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天空のビーチ「日向山」初心者でも登りやすい南アルプスの白い絶景【山梨百名山】

天空のビーチ「日向山」初心者でも登りやすい南アルプスの白い絶景【山梨百名山】

山頂に白い砂浜が広がる絶景の山があるという噂を耳にしました。初心者でも簡単に登ることができる人気の山ということなので天気の良い日に登ってきました。「日向山」の山頂に広がる「天空のビーチ」は、想像以上に壮大で絶景でしたよ。

天空のビーチが広がる「日向山」

山梨県北杜市にある「日向山(ひなたやま)」は、南アルプス(赤石山脈)北部に位置する標高1660メートルの山です。

甲斐駒ケ岳から鋸岳へつながる尾根の途中に派生した、尾根にある山で、甲斐駒ケ岳を目の前で見ることが出来ます。

天空のビーチ「日向山」

山頂自体は樹木に囲まれた展望の無い山ですが、山頂の西にある雁ヶ原(がんがはら)と呼ばれる花崗岩が風化して出来たザレ場(砂や土の崩壊斜面)は、まるで砂浜のような白い景色が広がります。

八ヶ岳連峰の展望も素晴らしく、「天空のビーチ」「甲斐駒ケ岳」「八ヶ岳連峰」の絶景をトリプルで楽しむことが出来る山です。この情報だけでもどんな絶景が待ち受けているのか期待が高まりますよね。

日向山の登山コース

日向山の登山コース参照:北杜市HP

日向山の登山ルートは当時3ルートあったのですが、そのうちの1つ「錦滝方面」からの登山道は現在(2021/5/24)利用できません。

以前は矢立石登山口から登頂した後、錦滝方面へ下山するコースが定番だったそうですが、下山時の滑落死亡事故が多発したことと、登山道と道路の崩落が激しく危険ということで全面通行止めになりました。

現在は2つの登山ルートしかありません

その為、現在は2つの登山ルートしかありません。駐車場の場所が違うだけで実質同じルートとなります。どちらのコースも同じ登山道を往復するピストン山行で、駐車場は無料です。

チェック

・矢立石登山口から登頂する
標高差約520メートル/片道約2.2キロ/徒歩約90分~120分程度の最も人気のコース
・尾白川渓谷登山口から登頂する
標高差1000メートル/全長約4.3キロ/徒歩約140分~200分程度の標高差と距離が長いコース

矢立石登山口から登頂するコース

矢立石登山口から登頂するコースは、山頂までの標高差と距離を半分近く短縮出来るので大変人気のコースですが、登山口にある矢立石駐車場は大変狭いうえにガードレールの無い崖沿いなので、転回等が困難なことと、駐車する難易度も高いところがネックです。

しかも車を10台程度しか停めることができません。早い時間に行かないと直ぐに満車になるのでご注意ください。

駐車場に続く道も大変悪路

駐車場に続く道も大変悪路で、車のすれ違いや切り返しが困難の為、車の運転や駐車に自信の無い方にはお勧めできません。また、冬季は道が閉鎖されるので利用できる季節も限られてきます。

尾白川渓谷登山口参照:登山口ナビ

尾白川渓谷登山口にある尾白川渓谷駐車場は、アスファルトで整備された駐車場に140台程度停めることが出来て、トイレや売店もあり大変便利なのですが、矢立石登山口の倍の距離と標高差を登ることになるところがデメリットです。

満車時や冬季はこちらの登山ルート一択になります。

矢立石登山口に合流

尾白川渓谷登山口より標高差480メートル、約2.1キロ。40~60分登ると、矢立石登山口に合流します。

今日は運良く駐車できた人気コース「矢立石登山口から登頂するコース」をご紹介いたします。

矢立石登山口から頂上へ

矢立石登山口から頂上へ

矢立石登山口にある矢立石駐車場は車を約10台停めるスペースがあります。無料ですがトイレが無く、大変スペースが狭い駐車場です。

道のりが過酷で、駐車の難易度が高いにも関わらず人気なのは、尾白川渓谷駐車場ルートの半分の距離と標高差で登頂できてしまうからです。

駐車場の先は林道が崩落したため、通行止め

駐車場の先は林道が崩落したため、通行止めになっています。満車時はUターンするしかありません。道は狭いので切り返しは相当大変です。

矢立石ハイキングコース入り口

登山口は駐車場の傍にある矢立石ハイキングコース入り口です。

日向山では至る所に案内図がある

日向山では至る所に案内図があるので、道迷いの心配はゼロです。案内図には山頂までの距離は記載されていなくて、10/0といったナンバリングがされています。10/10が頂上です。

目印には良いですが、人によっては「まだ10/5しか登ってないのか。。」と、げんなりするかもしれませんね。

日向山は全体的に急な登りも無く

日向山は全体的に急な登りも無く、ひたすら景色の変わらない山道を心を無にして淡々と登る山です。

101の標識

10/1の標識です。普通のペースで歩けば、大体10~15分ペースで標識が現れます。

5分ほど歩くと

5分ほど歩くと「楽しい登山はマナーから」「上り優先/ゴミポッケ」の看板が見えてきます。マナーは大事ですね。

102の標識

10/2の標識です。このあたりからちょっとした段差が出てきます。

良くある登山道

よくある登山道ですね。段差もそんなに急では無いのでマイペースに歩きましょう。

103の標識

10/3の標識です。このあたりから気持ち登りがきつくなってきます。

登山道に大木が横たわっている場所があります

登山道に大木が横たわっている場所があります。潜るしかありません。

104の標識

10/4の標識です。特に大きな変化は無く、樹林帯を黙々と進んでいきます。

105の標識

10/5の標識です。特に大きな変化は無く、同じ景色が続きます。

日向山は終始こういった雰囲気で変化が無いので、楽といえば楽ですが、楽しいかといわれると楽しくないかもしれません。

106の標識

10/6の標識です。変化があったとすれば、階段の段差が若干高くなったので少し足に負担がかかるといったところでしょうか。

107の標識

10/7の標識です。変化があったとすれば、気持ち登山道が狭くなったといったところでしょうか。

108の標識

10/8の標識です。少しだけ開けてきます。

日向山の登山道は小休止できる開けた場所が皆無なので、休憩できそうなポイントを見つけたら迷わず小休止することをお勧めします。

109までは傾斜が緩やかな平坦な道のりが続きます

10/9までは傾斜が緩やかな平坦な道のりが続きます。すこし楽な気持ちになります。

109の標識

10/9の標識です。この標識が見えると頂上までもうちょっとです。樹木も針葉樹林が多くなり、少し開けてきた印象を受けます。

日向山雨量観測所

日向山雨量観測所が見えてきました。アメダスで使われている観測機ですね。この観測所が見えたら頂上まであと少しです。

いよいよ山頂が近づいてきました

いよいよ山頂が近づいてきました。左手が「登山道」右手が「三角点」とありますね。山頂は三角点の方向です。

三角点目指して30秒歩くと

三角点目指して30秒歩くと…

日向山山頂

日向山山頂です。山頂なのに周りは樹木に囲まれていて景観はゼロです。なんとも地味な山頂ですね。

今のところ天空のビーチの面影が全くありません。噂はデマだったのでしょうか?

日向山山頂から雁ヶ原へ

日向山山頂から雁ヶ原へ

気を取り直して元の道に戻りましょう。というのも日向山の山頂は本当の目的地ではないのです。

天空のビーチは山頂ではなく、この先の登山道の奥にあります。

暫く登山道を歩いても、一向に景色が変わりませんね

暫く登山道を歩いても、一向に景色が変わらないので本当に存在するのか不安になりますが、黙々と歩き続けましょう。

段々と登山道が白くなってきましたね

歩き続けていると段々と登山道が白くなってきます。景色も大分開けてきました。

この先が噂の「天空のビーチ」のようです。

いきなり景色がガラッと変わってきました

いきなり景色がガラッと変わってきました。雁ヶ原は目の前です。この先の景色は一体どうなっているのか、期待が高まります。

いきなり別世界にワープしたような気分になりました

え。。。。別世界にワープしたような気分になりました。本当に同じ山の景色なのでしょうか。

これが噂の「天空のビーチ」。想像を遥かに超える絶景です。

右手に目を向けると「雁ヶ原」の標識が立っていました

右手に目を向けると「雁ヶ原」の標識が立っていました。樹木は朽ち果てて枯れていて、まるで砂漠のようです。

左手を見ると、何故か日向山の山頂の標識がありました

左手を見ると、何故か日向山の山頂の標識がありました。本当の山頂をスルーして「雁ヶ原」を目指した登山者用に用意された標識なのでしょうか。こっちの方が山頂感が強いですよね。

日向山からの景色

日向山からの景色

日向山山頂の西にある雁ヶ原(がんがはら)と呼ばれる花崗岩が風化して出来たザレ場は、同じ山の景色とは思えない別世界でした。

見渡す限りの白い絶景

見渡す限りの白い絶景は「天空のビーチ」といわれるだけあって、あたり一面真っ白な砂浜です。

写真の撮り方次第では

写真の撮り方次第では、本当に海の砂浜にしか見えませんよね。この砂は全て花崗岩が風化して出来たものです。

北東方向を見渡すと八ヶ岳連峰が見える

北東方向を見渡すと八ヶ岳連峰が見える筈なのですが、この日は強風で砂が舞い上がっていてうっすらとしか見えませんでした。残念です。

日本百名山でもある「甲斐駒ケ岳」

しかし反対方向を見ると、日本百名山でもある「甲斐駒ケ岳」が目の前にどーんと見えました。

甲斐駒ヶ岳も日向山同様、花崗岩の地層なので山頂は砂浜のようになっています。大げさにいってしまえば兄弟のような山なんだと思います。

崩落地帯であるザレ場

崩落地帯であるザレ場だけあって、この先は崖のように滑り落ちています。なんとなくサンドスキーが出来そうな雰囲気ですが、滑り落ちるときっと登ってこれないんでしょうね。

滑落死亡事故が多発

実際問題、滑落死亡事故が多発したようで、通行禁止の看板が立ってます。以前はこの先から下山が出来たそうなのですが、結構ハードな登山道だったんだと想像できます。

通行禁止されていない、行けるところまで行ってみました

通行禁止されていない、行けるところまで行ってみました。この先はどうなっているのかというと…

風化中の花崗岩の尾根

風化中の花崗岩の尾根が続いていますね。岩は脆く、手で触っただけでもボロボロと崩れてしまう位柔らかい印象でした。

この場所から日向山方向を見る

この場所から日向山方向を見ると、これまた絶景でした。こんな真っ白な絶景を拝める山はそうそう無いのではないでしょうか。他の山の景色とは一線を画しますね。

日向山に登ってみてわかったこと

日向山に登ってみてわかったこと

「日向山」は非常に登り易いのに珍しい絶景が拝める山でした。日向山に登ってみてわかったことをまとめました。

山頂に広がる天空のビーチが絶景過ぎる

山頂に広がる天空のビーチが絶景過ぎる

地味な樹林帯の登山道と景観ゼロの山頂が嘘のように思える絶景が最後の最後に突然現れるという、想定外の山でした。

「天空のビーチ」とも呼ばれる砂浜が広がる白い絶景は、想像以上の景色です。

本来は山頂がゴールの筈なのに、誰も山頂をありがたがらないという、変わった山でもありました。

甲斐駒ヶ岳を間近で眺めることが出来る

甲斐駒ヶ岳を間近で眺めることが出来る

日本百名山でもある甲斐駒ヶ岳を間近で眺めることが出来ます。その景色は圧巻です。

日向山は甲斐駒ケ岳から鋸岳へつながる尾根の途中に派生した、尾根にある山で、同じ花崗岩質の山なのでいわば兄弟のような山です。日向山は山梨百名山ですが、日本百名山入りしてもおかしくないレベルの絶景でしたよ。

八ヶ岳の景色が素晴らしい

八ヶ岳の景色が素晴らしい

「天空のビーチ」と「甲斐駒ヶ岳」だけではなく、八ヶ岳連峰も美しく見える山なので、絶景尽くしです。

今回は残念ながら八ヶ岳を綺麗に見ることはできませんでしたが、もし綺麗に見えていたら感動が3倍になっていたこと間違い無しです。

トイレが無い

トイレが無い参照:道の駅公式ホームページ

矢立石登山口のある矢立石駐車場と、日向山頂上にはトイレがありません。トイレは登山前に済ませておくことをおすすめします。

矢立石駐車場から一番近い駐車場は車で約20分のところにある「道の駅はくしゅう」です。

風が強い

風が強い

天空のビーチがある「雁ヶ原」は、常に強風が吹いています。これだけの強風が吹きあげているので花崗岩が風化して砂になっていったんだと思います。思っていた以上に強風で体中砂まみれになりました。

「雁ヶ原」は開けた場所なので休憩や昼食に最適だと思っていましたが、風が強すぎてそんな余裕はありませんでした。

山頂に白い砂浜が広がる珍しい景色の山です

山頂に白い砂浜が広がる珍しい景色の山です

日向山は登山初心者やファミリーでも簡単に登ることが出来るのに、写真や映像では伝えきれないダイナミックな絶景が広がる、夢のような山でした。

樹林帯に囲まれた退屈な登山道と、景観ゼロの残念な山頂の先には、信じられないご褒美が待っていますよ。

唯一難点をあげるとすれば登山口までのアクセスの悪さですが、交通の便の悪さが幸いして穴場感がある山です。珍しい絶景を拝みたい方にはお勧めの山です。

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ギア
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