大山と聞けば、誰もが神奈川県にある「大山」を思い浮かべることでしょう。しかし、栃木県日光市にある「大山」も終始見どころしかない絶景の山で、神奈川県の大山以上の満足感があります。
今日ご紹介するのは、前半は3つの名瀑を巡りながら渓流歩き。後半は解放感のある草原歩きと、表情の違う景色を楽しめる「大山ハイキングコース」です。大山山頂からも絶景を満喫できるという、詰め込み感満載の知られざる絶景の山ですよ。
目次
日光・霧降高原にある絶景の山「大山」
栃木県日光市にある「大山(おおやま)」は、日光宇都宮道路日光インターから車で約10分。霧降高原の東に位置する標高1158mの山です。東武日光駅から「霧降の滝行き」バスで約15分と公共交通機関でのアクセスも良好なので、車をお持ちでない方でも行きやすい山です。
日光三名瀑の一つ「霧降の滝」からスタートする「大山ハイキングコース」は、表情の違う景色を楽しめる絶景トレッキングコースで、渓流歩きを楽しみながら霧降隠れ三滝と呼ばれる「丁字滝」「玉簾滝」「マツクラ滝」の3つの名瀑巡りができます。
隠れ三滝は名前の通り観光客にはあまり知られていない穴場スポットです。観光名所の日光市内にありながら込み合うことが無く、静かなトレッキングを楽しむことができます。
大山山頂は、尾根一帯が霧降牧場になっているので周りに遮るものが無く開放的です。女峰山や男体山といった日光表連山を間近で一望できるパノラマビューの絶景が広がります。
5月中旬から6月上旬にかけてはツツジが一斉に開花し、特に紅葉シーズンともなるとさらに絶景なんだそうです。渓流歩き・滝巡り・牧場ハイク・パノラマビューの山頂。正に終始見どころしかない山ではないでしょうか。
「大山ハイキングコース」を歩く
出典:自然公園財団 日光支部大山山頂を目指すルートは2つありますが、今日ご紹介するのは詰め込み感満載の絶景トレッキングを楽しめる「大山ハイキングコース」です。
大山ハイキングコース
- 霧降の滝バス停から隠れ三滝と猫の平を経て大山を目指す、標高差約400m/片道約4.5km/徒歩約150~180分程度のコース。
大山ハイキングコースは2つの異なった景色を楽しむことができます。前半は渓流歩きを楽しみながら「隠れ三滝」を巡る樹林帯歩きです。標高差がそこまで無く、木漏れ日の気持ち良いトレッキングです。
出典:自然公園財団 日光支部隠れ三滝巡りの後は直登の急登が待ち受けていますが、登り切った先にある「猫の平」と呼ばれるエリアは360度パノラマビューの草原が広がります。どこを切り取っても開放的な絶景が広がるビクトリーロードです。
大山ハイキングコースは、霧降高原レストハウスまでつながっているのでロングトレイルも可能です。今回は霧降高原レストハウス方向には向かわず、同じ道を戻るピストンルートのご紹介です。コースは以下のような流れになります。
ルート概要(ピストン)
- 霧降の滝バス停 → 大山ハイキングコース入口 → 丁字滝 → 玉簾滝 → マツクラ滝 → 猫の平 → 大山山頂 → 霧降の滝
順を追って説明しますね。
霧降の滝バス停 → 大山ハイキングコース入口
ハイキングコースがある霧降の滝は観光名所ということもあり、レストランや売店が充実しています。勿論トイレもあります。霧降の滝は下山後に寄り道するので、そのときご紹介いたします。
公共交通機関をご利用の方は霧降の滝バス停からハイキングコースまで約500メートルと、電車で登山も行きやすい山です。
車でお越しの場合、最寄りの駐車場は「つつじが丘駐車場」です。ハイキングコースの目の前で、約10台以上は駐車できそうです。しかも嬉しいことに無料です。
霧降の滝には北米風のカフェレストラン「山のレストラン」の駐車場が沢山ありますが、レストラン専用の駐車場なので利用しないようにしたいところです。
ハイキングコースはつつじが丘駐車場の傍にあります。標識に従ってつつじヶ丘へ進みましょう。ヤマツツジが群落するトンネルは、5月頃が見ごろなんだそうですよ。
大山ハイキングコース入口 → 丁字滝
丁字滝までは距離にして1200メートル、標高差30m程度を約30分~40分かけて歩きます。出だしはヤマツツジのトンネルを進みます。
ヤマツツジのトンネルを抜けると開放的な場所にでます。ベンチもあるのでツツジのシーズンは賑わいそうですよね。目の前にある女峰山を一望できる絶景ポイントです。
600メートル程歩くと、つつじヶ丘を抜けます。目の前に道路が見えますが、右手に林道に続く道があるのでそちらに進みます。
「戊辰の道」と呼ばれる古道は廃道になっていて進入禁止です。脇にある丸太の階段を進みます。看板にある通り、増水時は先に進めない箇所があるので、前日に大雨や台風だった場合、計画の見直しが必要です。
階段を昇ると細い尾根道が続きます。距離にして300~400メートル程度でしょうか。尾根道は足場が悪く、起伏があるので歩きづらいです。
尾根道を抜けると道路に出ます。丁字滝のある分岐までは舗装路歩きです。舗装路は車両進入禁止なので車を気にすることなく歩くことができます。
舗装路には至る所に標識があるので道迷いの心配はありませんが、丁字滝のある分岐はちょっとだけ分かりづらいかもしれません。橋を渡った先の右手に分岐点があるので見落とさないようにしましょう。
右手に分岐が見えてきました。来た道を戻るようなコース取りなので一瞬戸惑いますが、標識に沿って川沿いを歩きましょう。
ここからは渓流歩きを楽しみながらトレッキングができます。案内板に従って霧降川沿いを歩き進みます。
50メートル程歩くと分岐が見えてきます。真っすぐ進むと次の目的地「玉簾滝」へ進みます。肝心の丁字滝への案内板が見当たらないですね。
分岐点の右側をみると丁字滝への案内板が倒れていました。分岐を右手に進むと丁字滝のようです。一旦ルートから外れるみたいです。
霧降隠れ三滝の一つ。丁字滝へ到着です。霧降高原を流れる霧降川上流の丁字沢に懸かる、落差10メートルほどの小さな段瀑です。
丁字滝 → 玉簾滝
玉簾滝までは距離にして400メートルを約10分かけて歩きます。分岐点まで戻って「玉簾滝・大山」方向に進みましょう。
玉簾滝までは本格的な渓流歩きを楽しむことができます。水辺ということもあり、涼しくて気持ちの良い道のりです。日当たりが悪いので滑りやすく、足元に注意です。
玉簾滝は川を渡った先にあります。手すりのない丸太橋があるので慎重に渡りましょう。増水時は渡ることができないので、前日に大雨や台風だった場合、計画の見直しが必要です。
丸太橋から見る霧降川は幻想的です。水は大変透明感があり、苔むした岩が雰囲気を出しています。
川沿いから丘を登るように進むと人工物が見えてきました。玉簾滝を見下ろすことができる観瀑台です。
霧降隠れ三滝の一つ。玉簾滝へ到着です。幅が約20メートル、落差6メートルほどの小さな滝です。本当は滝の近くまで下りることができるのですが分岐点を通り過ぎてしまい、観瀑台から滝を楽しみました。
玉簾滝 → マツクラ滝
マツクラ滝までは距離にして700メートル、標高差30m程度を約20分かけて歩きます。左手に幻想的な霧降川を楽しみながら樹林帯を歩きます。
500メートル程度歩くと分岐が見えてきます。マツクラ滝はハイキングコースから外れた場所にありますが、徒歩で5分程度です。霧降隠れ三滝で最も壮大な滝なので是非寄り道したいところ。
林道を降りると道路に出ます。道路を渡った先にマツクラ滝があるようです。行ってみましょう。
遠くにマツクラ滝が見えてきました。今まで見た2つの滝とは明らかに規模が違います。手前に橋のようなものが見えますね。更に滝の近くまで行くことができるようです。
霧降隠れ三滝の一つ。マツクラ滝へ到着です。霧降川の支流にかかる滝で、全国でも珍しい北向きに流れる滝なんだそうです。霧降隠れ三滝の中で最も壮大で見ごたえがありました。
マツクラ滝 → 猫の平
分岐まで戻って山頂を目指します。ここまではハイキング気分で歩くことができる滝巡りでしたが、猫の平までは今までとは違い、急登が続く本格的な登山道です。
チェックポイントの猫の平までは距離にして300メートル、標高差150m程度を約40分~50分かけて登ります。距離は短いのですが、直登の急登で、今回の山行で最もハードな登山道です。
写真では伝わり辛いのですが、本当に急こう配で、笹薮と落ち葉に覆われた足元が滑る急登です。地面もぬかるんでいるので更に滑りやすく、おまけに景観もゼロな修行の道のりです。
心を無にして登り続けると空が開けてきました。猫の平の標識が見えたら修行だった急登は終了です。
「猫の平」に到着です。今までの山行からは信じられないような解放感溢れる草原が広がる圧巻の景色です。
360度パノラマビューの草原が広がる猫の平は、どこを切り取っても開放的な絶景が広がります。目の前には女峰山や男体山といった日光表連山を一望できます。
猫の平の高台には東屋があるので、絶景を満喫しながら休憩ができます。
猫の平 → 大山山頂
大山山頂までは距離にして2000メートル、標高差180m程度を約50分~60分かけて登ります。距離は長いですが、緩やかな登りなのでハイキング気分で山頂を目指すことができます。
途中に牧草のゲートをくぐる箇所がありますが、ゲートは大変狭く、ザックを背負ったままだと通過が困難です。この先、何か所か牧草ゲートが待ち受けています。
牧草のゲートをくぐった先はさらに解放感抜群の草原が広がり絶景です。まるで北海道を散策している錯覚に陥る、大山登山で最も天国ロードの区間です。
絶景の天国ロードを緩やかに下ると道路が見えてきました。この先は舗装路歩きのようです。
暫く舗装路歩きが続きますが、山頂まで続いているわけではなく、途中に登山道に戻る牧草ゲートが右手に見えてきます。標識が無く、見落としやすいので周りを確認しながら慎重に歩きましょう。
因みに、舗装路から抜ける牧草ゲートが最も狭く、ザックを背負ったままくぐるのは無理だと思います。体格によっては最悪くぐれない可能性があります。それだけ狭いので注意が必要です。
無事に牧草ゲートをくぐったら、標識に従って山道を登ります。笹薮に覆われて道が分かりづらいです。
笹薮の山道を登りきると最後の牧草ゲートが待ち受けています。先ほどのゲートよりは幅が広いので、ザックを背負ったままでもくぐることができます。
山頂までは解放感のある牧草地を登ります。意外と急こう配ですが、距離は短いのでサクッと登ってしまいましょう。既に東屋の屋根がチラ見していますね。
大山山頂です。標高1158m。距離は長いですが登山らしいエリアは1か所くらいしかなく、表情の違う景色を楽しみながら山頂を目指すことが出来ました。
大山山頂からの景色
大山山頂は解放感溢れるパノラマビューが広がる絶景の山です。山頂は広く、東屋まであるのでゆっくりと絶景を楽しみながら休憩ができます。
特に西側に広がる景色は絶景で、女峰山や男体山といった日光表連山を間近で一望できる圧巻の景色です。
南側に目を向けると広大な牧草が広がる開放的な景色です。日光の街並み越しに山々を一望できます。
北側と東側は木々に囲まれているので景観が望めませんが、木々の隙間から山々をチラ見することができます。
これだけ開放的な景色が続く絶景の山にも関わらず、知名度が低いのでしょうか。下山まで誰ともすれ違うこともなく、山頂でも絶景を独り占めできました。
大山山頂 → 霧降の滝
たっぷりと絶景を満喫しながら休憩ができたので、下山します。今回は同じコースで往復するピストンルートなので来た道に戻ります。
スタート地点に戻ってきました。ハイキングコースがある霧降の滝は観光名所です。折角なので本日4つ目の滝を楽しみましょう。
なんでも霧降の滝は華厳の滝と並んで日光を代表する滝で、日本の滝百選と日光三名瀑に選定されているんだそうです。霜降りの滝までは距離にして300メートル程度。10分程で到着します。
階段が続くアップダウンの激しい道のりですが、流石に観光名所だけあってしっかりと道が整備されています。
霧降の滝に到着です。落差が80メートルもある滝で、観瀑台からでも迫力があります。以前は滝壺の近くまで下りることができたそうなのですが、現在は通年通行止めです。
観瀑台から望む日光表連山と霧降の滝は雄大な景色です。観光と登山とハイキングと、盛りだくさんな山行でした。
大山に登ってみてわかったこと
大山は登りはじめから下山まで、ジェットコースターのように景色の展開が目まぐるしい詰め込み感満載の山でした。大山に登ってみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 表情の違う景色を楽しめる「大山ハイキングコース」はお勧め
- 前半は3つの名瀑を巡りながら渓流歩き。後半は解放感のある草原歩きを満喫できる
- 東武日光駅から「霧降の滝行き」バスで約15分と電車登山でもアクセス良好
- ツツジが開花する季節と紅葉シーズンともなると更に絶景
- 隠れ三滝を巡る前半の道のりは標高差も無くハイキング気分でトレッキングできる
- 増水時は渡ることができない箇所があるので事前の天気は要確認
- マツクラ滝から猫の平は直登の急登が続く最もハードな区間
- 猫の平から先は開放的な絶景が広がるビクトリーロード
- 3か所ある牧草ゲートは大変狭く、体格によってはくぐれない可能性も
- 大山山頂からは日光表連山を一望できる解放感溢れるパノラマビューが広がる
- 観光と登山とハイキングを同時に楽しめる詰め込み感満載の山
- 絶景だらけなのに何故か知名度が無いの穴場の山
絶景だらけなのに穴場の山
大山は想像以上に絶景続きで、それでいて登りやすい山でした。こんなにも絶景で、日光という屈指の観光名所にも関わらず、何故か知名度が無いのは不思議です。現に下山まで誰ともすれ違うことはありませんでした。
静かな登山を楽しみながら絶景を独り占めしたい方にはお勧めの穴場の山ですよ。
ギア
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