生のお米をそのまま食べると消化できずにお腹を壊してしまう、という話をご存知でしょうか。
とはいえ、被災時やサバイバルなどの緊急事態に、火を起こしてお米を炊くなんて悠長なことはしていられないかも知れません。そんな時のことを想定して、お米を炊かずに生のまま水に浸して何時間立てば食べられるか実験してみたいと思います。
※消化不良でお腹を壊す恐れがありますので、絶対に真似しないで下さい。
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目次
水で戻すだけで生米を食べることは出来るのか
米やイモに含まれている「デンプン」には種類があり、生のままだと消化しずらい「βデンプン」という状態ですが、そこに熱と水を加えることでデンプンが膨張して糊になり(糊化、こかという)、「αデンプン」という消化吸収しやすい化合物に変化するそうです。
つまり、水で戻しただけではβデンプンのままなので結局消化には悪いのですが、たっぷり水を吸わせることで柔らかく食べやすくはなるはず。
お腹を壊さない程度に挑戦します。
生米をそのまま食べてみる
まずは乾燥した生のまま食べてみましたが、ボリボリと硬すぎるスナック感覚で食べられないこともない(どちらかというと食べられない)ですが、これだけでお腹一杯食べるのは相当つらいと思います。
しばらく噛んでるとほんのり甘味を感じることは出来ますが、歯が弱い方は無理しない方が良いでしょう。私は歯が折れたかと思いました。
水につけたまま常温で数時間放置して食べる
状態の変化が分かりやすいように、透明のコップに米と水を入れて室温でしばらく放置します。
実験日は10月上旬のまだ残暑を感じる時期。常温で放置しすぎると雑菌が繁殖してしまうので、1時間毎にちょっとずつ食べてみて、食べられるかどうか判断したいと思います。
タイマーをセットして実験スタート。
1時間経過
見た目は水を吸って柔らかそう。これは少し期待が持てるんじゃないでしょうか。
スプーンでほんの少し口に含んでみたのですが、まだまだ硬さが残っています。イメージ的には「外側はしけってるのに中身は硬くてボソボソの粉っぽいポン菓子(味なし)」を食べているような感じ。普通に不味い。
この状態だと食べるのにも支障がありますので、もっと吸水させてみましょう。
2時間経過
2時間が経ちました。1時間前よりも粒に膨らみがあり、見た目はしっとりしているように見えます。お味の方はどうでしょうか。
一口食べてみると、お米全体が吸水したからなのか硬い部分は少なくなり、噛むとポロポロと崩れていく感じがします。より「ポン菓子」感が出てきたのですが、率直にいうと激マズです。お米の甘味は感じられず、水と唾液と粉っぽさだけが口の中に残り続けます。
このまま待っても美味しくはならなそうですが、もう少し放置してみたいと思います。
3時間経過
3時間経過したところです。見た目は一粒一粒がややふっくらしているように見えます。3時間経っても少しずつ吸水しているということでしょうか。
あまり期待せずに食べてみましたが、問題だった粉っぽさがかなり薄まっており、食べやすさという点では改善された気がします。噛んでいると甘味フレーバーをぼんやりと感じられますが、それでも不味いことには変わりません。
お腹も空いてきてテンションもガタ落ちですが、事前に調べた情報では「4時間吸水させれば食べられる」らしいので、あと1時間放置してみます。
4時間経過
奇跡的にお粥みたいになってないかな、と願ってましたが見た目に変化は無し。
一口食べるとやっぱり不味い。もうイヤ。ほんのお気持ち程度には柔らかさが増していて、はるか遠くにお米の香りも感じられますが、きっとこれ以上何時間粘っても大差は無いと思います。ギブアップ。
物理的には食べられないわけではないですが、緊急時でもこれを食べるぐらいなら別の手段を探した方が生存確率は上がるはず。生米は消化不良でお腹を壊してしまう以前に、美味しくないので食べられません。
結果、どれだけ吸水させても生米のままはマズイ
今回の検証結果となりますが、生米は何時間吸水させても生では食べられません(食えないわけではないけど、美味しくないしお腹を壊すというダブルコンボ)。
実は意外と食べられるんじゃないか、と実験前は高をくくっていましたが、時間経過していく内に「あっこれは無理なやつだ…」と察してしまいました。
これ以上は雑菌の不安もありますし、何時間待っても美味しくなる未来が見えないので、残ったお米に熱を通して食べたいと思います。
吸水させた生米を焼いて食べてみた
ネットで検索すると「吸水したまま放置してしまったお米は、フライパンで軽く焼いたら美味しくなった」という情報を見かけたので、4時間以上放置したお米で試してみることにします。
スキレットに生米をぶち込み、ごま油と「ほりにし」で味付けしながらイイ感じに焦げ目がついたところで完成。香ばしい匂いがしてきて、「美味しそう」という失われた感情が呼び戻されました。
お米同士があまりにもパラパラすぎてチャーハンというより鳥の餌みたいな感触ですが、実際に一口食べてみると「無限おこげゾーン」「こういう煎餅」「食べたことある気がするけど、何かは分からない」という感想を持ちました。食べられないことはないし、これは味付け次第で『美味しい』部類に入ると思います。
被災時や緊急時にガス缶の容量が少なくなり、あまり火を使いたくないという状況に限って言えば、こういう調理もアリかも知れません。よければ防災食体験に一度試してみてはいかがでしょう。
ギア
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