先日キャンプをした「PICA八ヶ岳明野」入口で、茅ヶ岳の登山コースが目に入ってきました。そこで初めて知った山が「茅ヶ岳(かやがたけ)」です。
標高がそこまで高くなく、晩秋でも冬装備無しで登ることが出来るようなので急遽登ってきました。
終盤は急登続きでハードでしたが、疲れを感じる暇がありませんでした。何故なら岩登りあり、落ち葉トラップありの、アスレチック感満載な登山コースだったからです。数々のトラップをクリアした後の山頂には360度パノラマ絶景のご褒美が待ち受けていましたよ。
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目次
深田久弥終焉の地「茅ヶ岳(かやがたけ)」
山梨県北杜市、甲斐市にまたがる「茅ヶ岳」は、中央自動車道韮崎インターから車で約10分。八ヶ岳の南東、奥秩父山塊に属する標高1704mの山です。茅ヶ岳の山容が隣接する八ヶ岳とそっくりなことから、「にせ八つ(偽八ヶ岳)」と古くから呼ばれているんだそうです。
茅ヶ岳は「日本百名山」著者・深田久弥氏終焉の地として有名な山で、多くの登山者が訪れます。1971年に茅ヶ岳登頂中、山頂手前で脳卒中のため逝去したその場所には「深田久弥終焉の地」と記された慰霊碑が立てられています。
山頂からの眺望は素晴らしく、富士山、南アルプス、八ヶ岳を一望できる360度パノラマビューの景勝地です。日本二百名山、山梨百名山に選定されていますよ。
「茅ヶ岳」登山コース
茅ヶ岳の登山ルートは全部で4つあります。深田記念公園以外の登山ルートは駐車場に数台程度しか車を停めることが出来ないので、深田記念公園からの登頂ルートをおすすめします。
深田記念公園から登頂する
標高差約750m/片道約3.8km/徒歩約150分程度の、深田久弥終焉の地を辿ることができる最もポピュラーなコース
最寄りの駐車場は「深田公園駐車場」(駐車可能台数約30台/無料・トイレ有)
観音峠から登頂する
標高差約400m/片道約3km/徒歩約150分程度の急登の岩場が続く中級者向けコース
最寄りの駐車場は「観音峠駐車場」(駐車可能台数約5台/無料・トイレ有)
PICA八ヶ岳明野から登頂する
標高差約700m/片道約5.5km/徒歩約180分程度の金ヶ岳を縦走するコース。キャンプがてら登山する方も多いんだそうです。
最寄りの駐車場は「PICA八ヶ岳明野手前の駐車場」(駐車可能台数約7台/無料・トイレ無 ※キャンプ利用者優先の駐車場なのでキャンプ場に確認したほうが良いです)
千本桜公園展望台から登頂する
標高差約700m/片道約3km/徒歩約120分程度のコース。周回コースで使われることが多く、このルートから登頂する登山者は少ないんだそうです。
最寄りの駐車場は「千本桜公園入口駐車場」(駐車可能台数約8台/無料・トイレ無)
今回は日本百名山の著者、深田久弥氏が登山中に逝去された定番のコース、「深田記念公園から登頂する」コースをご紹介いたします。
深田記念公園から頂上へ
深田記念公園は、深田久弥氏が茅ヶ岳登山中に逝去されたことをうけ作られた公園なんだそうです。無料で車を約30台程度停めるスペースがあります。
駐車場内にはトイレがあります。山頂含め、ここ以外トイレがないので登山前に利用したいところです。駐車場入り口には自動販売機もありましたよ。
登山口は駐車場を奥に進んだ場所にあります。
深田記念公園からの登山ルートは「女岩ルート」と「尾根ルート」から成る周回コースです。
コロナ対策で登りは「女岩ルート」下りは「尾根ルート」を使うようにと登山案内看板に書かれていました。案内図に従って進めば「女岩ルート」へ案内されるので、あまり気にしなくて良いと思います。
駐車場出口で道が分岐しているのですが、案内図が無いのでどちらに進めばよいか迷いました。真っすぐ進まず、砂利で整備された左側の道を進むのが正解です。この場所に案内図が欲しいところです。
少し進むと標識と登山届ポストが見えてくるので、標識に沿って茅ヶ岳方向へ進みましょう。
女岩を目指す
女岩までは急登や危険個所は無く、なだらかな登山道が続きます。距離にして約3km。標高差400mを約90分かけて登ります。
登山道は整備されているうえに、所々に案内図があるので女岩までは道迷いの心配はありません。
700mほど歩き進むと道路に出ます。
道路の対面には標識があるので、標識に従って進めば自然と「女岩ルート」へ向かいます。もう一つのルートである「尾根ルート」は、道路を100mほど進んだ場所にあります。
この先は石がゴロゴロとしていて少しだけ歩きづらいですが、基本緩やかな登山道なのでハイキング気分で登ることが出来ます。
標識は看板ではなく、木にペンキで直で書かれています。距離が書かれているのは個人的にはありがたいです。
女岩までは本当に緩やかな道が続くので、初心者にはオススメかもしれません。標高差が750mもあるのに、暫く緩やかな登山道が続くと、後半が怖いですよね。
少しづつですが登りが気持ちきつくなり、岩だらけの登山道になっていきます。
女岩に到着です。岩の壁が壮大ですよね。現在は立ち入り禁止になっています。
以前は女岩を登る登山コースだったそうなのですが、落石が多く、現在は廃止になったコースです。右側の迂回路から山頂を目指します。
ここから先は岩登りあり、落ち葉トラップあり、急登ありの、アスレチック満載なコースが続きます。
女岩から岩登り地帯をクリアする
標高差が750mもあるのに、ここまで緩やかな登山道だったいうことは、女岩以降は急登続きということでもあります。
後半は女岩から山頂までの約800mの距離で、標高差350mを一気に駆け上ります。すでに物凄い傾斜ですよね。
最初に立ちはだかる壁は岩の壁です。見た目以上に巨大な岩で、岩に書かれたペンキの矢印を頼りに岩登りが続きます。
落ち葉が積もっているので足場をしっかりと確認しながら岩登りをします。場所によっては落ち葉の落とし穴もあるので、ゆっくり慎重に岩を登りましょう。
落ち葉が積もっている晩秋は登山ルートがわかり辛くなるので、道迷いの危険性がありました。岩に書かれた矢印と立ち入り禁止のロープを頼りに岩を制覇しましょう。
岩登りは大変ですが、探検隊の気分を味わうことが出来ますよ。
岩登り地帯をクリアすると、落ち葉トラップ地帯に到着です。
落ち葉トラップ地帯をクリアする
晩秋の茅ヶ岳の登山コースは、まるで雪のように落ち葉が積もるので、見た目はとても美しいのですが、盛大なトラップが待ち受けるスリリングなコースに変貌します。
というのが、本来は岩だらけの足場の悪い登山コースなのですが、落ち葉が積もっていて岩の隙間が判らなくなっているからです。踏み抜くと大変です。
落ち葉トラップの前半は、岩がむき出しのコースが続きます。
落ち葉で登山道が判らなくなっているので、矢印の標識とピンクリボンを頼りに登ります。
後半は大変開けたコースが広がります。一面落ち葉が積もっていて美しいですよね。一見登りやすそうに見えますが、茅ヶ岳最大の落ち葉トラップ地帯です。
というのも、前半の岩場よりも岩が小さいので、落ち葉の下に岩が隠れている状態なんです。油断すると岩の隙間に足がはまります。
本来はつづら折りになった登山道のようですが、落ち葉で登山道は完全に埋もれています。
後ろを振り返ると、落ち葉の絨毯を楽しむことが出来ます。晩秋にしか見ることが出来ない貴重な景色です。
長い落ち葉トラップを抜けると、標識が見えてきます。ここから先は落ち葉で登山道が判らなくなっているエリアは無くなります。
深田久弥終焉の地を目指す
標識がある場所から、深田久弥が脳卒中で急逝した「深田久弥終焉の地」と記された慰霊碑を目指します。
「深田久弥終焉の地」までは距離にして100m程ですが、急登が続きます。
深田久弥終焉の地に到着です。思ったより地味なのではじめは気付かずに通り過ぎてしまいました。この場所から山頂までは、わずか200m足らずでした。本当に山頂手前だったのですね。
慰霊碑には沢山の石が積まれていて、ケルンになっていました。
ケルンというのはピラミッド型に積み上げられた石のことで、本来は登山道の道しるべとして作られているのですが、供養のための慰霊碑として作られる場合もあります。多くの登山者が「深田久弥終焉の地」に石を積んでいるんでしょう。
茅ヶ岳山頂へ
残すは茅ヶ岳山頂のみです。距離にして200m程度ですが、岩場の急登が続きます。
岩にペイントされた矢印を頼りに登ります。
景色が開けてきました。山頂までもうすぐです。
山頂手前には「尾根ルート」の分岐があります。下山はこちらのルートを使います。
「茅ヶ岳」山頂に到着です。標高は1704m。後半に立ちはだかる数々のトラップと急登をクリアした後の山頂には360度パノラマ絶景が待ち受けていました。
茅ヶ岳からの景色
茅ヶ岳山頂は想像以上に眺望が絶景でした。山頂手前まで景色の無い樹林帯だったのでご褒美感が満載です。登った甲斐がありました。
南東方向には富士山がばっちり見えます。とても絶景ですよね。
西方向には北杜市の街並み越しに南アルプスが広がります。
北方向には八ヶ岳連峰が広がります。生憎の雲で綺麗に見えませんでした。
北東方向には金峰山、瑞牆山といった奥秩父連峰が広がります。
山頂の付近には方位盤があり、そちらを見ると360度全方位で名立たる主要な山々を一望できることがよくわかります。どの方向にどんな山があるかは書かれていないのが残念でした。
「尾根ルート」から下山する
コロナ対策で、下りは「尾根ルート」を使うようにと登山案内看板に書かれていたので、「尾根ルート」から下山します。
尾根ルートは全体的に急登や落ち葉トラップ、岩トラップもなく、なだらかな登山道です。下山は結構楽でしたよ。
駐車場の標識がみえたら道路が見えます。この先は登山時に利用したルートと一緒です。100mほど道路を歩いて元の登山ルートに合流します。
茅ヶ岳に登ってみてわかったこと
景観の無いアスレチック感満載な登山コースの先には360度パノラマ絶景のご褒美が待ち受けていました。茅ヶ岳に登ってみてわかったことをまとめました。
360度パノラマビューの眺望がすばらしい
茅ヶ岳山頂には南アルプスをはじめ、富士山や八ヶ岳連峰、奥秩父連峰などを一望できる360度パノラマビューの景観が広がります。苦労して登っただけあって、ご褒美感も特別なものに感じる事間違い無しです。
深田久弥終焉の地として有名
深田久弥の山岳随筆集「日本百名山」は、登山家の間では教科書のような存在で、日本百名山を制覇するために登山をされる方は数知れずです。そんなカリスマ的存在である深田久弥氏が亡くなったのが、この茅ヶ岳だということを初めて知りました。
深田久弥氏が茅ヶ岳登山中に逝去されたことをうけて深田記念公園が作られ、毎年4月には「深田祭」という山にまつわるイベントが開催されています。
山頂にはトイレが無い
山頂を含め、登山中にトイレは勿論のこと、自動販売機もありません。登山前にトイレは済ませておきましょう。
登山道の標識がわかり辛い
晩秋で落ち葉だらけだったせいもあるかもしれませんが、全体的に登山ルートの標識がわかり辛い印象でした。標識に書かれた案内板もわかり辛いところが多く、何度か道に迷いそうになりました。GPSアプリで登山マップをダウンロードするなり、登山マップ持参はマストです。
晩秋の登山道は落ち葉トラップが凄い
晩秋の登山道は、岩だらけの急登な斜面に落ち葉が積もってトラップだらけです。足場が悪い上に滑りやすく、場所によってはひざ下まで足が埋まります。一歩一歩足場を確認しながら登らないと、最悪怪我をする可能性があります。慎重に登りましょう。
晩秋の登山コースは落ち葉にご注意
茅ヶ岳は日本百名山著者・深田久弥終焉の地として有名な、360度パノラマビューの山でした。と同時に晩秋の登山道は一面落ち葉が積もり、なかなかスリリングな登山でした。
ここまで落ち葉トラップが凄い登山道も珍しいのではないでしょうか。とはいえ一面落ち葉の絨毯で敷き詰められた登山道は大変絶景で、貴重な体験もできるので個人的にはオススメだと思いました。
無理をせずに慎重に一歩ずつ登れば、アスレチック気分満載で疲れを感じる暇が無く、楽しい登山が出来ると思いますよ。ただし、落ち葉に埋もれた登山道は滑りやすく、足を取られる箇所が沢山あるので、くれぐれも怪我にだけは気を付けてくださいね。
ギア
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