夏、暑すぎてキャンプは行きたくない!けど、折角の週末だから日帰りでどこか行きたい!そんな時にぴったりの山が神奈川の三浦半島にありました。
その名も「大楠山(おおぐすやま)」です。
小学校の遠足で筑波山に登って以来、30歳半ばまで山登りの「や」の字も経験したことがなくまさに人生初の山歩きでしたが、登山初心者にはちょうどいい難易度で、頂上からの360度パノラマ眺望と吹き抜ける風が最高に気持ちよかったですよ!
登山初心者が想像しがちな「登山道らしさ」もしっかり感じられるコースだったので、関東近郊でビギナーでも登れる山を探している人には大楠山ハイキングを心の底からおすすめします。
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目次
大楠山(おおぐすやま)ってこんなところ
山頂からの眺め
大楠山は神奈川県横須賀市にある三浦半島で最高峰の山です。標高241mの低山にも関わらず周囲一帯にここよりも高い山が無いため、山頂から360度のパノラマビューが楽しめる『かながわの景勝50選』、『関東100名山』の100番目にも選ばれている意外とちゃんとした山なのです。
大楠山ハイキングコースから山頂まで、往復でも3時間あれば最高に気持ち良い景色を楽しめるため、まさに私のような登山初心者のためにある山だと言えます。
まずはこの大楠山の魅力からご紹介していきましょう。
山頂からの360度パノラマビューが最高
とにかく最初に見てほしいのが、大楠山頂上からの360度パノラマビュー。水平線と地平線が繋がって地球が丸く見える体験というのはこういうことを言うのでしょう。
東方面。横須賀の街並みと千葉の房総半島がはっきり
北方面。横浜の奥には東京のビル群までくっきり見えます
肉眼では東京スカイツリーもばっちり見えました。空気の澄んでいる日は茨城の筑波山まで見えるらしいです。
カクタス
北西方面。湘南の海に浮かぶ江の島や丹沢の山並みもぼんやり
西方面。早朝や冬の空気が澄んだ時期には富士山までキレイに見えるらしい
南方面。三浦半島の形がばっちり。右奥には大島まで見える
いかがでしょう。どこを向いても水平線や地平線がそのまま空に溶けあっているかのような景色を眺めることができます。初めての登山でこんなに景色の良いところに来れた僕は世界一の幸せ者なんじゃないか、と感じていました。
山頂からの景色を堪能してもらったところで、その他の大楠山ハイキングの見どころもご紹介します。
ちなみに、景色だけを見たい人は頂上まで車で上がれる道もあるみたいです。そのことを友達に話したら「ふっ…(だったら車で行くわ)」と失笑されました。こいつとは一生分かりあえないと思います。カッコ内は私の妄想ですが絶対にそう思ってるはず。悔しい。
大楠山ハイキングコースの見所
沢歩き
大楠山のルートは複数あるのですが、私が登ったのは「前田橋」の交差点から入っていく大楠山ハイキングコースです。
こちらのコースは「前田橋遊歩道」という川伝いの道を歩いていくルートとなっており、夏の暑い時期にぴったりでした。秋冬などの寒い時期は川沿いの舗装道を歩くルートもあるので安心してください。
この川は流れも緩やかで、近所の子供達が水遊びに来る場所でもあるらしく、とても穏やかな時間が流れています。
登山の雰囲気が満点の道
前田橋遊歩道を抜けて「大楠山ハイキングコース」に入ると、まさに登山初心者が想像するような登山感が満載の道を歩くことになります。
踏みならされた道の両脇には生い茂った木々が広がり、まさに自然の中に分け入って歩いている雰囲気を全身で感じられます。
山頂からの抜群の景色
そして先ほどの山道を汗だく汁だく肉だくになりながら1時間半程度かけて辿り着いた山頂からの景色。どれだけ眺めていたのか分かりませんが、疲れが吹っ飛びました。
わずか200mちょっとの標高、本物の登山家に言わせれば民家の裏山のような山なんでしょうが、それでも登山初心者が心を奪われるのには十分な景色です。
いかがですか、大楠山の魅力の片鱗が伝わりましたか?ここからは本当の初心者がどんな装備を揃えて初めての登山に挑戦したのか、あますことなくすべて紹介しますので、なにか参考になるようなものがあれば幸いです。
登山初心者が大楠山に登ってみた
ガチの登山初心者が大楠山に登ってみようと思ったきっかけは、とても些細で単純なことでした。
8月の猛暑が続く金曜日の夕方、仕事帰りに何の気なしに本屋に立ち寄って、キャンプ雑誌の隣に平積みにされていた「関東日帰りハイク」の本をパラパラとめくってみたところ『初心者向けで眺望の良い山』という形で紹介されていた大楠山が目に留まったんです。
そこには富士山がばっちり写った写真が掲載されていて、日本人の血が騒いだのか「こんな富士山が見れるんだったら登ってみたい」と思ってしまった私は、キャンプ用に揃えていた装備を流用して早速翌朝に出発することにしました。
初めての登山で準備した装備紹介
これが初めての登山で準備した装備です。「日帰りハイク」の雑誌で紹介されていた登山の準備に関するページを見ながら『うん、これは必要だな』と思ったものを持って行くことにしました。
チェック
- ザック(コールマン アトラスロールトップ)
- 帽子(ワークマン)
- タオル
- 雨具(ワークマンのイージス)
- ヘッドライト(PETZL)
- マグカップ(スノーピーク)
- ザックレインカバー(パックセーフ)
- 手袋(ワークマン)
- アルコールストーブ(エバニュー)
- アルコール燃料入れ(ナルゲン)
- 笛(なんかのオマケ)
- 充電ケーブル
- モバイルバッテリー
- 虫除けスプレー(サラテクト)
- トイレットペーパー
- 着替えや絆創膏など諸々
- トレッキングポール(LOCUS GEAR)
カッコ内はどこのメーカーか分かるものだけ書いておきます。帽子やヘッドライト、アルコールストーブ等の装備はキャンプ用に揃えたもので、トレッキングポールも装備の軽量化を考えたときに「タープ泊で使える超軽量ポール」という目的で購入したものです。
カクタス
その他に、登山道のトイレはトイレットペーパーが無い場合もあるから持って行った方が良い、と本に書いてあったので丸ごと1個をジップロックに入れて持って行きました。
ザックは日常的に使っている30L程度の安物のリュックサック。ワイルドワンのアウトレットセールで、5,000円ぐらいで購入したコールマンのアトラスロールトップです。
用意した中で結局使わなかったのは、トイレットペーパー、手袋、笛、雨具、ザックカバー、ヘッドライト、着替えや絆創膏など。これらは使いはしなかったけど、次に登山する時もやっぱり持って行くと思います。
こちらは当日着ていった服。上下4点、すべてワークマンで揃えました。
夏キャンプのために購入した「速乾・冷感」インナーとシャツ、同じく「速乾・冷感」のタイツとパンツ。全部合わせて7,000~8,000円ぐらいです。
この他に、ソックスとシューズもワークマンで買いました。そちらも「速乾素材」の商品で、ソックスは3セット800円程度、シューズは1,980円とかだった気がします。
まさに「全身ワークマンコーデ」。下手したら10,000円以内で全て揃います。これらは夏キャンプで着ているものなので、特別な初期投資は掛かっていません。
途中のコンビニで購入したもの
チェック
- 水600mlペットボトル×2本
- 塩レモンタブレット
- ウィダーインゼリー
- カップラーメン
当日は夏真っ盛りでめちゃくちゃ暑かったので、水と塩分が補給できるもの、そしてエネルギー補給にウィダーインゼリー、山頂で食べようと思ったカップラーメンをコンビニで購入してみました。
ウィダーインゼリーは結局開封せずに帰ってきましたが、塩レモンタブレットはガチで買っておいて良かった。本当に死ぬほど汗をかきました。塩分補給は大事。
車・バイクは無料の「県営 立石公園駐車場」がおすすめ
本屋で買った雑誌には電車やバスのルートが載っていましたが、バイク乗りなもんで当日は125ccのバイクで近くの駐車場まで向かうことにしました。
しかし山に登ってみて感じたのが、電車やバスを乗り継いで行った方が登山は楽しめるということ。何故かというと、登ったルートをそのまま下りてこないといけないからです。そういうルートを登山用語でピストンというらしいですが、下りの時の新鮮さが無いので、1から10までハイクを楽しみたいなら公共機関を使った方が良いかも知れません。
ただ、バイクや車で行く場合は時刻表を気にしないで好きな時に帰れる、というメリットはありますね。
ちなみにこちらの駐車場は無料で利用可能で、目の前に海水浴場が広がるすごく良い場所にありました。ただし車の場合は、朝早く来ないと満車になってしまうかも知れません。この日は、昼前(11時頃)には既に待ちの車が並んでました。バイクだったら余裕です。
駐車場の目の前からすでに最高潮の景色
立石公園駐車場の目の前にはこんな景色が広がっています。もう山に登る前から気分はアゲアゲ。
夏の太陽にサンサンと照らされたビーチに並ぶ、色とりどりのテント。テンションは最高。これから向かう登山のルート。山頂、まで気を抜いたら最後。真っ逆さまに落ちて往生!SAY HO-O-!SAY ホッホッホ!
ギラギラのビーチを眺めていたら私の中のオレンジレンジがリリックを刻めと囁いてきたのですが、これが限界です。私のラップはともかく「立石公園」の海水浴場はとても素敵なところでした。この景観は有名らしく、神奈川県民のデートスポットにもなっているらしいですよ。
しかも空気が澄んでいる時期には、この海岸からも富士山が見えるらしいです。
こうして真夏のビーチで遊んでいる人達を背に「私の初登山はここから始まるんだ」と気を引き締めます。ちなみにここからハイキングコースまではバス停を2つ分、約10分ほど歩きます。距離にして800m程度ですが、すでに汗が吹き出てきました。めちゃめちゃ暑い。溶けちゃうよ。
電車・バスでもアクセス可能
スタート地点となる「前田橋」の交差点まで、JR横須賀線の逗子駅や、京急線の逗子・葉山駅からバスでも来ることが可能です。雑誌ではそちらのルートが紹介されていました。
「前田橋」交差点を左折して大楠山へ
バイクを停めた立石公園の駐車場から歩いて10分。この前田橋の交差点を左折して、いよいよ大楠山ハイキングコースへと入っていきます。
立石公園からここまで約800m
電柱に隠れた看板に「大楠山 3.2km」と書かれています。この案内を見た瞬間に「俺、山に登ろうとしてるやん!」とテンションが上がってきました。いよいよ人生初登山が始まる!俺の物語はこれからだ!と考えながら歩き続けます。
前田川遊歩道から沢歩きスタート
前田橋交差点から少し入ったところに「前田橋遊歩道」の看板があり、そこでは魚を捕まえようとしているのか網を持った子供が川に入って遊んでいました。
楽しそうにはしゃぐ子供を横目に、ザックを背負ったおっさんが顔中びしゃびしゃに汗をかきながらニヤニヤ通り過ぎていきます。あくまで目的は登山ですので通報されない内に先に進みましょう。
あー、もう最高。来ちゃった、これ。もうダメ。こんな素敵なところ見つけちゃったわ。やばいなー、俺は天才かも知れんな。と自画自賛してしまうほどの光景が広がってます。
ここはまだ大楠山ハイキングコースの入口でも無いわけですが、その前からこんな涼し気な道を通って行くわけで、目の前の外人さんが思わずしゃがみ込んで写真撮影してしまうのも分かる気がします。
本格的な登りが始まる前からウキウキしちゃいますね。もちろん足場は濡れているので滑らないように気を付けていきましょう。
大楠山ハイキングコース
さて遂にハイキングコース入口に到着しました。先ほどまでの渓流沿いの遊歩道とはうって変わって、山道らしい踏みならされた一本道が山中に伸びています。
基本的にここから山頂までは一本道なので迷うことは無いと思います。あと、念のためにネットで調べて書いてきた「登山届け」を出す場所を探したのですが、どこにも見当たりませんでした。どうやら大楠山は登山と言えるレベルでは無いらしいです。
見よう見まねで、予定ルートとか想定タイムとか一生懸命書いてみた登山届けをザックの奥底にしまいこんで、人生初の登山(ハイキング)が始まります!
地獄の階段200段
かーっ!マジで辛え!ハイキングコースに入ったと思ったらいきなり階段地獄!
これは精神的に堪えます。想像ではもっと緩やかな傾斜の道をえっちらおっちら登っていくものだとばかり思っていたのですが、スタートから延々とこの階段が続いています。後日調べてみたら200段ほどらしいのですが、私が登る時だけひっそり階段が増えてたと思います。
しかも、こっちは初登山だからと万全装備の汗ダクダクで必死に登ってるのに、上からは普段着のよれよれシャツと小豆色の七分丈パンツで「ちょっと裏山の様子を見に来たのよ」みたいな近所のおばあちゃんがひょいひょい下りてきたりするので、そういった意味でも恥ずかし辛かったです。
息も絶え絶えに「こんにちっ…わ…ゼーゼー…コポォ…」と挨拶してみるのですが、「はい、こんにちはー」と小学校の教頭のような冷酷な返答に心が折れそうになりました。
休憩用のベンチが所々に配置
必死の思いで階段を登りきり、少し歩いた先にはベンチが置いてありました。頂上までにこのような休憩スペースが3箇所ぐらい設置されています。
実はこの時、もうすでに膝にきちゃってます。日頃の運動不足がたたりました。しかし、こんなこともあろうかと、私はあの便利アイテムを持ってきているわけですよ。
てーれってれー!トレッキングポールー!!
ついにきましたね、こいつの出番が。ただし、スタート地点からここまで4~5人ぐらいとすれ違ったのですが、誰一人としてトレッキングポールを持っている人はいません。
ちょっと恥ずかしくはあるのですが、そうは言っても膝の疲労はレッドゾーンに突入してます。少し迷いましたが、変なプライドは捨てて残りのルートはトレッキングポールさんに100%頼っていこうと思います。
水600mlの一本目を即飲み干す
そしてこの時、登山前に買っておいた600mlの命の水が1本無くなりました。残りライフは半分しかありません。あまりにもペースが早すぎる。水の他にも熱中症対策に塩レモンタブレットを舐めながら進みます。塩分が身体に沁みるぜ。
登山らしさ全開100%の道が楽しすぎる!
階段を登り切ってからは比較的平坦な道が続きますが、そこからの光景がまさに登山初心者が思い描いていた登山道そのもの!これこれ!
まるでトトロの森のように緑が生い茂る道に時折ふく風。鳥や虫の鳴き声が響く自然の空間にいると、俺生きてる!って感じがします。膝は死んでるが俺はまだ生きてるぞ!
草木のトンネルや木漏れ日が気持ちいい道をズンズン突き進みます。幸いにも膝への負担が少ない道のお陰で、多少は疲労が回復したのか、平坦な道ならすいすいと歩くことが出来ました。
途中、このように真横に伸びる木が道に掛かっていることもあるのですが「こういうのがまたイイ!」とテンションが上がります。登山っぽい!登山ぽいよー!
山頂手前の広場「大楠平」に到着
先ほどのような道を突き進むこと20分ほど、階段と合わせると1時間ちょっとは歩いたでしょうか。山頂手前、最後の休憩スポット「大楠平」に到着しました。
ここはちょっとした広場になっていて、ベンチがいくつか置いてあります。最初は「頂上に着いたー!」と思っていたのですが、改めてルートを確認してみると山頂まであと10分ほど歩かないといけないらしいです。
ここで最後の水を半分ほど飲んで、改めて気を引き締め直します。ちなみに膝ゲージはまだ崩壊寸前のところで留まっています。
この休憩所からもなかなか綺麗な景色が拝めます。この時は「やべー!最高!」と感じてましたが、頂上からの景色の方が100倍すごかった。良い意味で期待を裏切ってくれました。
山頂付近
先ほどの大楠平休憩所から山頂に向かって歩いていくと大楠平のレーダー雨量観測所の横を通り過ぎます。ここではお花を植えているらしく、かわいいピンク色のお花が1輪だけ咲いてました。
なにこれ?コスモス?
先ほどの観測所を越えたら、頂上まであと一歩!ルート案内ではここから5分ぐらいと書いてあったので、楽勝でしょう!
膝もまだギリ余裕がある!イケる!初登山は大成功だ!第一部、完!!と思いきや、最後の最後でラスボスが待ち構えていました。
ラスト階段…
ここまで来て、最後に階段かよ…!ちっくしょー!神様なんかいないんだ!!と、震える膝に鞭を打ち、体重の100%をトレッキングポールに預けて登っていきます。100%中の100%だ!
膝があかーん!と泣きそうになりながらも最後の階段を一段一段登っていきます。そこにはもう男のプライドなんてものはありませんでした。階段があるから登る。理由なんて必要ありません。
大楠山山頂に到着!
辿り着いた無の境地。自らの膝と引き換えに手にした大楠山単独登頂。感無量というのはこういうことをいうのでしょう。山頂にはいくつものベンチが疲れきったハイカーを癒すために置かれています。
さらにはハイカーだけでなくスモーカーにも配慮された灰皿が設置されています。その隣にはベンチなのに「のらないで」と書かれて存在意義を失くした物体が鎮座しております。
お前は乗るためにあるんやろがい!と疲労により荒んだ心で悪態をつきながらベンチに腰を下ろし、すっかりぬるくなった命の水を飲み干します。結局、コンビニで買った600ml×2本の水はすべて飲んでしまいました。
しかし安心して下さい。売店、ありますよ!
大楠山の頂上には売店もあります
こちらが大楠山の頂上にある売店「大楠山ビューハウス」です。営業時間は不明。水やジュースの他にもビールやスナック菓子、カップラーメンも売られていました。
「登山にバイクや車で来ない方が良い最大の理由」がこれだと思うのですが、キンキンに冷えた缶ビールの誘惑がヤバいです。ビールも飲んじまうか…?これから昼飯を食ってゆっくり下山すればその間にアルコールも分解されるんじゃないか…?350mlぐらいだったら平気なんじゃないか…?という悪魔の囁きに、30分ぐらい本気で悩みました。
脳内協議の結果、カップラーメン用の水だけ購入することに落ち着いたのですが、これからも登山のたびに脳内ブレイン閣僚サミットを開催するのは正直つらい。いつか間違った選択をしてしまうかも知れない。怖い。ビールが怖い。特にアサヒビールが一番怖い。くれぐれも私宛にアサヒスーパードライを送りつけたりしないで下さい。あー、怖い怖い。
こちらの青空を支えている螺旋階段は、大楠山ビューハウスの隣に建っており、一番上の展望台からの眺めが抜群なんですよ。冒頭でもご紹介しましたが、改めてもう一回やっておきましょう。まじ最高だから。
ほらもう、たまんないでしょ。この展望台の上で30分ぐらい一人でボーっと景色に魅入られていたら、下からトントンと階段を上ってくる音が聞こえてきました。
展望台に登ってきたハイカーさんに「こんにちは」と挨拶を交わしてから、疲労と感動でハイカーズハイになっている私が「この景色最高っすね!」「初めての山登りだったんすけど、こんな景色が見られてマジよかったっすよ!」と話しかけると、どうやら地元ハイカーさんのようで、大楠山には月に10回ぐらい登りにくるとのこと。まさかの大楠山のヌシでした。
思いがけないヌシとの出会いに、シーズン毎の大楠山の様子だとか、周辺の山の話だとか、ルートの話だとか色々とお聞きしていたら、懐からビニール袋に包まれた物を取り出して「これ、大楠山のおみやげ。良かったらどうぞ。」と謎の物体を頂きました。
エビフライのサンプル?
どうやら大楠山にはタイワンリスという外来種のリスが生息しているらしく、そのリスが松ぼっくりを食べたものがこのようなエビフライのように地面に落ちているとのこと。
私が登ってくる間には全く目に入っていませんでしたが、大楠山のヌシほどにもなるとゆっくり地面の様子を観察しながら登るのが日課になっているようです。
素敵なお話とお土産を頂いたので、また大楠山に登りに来ることを約束してからヌシとお別れしました。ありがとうヌシ。
山ごはんの定番カップラーメン
くー!これこれ!待ってました!疲労からなのか、お腹は減ってないと思ってたのに、作ってみたらめちゃくちゃ美味かったです!!ペロリ!全身に塩分がみなぎってくるぜ!
昼飯を食べたら、一服してから日が暮れる前に下山してしまいましょう。
下山開始の時刻は14時30分。頂上で1時間半ぐらい休憩してました。夏場で日が長いのでこの時間でも余裕ですが、冬場はもっと早くに下山を始めないと暗くなってしまうと思うので、初心者の方は気を付けましょうね。
ゆっくり休憩しながら下山
まだ空は明るい
膝がヤバい…超ヤバい…
下山を開始した瞬間から、膝がヤバいなーとは思っていたのですが、しばらく歩いているとやっぱりヤバいです。語彙力もヤバい。
まだ平坦な道では痛みは感じないのですが、ちょっと下っている道とか、少しの段差とかで右の膝がビキビキと痛みます。ここからはもう必死。トレッキングポールさんが折れないことを祈りながらのっしのっし歩き続けます。
雨が降ってるとツルツル滑るらしい道
大楠山のヌシから聞いた話だと、この「前田橋ルート」は雨が降った翌日や翌々日でも滑りやすい箇所があるから気を付けて、ということでした。多分このあたりのことを言ってるんじゃないかな。たしかに濡れたらとぅるんとぅるんに滑りそうな地面だこと。
この日はずっと晴れ続きという最高のコンディションだったので問題ありませんでしたが、膝をやられたときの下りは本気で気を付けた方が良さそうですね。
最後の階段を前にガクガク震える足
これ写真じゃ伝わらないんでしょうが、本当に笑えるぐらい膝がガクガクに震えてて笑いました。
右ひざを庇いながら歩くもんだから、左ひざまで痛くなって来ちゃって、最後の200段の下り階段を前にちょっとした絶望を味わってましたよ。
階段を降り切った出口に到着した時の達成感よ…
最後の階段は、切なく踏みしめるように一歩ずつ下りて来ました。階段を下り切った先に見えた大楠山ハイキングコース出口の光景は、まるで天国に続いているんじゃないかと思うほど輝いてみえます。生きていることを実感するってこういうことなんですね。
下山後には海辺の喫茶店で一休み
こちらの喫茶店は立石公園駐車場に隣接していて、テラス席はまさにオーシャンフロントが楽しめる素敵なお店。汗だくでザックを背負った右膝死んでる汚いおっさんにも嫌な顔せず接客してくれる素晴らしい店員さんのいるカフェなので、みなさんも登山帰りにおすすめです。
先ほどの喫茶店でアイスコーヒーを一杯いただいたら、海を眺めて帰りましょうね。
こうして考えてみると、海から山に、標高0メートル地点から山の頂に登るハイキングだったわけですね。こういうルートはなかなか珍しい気がするのですが、どうなんでしょう。登山に詳しい方がいたらぜひ教えて下さい。
まとめ|初心者でも登れる大楠山ハイキングはいいぞ
次こそは富士山を見たい
山に登ったのは小学校の遠足以来でしたが、とても思い出に残るハイキングを楽しめました。
大楠山は標高241mの低い山なので登山ではない(標高差500m以上を登山というらしい)ですが、登山初心者が登山の雰囲気を味わうには十分な山だったと実感しています。
そしてまんまと「次はどこの山に登ろうか」なんて考えてしまっている自分がいます。これはやばいわ。ハマっちゃいそうですね。このまま「山はいいぞ」とツイッターで定期的に呟くおじさんになってしまうかも知れません。山おじさん。かっこいいな。
もし関東地方で山登りしてみたいけどどこから登ったら良いのか分からない、どんな装備を揃えたら良いのか分からない、できれば頂上からの眺めが良いところに登りたい、というワガママ初心者さんがいたら「大楠山ハイキングコース」はおすすめです。これはいいですよ。
大楠山のおみやげ
大楠山のヌシが言うには、夏場でも早朝などの涼しい時間だったら富士山が見えることがあるそうです。昼間に登ることになると私みたいに日差しで溶けちゃうかも知れないので、早起きが得意なら早朝を狙ってみても面白いかも知れませんね。
以上、山おじさんの大楠山ハイキングレポートでした。山はいいぞ。
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