根子岳を周回するコースが人気の日本百名山「四阿山」。初心者でもアタックしやすいと紹介されていますが、実際はかなりハードです。筆者は以前、根子岳までで敗退した苦い思い出があります。
そこで今日は、ゴンドラを使って楽ちん登山ができる期間限定のコースをご紹介します。2時間で山頂を目指せるのでお勧めです。
目次
雄大な景色が広がる「四阿山」
長野県と群馬県の境にある「四阿山(あずまやさん)」は、上信越自動車道上田菅平インターから車で40分。四阿火山群の最高峰、標高2354メートルの山です。「日本百名山」「信州百名山」「ぐんま百名山」「新日本百名山」「甲信越百名山」に選定されています。
北峰と南峰から成る双耳峰で、山頂標識は北峰にあります。山名の由来は、山容があずまや(四阿)の屋根のように見えるからなんだそうです。山岳信仰の山で、それぞれの山頂には山家神社の奥宮が鎮座しています。
360度パノラマビューとはいきませんが山頂からの展望は良く、雄大な景色が広がります。浅間高原や根子岳、嬬恋村や菅平高原を見下ろすことが出来て、天気が良い日であれば北アルプスや八ヶ岳、南アルプスを眺めることが出来ますよ。
「四阿山」登山コース
四阿山の登山コースは、ゴンドラを使った初心者向けのコースから周回コース、健脚者向けコースまで、バリエーション豊かです。簡単にまとめてみました。
菅平高原から登頂する
- 標高差約800m/片道約4.2km/徒歩約180分~210分程度の定番コース
- 最寄りの駐車場は、菅平牧場駐車場(駐車可能台数約140台/1人200円・トイレ有)
菅平高原から根子岳を周回する
- 根子岳を周回する標高差約800m/片道約4.7km/徒歩約210分~250分程度の人気コース
- 最寄りの駐車場は、菅平牧場駐車場(駐車可能台数約140台/1人200円・トイレ有)
鳥居峠から登頂する
- 標高差約800m/片道約4km/徒歩約180分~210分程度の登山コース
- 最寄りの駐車場は、四阿山鳥居峠駐車場(駐車可能台数約20台/無料・トイレ有)
峰の原高原から登頂する
- 根子岳を縦走する標高差約900m/片道約7km/徒歩約220分~250分程度の健脚者向けコース
- 最寄りの駐車場は、根子岳登山 峰の原ルート駐車場(駐車可能台数約15台+10台/無料・トイレ有)
旧あずまや高原ホテルから登頂する
- 標高差約900m/片道約5.4km/徒歩約180分~210分程度の登山コース
- 最寄りの駐車場は、四阿山登山口駐車場(駐車可能台数約50台/無料・トイレ無)
茨木山登山口から登頂する
- 茨木山を縦走する標高差約1100m/片道約6km/徒歩約200分~240分程度の健脚者向けコース
- 最寄りの駐車場は、バラギ高原入口駐車場(駐車可能台数約40台/無料・トイレ無)
パルコール嬬恋から登頂する
- 標高差約300m/片道約3.4km/徒歩約90分~120分程度のゴンドラを利用できるコース
- 最寄りの駐車場は、パルコール嬬恋リゾート駐車場(駐車可能台数約500台/無料・トイレ有)
今日ご紹介するのは、四阿山に最短で登ることが出来る「パルコール嬬恋から登頂する」コースです。四阿山登山で唯一、ゴンドラを使うことができるので、初心者でも安心でお勧めです。
但し、ゴンドラは決まった期間と曜日にしか動いていないので注意が必要です。基本、7月~10月末の土・日・祝日・お盆のみ運行なので、期間限定の登山ルートになります。登山計画を立てる際、ゴンドラの運行状況を確認しましょう。
因みに、ゴールデンウィーク限定でゴンドラを運行している年があるのですが、5月でも四阿山は雪深いので冬山装備が必須です。筆者はそんなことも知らずに冬装備を見誤り、山頂を断念した苦い思い出があります。
パルコール嬬恋リゾート駐車場→嬬恋ゴンドラ山頂駅
最寄りの駐車場は、パルコール嬬恋リゾート駐車場で、約500台の車を停める広さがあります。駐車料金は無料です。あまり知られていない登山コースのようで、基本、駐車場は空いています。
パルコール嬬恋リゾートは、ホテルやスキー場、温泉もある施設です。夏場はMTBダウンヒルも楽しむことが出来ます。まずは受付でゴンドラのチケットを購入しましょう。
ゴンドラの運行時間は朝8時から15時までなので、登山計画は慎重に立てる必要があります。帰りのゴンドラに間に合わないと大変です。その場合、下山でかなりの時間を要します。
チケットを購入したらトイレと飲み物の補給は済ませておきましょう。というのが嬬恋ゴンドラ山頂駅にはトイレや自動販売機が無いからです。山頂含め、途中にトイレはありません。
「嬬恋ゴンドラ」は関東最長を誇るゴンドラで、その長さは3,193メートルもあります。約20分で標高2,050mの山頂駅に到着します。
嬬恋ゴンドラ山頂駅→登山口
登山口までは距離にして約500メートル、標高差約50mを10分かけて歩きます。広場を真っすぐ進んだら、すぐに分岐を右に進みます。
急な坂を上り切ったら広場のような場所に出ます。展望スポットです。登山道は左に進みます。
今回は生憎の空模様で絶景はお預けになりましたが、晴れた日はこのような絶景が広がります。
暫く真っすぐ進むと、リフト乗り場の建物に到着するのですが、そこには樹林帯に入る登山口と、近道の分岐があります。どちらに進んでも同じ道に合流するので好きな方向に進みましょう。
筆者は近道を選択しました。近道は大変道幅が広く、歩きやすいのでお勧めです。暫く進むと右手に登山道が見えてきます。
少しわかりづらいですが、登山道に到着です。ここから本格的な登山のスタートです。
登山口→分岐
四阿山のゴンドラを使うコースには、チェックポイントになるような場所がみあたりません。次のチェックポイントとなりえる分岐まで、距離にして約2km、標高差約200mを50分~70分かけて登ります。
登山道は緩やかなのですが、道幅が狭く、すれ違いが困難です。また、地面がぬかるんでいるので思っていた以上に歩きづらいです。慎重に歩きましょう。
山頂までは樹林帯続きで景色は期待できませんが、所々に展望が良いスポットがあります。今回は生憎のお天気で景観ゼロでしたが、晴れた日は写真のような絶景を拝むことが出来ます。
1km程歩くと、つづら折りの階段が続く急こう配の道のりが待ち受けています。階段は昇りづらく、滑りやすいので慎重に登りたいところです。
ゴンドラを使うコースはメジャーではないからでしょうか。あまり整備されていない印象で道が荒れています。倒木で道が塞がれた箇所も複数あり、歩きやすいとは言い難い印象です。
樹林帯の荒れた登山道を歩き進めると、分岐らしきものが見えてきました。ゴンドラを使うコースでは小休止できる開けた場所が皆無なので、少しでも開けたポイントを見つけたら小休止することをお勧めします。
分岐→四阿山山頂
四阿山山頂までは距離にして約1km、標高差約150mを30分~40分かけて登ります。この先は2か所の岩登りが待ち受けています。まずは木製の階段を登ります。
暫く歩くと、山頂らしきものが見えてきました。しかし、残念なことに偽ピークです。1つ目の岩場の急登ポイントに過ぎません。見た目から険しそうな予感がしますよね。
今までのなだらかな道のりとは打って変わって、本格的な岩登りです。岩は思っていた以上にごつごつとしていて登りづらいです。険しい場所には鎖もあります。
岩場を登りきると、ちょっとした稜線歩きのご褒美が待ち受けています。右手には根子岳の山容をばっちりと拝むことができる束の間の天国ロードです。
束の間の天国ロードが終わると、目の前に尖がった山が見えてきます。あの山こそ、四阿山山頂です。山容からして、2つ目の岩場の急登ポイントは核心部であることが想像できます。
そう思っていましたが、そこまで岩が大きくなく、木々に囲まれていることもあり、意外と登りやすかったです。急登に変わりはありませんが、1つ目の岩場のほうがハードで核心部でした。
四阿山山頂に到着です。標高2354m。本当であれば雄大な景色が広がる山なのですが、生憎の天気で空は真っ白です。山頂からの景色はどこまで楽しむことが出来るのでしょうか。
四阿山山頂からの景色
四阿山は木々が微妙に景色を遮るので、スカッとした360度パノラマビューとはいきませんが、展望は良く、雄大な景色が広がります。北西方向は雲が比較的少なく、根子岳の美しい山容を拝むことが出来ました。
反対側からは、本来であれば菅平高原や嬬恋村超しに雄大な景色を拝むことが出来るのですが、残念ながら雲に覆われて景色は望めませんでした。
四阿山は北峰と南峰から成る双耳峰で、山頂標識は北峰にあります。山家神社 奥宮「上州祠」の社殿が置かれています。
山頂から1分程先に進むと、南峰へ行くことが出来ます。南峰にも山家神社 奥宮があり、「信州祠」の社殿が置かれています。
山頂は大変狭く、休憩できるスポットは皆無です。それでも本当に多くの登山者で溢れかえっていました。天気が悪くても流石は人気の山です。
四阿山山頂で昼食を楽しみたいのであれば、南峰に移動したほうが幸せになれます。山頂標識が無い山頂なので比較的人が少なく、ゆっくり昼食を楽しむことが出来てお勧めです。
雲が抜けることを祈って、山頂で1時間程粘りましたが、時々雲が抜けて景色が微かに見えることはあっても、期待した絶景を拝むことはできませんでした。山は天気に左右されますよね。諦めて下山します。
下山
下山は同じルートを利用します。細尾根の稜線歩きは、天気が良い日だったら絶景の天国ロードだった筈です。
急な岩場は慎重に下りましょう。登り以上に難しく、足を滑らせてしまうと大変危険です。
嬬恋ゴンドラ山頂駅まで戻ってきました。悪天候のなかの山行となってしまいましたが、全く景色が見えなかった訳ではなかったので、個人的には満足です。本来の景色は次回の楽しみにします。
ゴンドラを利用した場合、パルコール嬬恋リゾートにある温泉施設を利用できるので、下山後、そのまま温泉に行くことが出来ます。夏場の登山ではありがたいですよね。
四阿山に登ってみてわかったこと
四阿山は初心者から上級者まで、様々な登山コースが用意されているリピートしたくなる山でした。四阿山に登ってみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 長野県と群馬県の境にある日本百名山。北峰と南峰から成る双耳峰
- 初心者から上級者まで、様々な登山コースが用意されている
- 根子岳を周回する菅平高原から登頂するコースが最も人気で定番
- パルコール嬬恋から登るとゴンドラを使えるので最短で登頂出来る
- ゴンドラは決まった期間と曜日にしか動いていないので期間限定の登山ルート
- ゴンドラの運行時間は朝8時から15時までなので、登山計画は慎重に
- 登山道は道幅が狭く、道が荒れていてあまり整備されていない印象
- 山頂手前の2か所の岩登りポイントは四阿山の核心部
- 山頂は360度パノラマビューとはいかないまでも展望は良く、雄大な景色が広がる
- 山頂は大変狭く、休憩できるスポットは皆無。休憩するなら南峰がお勧め
- ゴンドラを利用した場合、下山後そのまま温泉に行ける
ゴンドラを使うコースは意外と穴場?おすすめです
四阿山は、3度目の挑戦でやっと山頂を踏むことが出来ました。相性が悪いのか天候に恵まれませんでしたが、ゴンドラを利用するコースはあまり知られていないらしく、空いていました。シーズン中の休日に、思い立って登山するにはお勧めのコースだと思います。
ギア
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