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山菜採りで気をつけるべき毒草一覧|有毒植物の見分け方

山菜採りで気をつけるべき毒草一覧|有毒植物の見分け方

前回の記事までは春~冬までの四季の山菜たちを紹介してきましたが、ここで少し趣向を変えて、山菜採りで気をつけるべき毒草たちの紹介をしたいと思います。

レジャーの一環としての楽しく美味しい山菜採りも、これらの毒草によって一瞬で地獄に変わることもあるため、この記事を参考に十分気をつけて下さいね。

日本で見られる危険な有毒植物たち

海外に比べると毒虫などが少なく、安全だと思われる日本においても元来自生する毒草や、観賞用として輸入されてきた有毒植物はたくさんあります。

ここからはそれらの中から特に危険なもの、誤食されやすいものをピックアップして紹介しておりますので、しっかり頭に入れて間違っても食べることの無いよう注意してください。

ドクゼリ

ドクゼリはセリ科ドクゼリ属の多年草で、見た目こそ春の七草である“セリ“に似ていますが、ドクウツギ・トリカブトと並んで日本三大有毒植物に名を連ねるほどの猛毒を持ちます。

誤食すると呼吸困難・嘔吐・下痢・意識障害などを引き起こし、特に毒成分の多い根茎を食べた場合は死亡する可能性も十分にあります。

食用となる“セリ”との見分け方としては、まずセリ特有の香りがあるかどうか(ドクゼリにはありません)、他にドクゼリはセリのひげ根とは異なり太い地下茎を作るため、そのような部分によく注意しましょう。

テンナンショウ類

テンナンショウの果実―著者撮影

テンナンショウはサトイモ科に含まれるテンナンショウ属の植物の総称で、このうちの多くが強い毒性を持ちます。

本種は先ほどのドクゼリとは異なり間違えそうな山菜もなく、見た目も明らかに毒々しいので誤食する機会は少ないですが、山道や林内などではどこでも見られるため注意が必要です。

毒成分として全草にシュウ酸カルシウムの針状結晶を含み、誤食すると針で刺されたような強い刺激が口腔内を襲い、摂取量によっては消化器官の粘膜をボロボロにします。

致死性と言う意味ではそれほど強くない毒草ですが、この痛みが尋常ではないらしく食べると当分の間は話せなくなるほどらしいです。

ブログなどで実際に食べている方もおられますので気になる方は調べて見て下さい。

ヒガンバナ

秋には綺麗な花を咲かせることで有名なヒガンバナですが、“彼岸花“と言う名前の印象と違わず、本種も全草に強い毒性を持ちます。

主な毒成分はリコリンで、誤食すると吐き気や下痢などの消化器症状を起こすほか、特に毒性の強い鱗茎を多量に摂取すると中枢神経の麻痺を引き起こし、死に至る場合もあります。

田んぼの周りに大量に植えられたヒガンバナ―著者撮影

本種は古来より鱗茎からデンプンを採取する救荒植物として利用されてきたほかに、根の有毒成分によってモグラなどがその場所を避けるために田んぼのあぜ道などに大量に植えられていますので間違っても食べないように注意しましょう。

タケニグサ

やせた土地にもしばしば群生する―著者撮影

タケニグサはケシ科タケニグサ属の多年草で多くのケシ科植物同様、本種も強い毒性を持ちます。

茎を傷つけると出てくる乳液を摂取すると、嘔吐のほか、呼吸困難や体温低下などの神経障害を引き起こし、まれに死に至ることもあります。

葉茎に白い粉をふき、なんとなく嫌な見た目なので食べることは無いと思いますが、肌の弱い人は乳液を触るだけでもかぶれることがあるため注意が必要です。

以前は虫刺されなどの民間薬としても使われていました。

ウルシ類

一般に毒草としては最も有名であろうウルシ。

漆器でおなじみの漆が採れることや、秋には綺麗に紅葉することから利用価値も高いですが、肌の弱い人は葉に触るだけでもかぶれることがあります。

ほかに新芽はタラの芽の“赤芽(日当たりが良すぎると芽が赤くなる)”に似ていることからも一応の注意が必要ですが、上で挙げたものに比べると毒性はそれほど強くなく、天ぷらなどで普通に食べている人もいるようです。

しかし本種は山に限らず田んぼのあぜ道や河川敷、時にはコンクリートから生えてくることもあり、非常に身近なためここで紹介させていただきました。

肌の弱い人はくれぐれも触らないよう注意しましょう。

ヨウシュヤマゴボウ

これも非常に有名な毒草ですね。筆者はこれが国道沿いに生えていたのを目にした事があるので、都会に住んでいる方でも一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。

ヨウシュヤマゴボウは見た目こそブドウのようで美味しそうですが、実際はそこそこ強い毒性を持ち、子どもや老人であれば果実を誤食するだけでも強い消化器症状を引き起こす恐れがあります。

また名前に“ヤマゴボウ”と入っていることから根を市販のヤマゴボウ(アザミの根)と誤食することによる中毒例も多数発生しており注意が必要です。

本種は上でも紹介した通りどこにでも生え、また、夏から秋ごろまでと長い期間残っていることも多いため身近な場所で見つけた際には子どもが誤食しないように駆除してしまうのも一つの手でしょう。

キョウチクトウ

キョウチクトウはキョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木の一種で、桃のような花と竹のような葉をつけることから“夾竹桃”の名が付きました。

本種は非常に美しい花を6~9月と長い期間にわたって咲かせるため街路樹として植えられることも多いですが、その毒性は非常に強く、有名な話としては枝をBBQの串代わりとして使っただけで病院送り、ないし死亡したというケースもあります。

更に、本種の植わっている周辺の土壌や、燃やした後の煙にまで毒性があるため、これまで挙げたものとは比べ物にならないほどの注意が必要になります。

毒成分としては強心配糖体が主で、消化器症状から神経障害、倦怠感など様々な中毒症状を引き起こします。

トリカブト

トリカブトはキンポウゲ科トリカブト属の多年草で、夏~秋につける花が兜のように見えることからこの名が付きました。

本種は見た目こそ美しく園芸植物として植えられることもありますが、種によっては数グラム摂取しただけでも死に至るほどの強毒を持ちます。

葉が山菜のニリンソウやヨモギに似ていることで誤食するケースもあるため、特徴をよく知った上で採取することが大切になります。

ヨモギとは特有の香りの有無で見分けられ、ニリンソウは春に白い花をつけることから見分けることが出来ます。

毒草に気をつけて楽しく山菜採りをしよう!

毒草の紹介をする際にはその危険性を知らせるため、いつも脅すような口調になってしまいますが、よく注意をしていれば山菜採り自体は非常に楽しい趣味です。

ただ、この記事で紹介したような毒草たちを誤食してしまうと自分自身の身の安全だけでなく、周りにも迷惑が掛かってしまうため、山菜採りの際はくれぐれもよく注意して植物の特徴を頭に入れてから行うようにしましょう。

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  • フリーランスライターとして日銭を稼ぎ、道端の雑草を食べながら日々を生きています。フィールドワーク全般が趣味で、野草・薬草・キノコについて勉強中です。

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