。誰もが一度は泊まってみたいと憧れる「高谷池ヒュッテ」、山小屋泊とテント泊どちらがお勧めなのでしょうか。実際に宿泊して感じたことをご紹介します。
目次
「高谷池ヒュッテ」について
「高谷池ヒュッテ」は笹ヶ峰駐車場から徒歩約4時間。高谷池湿原の畔の南西に建つ山小屋で、標高約2100mの立地にあります。新潟県で一番高い場所にあるテント場です。
アメリカCNN「日本の最も美しい場所31選」に選ばれた絶景スポット「高谷池」の畔に溶け込みように佇む三角屋根の山小屋が特徴的で、沢山の高山植物に囲まれた高谷池湿原越しに、火打山・焼山を一望できます。
高谷池ヒュッテは完全予約制で、テント泊か小屋泊が可能です。日本百名山、妙高山・火打山の登山拠点として、多くの登山者で賑わっています。
営業期間 | 4月下旬~10月下旬 ※プレオープン期間(4月下旬~5月下旬)はトイレ・食事の利用不可 |
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予約 | 完全予約制 |
設営可能数 | 約30張 |
チェックイン | テント場 10:00~15:00 山小屋 9:00~15:00 |
チェックアウト | 8:00まで |
水場 | あり(要煮沸) |
高谷池ヒュッテへのアクセス方法
高谷池ヒュッテへの移動手段は徒歩のみです。「高谷池ヒュッテ」へのアクセス方法をまとめました。
駐車場までのアクセス
最寄りの駐車場は、上信越自動車道妙高高原インターから車で約30分の場所にある「笹ヶ峰駐車場(第一・第二)」です。人気の駐車場なので、早い時間には満車になります。特に紅葉シーズンは早朝前には満車になります。
駐車可能台数約は第一駐車場が約40台、第二駐車場が約120台。駐車料金は無料です。トイレは第二駐車場にあります。第一駐車場は目の前が登山道ですが、第二駐車場からも登山口までは徒歩数分なので便利です。
火打山登山口は大変立派な門が特徴的で、第一駐車場内にあります。登山シーズンは入域料500円を任意で納めましょう。記念品として木製キーホルダーを頂くことが出来ますよ。
火打山登山口から高谷池ヒュッテまで道のり
登山口からは高谷池ヒュッテまでは距離にして約6km、標高差約750メートルを210~270分程度かけて登ります。長丁場なので水は多めに持っていきましょう。チェックポイントとなる箇所は3つあります。
最初のチェックポイントとなる黒沢橋までは約2.1km、標高差250メートルを60~70分程度歩きます。ブナの原生林が広がる木道の樹林帯歩きで、なだらかな道のりが続きます。
黒沢橋は貴重な水場です。高谷池ヒュッテに宿泊するのであれば、ここで水の確保を行いたいところです。何故なら高谷池ヒュッテで飲料水の購入は可能ですが、水不足で販売が制限されることがあるからです。
黒沢橋より先は本格的な登山道になります。チェックポイントとなる十二曲がりまでは約700m、標高差200メートルを30~40分程度。短い間隔で1から12の立て札が設置された、つづら折りの急登が続く名物ポイントです。
十二曲がりをクリアすると、富士見平までは約1.2km、標高差250メートルを70~90分程度。十二曲がり以上の急こう配が続く、一番辛い道のりです。ゆっくりと歩きましょう。
黒沢池ヒュッテや妙高山への分岐点でもある富士見平からは火打山方向へ進みます。高谷池ヒュッテまでは約1.6km、標高差50メートルを50~70分程度。緩やかな道のりが続きます。
ここからは段々と景色が開けていくので、絶景を拝むことが出来ます。火打山の山容を眺めならがのビクトリーロードです。但し、地味に距離が長いので、なかなか高谷池ヒュッテにたどり着かないもどかしさがあります。
淡々と歩き進むと、前触れもなく突然、高谷池ヒュッテが姿を現します。三角形の鋭角な屋根が見えた瞬間はテンションマックスになること間違いなしです。早速チェックインしましょう。
「高谷池ヒュッテ」の施設案内
「高谷池ヒュッテ」の施設を写真付きでご紹介いたします。「誰でも利用できる施設」「テント場」「山小屋」に分けて説明します。
誰でも利用できる施設
テント場や小屋泊以外の登山客も利用できる共用施設は以下となります。
受付・売店
旧館側にあります。テント泊・小屋泊を予約済みの方はこちらで受付を済ませます。受付時間は15時までなので先に済ませましょう。その際「宿泊者カード」の提出が必要なので、事前に印刷、記入の上、提出します。
売店では各種ドリンク・酒類、カップラーメン、カロリーメイト、オリジナルグッズの購入が可能です。19時まで営業しています。オリジナルグッズの種類は豊富で、色々と迷うこと間違いなしです。
飲み物に関しては注意が必要で、特に水については購入制限がかかることがあります。最悪、購入できない場合があるので、水に関しては事前に高谷池ヒュッテのお知らせを確認しましょう。
購入可能な食べ物はカップラーメンかカロリーメイト、パックご飯です。小屋泊以外の方への食事の提供は無いのでテント泊の方は食べ物の持ち込み必須です。また、カップラーメンについてはお湯の確保も考慮する必要があります。
高谷池ヒュッテでは荷揚げが年に1回程度しか無いそうで、基本的に品揃えが充実していません。飲み物や食べ物は極力持参したいところです。また、購入したペットボトルや缶はお持ち帰りなので、捨てることが出来ません。
トイレ
トイレは旧館の傍にある建物から入ります。土足厳禁なのでスリッパに履き替えます。テント泊と小屋泊の方は無料で利用できますが、日帰り登山客は、トイレ利用協力金として募金箱に100円を投入しましょう。
トイレは室内にあり、広くて快適です。便座の数も多く、男女合わせて10近くはあるのではないでしょうか。トイレで行列しなくて済みそうです。
高谷池ヒュッテのトイレは大変綺麗で、洋式の水洗トイレです。しかもウォシュレット付き!恐らく、数ある山小屋でもウォシュレット付きはここだけではないでしょうか。はっきりいって感動します。
但し、紙は流すことが出来ないので、備え付けのごみ箱に捨てます。高谷池ヒュッテは水が豊富な山小屋ではないので、水が不足してしまった場合トイレが使えなくなることがあります。大量に水を流さないようにしたいところです。
嬉しいことに手洗い場まであります。但し飲むことはできません。大変貴重な水なので最低限の使用に留めたいところです。水が不足すると最悪、使用できなくなります。
ベンチ
旧館の前にあります。日帰り登山客も利用できる憩いの施設です。立派なベンチと机が10セット近くあります。因みにこの場所付近からはAU端末のみ、辛うじて電波が繋がります。
なんといってもベンチから眺める高谷池湿原越しの火打山は絶景です。本当に多くの登山者が利用していました。
水場
水場はテント場の手前にあります。高谷池の水をそのまま引いているだけなので飲むことはできません。必ず煮沸が必要になります。
しかも必ず水がある訳ではなく、水不足の場合は枯れてしまいます。筆者が訪れた日は枯渇していました。高谷池ヒュッテのテント場を利用される方は、黒沢川で事前に水を確保しておくことを強くおすすめします。
テント場
テント場は完全予約制です。全面フリーサイトで、設営場所は早い者勝ち。先に率直な感想を申し上げますと、過酷な環境だと思います。
テント場の手前にも設営できそうなスペースがありますが、キャンプ指定地としての許可を受けていないので設営が禁止になっています。
テント場は水場がある木の橋を渡った先にあります。道が狭く、夜は移動が大変そうな印象です。
サイトの広さ
小型テントを約20~30張りできる広さがあるそうなのですが、はっきり言って物凄く狭いです。30張というのも、テント同士の隙間を詰めてやっと収まるギリギリの数字なんだと思います。
プライベート感
プライベート感はゼロです。特にシーズン中はテント同士が密着するレベルで、椅子を出すことすら困難です。テント場から絶景を眺めながら寛ぎたいとお考えの方には不向きではないでしょうか。
サイトの地面の特徴・傾斜
サイトの地面は土です。今回筆者はテント場を利用していないのですが、雨が降るとかなりドロドロになるんだそうです。ペグは刺さりやすいけど抜けやすいということ。
場所によっては傾斜があり、雨水の通り道になる場所もあります。早めに到着して、なるべくベストな場所に設営したいところです。
山小屋
山小屋利用者は新館と旧館が仲良く並んだ建物内の施設の全てを利用可能で、事前に夕食、朝食、弁当の予約が可能です。お風呂やシャワーはありませんが、建物内は大変綺麗で快適です。
ロビー
旧館の受付にあるスペースに、2組のテーブルがあります。小屋泊利用者の憩いのスペースです。
夕食後は上映スペースに生まれ変わります。食後に火打山の紹介DVDが上映され、その後にNHKの天気予報が放送されます。
充電スペースも傍にあり、17時から20時と時間は決まっていますが、1回200円で充電可能です。
山小屋で定番の本棚もロビーの奥のほうにあります。山に関係した書籍が多い印象です。
食堂
食堂は新館にあります。夕食や朝食の他、休憩スペースや調理スペースとしても利用可能です。
夕食は事前に予約をした山小屋利用者が利用できます。ハヤシライスとカレーライスが食べ放題で、高谷池ヒュッテの名物メニューです。ライスで仕切りを作り、両側にカレーライスとハヤシライスを盛るのが定番です。
朝食も事前に予約をした山小屋利用者が利用できます。親子丼が食べ放題です。但し、うずらの卵はおひとり様1つまで。
朝食と夕食の時間は決まっていて、新館・旧館の宿泊者別に交代制です。朝食前に出発される方向けにお弁当のサービスもあります。
食堂の端には調理スペースが用意されていて、ガス器具の使用が可能です。室内でお湯を沸かしたり調理が出来るのはありがたいですよね。
食堂の手前には炊事スペースも開放されています。お湯が有料で提供されていて、洗い物も可能です。
更衣室
新館の食堂の奥にあります。個室になった更衣室で、女性にはありがたい設備ではないでしょうか。
宿泊施設
大部屋は新館・旧館共に造りが同じで、多くの山小屋で採用されている蚕棚(ハシゴ付2段ベッドスタイル)です。収容人数は34人と少なくなっています。
これはコロナ渦以降、密にならないように1人あたりのスペースが広くなったからです。今までは2人で使っていたスペースを1人で利用できるので、倍の広さです。想像以上の広さで、とても快適です。
布団一式が用意されているので、シュラフ等の持ち込みは不要です。但し、シュラフカバーやインナーシーツ等、寝具が直接肌に触れない対策ができるものを持ってくる必要があるので忘れないようにしてください。
筆者は2階に宿泊しました。棚もあり、とても快適だったのですが、ハシゴが垂直で細く、上り下りがちょっとだけ大変でした。それ以外は本当に快適です。
新館と旧館どちらに宿泊するかを選ぶことはできません。筆者は旧館に宿泊しましたが、旧館のほうが実は人気があります。それは旧館はベランダがあり、絶景を拝むことが出来る特権付きだからです。
出典:高谷池ヒュッテ プラン・部屋詳細ページ因みに新館には2部屋程の個室があります。定員は4人までで6畳ほどの広さがあります。山小屋に個室があるのは嬉しいですよね。
高谷池ヒュッテからの景色
高谷池ヒュッテといえば、眼下に広がる絶景ではないでしょうか。それぞれのポイントからの絶景をお届けいたします。
ベンチからの景色
木々が少し景色を遮りますが、火打山が目の前にドーンの絶景です。高谷池湿原も見えます。
北アルプスの山々も辛うじて一望できます。
テント場からの景色
テント場からは、設営場所によっては木々が遮り景色が見えないかもしれません。思っていた程景観が良くないといった印象です。
テント場手前のスペースは見晴らしがよく、高谷池湿原と火打山と焼山を一望できます。
旧館2階ベランダからの景色
高谷池湿原越しに、火打山と焼山を一望できる特等席です。この場所からの景色が一番絶景でした。
登山道から見た高谷池ヒュッテ
高谷池の畔に溶け込むように佇む、三角屋根の山小屋とテント群を眺めることが出来ます。世界遺産レベルの絶景ではないでしょうか。
夕暮れの景色
火災みたいな風景になってしまいましたが、焼山方向に太陽が沈むので幻想的な景色を楽しむことが出来ます。宿泊者しか見ることが出来ない特別な景色です。
ご来光時の景色
反対側から朝日が昇るので、ご来光を見ることはできません。方角的に朝焼けが山肌を染める「モルゲンロート」を期待していたのですが、叶いませんでした。
「高谷池ヒュッテ」に泊まってわかったこと
高谷池ヒュッテは、予約困難な山小屋であることも納得の絶景が広がる、素敵な山小屋でした。高谷池ヒュッテに泊まってみてわかったことをまとめました。
素晴らしかった点
- 様々な場所から異なった絶景を楽しむことが出来る
- 名物のカレーライス&ハヤシライスは口コミ以上に美味しい
- トイレが大変綺麗で嬉しいことにウォシュレット付き
- 更衣室があるのは嬉しいポイント
- 大部屋が想像以上に広く、とても快適
- スタッフさん全員が大変明るくて対応が素晴らしい
知っておきたいこと
- 数か月先まで予約が埋まっていて本当に予約が困難
- 携帯の電波は入らない。AUのみ特定の場所で辛うじて繋がる
- テント場は本当に狭くプライベート感ゼロ。争奪戦必須
- テント泊の場合、食事の提供が無いので持ち込みが必須
- 水不足の時は本当に水の確保が大変。最悪トイレも使えなくなる
- ゴミは持ち帰り。購入したペットボトルや缶も持ち帰り
小屋泊とテン泊どっちがお勧め?
高谷池ヒュッテに泊るのであれば、小屋泊とテン泊どちらがおすすめなのか。個人的には、絶景を満喫しながらゆっくりと過ごしたい方や、登山初心者は小屋泊。テン泊登山に慣れたベテランや、翌日に縦走を控えた時間に縛られたくない方はテント泊といったイメージです。
とはいえ、どちらも数か月先まで予約でいっぱいの人気の山小屋です。予約サイトからマメに空き状況を確認すると、キャンセルの空きが出ることがあるので、チャンスを掴みたいところです。
過酷な環境なので、大変なところは多々ありますが、それらを忘れさせてくれる絶景が待っていますよ。
ギア
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