美ヶ原といえば登山というよりは観光名所としてのほうが有名ですが、実は日本百名山の一つでもある山なんです。本格的に登山する方からは「あれは登山ではなくてハイキングだ」「日本百名山最弱!」などとツッコミが入りやすい山らしいのですが、がっつりとした登山ルートもあります。
せっかく登山に興味を持ったので、定番のハイキングコースではなく登山ルートから登ってみることにしました。
目次
日本百名山の三分の一の山を一望できる長野の中心「美ヶ原」
長野県松本市、上田市、小県郡長和町にまたがる「美ヶ原」は、八ヶ岳中信高原国定公園北西部に位置する標高2,000メートル程の広大な高原台地です。

美ヶ原という山は無く、王ヶ頭(2034m)、王ヶ鼻(2008m)、茶臼山(2006m)、牛伏山(1990m)、鹿伏山(1977m)、武石峰(1973m)といった山々を含め、「美ヶ原」と呼ばれています。
ハイキングや登山では美ヶ原の最高峰である王ヶ頭と、景観が素晴らしい王ヶ鼻を目指すルートが一般的です。

長野県の中心に位置する山で周りを遮る高い山が無く、北/南/中央の日本アルプスをはじめ、富士山や八ヶ岳連峰、御嶽山、乗鞍岳、浅間山、妙高山など、日本百名山の三分の一を一望できるという、360度パノラマビューな景勝地でもあります。登る前から期待値MAXですね。
「美ヶ原」登山コース

美ヶ原の登山ルートは、観光がてらにハイキング気分で周回できるコースから本格的な登山道まで沢山あります。簡単にまとめてみました。
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・美ヶ原パノラマコース
山本小屋ふる里館から王ヶ頭・王ヶ鼻を目指す、標高差約80m/片道約6.5km/徒歩約120分程度のもっとも人気のハイキングコース。美ヶ原高原美術館もある屈指の観光スポット。
最寄りの駐車場は「美ヶ原長和町営駐車場」(駐車可能台数約60台/無料・トイレ有)
※美ヶ原長和町営駐車場は3時間以上の駐車を推奨されていないので、長居する方は手前の「道の駅美ヶ原高原 駐車場」(駐車可能台数約800台/無料・トイレ有)へ停めたほうが良いみたいです。
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・美ヶ原台上コース
美ヶ原自然保護センターから王ヶ頭・王ヶ鼻を目指す、標高差約100m/片道約4km/徒歩約60分程度の距離が短い穴場のハイキングコース
最寄りの駐車場は「美ヶ原自然保護センター駐車場」(駐車可能台数約150台/無料・トイレ有)
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・八丁ダルミコース
桜清水茶屋から王ヶ頭・王ヶ鼻を目指す、標高差約700m/片道約4.4km/徒歩約180分程度の登山コース
最寄りの駐車場は「桜清水茶屋 駐車場」(駐車可能台数約10台/無料・トイレ無)
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・木舟コース
桜清水茶屋から王ヶ頭・王ヶ鼻を目指す、標高差約700m/片道約5.5km/徒歩約200分程度の登山コース
最寄りの駐車場は「桜清水茶屋 駐車場」(駐車可能台数約10台/無料・トイレ無)
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・ダテ河原コース
三城牧場から王ヶ頭・王ヶ鼻を目指す、標高差約600m/片道約6km/徒歩約240分程度の登山コース
最寄りの駐車場は「三城いこいの広場駐車場」(駐車可能台数約50台/無料・トイレ有)
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・百曲りコース
三城いこいの広場オートキャンプ場から王ヶ頭、王ヶ鼻を目指す、標高差約600m/片道約7km/徒歩約270分程度の登山コース
最寄りの駐車場は「三城いこいの広場駐車場」(駐車可能台数約50台/無料・トイレ有)
今回はがっつりと登山を楽しむことが出来る「百曲りコース」をご紹介いたします。
百曲りコースから頂上へ

百曲りコースの登山口がある「三城いこいの広場駐車場」は、無料で車を約50台停めるスペースがあります。トイレはもちろんのこと、レストランや売店もあるので大変便利です。ただし夜間は駐車できないのでご注意ください。

登山口は駐車場の対面に見える三城いこいの広場の左隣にあります。

途中までは「三城いこいの広場オートキャンプ場」の敷地内を横切ることになるので静かに通過しましょう。キャンプ場利用者は、キャンプ場から直で登山ができるので便利ですよ。

しばらく進むと道路が舗装されたオートキャンプサイトにぶつかるので左折します。

オートキャンプ場を進むとゲートが見えてきます。ここまでがキャンプ場の敷地内となります。

まずは塩くれ場と呼ばれる、美ケ原牧場の一角を目指します。距離にして3km程度です。

序盤は小沢という沢に沿って緩やかな登山道を進みます。景色も良くてなかなかの絶景です。

開放的な開けた景色なのでとても楽しい登山道です。キャンプ利用者がハイキングでも利用しているみたいです。

800mほど進むと広場に到着します。東屋もあり、休憩には最適な場所です。

ここからは茶臼山を目指すルートと分岐しています。体力に自信がある方は茶臼山から王ヶ頭を縦走するみたいです。

この先は「百曲りコース」の由来でもある、ジグザグ道を登り続けます。

つづら折りの登山道なので景観に変化が無く、心を無にして登ることになります。そのかわり急な登りが無く比較的緩やかで大きな段差もほとんど無いので、足腰の負担は少ないです。

塩くれ場の1km手前まで登ると、景色が開けてきます。

とはいえ塩くれ場手前まではずっとつづら折りです。ちゃんと数えると本当に100の曲がり角があるんじゃないと思えるほどジグザグ道が続きます。

樹林帯から解放された先には、美ヶ原高原の案内図がある広場に出ます。百曲り園地という絶景ポイントです。

この時点で周りは絶景スポットだらけです。休憩がてら絶景を楽しみましょう。
アルプス展望コースから王ヶ鼻を目指す

百曲がり園地から右方向に500m進むと塩くれ場に到着します。今回はそちらを目指さずに左手のアルプス展望コースを進みます。

アルプス展望コースは、その名の通りアルプスの展望が素晴らしい絶景コースです。

高低差があまり無いのでハイキング気分で進んで行けますが、道が相当ぬかるんでいるので、かなり歩き辛いです。

アルプス展望コースは至る所が絶景ポイントなので景色を楽しむために立ち止まることが多くなります。

百曲がり園地から1km程度進むと、烏帽子岩が見えてきます。

烏帽子岩の先端からはアルプスの山々や、王ヶ頭ホテル、電波塔が見えます。まるで要塞のようですね。

美ヶ原の最高峰である王ヶ頭の傍にある「王ヶ頭ホテル」が見えてきました。

分岐に到着。200m登れば「王ヶ頭」ですが、一旦スルーしてその先にある「王ヶ鼻」を目指した方が無駄なく周回できます。

電波塔を目指して平坦な道を1km進んでいきます。

分岐にぶつかるので左側へ進みます。右側へ進むと「王ヶ頭」山頂です。

この先の「王ヶ鼻」へ続く道は1本道で、周回ルートがありません。ひたすら真っすぐ進んでいきます。

「王ヶ鼻」山頂に到着です。標高は2008m。美ヶ原台上の先端部です。展望という点においては美ヶ原で一番絶景ポイントだと思います。

なんといっても日本百名山の3分の1の山々を一望できてしまうという、贅沢なスポットです。

山がありすぎて、どれがどの山だかさっぱりわかりませんでした。日本を代表する山々が勢ぞろいです。こんなスポット、他にあるでしょうか?

北アルプスの山々が、まるで津波のように立ちはだかっている壮大な景色です。

次に目指す「王ヶ頭」の展望も最高です。360度パノラマビューでした。
王ヶ鼻から王ヶ頭を目指す

美ヶ原の最高峰である王ヶ頭を目指して、来た道を引き返します。

「王ヶ頭」は、周りにホテルや電波塔が沢山そびえたち、人工物だらけです。山頂はどういった雰囲気なのでしょう?

登り切ると、そこは山頂とは思えない雰囲気でした。人工物のオンパレードですね。

「王ヶ頭」山頂に到着です。標高は2034m。360度パノラマビューとはいきませんが、ここが美ヶ原の最高峰です。

「王ヶ鼻」ほどではありませんが、松本市の街並みと、壁のようにそびえたつアルプスの山々は圧巻の景色です。

山頂から徒歩1分程度で「王ヶ頭ホテル」に到着です。このホテルの宿泊者は、日本で一番最短距離で日本百名山の山頂に行くことができます。

王ヶ頭ホテルには売店や食堂、トイレがあります。トイレは有料で、100円を支払って利用します。
美ヶ原高原を散策しながら下山

せっかくなので、美ヶ原の観光スポットでもある広大な高原を散策しながら下山します。

道は大変整備されていて、平坦な道のりなのでハイキングには最高だと思います。

遠くに見える「王ヶ頭」は、まるで要塞のようですね。巨大な軍艦に見えなくもありません。これはこれで美しいですね。

この先には美ヶ原高原の象徴でもある「美しの塔」があるのですが、体力も大分無くなってきたので寄りませんでした。真ん中に小さく見える塔が「美しの塔」です。

美ヶ原高原は想像以上に広大な台地で、ハイキングだけでも相当な距離を歩くので良い運動になると思います。すべてを回りきるには結構な体力が必要なほど広大でした。

塩くれ場に到着です。名前の由来は、牛や馬たちが病気にならないよう、岩の上に塩を置いて与えていたところからきてます。塩くれ場にもトイレはありますが、冬季は使用できないのでご注意ください。

登頂時に到着した百曲り園地に戻ってきました。ここまでトータルで10km以上歩いていました。
美ヶ原に登ってみてわかったこと

美ヶ原山頂の広大な台地は、どこを見渡しても絵になる絶景が広がる飽きの来ない山でした。美ヶ原高原に登ってみてわかったことをまとめました。
日本百名山の3分の1を一望できる360度パノラマビューの絶景

周りを遮る高い山がない長野県の中心に位置する山ということもあり、北/南/中央の日本アルプスをはじめ、富士山や八ヶ岳連峰、御嶽山、乗鞍岳、浅間山、妙高山など、日本百名山の三分の一を一望できる360度パノラマビューの景観が魅力です。
全体的に開放的で海外にいるような感覚になりますよ。
登山初心者でも問題なく登れる難易度

距離は多少ありますが、がっつりとした登山でも急登や階段が無く、危険箇所も無いので登山初心者でも問題なく登れます。
標識が充実しているので道迷いの心配もありません。日本百名山の中でも難易度がかなり低い山だとおもいます。
多彩なコースがある

美ヶ原には小学生から上級者まで、レベルに合わせたコースが沢山用意されています。登山道以外にも、美ヶ原高原美術館から散策できるハイキングコースも充実しています。
山頂にお店が充実している

美ヶ原にはたくさんのお店があり、大変賑わっています。トイレや自動販売機、「王ヶ頭ホテル」でのショッピングや食事、美ヶ原高原美術館や道の駅など、なんでもあります。
さすがは有名な観光地です。本当にここは山頂なのかという錯覚に陥りますよ。
登山に興味がない方にもおすすめ

登山に興味はないけど絶景は見たいという方には本当にオススメです。車で美ヶ原高原美術館に到着すれば、目の前には壮大な絶景が広がります。歩くのが嫌いな方でも思わずハイキングしたくなること間違い無しです。
究極の勝ち組リゾート「王ヶ頭ホテル」の存在

美ヶ原の最高峰である王ヶ頭の傍にある「王ヶ頭ホテル」は、標高2034mの立地にある天空のリゾートホテルです。
ホテルまではバスで送迎してくれるので、車窓から絶景を眺める特権付きです。360度パノラマビューのアルプスの絶景を眺めながらの宿泊ができるのは、このホテルくらいではないでしょうか。
予約も困難らしいので、正に究極の勝ち組リゾート施設。一度は宿泊してみたいものです。
見どころが多すぎて困る

高原台地である美ヶ原は、台地の面積が600ヘクタールもあるんだそうです。ピンとこないですよね。東京ドーム130個分なんだそうです。余計ピンと来なくなりそうですが、それだけ広大ということです。
どの位置を切り取っても絶景しか無いので、見どころが多すぎて困るという、嬉しい悲鳴があがる山でした。
「美ヶ原」は終始絶景尽くしの山でした

美ヶ原は想像以上に絶景ポイントだらけで、登山開始から下山まで見どころがあり過ぎてお腹いっぱいになりました。
山頂にある美ヶ原高原は、1日ではとても周りきれないくらい広大です。季節によってまったく違う景色を見せてくれる山なので、何度もリピートしたくなる要素が満載の山でした。
登山以外にもドライブや観光がてらのハイキング、ホテル泊もできるので、登山に興味の無い方でもお腹いっぱいになるまで絶景を楽しむことができますよ。
ギア
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