夏真っ盛りの7月、僕は自律神経を失調したらしく、会社を休んでいました。まるでサイドブレーキを引いたままアクセルを強く踏み込んでやっと動くような感覚で、動くのに力が要ります。
人間社会は長く狩猟採集を基礎としていましたが、農業革命、産業革命、資本主義、IT社会へと急速に変化する中、DNAの数十年スパンの緩慢な更新では、人間のハードもソフトもまだ最適化の途中です。毎日ハコの中で人間関係に勤しむ生活にブレーキを掛けていたのは僕の中の原始人でした。
「今すぐ外に出て食い物を拾ってこい!」「歩き回ってウンコしろ!」そして「とにかく山に行け!」と。言葉ではなく、久しぶりに感じた脳内ホルモン分泌によるウズウズとした効能に突き動かされ、僕は夏のボーナスで登山道具一式を買い揃えていました。
「おっしゃ行くなら一番行きたいところに行くぞ。上高地だ、涸沢カールまでいこうぜ」。そこには理由も、経験もありませんでしたが、ワクテカな原始人だけがいました。
目次
涸沢カールソロ登山泊の装備紹介
総重量10kg超。ビール500ml×2=1kgが効きます
チェック
左上から順番に
- 55Lザック
- パンダテント(ポール、インナー、フライ)
- エアマット
- 寝袋
- 救急キット
- リュックカバー
- ソーラー充電器
- ミニテーブル
- 折り畳み座布団
- クッカー、ガス、バーナー
- ライト
- ヘッドライト
- ライター、電池、紐類
- インスタント食品(アルファ化米、レトルトカレー、カロリーメイト等)
- ナイフ
- 箸
- ビール(500ml×2)
- 水筒(小)
- 水筒(大)
- レインコート
- 着替え&タオルセット
- 洗面用具セット
- 貴重品セット
- コード類セット
その他、筆記用具、地図、コンパス、ウェットティッシュ、コンビニおにぎりを当日持参しました。
この他に持っていくべきだったのは、ストックです。皆ストックを使っていました。
持ち物で悩みました。まず一目惚れで先に買ってしまったワンポールのパンダテントですが「涸沢カールでは石だらけでペグが打てないため、フライの四隅を岩で固定するやり方になる」ということを買った後に知りました。
不安になって涸沢カールの写真を検索して調べましたが、ごくわずかでしたがワンポールテントを使用しているキャンパーがいたので、それを信じました。結果的には問題なく設営できました。
一応、コールマンのソロ用の自立式テントもありましたが、重くてかさばるため、比較的コンパクトで軽量なパンダテントを選択しました。山岳用のテントの方が、軽くて気密性も高いのでベストだと思います。お高いですが…。
ザックの容量がパンパンだったのですが、ビール×2を持っていくか、ハンマーを持っていくかの2択になり、ビールを選択しました。後悔はしていません。徳沢キャンプ場でのみペグダウンして設営するのですが、ペグ打ち用の石が落ちていたのでこちらも結果的に大丈夫でした。ビール美味しかったです。
上高地から徳沢キャンプ場までのルート(出発日)
上高地バスターミナル
上高地インフォメーションセンター、木造の建物がとても綺麗です
上高地は環境保護のためマイカー規制をしており、少し離れた沢渡駐車場にマイカーを停めて、シャトルバスで上高地バスターミナルまで行きました。駐車料金は一日600円、バス料金は往復で2100円です。必要経費です。バス内ではヨーロッパ系の家族や中国系の家族など、国際色豊かでした。途中の大正池の停留所で降りて歩く人もいました。
上の写真は上高地バスターミナルにあるインフォメーションセンターで、ここで登山届、登山計画書をもらって書きます。遭難した際の捜索の手がかりになりますので必ず書きます。写真手前がバスターミナルで、右奥の観光センターでお土産や食べ物が買えます。みんなおやきを買っていました。
上高地・河童橋
上高地 美しすぎるランドスケープが目に入るなりオキシトシン噴出
上高地の顔・河童橋 この辺りはとても人が多いですが河童は見当たりません
梓川 こんなにもエメラルドグリーンに色づいた川はこの世にあります。長野県に。
道中のこういう景観を見ると「ほおおお」「はあああ」的な語彙しか出ない
バスターミナルから少し歩くと、上高地の景観が見えてきました。「なにこれ」と思いました。
上高地の景観は、僕のルーツである岩手の杉林とは圧倒的に自然としての格が違うと感じました。足を止めてウチの田舎と何が違うのか観察していましたが、まず木の種類が杉ではなく広葉樹が多く、広めの一定間隔で高さも揃っている印象です。木の根の張り方なのかもしれませんし、人の手で整備もされているのだと思います。そして白い石が多く、川岸や穂高連峰も岩肌が露出した所は白っぽく見えます。
たまたま青空が広がる天気で、トータルとして緑・白・青のコントラストはとっても気持ちがよかったです。なにより、そびえたつ穂高連峰に景観の奥行をすごく感じます。
嘉門次小屋のイワナの塩焼きとイワナ締め師
苔むした岩や倒木や橋に長い時の流れを感じます
湿地帯なども遊歩道が整備されて歩きやすく、木漏れ日が遊歩道に映ります
明神橋が見えてきました。道はずっと平坦です。
上高地周辺は、東西に流れる梓川の南北に別々のルートがあり、河童橋が分岐点となっており、上流側の明神橋で合流します。僕は河童橋を渡り、上高地の湿地帯と森を満喫できる北側のルートを選びました。南側のルートは距離が短いので下山の際に利用しようと考えていました。どちらのルートも平坦で、1時間程で明神橋に到着します。
上高地の独特な植生と時折木々の隙間から垣間見える壮大な山々と梓川のコラボが続きます。道も平坦で整備されており、疲れないどころか元気になった気すらしました。明神橋の近くには、イワナの定食が食べられる嘉門次(かもんじ)小屋や、明神池があり、観光客で賑わっています。
嘉門次(かもんじ)小屋 嘉門次さんはこの地に身を捧げた名ガイドだそうです
川のほとりの良い場所が空きました イワナがうまい!が少し足りない
イワナ締め師(仮)が食事中の僕の目の前で命のやり取りをしています
嘉門次小屋で昼食がてら休憩をとることにしました。手持ちの食糧はインスタント食品ばかりで数も限られているので、なるべく現地で調達しようと考えていました。
嘉門次小屋は観光客が多く、到着時は席が埋まっていたので、すこし明神池を見て時間をつぶしました。客足が落ち着いてから小屋に入ると、炭火で大量のイワナが塩焼きにされています。もちろんイワナ定食を頂きます。たまたま小川沿いの良い場所をとれてご満悦です。
小川には生け簀があり、そこからイワナが供給されているのだとわかりました。なぜわかったかというと、僕はイワナ定食を食べながら、目の前でイワナが絞められている様を見せつけられたからです。イワナ締め師(仮)の華麗なカッターナイフさばきで、生存本能でビチビチ暴れるイワナをカッターの尻で殴打して気絶させ、流れるように腹を掻っ捌いています。
こんなにもリアルタイムに「いただきます」の意味を教えてくれる場所があるのだなと思いました。ご馳走様でした。
明神橋から徳沢キャンプ場までのルート
明神橋 木で作られているためか景観との親和性を感じます
明神分岐にある朝焼けの宿。上高地の建物のデザインは統一感があります。
カモォ(なぜかネズミも泳いでいました)
サルゥ
よーく探すと小さいトトロがいるかもしれません
明神橋を渡ると明神分岐と呼ばれる分岐点に着きます。ここまでが上高地観光ルートであり軽装でも来られるところでしたが、ここから先が穂高連峰、槍ヶ岳に続く登山道になります。次の目的地は明神から1時間程にある本日の宿泊地、徳沢キャンプ場です。道中は大分人が少なくなりましたが、そのかわり色んな動物に出会いました。
ここからはすれ違う人は皆「こんにちは」と挨拶してくれます。あ、そういう登山者の文化なんだなぁと僕も真似して挨拶し始めるのですが、中国・韓国の方は挨拶しても返ってこなくてモヤッとしたので、段々相手を選ぶようになり、挨拶が帰ってきそうな人だけに挨拶して、そうでない人には会釈をするという挨拶の最適化が行われました。
後で涸沢にいたベテラン登山者の方に教えてもらったのですが、この挨拶の意味は「助け合い」であり、声や顔から相手の不調を感じとったり、情報交換の潤滑剤としたりする最も基本的な行動だそうです。山には病院がないので、体調不良や危険をいち早く察知し下山する必要があり、そのためにお互いが最初にとる行動が挨拶になります。文化には人の知恵と思いやりが隠れていました。
徳沢キャンプ場 芝サイトでとても綺麗です。左奥が管理棟です。
アースカラーが芝と同化。このときは奥半分が寝室で、前半分がリビングです。
明神から1時間程で徳沢キャンプ場に到着しました。広くて綺麗なキャンプ場です。管理棟で宿泊の手続きをして、さっそく虎の子のパンダテントを張りました。前室が広いので横になって昼寝します。おもむろに体を起こし、ビールとコンビニで買ったうずらの卵の燻製を取り出します。シェイクされたビールを開けると泡が噴出しますが、口で押えて飲み込みます。あー罪深い。
また横になろうとした矢先、電話が鳴ります。会社からでした。体内のギアが一段上がるのを感じます。僕の体調を心配してくれた連絡だったのですが、一気に緊張モードになってしまい、この体の反応をどうすることもできません。早めに頑張って寝ることにしました。明日が本当の山登りです。
徳沢キャンプ場から涸沢カールまでのルート(2日目)
徳沢の朝 猿の群れ
猿がキャンプ場を闊歩し、軽くパニックになる徳沢の朝
子育てお疲れ様です。あっちいってもらえませんか。
見張りですか。それとも僕の飯をテイクアウトする気ですか。
2日目、夜明け前に起床して、湯を沸かしていると薄暗い茂みの奥から「ギャギャッ」という奇怪な音がしました。猿でした。それも10匹ほどの群れでキャンプ場周辺の草を食みながら、我々の高カロリーな飯を虎視眈々と狙っていました。トイレや洗面しに行きたいのですがテントを荒らされるのが不安で離れられません。早く飯食って出発しないといけないので、手早く尾西の五目ごはんをかき込み、テントをたたみ、徳沢を後にしました。次のポイント、横尾を目指します。
横尾キャンプ場、横尾大橋
横尾の入り口。左手と奥の横尾大橋下にキャンプ場があります。
横尾山荘。穂高と槍の分岐点。
横尾大橋。でかい。穂高方面はこの橋を渡ります。
徳沢から少しずつアップダウンや細道が増えてきましたが、比較的平坦で、約1時間で横尾に到着しました。ここは穂高岳と槍ヶ岳の分岐点になっており、多くの登山者が休憩していました。横尾大橋を渡り、次の休憩ポイント本谷橋を目指します。
屏風岩と本谷橋、そして急坂
屏風岩。クライマーの聖地らしいです。僕は眺めただけで満足できました。
本谷橋。右手で休憩・給水。ここから先がつらいのでしっかり休憩します。
ここから岩場の急坂で急激に負荷が上がります。ストックがあると助かります。
一番命の危険を感じたガレ場。道が狭く落石の危険もあり、立ち止り厳禁です。
右手の沢に沿ってゴツゴツした道を上ります。この辺でもうクタクタでした。
「涸沢ヒュッテ」の文字が!ここからすぐかと思いきや左の方に回されゲンナリ
横尾から本谷橋までは段々山らしい道になってきましたが、比較的平坦でした。左手には見事な一枚岩の屏風岩がそびえたちます。
いよいよ本谷橋からは太ももを上げて登るような岩場の急坂になるので、しっかり橋のたもとで休憩します。小川が流れているので給水できます。いざ登り始めると、かなりキツくて、なるべく低い足場を一つ一つ見つけて少しずつ上っていきました。
皆さんストックを使うのがスタンダードなようで、すれ違った山岳巡回の方に、「おっ、ストックなしか~やるねぇ~」と声を掛けられました。別に縛りプレイをしているつもりはなく、単純に持ってなかっただけだし、その辺にイイ感じの棒も落ちていませんでした。小さい頃の男の子はみんなイイ感じ木の棒が大好きですが、この時の僕の方が切実に木の棒を欲していました。疲労困憊で休憩していると、ヘリコプターが穂高の山荘に物資を輸送のため真上を通過したので、なんとなく目的地は近そうだと気合が入ります。
涸沢ヒュッテでおでんとビール、涸沢キャンプ場の風景
夢にまで見たオレンジ色の涸沢ヒュッテ
これがカールか!と切り立つ山々による囲まれ感に圧倒。雪が残っています。
日が差した時の緑が綺麗すぎて。僕実は既に滑落して死んでいるのではと疑いました。
こんな所でおでんとビール売っているとか馬鹿なの!?本当にありがとう!
涸沢のキャンプ場。テントがカラフル。左奥の涸沢小屋、まっすぐ登れば北穂高。
反対側から。このあたりにテントを張りました。トイレは遠い。
遂に涸沢に到着します。石段を登りきると綺麗なオレンジ色の木造の涸沢ヒュッテがありました。やっと着いた!と息も絶え絶えでテラスに上ると、そこにはあまりにも急に現れた壮大な穂高・涸沢岳に囲まれた秘密の空間が広がっていました。
ここに辿り着くまで全くこの景色が見えないので、サプライズ的な演出感も相まって「えっ」と数秒動けなくなりました。僕は安易で便利な「ヤバい」という言葉が嫌いですが、この時油断して「ヤバァ~」と口走ってしまった自分に自己嫌悪しました。
売店にはおでんとビールが売っているという事前情報があったのですが、本当に売っていました。わざわざ運んでいるのでしょうか。本当に関係者に感謝です。絶景を眺めながら涸沢ヒュッテで一人ビール飲んだのは今のところ人生最高の思い出です。
涸沢カールでのパンダテントレビュー
ここがキャンプ地。ゴツゴツでペグは打てません。
四隅を石に括り付けて固定します。なんとか自立しました。
パンダテントなら前後を開放でき、2方向の景色を楽しめてとても良いです。
反対側の開放的な景色。明日の日の出はこちらから。
室内からの景色。同じ高さに雲があり眼下に山が見えます。これが登山キャンプ!
涸沢カールでパンダテントを設営してみました。フライシートの四隅をしっかり重めの石に引っ掛けて、ポールを立てます。一応自立しました。ほっとしましたが、問題は風で吹っ飛ばされないかです。一応四隅に石を追加で乗せ、紐の張りも強くしましたが、どうしてもペグダウンした時のような張りの強さは得られず、若干弛みました。
気密性も低く、フライの下側が開放しているため、保温性や耐風には難があると思われます。この時は7月末の夏場でしたのでそこまで寒くはありませんでしたし、幸いにも風も弱かったので大丈夫でしたが、夜は結構フライシートの弛みがバタついてうるさかったです。この時期以外での使用はおそらく厳しいのではと感じました。
一方でパンダテントの利点は、フライシートが前後両側大きく開放することで、前後両側の景色を楽しめることだと知りました。涸沢カールはカールの景色やモルゲンロートも圧巻ですが、反対側の眼下にある山々の景色と日の出もとても見事です。パンダテントであれば前後を開放し、自らは縦に寝ることで、室内で両方見ることができます。これは徳沢のときの使い方とは違うスタイルであり、ワンポールテントの自由度の高さに一人で感動していました。中で昼寝をしていると、道行く人に「タープみたいで気持ちよさそう」と言われて僕は大変ご満悦でした。
テント設営が終わり、僕は最後の酒盛りを始めました。大事に持ってきた最後のビールとナッツを開けます。全身の筋肉痛と酔いを感じながら何もせず真夏の雪を見ていました。人によく「一人でキャンプ行って何するの」と質問されるのですが、上手い飯と酒と景色を五感で楽しむだけです。別に会話する必要もないし、トランプもフリスビーもいらないと思っています。
日が暮れようかとしたところ、僕の隣にテントを張った日焼けしたおじさんが「そこのテントの人戻ってきたか知らない?」と声をかけてきました。涸沢にテントを張り、ここを拠点にして奥穂高、北穂高にアタックすることが多いので、まだ帰ってきてない人がいるとするととても心配です。
すると、北穂高から女性2人組の親子が疲れた様子で下山してきました。おじさんが声を掛け、事情を聴いていました。母親のペースが落ちてしまい、時間がかかってしまったようです。無事でなによりでしたし、おじさんの行動が明らかにベテランムーブだったので、山での助け合いの手本を見たような気がしました。
涸沢カールから上高地への下山ルート(3日目)
穂高岳モルゲンロート
日の出グラデーション(早朝4:23)
みんな起き始めます(早朝4:33)
奥穂高に日が当たり始めて…(早朝4:46)
じわじわ赤くなる!モルゲンロート!(早朝4:48)
日が昇ると色が戻ります。不思議。(早朝5:31)
日の出とモルゲンロートを絶対見逃すまいと4時に起きました。何人かがライトをつけて起き始めていました。お湯を沸かしている間に空が紫色になり、日の出となりました。そしてモルゲンロート。
アハ体験のようにじわじわと色が変わるので、ずっと見ているとどの瞬間からがモルゲンロートなのかわかりづらかったのですが、写真で比較するととてもわかりやすいですね!ガチ勢は三脚を使ってカメラを定点固定し、一定間隔で撮影していました。
モルゲンロートとは、夜が明けきらない早朝に、東の空より一筋の赤い光線が山筋を照らし、山脈や雲が赤く染まる朝焼けのことをいい、山がもっとも美しく見えるときの一つです。 語源はドイツ語で「Morgenrot」、直訳すると、モルゲン「Morgen」は「朝」、ロート「rot」は「赤い」を意味しています。
下山 涸沢カールから上高地 小梨平キャンプ場
日が昇りさあ下山
よく登ってきたなーとしみじみ。下りは膝に来るので軟骨が磨滅しませんように。
今度は逆から本谷橋を渡る。ここからは楽ちん。
屏風岩の頭からシューっと伸びるなにかが出ています。
上高地近くの小梨平キャンプ場
河童橋の河童食堂で最後の飯を食らう。あー歩いた歩いた。
旅も終わりです。嘉門次さんがここに住んだのもわかるわぁ。
天空の楽園を後にするようでとても名残惜しかったですが、撤収して下山を開始しました。
既に昨日の親子は30分程早く下山を開始していましたが、すぐ追いついてしまいました。おじさんに倣って声をかけてみるとお母さんが「もう半分くらい来ましたかね、はあはあ」としんどそうでした。明らかに10分の1も進んでいないのですが、そんなこと言えるはずもなく「まだもうちょっとありますねぇ~無理しないで下さいね」とお茶を濁しながら、娘さんに現在地と横尾までの大体の所要時間を教えて先に進みました。下山した後もこの二人が無事下山できたか心配でしたし、この対応で正しかったのか今でもたまに考えます。
涸沢から上高地まで約16Kmの長い道のりを一気に下山しました。リュックを背負った肩と足が痛くて、景色にも慣れたこともあり、正直苦行でした。ゴリゴリ歩いていると、横尾を過ぎたあたりでおじいさんに声を掛けられました。おじいさんは槍ヶ岳に登って帰る途中だったようで、「足がガクガクじゃー」と楽しそうに話していました。装備が使い込まれていた様子だったので、相当登っているおじいさんだなあと思いました。
上高地は南側のルートで帰還。途中の小梨平キャンプ場に入浴施設があり、そこで三日ぶりの風呂に入りました。熱いお湯に日焼けがしみました。日焼けした原始人が「来てよかったろ」と言っている気がしました。
涸沢カールの登山キャンプをこれから始める方へ
涸沢カールは最高でした。テントは山岳用のテントをおすすめします。
登山は準備と計画を立てて、無理せずに楽しみましょう。
以上です。
長文になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
上高地から涸沢までの基本情報
※上高地はマイカー規制のため周辺駐車場に停め、シャトルバスで移動します。
標高 | 上高地バスターミナル 1,505m 涸沢 2,300m |
---|---|
歩行距離 | 上高地~涸沢 片道約16km |
駐車場 | 沢渡駐車場 600円/1日 |
バス料金 | 沢渡~上高地 往復2100円 |
キャンプ場 | 小梨平キャンプ場 70張 徳沢キャンプ場 200張 横尾キャンプ場 100張 涸沢キャンプ場 500張(岩場のためペグ打てません) |
公式サイト | https://www.kamikochi.or.jp/ |
ギア
- 日毎
- 月間
- 殿堂
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