尾瀬沼1周ハイキングを満喫してきました。尾瀬には何度か行ったことがあるのですが、尾瀬は恐ろしく広大で、1日で全ての名所を巡るのは不可能です。尾瀬沼はいつか日を改めて訪れようと思っていました。
今日は、群馬県側にある大清水を起点に尾瀬沼を周回する、関東圏の方がアクセスしやすいハイキングコースをご紹介いたします。
目次
尾瀬を代表する人気の景勝地「尾瀬沼」
群馬県片品村と福島県檜枝岐村にまたがる「尾瀬沼」は、尾瀬国立公園東側に位置する、標高1665mの高層湿原にあります。
「尾瀬ヶ原」と並ぶ、尾瀬の代名詞ともいえる人気の景勝地です。
大昔に燧ヶ岳の噴火で堰き止められた湖で、水深約5メートル、東西2km、南北1.2km、周囲約6kmと広大です。
尾瀬沼沿いに広がる大江湿原は尾瀬ヶ原に次ぐ広さを誇り、尾瀬ヶ原よりも標高が高いこともあり高山植物の宝庫です。
尾瀬沼へのアクセスは徒歩のみと交通の便が悪いにも関わらず、多くの観光客が訪れる人気の高いエリアです。木道が整備されているので、約2~3時間で湖畔巡りを楽しむことができます。
「尾瀬沼」トレッキングコース
尾瀬沼には2つのアクセス方法があります。福島県側からアクセスする「沼山峠ルート」と、群馬県側からアクセスする「一ノ瀬ルート」です。
沼山峠ルート(福島県)
- 御池よりシャトルバスで沼山峠下車・標高差約120m/片道約3.3km/約70~80分程度
- シャトルバスは30~40分間隔運行・片道大人600円/小人300円
- 最寄りの駐車場は「御池駐車場」駐車可能台数約420台/1日1000円・トイレ有
一ノ瀬ルート(群馬県)
- 大清水よりシャトルバスで一ノ瀬休憩所下車・標高差約340m/片道約4km/約105~120分程度
- シャトルバスは30~40分間隔運行・片道大人700円/小人350円
- 最寄りの駐車場は「大清水駐車場(第一・第二)」駐車可能台数約100台/1日500円・トイレ有
※目的地はそれぞれ尾瀬沼にある「長蔵小屋」としています。
尾瀬沼へ訪れる方の多くが福島県側からのルートを利用します。理由は駐車場が広く便利なところと、緩やかな下りが続く標高差が少ない距離が短いコースで、観光客でもアクセスしやすいからです。
難点は関東圏から福島県側にアクセスする場合、目的地までの距離が長いので運転が大変なところです。
そこで筆者は群馬県側からアクセスできるルートを利用しました。
群馬県側からのコースは、目的地までの距離が短く運転が楽になる代わりに、尾瀬沼までの移動では結構な登りが続きます。はっきりいって登山と変わりません。登山装備が必須になります。
どちらかの方法で尾瀬沼に到着をしたら尾瀬沼を周回しましょう。標高差は殆ど無く、1周約7.4km、140~170分程度の道のりです。
今日ご紹介するのは、大清水駐車場のある一ノ瀬ルートから尾瀬沼を目指し、反時計回りで尾瀬沼を周回した後に大清水駐車場へ戻るコースです。ハイキング中は観光スポットを含め、以下のルートを通ります。
モデルコース 総距離約13.4km / コースタイム約280~330分
大清水駐車場→一ノ瀬→岩清水→三平峠→三平下→長蔵小屋→浅湖湿原→沼尻→大清水平分岐→三平下→一ノ瀬→大清水駐車場
順を追って説明しますね。
大清水駐車場→一ノ瀬
最寄りの駐車場となる「大清水駐車場(第一・第二)」は、関越自動車道沼田インターから車で約60分の場所にあります。駐車可能台数は、第一・第二合わせて約100台。駐車料金は1日500円です。
駐車場にはトイレや売店があるので便利です。登山口や売店は第一駐車場の目の前です。第二駐車場からも徒歩1~2分なので便利です。
大清水は尾瀬最古の登山口で、会津と上州を結ぶ交易路「会津沼田街道」として400年以上の歴史がある古道です。チェックポイントとなる一ノ瀬まではシャトルバスか徒歩でアクセス可能です。
徒歩の場合、距離にして約3.2kmを80分程度の道のりです。シャトルバスを利用すると僅か15分で一ノ瀬に到着です。約30分間隔で運行していて、片道大人700円/小人350円。
タイミング良く、シャトルバスの運行時間に駐車場に到着したので、今回はシャトルバスを利用しました。運行期間や運行間隔は時期によって異なるので事前に公式サイトを確認しましょう。
一ノ瀬→岩清水
一ノ瀬休憩所にはトイレや自動販売機があるので、飲み物の購入やトイレは事前に済ませておきましょう。第一のチェックポイントとなる岩清水までは距離にして約0.9km、標高差100メートルを約20分かけて登ります。
一ノ瀬ルートは人が少ないので静かなトレッキングを楽しむことが出来ます。暫くは沢沿いを歩く緩やかな道のりですが、段々と勾配が強くなっていきます。
急こう配でも階段が整備されているお陰で登りやすくなっています。早朝や雨の日は木道が滑りやすいので注意して登りましょう。
岩清水に到着です。岩の割れ目から清冽な水が流れる水場で、そのまま飲むことが出来ます。岩清水より先は急こう配の本格的な登山道になるので、ここで小休止したいところです。
岩清水→三平峠
三平峠までは距離にして約1.1km、標高差240メートルを約40~50分かけて登ります。岩清水から先は一瞬、見晴らしの良い平地に出ますが、この先は階段地獄です。
つづら折りに続く階段は「十二曲がり」と呼ばれる急こう配のポイントです。暫くは階段をひたすら登ることになる樹林帯続きの道のりで、全山行で一番辛い区間です。
階段地獄が終わると、少しだけ緩やかになります。尾瀬らしく木道が整備された歩きやすい道のりですが、マイナールートということもあり一部の木道は荒れ気味です。
木道を歩き進めると標識が見えてきました。チェックポイントの三平峠です。
三平峠は標高1762メートル地点にある峠で、ベンチが整備されています。ここから先は下りになるので楽になりますよ。
三平峠→三平下
三平下までは距離にして約1km、標高差90メートルを15分程度下ります。木道が滑りやすいので、下りの際に転倒する方が多いんだそうです。登り以上に気を付けて歩きたいところです。
途中で苔が大変美しい場所があります。この場所だけ、まるで八ヶ岳のようです。
木道や階段を下りていくと建物がみえてきました。この付近が三平下と呼ばれる場所で、尾瀬沼南岸ルートと尾瀬沼東岸ルートの合流地点です。
三平下には尾瀬沼山荘と尾瀬沼休憩所があるので便利です。売店やレストランがあります。ベンチも沢山あり、目の前には尾瀬沼が見える休憩に最適なスポットです。
三平下→長蔵小屋
長蔵小屋までは距離にして約1km、20~30分程度の道のりです。三平下から大江湿原までの尾瀬沼東岸ルートは、尾瀬沼の魅力が凝縮された、観光で人気の絶景スポットです。
森を抜けると展望が良くなります。早稲ッ沢湿原は、尾瀬沼越しに日本百名山「燧ケ岳」ドーンの絶景スポットです。風の無い天気の良い日は尾瀬沼に映り込む逆さ燧ケ岳を拝むことが出来ます。
再び森のトンネルに入り、暫く進むと分岐点に到着します。右に進むと尾瀬沼ヒュッテに寄り道できます。長蔵小屋のある左側を進みましょう。
長蔵小屋に到着です。創業130年の尾瀬で一番古い山小屋です。本館と別館、売店、休憩所の4つの建物があります。
長蔵小屋には2か所の展望スポットがあるので絶景を満喫したいところです。尾瀬沼東岸から望む、尾瀬沼越しの大江湿原や燧ケ岳は絶景です。
長蔵小屋→浅湖湿原
浅湖湿原までは距離にして約0.6km、10分程度の道のりです。尾瀬ヶ原に次ぐ広さを誇る大江湿原や、大江湿原のシンボルでもある三本カラマツを一望できる尾瀬沼で最も人気のスポットです。
しかしながら長蔵小屋で休憩をしている間にガスが出てしまい、一面霧になってしまいました。天国ロードだった筈なので残念です。浅湖湿原は分岐を左に進みます。右に進むと大江湿原と福島県側の沼山峠に行くことが出来ます。
大江湿原の分岐から沼尻までは尾瀬沼北岸ルートと呼ばれています。燧ケ岳の裾野と尾瀬沼が交互に入り組んだ道のりで、ここから一気に人が減ります。
湿原歩きの後、一旦樹林帯に入ります。暫く進むと燧ヶ岳の登山口の分岐に到着します。この先が目的地の浅湖湿原です。
浅湖湿原は尾瀬沼北岸のほとりにある小さな湿原です。尾瀬には大小、本当に多くの湿原があるので飽きないですよね。霧が無かったら絶景だったんだと思います。
浅湖湿原→沼尻
沼尻までは距離にして約2.7km、50~60分程度の道のりです。尾瀬沼は標高差が殆ど無いのですが、この区間は燧ケ岳の裾野のアップダウンが続く、登山道のような雰囲気です。
沼尻までは基本的に樹林帯歩きが続きます。尾瀬沼沿いを歩いているとはいえ、木々に遮られ、時々尾瀬沼を望むことが出来るといった感じです。
アップダウンを繰り返す中、名もない小さな湿原歩きがあったりと、地味にバリエーション豊かな道です。樹林帯と湿原を交互に通過しながら進みます。
見晴らしの良い湿原にでると遠くに建物が見えます。チェックポイントの沼尻です。燧ヶ岳の登山口と、尾瀬沼南岸ルート、尾瀬ヶ原のある「見晴」の分岐です。
沼尻には無料の休憩所とトイレがあります。以前は山小屋だったのですが2015年に火事で全焼してしまい、今のような休憩所に生まれ変わっています。
沼尻→大清水平分岐
大清水平分岐までは距離にして約1.7km、40~50分程度の道のりです。沼尻から三平下まではまでは尾瀬沼南岸ルートと呼ばれていて、この道を通る人は本当に少ないんだそうです。尾瀬沼の穴場コースですね。
大清水平分岐までもアップダウンが激しい樹林帯歩きが続きます。マイナールートということもあり木道は荒れ気味で、足元に注意です。
尾瀬沼北岸ルートと雰囲気は似ていて、アップダウンを繰り返す中、樹林帯と湿原を交互に通過しながら進みます。
尾瀬沼の西側は山の裾野が湖岸に迫り出したような地形になっています。道は狭く荒れ気味なので登山装備は必須です。尾瀬沼沿いですが、木々の隙間から時々尾瀬沼を望むといった感じで、見晴らしは良くありません。
大清水平分岐に到着です。富士見平方向へ進むと、大清水平を経由して富士見峠やアヤメ平といったマイナーなコースを探索することができます。
大清水平分岐→三平下
三平下までは距離にして約1.3km、20分程度の道のりです。前半は引き続きアップダウンが激しい樹林帯歩きが続きます。
歩き進むにつれ、段々と見晴らしがよくなってきます。今までは木々の隙間から尾瀬沼を眺める程度でしたが、尾瀬沼の全容を拝める箇所が増えていきます。
心なしか木道も綺麗になり、道幅も広くなります。アップダウンも少なくなり、歩きやすくて快適です。
三平下に近づくにつれ天候も回復していき、本来見たかった尾瀬沼の絶景を拝むことが出来ました。
三平下が見えてきました。尾瀬沼1周コースは、地図で見る限りだと標高差がないコースだったのですが、思っていた以上にアップダウンの繰り返しで歩きごたえがありました。
三平下→一ノ瀬→大清水駐車場
三平下からは来た道と同じルートです。三平峠までは登りですが、標高差がそんなにないのでそこまで大変ではありません。
三平峠からは下りなので、思っていた以上にあっという間に一ノ瀬に到着します。
一ノ瀬まで戻ると、偶然シャトルバスが到着していました。本当は大清水駐車場まで歩く予定でしたが、これも何かの縁です。迷わずシャトルバスを利用しました。文明の力は偉大です。
尾瀬沼1周コースは見晴らしの良い湖畔歩きなのかと思っていましたが、全体の1/2は樹林帯歩きといった印象です。とはいえ、所々で大小様々な湿原を楽しむことが出来るので、お勧めです。
尾瀬沼を周回してみてわかったこと
尾瀬沼は湖越しの絶景や大小様々な湿原をはじめ、場所によって様々な顔を見せてくれるバリエーション豊かな道のりでした。尾瀬沼を周回してみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 「尾瀬ヶ原」と並ぶ、尾瀬の代名詞ともいえる人気の景勝地
- 尾瀬沼には沼山峠ルート(福島県側)・一ノ瀬ルート(群馬県側)2つのコースがある
- 移動距離を短縮したい関東圏の方や、がっつり歩きたい方は「一ノ瀬ルート」がお勧め
- 観光メインや、楽なハイキングを楽しむのであれば福島県側からのアクセスがお勧め
- 大清水駐車場から一ノ瀬まではシャトルバスの利用が可能なので楽が出来る
- 一ノ瀬から三平下までは急こう配の樹林帯歩きが続くので登山と同じ。登山装備が必須
- 三平下から大江湿原までの尾瀬沼東岸ルートは観光で人気の絶景スポット
- 大江湿原の分岐から沼尻までの尾瀬沼北岸ルートは大小様々な湿原を楽しむことが出来る
- 沼尻から三平下までの尾瀬沼南岸ルートは利用者が少ないで静かなトレッキングが出来る
- 尾瀬沼1周コースは標高差はないが、アップダウンの繰り返しで歩きごたえがある
- 尾瀬沼1周コースの半分は樹林帯歩きなので、見晴らしの良い湖畔歩きは期待できない
- 尾瀬沼1周コースは湖越しの絶景や大小様々な湿原を楽しめるバリエーション豊かな道のり
尾瀬沼の魅力を余すことなく堪能したい方にオススメのコースです
尾瀬沼は尾瀬屈指の観光名所なので、福島県側からのアクセスであれば本格的な登山装備が不要で、スニーカーでもアクセスできます。尾瀬沼を1周しなくても絶景だらけなので十分に尾瀬沼を満喫できますよ。
逆に、群馬県側からアクセスする場合、ある程度の登山装備がマストで歩きごたえがあります。登山感満載のがっつりとしたコースを満喫したい方や、尾瀬沼の魅力を余すことなく堪能したい方。高速道路代やガソリン代を節約したい関東圏の方にはお勧めのコースです。
ギア
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