筆者は徒歩キャンプなので公共交通機関を使ってキャンプ場へ行きます。以前は軽量化の為にアルコールストーブを使っていたのですが、アルコールストーブに使う燃料用アルコールは公共交通機関への持込不可だと判明してから使用するのを控えていました。
しかし、調べてみると燃料を「消毒用アルコール」や「除菌用アルコール」にする事で公共交通機関に持込可能になるそう!そこで消毒用・除菌用アルコールが本当に燃焼するのか、コスパはどうなのか、詳しく調べてみました。
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目次
アルコールストーブの燃料について
アルコールストーブで一般的に使われている燃料
アルコールストーブで一般的に使用されているのが「燃料用アルコール」。主成分はメタノール(メチルアルコール)で、メーカーによって配分は異なりますが50%~90%がこのメタノールになります。残りの成分はエタノール、イソプロパノール等が配合されています。
メタノールは第四類危険物に指定されており引火性も高いので取り扱いには注意が必要。ドラッグストアで簡単に手に入り安価なのでアルコールストーブの燃料としては最適です。
ただし、先に述べた通り第四類危険物に指定されるほど危険性の高いメタノールが主成分。引火性が高いだけでなく人体にとって有害です。メタノールは摂取する事で失明の危険性が高く、大量に摂取すると命の危険もあります。燃料用アルコールの火で食品を直接熱するなどの行為は止めましょう。
可燃性液体は公共交通機関に持込できない
以前、新幹線での放火事件が起こってから公共交通機関への持込み品の規定が厳しくなっています。
可燃性液体は基本的に持込禁止となっており、ライター用オイルを持ち込んだ男性が罰金6万円請求された事もあります。よって各鉄道会社によって多少規則は異なると思いますが、可燃性液体であるアルコールストーブ用の燃料は持込不可となります。
この場合、キャンプで良く使うオイルランタンの燃料もNGとなる訳ですが、可燃性を含む物でも小売り店で購入できる日用品で、2L若しくは2kg以内であればOKとのこと。キャンプで使用する程度の少量であればガス缶や固形燃料は持込可能となります。
※2023年12月1日編集部追記
「燃料用アルコール(メタノール)でも方法によっては持ち込める」という情報提供がありました。JR東日本や私鉄各社に質問したところ、補充用ライターオイルが持ち込み不可で、ライターは持ち込み可能。同じ理屈で蓋の出来るアルコールストーブに最初からメタノールを入れての持ち運びだと可能とのこと。完全NGでは無いですが、蓋ができるとはいえ完全密閉でないと危険なので充分に気を付けて下さい。またこちらの判断は各交通機関によって異なると思われるので利用前に必ず確認をお願いします。情報提供ありがとうございます。
除菌用、消毒用アルコールなら公共交通機関への持込OK
消毒用アルコールはコロナ禍になってから持ち歩く人も増え、もはや日用品。これなら多くの公共交通機関への持込が可能。主成分はエタノール(エチルアルコール)で揮発性が高く燃えやすいので、エタノールが高濃度であればアルコールストーブの燃料として使用できます。
飛行機への持込みも500ml以下であれば可能。飛行機での遠征キャンプ・登山をお考えの方や徒歩キャンプをされる方は助かると思います。ただし、燃料用アルコールと比べると割高になる事が多いのでコスパで考えると良いとは言えません。
除菌用アルコールと消毒用アルコールの違い
除菌用アルコールは一般的にエタノール濃度が50%程度なのに対して、消毒用アルコールはエタノール濃度が76.9~81.4vol%になります。
消毒用アルコールの方がエタノールの濃度が高いのでアルコールストーブの燃料として使いやすいですが、エタノールが高濃度であれば除菌用アルコールでも代用可能だと思います。
今回筆者はエタノールが高濃度で配合されている業務スーパーの「除菌アルコール78」(エタノール71.260%)を購入しました。こちらは消毒用アルコールに近いので、この除菌アルコールで燃焼可能であれば消毒用アルコールも同様であると言えます。
除菌用アルコールと燃料用アルコールの比較
除菌用アルコール、燃料用アルコール共に30mlで180mlの水が何分で沸騰するか、燃え尽きるまで何分かかるのかを試してみました。
火力、燃焼時間
消毒用アルコール、燃料用アルコール共に30mlで180mlの水が何分で沸騰するか?燃え尽きるまで何分かかるか?を比べてみました。
燃料用アルコール
まずは燃料用アルコール。中心は綺麗な青い炎で高温です。
燃料用アルコールは3分30秒で沸騰。やはり早いです。
燃料用アルコールは7分50秒で燃え尽きました。綺麗な青い炎で、五徳も赤くなっているので高温だと言う事が分かります。
除菌用アルコール
除菌用アルコールはなかなか火が付かず、マッチ2本使いました。炎もオレンジ色で燃料用アルコールと比べると低温です。
除菌用アルコールは4分7秒で沸騰。燃料用アルコールに比べると遅いです。
除菌用アルコールは9分10秒で燃え尽きました。燃料用アルコールに比べると低温で長く燃えると言うことになります。
結果
除菌用アルコール | 燃料用アルコール | |
火力 | オレンジの炎で低温 | 青い炎でかなり強い |
沸騰までの時間 | 4:07 | 3:30 |
燃え尽きるまでの時間 | 9:10 | 7:50 |
どの消毒用・除菌用アルコールを使うかなど条件や環境によって変わると思いますが、燃料用アルコールは青い炎で火力が強く、除菌用アルコールはオレンジ色の炎で青い炎に比べると低温で沸騰までに時間がかかりました。燃焼効率で言えば燃料用アルコールの方が優れています。
価格比較
筆者が今回使用した除菌用アルコールは業務スーパーで販売している安めの物で、1000mlで699円(税抜き)でした。
大容量サイズを安く購入できる場合もあるので一概には言えませんが、エタノールが高濃度の消毒用アルコールになると高価なので、燃料用アルコールの方が安く手に入ります。
例えば燃料用アルコールでお馴染みの健栄製薬で比較すると下記の通り、消毒用アルコールは燃料用アルコールの倍以上の価格になります。
消毒用アルコール(500ml) | 燃料用アルコール(500ml) | |
健栄製薬(希望小売価格) | 税抜き1,330円 | 税抜き510円 |
※メーカー希望小売価格での比較なので購入する小売店によって価格は異なります。
消毒用・除菌用アルコールで代用できる!
結果として消毒用・除菌用アルコールは燃料用アルコールの代用品として十分使用可能(除菌用アルコールはエタノールが高濃度に限ります)!
ただし、燃焼効率が悪く、価格も高い場合が多いのでコスパで言うと燃料用アルコールの方が優れています。特別な理由が無い限りは燃料用アルコールを使う方が良いでしょう。
しかし、筆者の様に徒歩キャンプをする方や飛行機を使った遠征キャンプをする方は交通機関への持込みができるかどうか重要なので、消毒用・除菌用アルコール一択となります。また、近年はコロナ対策として手指の消毒をされる方も多いので、消毒と兼用する使い方であればコスパが悪いと一概には言えないかもしれません。
ギア
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