赤岳や硫黄岳といった八ヶ岳登山のベースキャンプ地として人気の「赤岳鉱泉」は、テント泊も可能な山小屋です。場所柄、お客さんのほどんどが登山客ですが、登山だけでなく一味違ったバックパックキャンプを楽しむのにも最高のテント場だと思いました。
そこで今日は、八ヶ岳登山の聖地ともいえる「赤岳鉱泉」の魅力と、初めてのテント場デビューにもオススメしたい理由をご紹介します。
目次
「赤岳鉱泉」について
営業期間 | 通年営業 |
---|---|
予約 | 不要(不可) |
設営可能数 | 約100~150張 |
水場 | あり(無料) |
テント場までの距離 | 美濃戸口駐車場より約7km / 徒歩およそ3時間 |
「赤岳鉱泉」は、美濃戸口駐車場から徒歩3時間。南八ヶ岳の麓にある山小屋で、標高約2200mの立地にあります。八ヶ岳の最高峰「赤岳(あかだけ)」をはじめ、硫黄岳、横岳といった南八ヶ岳の登山拠点で、常に多くの登山者で賑わっています。
移動手段は徒歩のみで、登山口からは約7km、標高差約750mと、一見大変そうにみえる道のりですが、全体的に緩やかな登りが続くので、テント泊初心者でも行きやすいテント場として人気です。
赤岳鉱泉は他の山小屋と比べて設備が充実しているのが特徴で、なんとお風呂まであります。しかも日本で2番目に高い場所にある温泉です。トイレは山小屋では珍しく水洗式で大変綺麗。
飲み水は無料な上に、食事や売店も充実していて、どれも大変美味しい本格的なごはんです。特にステーキやマムートジョッキのビールは赤岳鉱泉の名物で、多くの登山者の憧れにもなっています。
テント場もサイトのバリエーションが豊富でしっかりと整備されていて、八ヶ岳を一望できる絶景の平地から林間サイトまで、本物の大自然を満喫できるテント場です。
「赤岳鉱泉」が初めての登山泊にもおすすめな理由
赤岳鉱泉は、登山でのベースキャンプの域を超えた非常に設備が整った施設で、もはやテント場ではなく、立派なキャンプ場です。筆者が「赤岳鉱泉」をバックパックキャンプにおすすめしたい理由をまとめました。
100~150張程度可能な予約不要のフリーサイト
赤岳鉱泉は予約不要のキャンプ場で、設営可能なテント数は約100~150張と広大です。場所によってはプライベート感のある林間サイトや、八ヶ岳の絶景を一望できる平坦なエリアなど、テント場の域を超えたバリエーションの豊富さは魅力的です。
設備がキャンプ場並みに綺麗でしっかりしている
赤岳鉱泉は設備が本当にしっかりとしていて清潔感があります。トイレは大変綺麗で、山小屋では珍しい水洗式。水場も無料で利用が出来るので飲み水に困ることもなく、屋根付きの休憩所は憩いのオアシスです。もちろん売店も充実しているので食べ物に困ることもありません。
普段のキャンプではお目にかかれない絶景を拝める
赤岳鉱泉までの道のりは過酷ですが、その代わり、八ヶ岳の雄大な絶景と森に囲まれた大自然を拝むことが出来ます。登った人だけが見ることを許される、普段のキャンプではお目にかかれない絶景を独り占め出来ますよ。
食べ物やお酒など売店が充実している
赤岳鉱泉は売店が充実しているので、荷物が限られるバックバックキャンプで心強いキャンプ場です。飲み物や食べ物は勿論のこと、クラフトビールやワイン、日本酒といった酒類も充実しています。
ご飯が美味しいことでも有名で、種類も豊富。カレーやつけ麺、牛丼、もつ煮、ラーメンといった軽食は誰でも注文できますよ。
温泉がある
出典:赤岳鉱泉" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://userweb.alles.or.jp/akadake/kosen.html赤岳鉱泉は「鉱泉」という名の通り、地下からの湧水が豊富で、日本で2番目に高い場所にある温泉として有名です。温泉マニアには堪らない施設ではないでしょうか。
シャンプーやボディソープは使えませんが、八ヶ岳の秘湯を満喫できます。
赤岳鉱泉でしか味わえない2つの特別なメニューが激熱
赤岳鉱泉の名物メニューといえば「ステーキ」です。事前予約が必要ですが、キャンプ利用者であれば2500円で「夕食」の注文が可能です。
但し、メニューの通り「夕食」なので、必ずステーキが出るわけではなく、食材の調達具合によっては別メニューなことも多々あります。赤岳鉱泉に宿泊したからといって、必ず食べることが出来るわけでは無いところもまたレア度が増していいですね。
すべてはその日の運次第のステーキ。当日の夕食メニューは、夕方ごろに受付の掲示板でお知らせされるのですが、ステーキの文字を見た時は筆者のテンションはマックスでした。
ステーキを食べる為に赤岳鉱泉へリピートする登山者は数知れず、誰もが一度は食べたいと願う超人気メニューです。
そしてもう一つの名物といえばマムートジョッキの生ビールです。
スイスの登山用品製造ブランド「MAMMUT(マムート)」と協賛関係にある山荘にだけ、特別に提供されている非売品のジョッキで、数ある山小屋でも7カ所でしか取り扱っていません。マムートジョッキの生ビールは、登山者であれば誰もが憧れるビールです。
この2つの名物のためだけにキャンプに行くのも、最高に尖っていて素敵な過ごし方だと思います。
赤岳鉱泉へのアクセス方法
赤岳鉱泉への移動手段は徒歩のみ。「赤岳鉱泉」へのアクセス方法をまとめました。
駐車場について
1. 「美濃戸口駐車場」がおすすめ
出典:登山口ナビ最寄りの駐車場は実は2つあります。1つ目は八ヶ岳山荘にある「美濃戸口駐車場(旧:蓼科観光駐車場)」で、駐車料金は1日500円。最大150台駐車できます。
ここから「赤岳鉱泉」へスタートする場合、距離にして7km、標高差750m、徒歩3時間の道のりです。
1時間程度、車が走れそうなダート道を進むと赤岳山荘に到着です。
2. 「美濃戸登山口駐車場」が最寄りだけどお勧めはできない
赤岳山荘には2つ目の駐車場である「美濃戸登山口駐車場」があり、こちらの駐車場が最も近い駐車場です。
美濃戸登山口駐車場は駐車料金が1日1,000円。70台程度駐車できます。
ここから「赤岳鉱泉」へスタートする場合、距離にして4km、標高差550m、徒歩2時間と、大幅に時間の短縮が可能です。
はじめからここの駐車場を紹介すればというツッコミが聞こえてきそうですが、デメリットのほうが大きいと感じるので、あまりお勧めできません。
というのが、物凄く人気の駐車場なので早朝前には満車であることが多いことと、駐車場へ続くダート道が大変な悪路で車高の低い車やスポーツカーでの通行が困難だからです。
安全策を取るのであれば「美濃戸口駐車場」を利用することをおすすめします。
赤岳山荘から赤岳鉱泉までのルート
赤岳山荘から徒歩3分のところにある美濃戸山荘の先に分岐があるので、北沢へ進みます。
初めの1時間は関係者車両のみ通ることが出来るダート道を進みます。
堰堤より先は、車の通行が出来ない本格的な登山道になります。登山道は全体の行程で1時間程度です。
八ヶ岳特有の、苔むした美しい樹林帯を暫く歩き進みます。
道は大変整備されていて、沢沿いを歩くので涼しくて気持ちの良い道のりです。
後半は景色が開けてきます。途中に立派な木道の橋が2か所ほどあるのですが、そこからの景色は大変絶景です。
終盤にさしかかると赤色に見える沢の水を見ることが出来ます。
「赤岳鉱泉」がみえてきました。標高差が結構あるので急な登りを覚悟していましたが、全体的に緩やかな道のりで沢歩きを楽しみながら登ることが出来ました。
「赤岳鉱泉」の施設案内
「赤岳鉱泉」の施設を写真付きでご紹介いたします。キャンプ場としての設備は最低限ですが、売店が充実しているので食事に困ることはありませんよ。
受付
山荘の入り口にあります。テント場の受付を済ませると札を渡されるので、テントの目立つ位置に付けましょう。チェックインは11時からですが、先にテントを設営だけ済ませて、あとで受付も可能です。
チェックアウトは徒歩の時間のことを考えると、必然的に昼前には撤収することになります。テントやギア、毛布といったレンタルはありません。
トイレ
赤岳鉱泉の最奥地にあります。大変立派な建物ですよね。チップ制でトイレ利用料100円を払うシステムです。100円玉は沢山用意しておきましょう。
山小屋では貴重な水洗トイレで、なんと暖房便座つきです。しかもトイレットペーパーもあるので大変助かります。ちなみにトイレットペーパーは便器に捨てることが出来ないので、汚物箱に捨てます。
ベンチ
テント場利用者以外でも利用できる憩いの施設です。屋根付きのベンチや、見晴らしの良いベンチもあり、多くの方が休憩で利用していました。
水場
建物の対面にあります。飲み水が無料なのは大変嬉しいポイントです。水は大変冷たく、美味しいです。
売店
売店ではお菓子やカップラーメン、飲み物をはじめ、カレーといった軽食や赤岳鉱泉でしか手に入れることができないグッズを販売しています。
お酒についてはビールやチューハイは勿論のことワインや日本酒の品ぞろいも豊富です。山小屋のレベルを超えたラインナップです。
お風呂
受付の隣にあります。キャンプ利用者であれば1000円で入浴可能です。収容人数は4人なので、順番待ちをすることになります。檜風呂の立派な温泉ですが、シャンプーやボディソープの利用は禁止です。
お風呂の営業期間は5月末から10月末までと、期間限定なのでご注意ください。
食堂
事前に予約が必要ですが、キャンプ利用者でも山小屋の夕食と朝食を食べることが出来ます。その場合、本来は宿泊者しか使うことが出来ない山小屋内の施設に入ることが出来ます。食堂は大変オシャレでカフェのような雰囲気です。
診療所
八ヶ岳連峰で唯一となる山岳診療所が赤岳鉱泉にあります。これはありがたいですよね。
「赤岳鉱泉」のサイトレビュー
赤岳鉱泉のテントサイトを写真付きでご紹介いたします。テントサイトは全面フリーサイトで、設営場所は早い者勝ちです。
八ヶ岳を一望できる絶景スポットや、木々に囲まれた木漏れ日が気持ち良いフィールドもあり、バリエーションに富んでます。
山小屋の前に広がる広大な敷地は比較的平坦で、八ヶ岳の絶景を拝むことが出来ます。開放感抜群で、周りに遮るものがありませんが、昼過ぎから段々と日陰になるので快適です。
グループ登山の方が多い印象で、テントが密集しやすいことと、売店やトイレが遠いところは好みが分かれるところです。
山小屋を囲むように細長く広がった林間エリアは、キャンプ感が満載でプライベート感があります。木々に囲まれているので開放感はありませんが、朝から昼にかけて木漏れ日が気持ち良いです。
売店やトイレが近いので便利ですが、通路沿いで人通りが多いので賑やかかもしれません。
サイトの広さ
小型テントを約100~150張りできる広さがあります。設営エリアは広大な上に点在していて、奥の方にも設営場所があるので、想像していた以上に設営ポイントは沢山あります。場所探しで少しだけ悩むかもしれません。
プライベート感
場所によってはプライベート感が確保されたエリアもありますが、そういった場所は真っ先に埋まります。
人気の平坦な広場のようなエリアは、休日ともなると密集するのでプライベート感はゼロです。しかし赤岳鉱泉は、タープや大型テントをはじめとした快適なギアの持ち込みが物理的に不可能なので、夜に騒ぐ要素が見当たりません。そのため夜は大変静かです。
サイトの地面の特徴
サイトの地面は石混じりの土です。林間側は草混じりの土だったりします。場所によっては石がゴツゴツとした場所や、缶や瓶の破片が埋まった場所も多々あるので、場所選びは慎重に行いたいところです。
傾斜はあるの?
場所によっては結構な傾斜がありますが、全体的にみると緩やかな傾斜はあるものの、比較的平坦な場所が多く、整備されています。とはいえ、起伏はそれなりにあるので設営場所は慎重に選びたいところです。
ペグの刺さり具合は?
ペグの刺さり具合は普通です。場所によっては石に当たることもありますが、ペグをずらして打ち直せばある程度スムーズに打ち込めます。大きな石が沢山あるので、ペグハンマー代わりや、ガイロープの固定に使えますよ。
「赤岳鉱泉」の注意事項
「赤岳鉱泉」で事前に知っておきたい情報をまとめました。
徒歩でしか行けない上に3時間以上歩く
赤岳鉱泉への唯一の交通手段は徒歩のみです。しかも距離にして7km程度、3時間以上歩くことになるので、キャンプ道具はザックに収まる範囲でしか持って行くことが出来ません。
ある程度の登山装備は必要
テント泊登山の中では初心者向けという位置づけではありますが、あくまで登山での話です。キャンプ目的でとなると、相当ハードルが高い場所だと思います。
全体的にきつい登りは無いとはいえ、足場の悪い岩場を標高差750メートル程度登るので、登山靴をはじめとした最低限の登山装備は必要です。
トイレットペーパーはゴミ箱へ
「赤岳鉱泉」のトイレは水洗式ですが、水流が弱いのでトイレットペーパーは流せません。使用済みのトイレットペーパーは汚物箱に捨てます。
ゴミは持ち帰り
「赤岳鉱泉」はゴミを捨てることが出来ません。ゴミは持ち帰りましょう。
電波が入らない
赤岳鉱泉周辺は基本、ほとんどの場所が圏外です。赤岳鉱泉も例外なく圏外なのでご注意ください。キャリアによっては僅かに電波が届くこともあるそうですが、本当に僅かです。ドコモに関しては確実に圏外でした。
人とは違ったバックキャンプを楽しみたい尖った方にお勧め
赤岳鉱泉は本来、南八ヶ岳登山のベースキャンプ地なので、登山客が殆どです。赤岳鉱泉でキャンプだけ楽しもうという方は少数派だと思います。とはいえ、電波すら届かない、周りに何もないありのままの大自然でのキャンプは、そうそう体験できることではありません。
特に日本で2番目に高い場所にある温泉や、名物のステーキとマムートジョッキのビールは赤岳鉱泉に行った人だけが楽しむことが出来る特別なご褒美です。これだけで「赤岳鉱泉」に行く価値ありです。
基本的な登山知識やマナー、登山装備が必要な場所なので誰にでもお勧めできるテント場ではありませんが、人とは違ったキャンプを楽しみたい、新鮮なフィールドをお探しの方にはうってつけのテント場だと思います。
ギア
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