山菜採りをする際には山や渓流など、一般に危険と思われる場所に自ら赴く必要性があり、これには日常生活でまず体験しない危険が伴います。採取する山菜の種類によっては登山道を外れて藪の中に入っていくこともあり、適切な装備が揃っていないと大怪我をしたり、最悪の場合は遭難したりすることもあります。
今回はそのような危険を回避するため、山菜採りをする時に必要な装備品と適切な服装についてまとめていきます。
目次
山菜採りの服装
山菜採りでは市場に出回らないような珍しいものや、タラの芽だとかフキノトウといったスーパーで購入すればそれなりの値段がするものなどを自らの目と足で探し当て採取するという楽しみがある一方、先述したような危険も伴います。
以下ではこれらのリスクを出来るだけ軽減するために必要な服装について記載しています。
長袖・長ズボンなど肌が露出しない服装
山菜採りに限らず山に登る際には最低限、肌が露出しない服装は必須です。
湿度の高い渓流沿いなどには蚊やアブ、ヒル・ダニなどの吸血動物が多数生息しており、これらは危険な病原菌を運んできます。また、時期によってはスズメバチなど人によっては一度刺されるだけでも命取りになるような虫もおり大変危険です。
少なくとも梅雨時から秋口までは長袖・長ズボンを徹底しましょう。
軍手
アザミ類(広義のヤマゴボウ)や山椒、タラなど目当ての山菜の種類によっては枝や茎にトゲがあることがあり、素手で触ると大変痛いです。
また、肌の弱い人は素手でヤマウルシなどに触れただけでもかぶれることがありますので、必要に応じて軍手を持って行っても良いでしょう。
靴
近所の里山で登山道を歩く程度であれば普通の運動靴でも問題はありませんが、体力にあまり自信のない方や登山に慣れていない人は専用の登山靴を買うと良いでしょう。その際は渓流や湿った道を歩くことも考えて防水のものを買っておけば完璧です。
山菜採りに必要な装備
服装以外にも山菜を採取するための必要な道具などを用意しておいた方が良い場合があります。ここからはそれらの装備について用途と共に紹介していきます。
籠・袋
山菜を採取した後、それを入れるための籠や袋を用意しておかなければなりません。気温の低い春先であればビニール袋などでも良いですが、夏場は通気性の良い籠を持っておけば間違いないでしょう。
タオル
体を冷やさないためにも汗を拭くためのタオルは必須です。また、夏場であれば渓流などでタオルを濡らして首にかければ一気に体温が下がり、気分良く山菜採りを楽しめます。
サバイバルナイフ
著者が所有しているナイフ。よく研いでおけば竹や枝も切ることが出来る。
稀に山菜採りをする際に植物の根ごと引き抜いていくような人がいますが、当然これは大きな間違いです。採取する際には必ず茎の中途をナイフなどで切るか、葉っぱを数枚だけ頂くようにしましょう。
これらのマナーをしっかり守らないと結果的に種の絶滅に繋がることもあります。これは決して大袈裟な物言いではありません。
スコップ・シャベル
著者が所有している折りたたみスコップ。掘る部分に刃がついており木を切ることも出来る。
先ほど根ごと掘り出すなと言っておいてなんですが、自然薯などのイモ類や、ユリ根を掘り起こすためにはスコップが必要になります。しかし、これらは根の一部を埋め立てて置くことでそこから新たに芽吹くため、採取したらそれで終わりではなく後始末もきちんとしておきましょう。
虫よけスプレー
これも軍手と同じく絶対に必要という訳ではありませんが、虫嫌いの人は持っておいても良いのではないでしょうか。しかし、実際に夏の山に入ると、たとえ虫よけスプレーをしていても普通に蚊・コバエ・蜂などは寄ってくるのであくまでも気休めにしかなりません。
ポイズンリムーバー
蜂やマムシに攻撃された際、このポイズンリムーバーがあるとないのではその後の生存率が大きく異なります。ほかに蜂毒によるアナフィラキシーショックを防ぐため、エピペンなどのアドレナリン自己注射製剤を持っておいても良いでしょう。
経口補水液
登山では通常舗装された道を歩くのに比べて何倍も体力を消費します。ここ最近は気温が下がり始め、過ごしやすくなりましたが、それでも山を登っていると汗をかくため経口補水液を持っておいた方が良いでしょう。また、市販のスポーツドリンクは糖分が多すぎるため、2~3倍に薄めて使うとより健康的です。
熊よけ鈴
熊は北海道にしかいないと思われがちですが、本州にもツキノワグマは生息しています。ツキノワグマであっても普通の人間は一撃で倒せるほどの攻撃力を持っているので、クマよけ鈴など音の出せるものを持って行くと良いでしょう。
何も持っていない場合には歌を歌ったり、誰かと話しながら歩くだけでも危険を避けることが出来ます。
携帯・スマートフォン
よほど有名な山でもない限り山の中は圏外でしょうが、下山ルートを間違えてしまい山の反対側から降りてしまう場合もありますので(私の体験談です)、連絡するための携帯は必須です。
ちなみに私が軽く遭難した際には途中で携帯の充電が切れたため、結局見知らぬトラック運転手の方に送っていただきました。場合によってはモバイルバッテリーも持って行った方が良いもしれません。
山菜採りにあると便利な道具
ここからは絶対に必要という訳ではありませんが、あると便利な道具の紹介をしていきます。心配性の方は状況に応じて持って行っておくと良いでしょう。
雨具・カッパ
山の天気は変わりやすいと言いますが、雨具があれば急な雨にも対応できます。特に、山の近くまで自転車やバイクで行くのであれば帰り道で雨ざらしになる状況も防ぐことが出来るでしょう。
熊撃退スプレー
シカやイノシシなど多くの野生動物は基本的に憶病であり、こちらからけしかけない限りは勝手に逃げていきます(私も両方遭遇したことがありますが一目散に逃げていきました)。
しかし、冬場、冬眠に失敗したクマなどが襲ってこないとも限りませんので、このような道具を持っておいて損はないでしょう。
コンパス
山道で迷った場合や藪の中に入っていく場合、方向が分からなくなるケースがあるためコンパスがあると良いでしょう。太陽が出ていれば東西南北は分かりますが、曇りの日には役に立ちます。
安全メガネ
これもよほどの事が無い限りは必要ないでしょうが、スズメバチが活発になる秋口あたりに藪の中を歩き回るような場合には持って行っても良いかも知れません。また、これとは別に夏の日差しで目がやられないように紫外線カット眼鏡などがあると便利でしょう。
正しい装備で楽しい山菜採りをしよう!
ここまで山菜採りの危険性について必要以上に説いてきましたが、正直私自身はここで書いた装備の半分も持って行っていないことの方が多いです。しかし何事も慣れてきたころが一番危ないと言いますので、備えておくことに越したことはありません。
個人的には初心者の間は少なくとも最低限の装備を持って行っておいて、実際に何度か山に登ったあと、自分に必要な装備を吟味するのが一番よい方法かとおもいます。
ギア
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