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2つの顔を持つ山「磐梯山」~下山でも絶景を拝めるお勧め最短コースをご紹介【日本百名山】

2つの顔を持つ山「磐梯山」~下山でも絶景を拝めるお勧め最短コースをご紹介【日本百名山】

福島県を代表する日本百名山「磐梯山」は、6つも登山口があり、初心者向けから健脚者向けまでバリエーション豊かです。見たいスポットに応じて柔軟に登山計画を立てられるところも魅力だと思います。

今日は、下山でも絶景を拝むことができるお勧め最短コースのご紹介です。余力がある登山者向けに、隠れ絶景スポットへの寄り道コースも併せてご紹介いたします。

表裏2つの顔を持つ山「磐梯山」

表裏2つの顔を持つ山「磐梯山」

福島県苗代町、磐梯町、北塩原村にまたがる「磐梯山(ばんだいさん)」は、猪苗代湖の北側に位置する標高1816mの火山です。

「日本百名山」「ふくしま30座」「東北百名山」「新日本百名山」「会津百名山」に選定されています。

福島県のシンボルの一つとして愛される磐梯山

福島県のシンボルの一つとして愛される磐梯山は、表裏2つの顔を持つ山で、南側から見た「表磐梯」は、「会津富士」「会津磐梯山」とも呼ばれる美しい山容です。

反対に、北側から見た「裏磐梯」は

反対に、北側から見た「裏磐梯」は、1888年の水蒸気爆発で山体崩壊を起こした荒々しい山容になっています。2007年に「日本の地質百選」2011年に「日本ジオパーク」に認定されています。

山頂からは360度大パノラマが広がるのは勿論のこと

山頂からは360度大パノラマが広がるのは勿論のこと、山頂直下の山小屋から望む裏磐梯の荒々しい景色や、銅沼(あかぬま)から望む磐梯山も圧巻の景色で、山頂以外にも見どころが多い山です。

「磐梯山」登山コース

「磐梯山」登山コース2

磐梯山の登山コースは、表磐梯、裏磐梯それぞれに登山口があり、初心者向けコースから健脚者向けコースまでバリエーション豊かです。簡単に纏めてみました。

八方台登山口から登頂する

  • 標高差約620m/片道約3.5km/徒歩約135分~160分程度の定番初心者コース
  • 最寄りの駐車場は、八方台駐車場(駐車可能台数約50台/無料・トイレ有)

猪苗代登山口から登頂する

  • 標高差約1100m/片道約5.7km/徒歩約210分~240分程度の表磐梯を登るコース
  • 最寄りの駐車場は、猪苗代登山口駐車場(駐車可能台数約400台/無料・トイレ有)

裏磐梯登山口から登頂する

  • 標高差約740m/片道約4km/徒歩約180分~200分程度の裏磐梯を登るコース
  • 最寄りの駐車場は、裏磐梯登山口駐車場(駐車可能台数約50台/無料・トイレ無)

翁島登山口から登頂する

  • 標高差約1050m/片道約2.9km/徒歩約180分~210分程度の中級者向けコース
  • 最寄りの駐車場は、翁島登山口駐車場(駐車可能台数約70台/無料・トイレ無)

川上登山口から登頂する

  • 標高差約1080m/片道約6.3km/徒歩約240分~260分程度の健脚者向けコース
  • 最寄りの駐車場は無し

渋谷登山口から登頂する

  • 標高差約1180m/片道約6.9km/徒歩約220分~260分程度の健脚向けコース
  • 最寄りの駐車場は無し

今日ご紹介するのは、磐梯山に最短

今日ご紹介するのは、磐梯山に最短で登ることが出来る人気の定番コース「八方台登山口から登頂する」コースです。

往復であればコースタイム4時間程度で下山可能です。

今回の山行では運悪く山頂でガスに見舞われてしまい

今回の山行では運悪く山頂でガスに見舞われてしまい、残念な景色を拝むことになってしまったので、逆さ磐梯山を拝める銅沼(あかぬま)にも寄り道しました。今回ご紹介するコースは以下のような流れになります。

ルート概要

  • 八方台駐車場→八方台登山口→中ノ湯跡→弘法清水→磐梯山→弘法清水小屋→天狗岩裏磐梯スキー場分岐→銅沼→八方台登山口

順を追って説明しますね。

八方台駐車場→八方台登山口

八方台駐車場→八方台登山口

最寄りの駐車場は、磐越自動車道猪苗代磐梯高原インターから車で約30分の場所にある八方台駐車場で、約50台の車を停める広さがあります。駐車料金は無料です。

八方台ルートは磐梯山で最も人気の登山コース (2)

八方台ルートは磐梯山で最も人気の登山コースで、最寄りの八方台駐車場は登山口が目の前であることと、トイレがあるので便利ということもあり、早い時間には満車になります。

八方台駐車場が満車だった場合

八方台駐車場が満車だった場合、登山口から400メートル~1400メートル離れた場所にある、八方台第二駐車場か、こがね平駐車場を利用します。

八方台登山口は

八方台登山口は、八方台駐車場を挟んだ対面にあります。

八方台登山口→中ノ湯跡

八方台登山口→中ノ湯跡

第一のチェックポイントとなる中ノ湯跡までは距離にして約1.2km、標高差120メートルを35~40分かけて登ります。中ノ湯跡までは、なだらかな道のりなので足慣らしに最適です。

車も通れそうな林道を暫く歩き進めると

車も通れそうな林道を暫く歩き進めると「磐梯山頂」の標識が見えてきます。同時に硫黄の臭いが漂い始めます。

中ノ湯跡に到着です

中ノ湯跡に到着です。かつては旅館があった温泉地で、現在は廃業しています。現在でも温泉は湧いているのですが入浴はできませんよ。

硫黄が立ち込めるので足早に通り過ぎましょう

硫黄が立ち込めるので足早に通り過ぎましょう。100メートル程進むと天狗岩裏磐梯スキー場分岐に到着します。裏磐梯登山口の合流地点です。

中ノ湯跡→弘法清水

中ノ湯跡→弘法清水

弘法清水までは距離にして約1.8km、標高差320メートルを70~80分かけて登ります。この区間は急こう配が続く、磐梯山登山の中で最も地味で、修行の道のりです。

樹林帯が続く景色の無い道のりですが

樹林帯が続く景色の無い道のりですが、所々に展望スポットがあるので励みになります。700メートル程急こう配の樹林帯を登り続けると桧原湖や吾妻山を一望できる展望スポットのご褒美が待ち受けています。

展望スポットより先は景色の無い樹林帯歩きです (2)

展望スポットより先は景色の無い樹林帯歩きです。先ほどのような急勾配ではありませんが、地味にこう配が続く、時間が長く感じる区間です。

暫く登り続けると分岐に到着です

暫く登り続けると分岐に到着です。どちらに進んでも同じ場所に出るので好きな方向に進みましょう。今回は山頂に最短で到着できる「弘法清水」へ進みます。お花畑方向は下山で利用するので後ほどご紹介いたします。

300メートル程、細い登山道を登ると

300メートル程、細い登山道を登ると「弘法清水」へ到着です。名水が湧き出る休憩ポイントで、所謂水場です。水は大変冷たく、美味しいですよ。山頂手前で水場があるのは助かります。

弘法清水には山小屋や休憩スポットがあるのですが

弘法清水には山小屋や休憩スポットがあるのですが、先に山頂を目指します。

弘法清水→磐梯山山頂

弘法清水→磐梯山山頂

磐梯山山頂までは距離にして約500m、標高差約180メートルを約30~40分かけて登ります。急斜面を一直線に登る、所謂「直登の急登」が待ち受ける核心部です。

登山道は大変狭く、岩だらけの急登

登山道は大変狭く、岩だらけの急登が続きます。距離が短いのが、せめてもの救いです。

半分近く登ると、見晴らしの良い場所に

半分近く登ると、見晴らしの良い場所に出るのですが、最悪のタイミングでガスが立ち込めてきました。絶景が広がるご褒美ゾーンがお預けです。

ここから先の細尾根の稜線歩きは

ここから先の細尾根の稜線歩きはビクトリーロードだった筈なのですが、残念ながらガスだらけの修行の道のりになってしまいました。気を取り直して山頂を目指しましょう。

山頂が見えてきました。完全に雲に覆われて

山頂が見えてきました。完全に雲に覆われて真っ白な景色です。

磐梯山山頂に到着です

磐梯山山頂に到着です。標高は1816メートル。因みに山頂標識は、最高地点よりも少し下った場所にあります。山頂からの景色はどこまで楽しむことが出来るのでしょうか。

磐梯山山頂からの景色

磐梯山山頂からの景色

山頂の周りには視界を遮るものはなく360度大パノラマが広がります。生憎山頂に到着した頃には雲に覆われてしまい、真っ白な景色でした。

磐梯山山頂から望む裏磐梯の桧原湖

本来であれば北側に目を向けると、檜原湖や五色沼湖沼群を一望できる、裏磐梯の壮大な景色が広がります。

快晴の磐梯山山頂

南側に目を向けると、日本で4番目に大きな湖「猪苗代湖」越しに猪苗代・会津の街並みを一望できる筈でした。

頂上には山頂標識が無く

頂上には山頂標識が無く、磐梯明神が祀られています。一面岩だらけの荒々しい山頂です。

山頂標識は、最高地点から少し下った場所

山頂標識は、最高地点から少し下った場所にあります。避難小屋と思われる建物もありますね。

山頂で1時間程粘りましたが

山頂で1時間程粘りましたが、時々雲が抜けて景色が微かに見えることはあれど、絶景を拝むことは叶いませんでした。諦めて下山します。

磐梯山→弘法清水小屋

磐梯山→弘法清水小屋

弘法清水まで戻ってきました。2件の山小屋がある、休憩スポットで賑わう場所です。手前に見える弘法岡部小屋は閉まっていました。たまたまでしょうか。

奥に進んだ場所にある弘法清水小屋は空いていました

奥に進んだ場所にある弘法清水小屋は空いていました。自家焙煎珈琲が評判の山小屋です。

山小屋にはトイレはありませんが

山小屋にはトイレはありませんが、携帯トイレを購入することで、携帯トイレブースの利用が出来ます。

弘法清水小屋には休憩スポットがあり

弘法清水小屋には休憩スポットがあり、多くの登山者が休憩をしていました。ここからの景色は絶景で、目の前に見える荒々しい山は「櫛ヶ峰(くしがみね)」です。

弘法清水小屋→天狗岩裏磐梯スキー場分岐

弘法清水小屋→天狗岩裏磐梯スキー場分岐

山頂は残念な景色でしたが、弘法清水小屋からは絶景を拝むことが出来たので下山をします。帰りはお花畑コースを通りましたが、異次元の絶景が広がる天国ロードでした。

目の前には天狗岩と呼ばれる尖がった岩がみえます

目の前には天狗岩と呼ばれる尖がった岩がみえます。山体崩壊を起こした荒々しい裏磐梯の絶景を拝むことが出来ます。

弘法清水小屋から見えた「櫛ヶ峰」

弘法清水小屋から見えた「櫛ヶ峰」の山容も全体像をばっちりと拝むことが出来ます。櫛ヶ峰も磐梯山の1座なのですが、山体崩壊が酷く、立入禁止になっているんだそうです。

眼下には檜原湖と、手前に銅沼を望みます

眼下には檜原湖と、手前に銅沼を望みます。山頂からは拝めなかった景色を見ることが出来て満足です。

お花畑と呼ばれるだけあって

お花畑と呼ばれるだけあって、高山植物が咲き誇っていました。登りでは景色の無い登山道でしたが、下山では見晴らしが最高の天国ロードのご褒美が待ち受けていました。

弘法清水との分岐点に合流したら

弘法清水との分岐点に合流したら、その先は登りと同じ道のりを下っていきます。

天狗岩裏磐梯スキー場分岐→銅沼

天狗岩裏磐梯スキー場分岐→銅沼

中ノ湯跡手前の、天狗岩裏磐梯スキー場分岐まで下りてきました。このまま八方台登山口に進めば下山できますが、山頂で景色を楽しめなかった名残があり、銅沼(あかぬま)がある裏磐梯登山口へ進むことにしました。

銅沼までは距離にして約1.3km

銅沼までは距離にして約1.3km、標高差200メートルを35分かけて下ります。想像していた以上に激下りの険しい道のりで、少し後悔しました。

下りきると平坦な道のりが続きます

下りきると平坦な道のりが続きます。500メートル先に銅沼の絶景ポイントがあるので先を急ぎましょう。

裏磐梯側にある火口湖。銅沼(あかぬま)に到着です

裏磐梯側にある火口湖。銅沼(あかぬま)に到着です。櫛ヶ峰が湖面にリフレクションする絶景スポットなのですが、水量が少なく、逆さ裏磐梯を拝むことは叶いませんでした。

とはいえ、裏磐梯らしい崩落の跡が

とはいえ、裏磐梯らしい崩落の跡が目前に迫る迫力の絶景です。登山コースから外れた場所にあるので、アクセスが大変ですが、惑星感溢れる異次元の絶景を拝むことが出来ますよ。

銅沼→八方台登山口

銅沼→八方台登山口

絶景を満喫できたので、下山をします。下山といっても、天狗岩裏磐梯スキー場分岐までは登り返しです。50分近くかけて急登を登ります。

天狗岩裏磐梯スキー場分岐に到着です

天狗岩裏磐梯スキー場分岐に到着です。この先は平坦な道のりを進むだけです。

八方台登山口が見えてきました

八方台登山口が見えてきました。八方台コースは、ビストン(往復)であれば4時間程度で下山できるお手軽なコースなので、物足りないと思った場合、銅沼へ寄り道するのもありだと思います。

磐梯山に登ってみてわかったこと

磐梯山に登ってみてわかったこと

磐梯山は下山で思わぬご褒美が待ち受けるお得感のある山でした。磐梯山に登ってみてわかったことをまとめました。

まとめ

  1. 「表磐梯」「裏磐梯」の2つの顔を持つ日本百名山
  2. 異なった景色を楽しむことが出来る様々な登山コースが用意されている
  3. 磐梯山に最短で登ることが出来る八方台ルートは人気の定番コース
  4. 中ノ湯跡までは登山道が整備された緩やかな道のり
  5. 弘法清水までは急こう配が続く最も地味で、修行の道のり
  6. 磐梯山山頂までは急斜面を一直線に登る「直登の急登」が待ち受ける
  7. 山頂は視界を遮るものはなく360度大パノラマが広がる
  8. 弘法清水には2件の山小屋と水場があり、休憩スポットからは絶景を拝める
  9. トイレは無いが、山小屋で携帯トイレの購入と利用は可能
  10. お花畑コースは異次元の絶景が広がる天国ロード。下山でおすすめ
  11. 余裕があれば銅沼も寄り道したいところ。逆さ裏磐梯を拝むことができる
  12. 登山コースによって見える景色が全く異なるリピートしたくなる要素が満載の山

登山ルートが多彩!別ルートからもアタックしたい山

登山ルートが多彩!別ルートからもアタックしたい山

磐梯山は、登山コースによって見える景色が全く異なるんだそうです。例えば、表磐梯から登るコースでは猪苗代湖の眺めが素晴らしく、裏磐梯から登るコースでは桧山湖や五色沼の眺めが素晴らしいといった具合です。

今回は、表磐梯と裏磐梯の境目を登る最短ルートで挑みましたが、機会があれば別ルートからもアタックしたい山です。表裏2つの顔を持つ山だからこそ成せる、リピートしたくなる要素が満載の山ではないでしょうか。

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