キャンプクエスト編集部
川の水って飲んでも平気?キャンプ場の川や湧水、雨水の水質チェックをして飲んでみる

川の水って飲んでも平気?キャンプ場の川や湧水、雨水の水質チェックをして飲んでみる

ダラダラと汗をかく真夏にキャンプや山登りをしていると、近くを流れる川や透き通った湧水を見つけて「飛び込みたい!そしてお腹いっぱい飲み尽くしたい!」なんて思うこと、ありますよね?

しかし川や沢の水、綺麗に見える湧き水であっても、きちんと水質チェックがされていないと何に汚染されているか分かりません。飲んだ瞬間は良くても、数時間後に腹痛に襲われたら楽しいキャンプも台無しです。

そんな時、手軽に水質チェックができるという面白そうな道具を手に入れたので、いろんな水の水質を調べて、実際に飲んでみることにしました。

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WaTalkについて

こちらのオシャレな卓上スピーカーにも見える「WaTalk」は、マグカップ型の濁度計となっており、水道水やウォーターサーバーなどの飲用水の水質を誰でも簡単に測定できるちょっと変わったアイテムです。

重量もわずか273gと缶ジュース1本分で、水質の測定が終わって問題が無ければ、そのままマグカップとして利用が可能。キャンプや登山などで、湧き水や川の水を使わなければいけないシーンで大活躍してくれるということなので実際に試してみます。

多摩川の水質を調べてみる

というわけで多摩川の河川敷に来ました。まずは多摩川の水を飲んでも大丈夫なのか調査したいと思います。

水面に緑色の藻みたいなのがめっちゃ浮いていたので、最初からテンションが落ちて寝起きのような顔になっていますが、もし東京で大地震が起こってライフラインが停止してしまったら、こうした川の水さえも飲まなければいけなくなってしまうかも知れません。頑張りましょう。

近くでバーベキューをしている大学生グループに「なんかヤバい人がいる…」と見られていた気もしますが、こちらは今まさに生きるか死ぬかのサバイバルをしていますので、人目を気にしている暇はありません。

そうして手に入れた多摩川の新鮮な水がこちら。

ペットボトルに汲んだ感じだと、十分に透明で、そのまま飲んでも問題無いように見えますが、WaTalkで水質をチェックしてみましょう。

WaTalkの本体についているスイッチを押して電源をオン。ロゴマークが光って電源が入ったことを確認したら、もう一度スイッチを押すと、およそ15秒程度で結果が出ます。

ランプの色には4種類あり、一番安全な「ブルー」、グッドの「グリーン」、飲用可能な最低レベルとなる「イエロー」、そして米国EPAの飲料水基準に満たない「レッド」で飲んではいけないことを表示してくれるようです。

さて、結果はいかがでしょうか。

真っ赤。あきらかに飲めない水でした。

まあ、なんとなく想像は付いていましたが、こうして飲んじゃダメだよって言われると、余計に飲みたくなってしまいますよね。そういえば今日は朝から何も飲んでいません。

こんなに水があるのに飲めないのか…

さすがに真っ赤なランプでお知らせされてしまうと、気持ちよく飲むことはできません。しかし、本当に飲んではいけないのか?そんなの誰が決めたんだ?この水を飲むかどうか決めるのは、自分自身なんじゃないのかい?

ということで、専門家の意見として東京都の河川の水質を測定している『東京都環境局』に、多摩川の水を飲んでも良いか聞いてみることにしました。

多摩川の専門家に聞いてみた

「あ、もしもし?東京都環境局さんですか?多摩川の水をなんとかして飲みたいのですが、変な成分とか入っていたりしますでしょうか?」

担当者さん「多摩川では色んな箇所で水質チェックをしていますが、こちらでは飲めるかどうかの判断はしていません。水質測定の結果については公表しているので、それで判断してもらうと良いかも知れません。ただ、飲まない方が良いと思いますよ。」

「なるほど!早速、水質調査の結果を確認してみますね!ちなみに、飲めるかどうかの判断って何を見れば良いですかね?」

担当者さん「うーん、水道の水質精度管理を行なっている福祉保健局に聞けば、飲める水かどうか答えてくれるかも知れませんね。ただ『飲まないで下さい』と言われると思います。趣旨は変わるかも知れませんが、水道局で『水道水の基準』を確認してみるのはどうでしょうか。水道水の基準に達していれば、飲める水であると判断はできるかも知れません。ただ、飲まない方が良いと思いますけど。」

「ありがとうございます!なるべく安全に飲ませて頂きます!」

というわけで、今度は水道局に問い合わせてみることにします。

東京都水道局の水質管理項目を確認

「あ、もしもし。水道局さんでチェックしている飲める水かどうかの基準について教えてもらうことはできますか?」

担当者さん「水道水の水質基準のことで良いでしょうか。それなら水道局のホームページに『令和4年度 水質検査計画』が公開されていますので、そちらで確認してみて下さい。」

「ありがとうございます!この基準をすべてクリアしていたら『飲める水』ってことで良いですよね?」

担当者さん「??…そうですね、水道局ではすべての基準を厳密にチェックして、飲んでも問題の無い安全な水をお届けしています。」

水道局はこうした基準を設けて水道水の安全を保っているようです

水道局ホームページで水道基準項目のPDFをダウンロードしてみたら、めちゃめちゃ項目が多くてびっくりしましたが、これですべての情報が揃いました。

早速、多摩川の水質調査結果と、水道局の水質検査計画の数値を照らし合わせてみたところ、完全にアウトな項目を発見。それが『大腸菌』です。

水道局の基準では【検出されないこと】が絶対条件となっていますが、多摩川の水質調査では多いところで「100,000を超える大腸菌群数」が確認されています。

大腸菌とは

大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢等の消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。  *参考:腸管出血性大腸菌Q&A|厚生労働省

何年か前にも大ニュースとなったO157等の食中毒を引き起こすことで知られる「大腸菌」ですが、人の糞尿だけでなく、上流にいる鹿や猿などの野生動物のし尿や死骸などからも汚染されるため、どんなに綺麗に見える川や透き通った沢の水にも「大腸菌はいる」と思っていた方が良いとのこと。

全国の名水スポットや美味しいと評判の湧き水でも、いざ水質チェックをしてみると大腸菌が検出されることが少なくないとか。

しかし!!そんなこともあろうかと、今回は秘密兵器を準備してきましたよ!登山を趣味としている人なら持っている人も多いであろう小型携帯浄水器「ソーヤーミニ」です!

携帯浄水器ソーヤーミニでどこまで浄水できる?

ソーヤーミニは自然の中にある水源から安全な水を確保するための超小型浄水器です。小さくて軽量、しかも世界最高水準の除去率を誇るフィルターが搭載されており、薬品や動力を必要としない上にフィルター交換が不要で、有害な病原菌を99.99999%除去できる世界最高レベルの製品とのこと!

ソーヤーの浄水フィルターは腎臓のろ過技術を応用して開発されていて、米国環境保護局(EPA)の基準を上回るほか、国連でも効果が認められて世界70ヶ国以上で使用されているそうですよ。

本体に描かれた「FLOW」の矢印に沿って、右側から入れた水が本体内部のフィルターで浄水されて左側に出てくる仕組み。水の入口側は市販のペットボトルにもセットできる溝が付いているので、いざという時は汚水をペットボトルに入れて携帯しながら、喉が渇いたらソーヤーミニに口を付けて浄水したてのお水を直接飲むことも出来ます。

多摩川の水を浄水してみる

今回は分かりやすく、多摩川から汲んできた水と、ソーヤーミニで浄水した後の水でどれぐらい異なるのか比較してみることにしましょう。

ソーヤーミニで浄水した見た目の変化

左のコップが浄水前、右のコップが浄水後の水となります。

浄水する前は十分に透明に見えていたのですが、浄水後の水と比べてみると透明感が違います。実はこんなに濁っていたんですね。この濁りがすべて大腸菌や微生物だと思うと、ゾッとしてしまいます。

ソーヤーミニで浄水した水は飲めるのか?

ソーヤーミニで浄水はしましたが、まだ安心はできません。本当に飲んでも良い水なのかをWaTalkで確認してみます。ダブルチェックは基本ですからね。

おお!!青色のランプが付きました!これはEPA第一飲料水基準で「0.3NTU以下」であることが求められる濁度が【0~0.05NTU未満】という最高レベルの透明さとなります。

※WaTalkにはバクテリア等をフィルタリングする機能はついていません。

※「水質測定」は濁度を測定するものです。
※飲み水自体の安全性は一切保証されません。
※飲用は自己責任となります。

世界最高レベルのソーヤーミニで浄水したし、WaTalkでも青色ランプで水の綺麗さは保証されました。もう喉もカラカラなので、自己責任でグイっと飲んでみましょう。

多摩川の水を浄水して飲んでみた

ん、口当たりも良いし、変なエグみもない。

これ…もしかして本当に飲めるんじゃないか?

うん…飲めそう…

飲め…る?

飲め…

の……

っっっ!!!!!

くっせぇぇぇぇーーーー!!!!!!

やべーぞこれ!!田んぼの藻みたいな臭いがする!

ソーヤーミニやWaTalkは、水に溶けているカルシウムやマグネシウム、重金属を含む溶解固形物や放射性物質、細菌よりもさらに微細なウイルスなどを除去することはできません。

東京都水道局の水質基準では数値的に明確にアウトだった「大腸菌」はソーヤーミニで除去できたのかも知れませんが、基準として『異常でないこと』という明確な数値がなかった「臭気」が最後の砦として待ち構えていました。

仮にどれだけ水が綺麗で透明になっていたとしても、実家の裏にある田んぼのような臭いがしていると美味しく飲めませんので、東京都環境局の水質測定の結果を見直して、臭いの少ないお水を求めて多摩川の上流に向かってみることにします。

キャンプ場の近くを流れる川の水を飲んでみる

服がすでに濡れているのはTAKE2だから

多摩川の上流、奥多摩駅から歩いて5分ほどの場所にある「氷川渓谷」に来ました。氷川渓谷のすぐ下流には、川沿いで人気の高い氷川キャンプ場や川井キャンプ場、鳩の巣バンガローなど、都内でも有名なキャンプ場が連なっています。

ここの水が飲めれば、キャンプ場内でも川から水を汲んできて飲料水とすることが出来るはず。早速、水質チェックをしてみましょう。

多摩川上流の水質チェック

ペットボトルが水圧でベコベコになってしまいましたが、無事にGETできました。この段階では、下流の時よりも透明で、目で見るかぎりは濁っているようには見えません。

しかし、こんなに透き通って見えるのに、WaTalkの水質チェックではアウト…。確かに、東京都環境局の水質調査でも『大腸菌は検出されている』ので、この結果は仕方がないのかも知れませんが、肝心の「臭気」に至っては都内の川では最高レベルの臭いの少なさですよ?さすがにちょっと厳しすぎませんかね?

逆に考えれば、これでWaTalkの正確性も信頼に値すると思っていいのでしょうか。仕方がないので、もう一度ソーヤーミニに頑張ってもらうことにします。

ソーヤーミニで浄水してみましたが、目で見た限りでは浄水前と後に差はありません。どっちも透き通っていて美味しそうなんだけどなー。

疑問に思いながらも浄水後の水をWaTalkでチェックしてみたら、オールブルー!どれだけ見比べてもまったく差は感じられないのですが、WaTalkは人間の目視の100倍以上のレーザーセンサーで水中に漂うマイクロサイズの粒子の総量を算出しているそうですので、大丈夫だと言うのなら飲んでみましょう。

今度こそ美味しく飲めるのでしょうか?

おっ?これは…全然臭くないぞ!

めっちゃ…美味い?

ぷはーっ!うめー!体に染みるー!やっとお水が飲めたので、いつもより美味しく感じてしまいました。

藻や草のような臭いもなく、しかも冷えていてとても美味しいお水です!

飲み放題やー!まさに奥多摩の天然水やでー!

飲み水自体の安全性は一切保証されていません。飲用は自己責任です。

湧き水はそのまま飲んでも大丈夫?

多摩川を流れる水が美味しく飲めたので、登山道などでも見かける湧き水の水質チェックをしてみます。

氷川渓谷のさらに上流にある「境の清泉」という水場。こちらは東京の名湧水57選にも選ばれているほど美味しいお水だそうですが、本当にそのまま飲んでしまっても大丈夫なお水なのでしょうか?

湧き水の水質チェック

どれどれ…

ソーヤーミニで浄水せずとも、美味しく飲める青色のランプが付きました!さすがは東京の名湧水57選に選ばれているお水ですね!

早速、いただいてみましょう!

ごくっ!ごくっ!うんまっ!

くぅー!!うめえー!!!キンキンに冷えてやがるぜ!

かあーーーっっ!!美味すぎるーーー!!

境の清泉のお水は、そのままでも十分に美味しく飲めることが判明しました。

これまでは川の水を浄水して、本当に大丈夫なのか不安なまま飲んでいましたが、『安全なお水を飲める』という安心感が、多摩川を流れる水よりも格段に美味しく感じさせてくれている気がします。

人は水を飲むとき、味覚で味わっているのではなく安心感を味わっているんだということが今回の調査で分かりました。おそらく東京の水道水をボトルに入れてキンキンに冷やして販売したら売れると思います。東京都水道局さん、このアイデアどうですか?一緒に一儲けしませんか?

雨水は飲んでも平気?

この日の関東地方は雷を伴った猛烈な雨の予報

こんにちは。まさにバケツをひっくり返したようなものすごい雨が降っていますが、こうした雨水も飲むことは出来るのでしょうか?

雨水をコップに溜めて、水質チェックをしてみます。

当然のようにNG

やっぱり、雨水はそのままだと飲み水としては適していないようですね。ここでもう一度、ソーヤーミニに登場して頂きます。

いつものように頼みますよ、ソーヤーミニさん

さすがはソーヤーミニ!雨水でも飲用可能なレベルにまで浄水してくれました。

水だ水だー!ひゃっはー!

うめぇー!これが本物の東京の天然水やでー!

【注意】ウイルスは除去されません。飲用するには煮沸消毒を行うか、必ず衛生的な水に対して使用して下さい

今回、浄水器として使用したソーヤーミニは、0.1ミクロンの穴で水をろ過する仕組みとなっています。0.1ミクロン以上の大きさであるバクテリア(コレラ菌、ボツリヌス菌、チフス菌、アメーバ赤痢菌、大腸菌、大腸菌群、レンサ球菌、サルモネラ菌)、微生物(ジアルジア、クリプトスポリジウム、サイクロスポラ)などは99.9%以上の除去率を誇っていますが、フィルターよりも微細なウイルスは除去できません

医薬品管理センターによると、煮沸消毒を5分間行うことで、日常生活で感染の危惧のあるものはすべて死滅できるそうです。O157を含む大腸菌、ブドウ球菌は80度の熱湯で5秒間、エイズウイルスは80度の熱湯で60秒間、B型肝炎ウイルスは100度の熱湯で2分間、結核菌は100度の熱湯で5分間煮沸することで死滅させることができます。
また岩手県の感染対策マニュアルによると、80℃10 分間の処理により、芽胞を除くほとんどの微生物を感染可能な水準以下に死滅または不活化することが出来るとされています。

ただし、水にとけているカルシウムやマグネシウム、重金属等を含む溶解固形物や放射性物質を除去することは出来ません。必ず自己責任で、出来るだけ安全かつ衛生的な水に対して使用してください。

美味しい水を飲みたいならWaTalkを試してみては

WaTalkはレーザーセンサーを使用することで、人の目には見えない寄生虫やバクテリアだけでなく、鉛やマンガンなどの金属類についても調べることができます。

今回は「川の水は飲めるのか」というアウトドアに特化した使用方法をご紹介しましたが、水道水や家庭用ウォーターサーバーの品質チェック、井戸水などの簡易的な水質チェックに使用することも可能です。

もし我が家の水道水が安全なのか気になっている、という方がいたら試してみてはいかがでしょうか。「安全である」と保障されることで、これまで以上に美味しくお水が飲めるようになるはず。防災グッズと一緒に保管しておくと、いざという時に役立ってくれるかも知れませんよ。

今回はソーヤーミニと組み合わせることで、そのままでは飲むことができないような水も実験として飲んでみましたが、これらの機器を使用しても水に溶けている放射性物質や微細なウイルスなどは除去できません。あくまでも「一定の基準に達しているかどうか」の判断として使用するようにして下さい。飲用は完全に自己責任となります。

WaTalkはクラウドファンディングのMakuakeにて第一弾の先行販売をしていましたが、現在は終了しています。なお、10月11日から新たにクラウドファンディングを開始されたようですので、気になる方はチェックしてみて下さいね。

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  • キャンプクエスト編集部
  • キャンプクエスト編集部株式会社noasobi
  • 「キャンプは自由だ!最高だ!」と自然の中で過ごす快感、快楽に取り憑かれキャンプ沼にどっぷりハマった人が集まるキャンプクエスト編集部。趣味もキャンプスタイルも全員異なるが、共通点は日本キャンプ協会のキャンプインストラクターの資格を持っていること、キャンプを愛していること。時々、焚き火を囲い酒を飲みながら語り合う。

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