山ガールという言葉が広がって12年ほどが経ちます。かつて登山と言えば「中高年が定年後に楽しむ趣味」などといったイメージが強かったですが、ここ十数年ほどの間に世の中の登山に対するイメージは真逆と言ってよいほど変わりました。今では「登山女子」という言葉があるほどですから。
私もそんな登山女子の一人…10年ほど前に突如、登山にはまり、今ではかけがえのない趣味になりました。始めた頃は「ただ、山に登りたい!」「絶景を見たい!」といったことしか頭になく、無我夢中で山に登っていました。それはそれは楽しかったのですが、トラブルに見舞われたこともありました。
普段の生活では大丈夫なことも、自然の中に一歩入ればトラブルにつながることもあります。特に女性は「トイレの問題」や「女性特有の悩み」があるので、男性よりもトラブルが起こりやすいかもしれません
では、実際にトラブルに直面したらどうすればよいのでしょうか?
そこで今回は「登山をする女性」とくに「登山初心者の女性」に知っておいて欲しいトラブルや悩みについて私の実体験も交えながら紹介したいと思います。また、それらの対処法も紹介しますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
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目次
登山で起こりやすい女性ならではのトラブルとは?
登山で起こるトラブルには天候の悪化や道迷いなど様々なものがありますが、女性ならではのトラブルというものもたくさんあります。
「これから登山を始めたいと思っている女性」や「登山初心者の女性」はもちろん、「山に登るすべての女性」に知っておいて欲しいトラブルや悩みをまとめました。
頭の片隅に入れておいて損はないと思うので、ぜひ最後まで読んでみて下さいね。
山にトイレがない!
女性にとってトイレがないのは大問題です。男性はトイレがなくてもどうにかなりますが、女性は隠れる場所があったとしてもなんだか抵抗がありますよね。
私も初めの頃や男性と登山をする時は、トイレがない山では極力水分を取らないようにして我慢していました。でも、意識すればするほど「トイレに行きたい!」と思ってしまい、トイレのことで頭がいっぱいで景色を見る余裕などなくなることも。
しかも、水分を控えているのですごく疲れるし、膀胱がパンパンなまま登るのですごく体調が悪くなることもありました。
ではいったい登山女性はどう対処しているのでしょうか!?
木陰や岩場に隠れて用を足す
トイレがないのであれば、木陰や岩場などの人に見られない場所で用を足すしかありません。登山初心者の女性にはかなりハードルが高いかもしれませんが、慣れるものです(笑)
しかし「隠れてしていたつもりが反対側から丸見えだった」「人気がないのを確認したのに突然登山者が現れた」なんてこともあるので注意が必要です。
私も何度か「見られた!?」とヒヤヒヤすることがありました。単独登山でなければ仲間に周りを見ててもらいましょう。もし登山者が来た場合は「ヤッホー」など相手に悟られないような暗号を決めて合図してもらうなど、いざという時の対策を!
もし一人の場合は、ポンチョなどをかぶって見えないようにすると良いでしょう。あたかもしゃがんで「お花摘んでますよ~」みたいな感じを装いましょう(笑)雨も降ってないのにポンチョを着ていること自体、不自然ですが…ここは平常心を保つことが大事です!
ちなみに、ベテラン登山女子であればお分かりだと思いますが「お花摘みに行ってきま~す」という登山用語があります。
これは実は「トイレに行ってきま~す」という意味なのです。女性はしゃがんで用を足すのでその姿がお花を摘んでいる姿に見えることから生まれたようです。
慣れてくると「そろそろお花摘み大丈夫?」「ここら辺お花摘みによいかも~」なんて会話を平気でするようになりますよ(笑)
オムツをする
木陰や岩場に隠れてするのはムリ~!という方は、大人用のオムツをする方法があります。今は薄型でパンツのようなのも出ているようなので、そこまで違和感なく履くことが出来るのではないかと思います。
しかし私はこっちの方が抵抗があります。実際にオムツをしたとして、どんなに用を足したくなっても出来ないような気がします。まあ、無防備にお尻を丸出しにして用を足すのもどうかと思いますが…(笑)
もしもの時の為に履いておくとお守り代わりみたいで良いかもしれませんね。
トイレはないが隠れてする場所が用意されている場合も…
トイレがない山でも、隠れる場所(個室のような感じ)に携帯トイレを持っていって出来る山もあるようです。
携帯トイレが用意されている場合もありますが、無い所もありますので事前にしっかり確認しておきましょう。最近は100均にも携帯トイレが売っているので、常にザックに忍ばせておくと良いでしょう。
番外編
お花摘みに抵抗があるのは、ズボンを下ろしてお尻を丸出しにしないといけないから…て人には、こんなグッズもありますよ。
このグッズを使えば男性のように立ちションが出来るらしいです。「立って用を足せたら、なんていいんだろう」という思いと「一度立ちションを経験してみたい」という思いから、いつかは購入したいなと思っています。もしその時は感想を投稿しますね。
月のもの(生理)と登山日が重なる
月のもの(生理)は女性特有の悩みで、できれば登山予定日と重なってほしくないと思うものです。ましてやトイレの無い山などの場合はナプキンを捨てることができない(環境保全のためにも、持ち帰るのが基本)ので、使用済みナプキンなどをザックに入れておかなければなりません。匂いも気になりますし、なるべく避けたいですよね。
では、登山女子はどうしているのでしょうか?
月のもの(とくに1日目~4日目)と登山日が重なったら中止もしくは延期する
生理の時はなるべく激しい動きは避けたいものです。もう気分もなんだかどんよりするので、たぶん登山に行っても楽しめないと思います。
「自分は普段から生理痛もないし大丈夫」という人も中にはいると思いますが、山では気圧の低下、酸素濃度の低下などにより体調不調を起こしやすくなるので注意は必要です。なるべく日にちを変更できるのであれば、生理後などに登山日を変更しましょう。
「山は逃げない!」この言葉を何度自分に言い聞かせたことやら…。そうなんです。山はいつでも同じ所にあってまた登れるチャンスはやってくるんです。
もしかしたら「今は登るタイミングではないよ~」と山の神様が教えてくれているのかもしれませんしね。もし、途中で体調を崩して動けなくなったらたくさんの人に迷惑をかけてしまうので、我慢する勇気を持つことも登山をするうえで重要な心の装備の一つですよ。
月のものと重なって登山を諦めた日は、気分転換に登山ウェアで近所を散歩したり、登山地図を見ながら妄想登山をしたり、次の登山に備えてみてはいかがでしょうか。
登山中に急に月のものが始まってしまった…
山では気圧の変化などから、急に月のものが始まってしまうことがあります。そんな時の為にも救急セットやお花摘みセットなどにナプキンやタンポンを常に忍ばせておきましょう。ナプキンは止血にも使えるので緊急時にも役立ちますよ。
また、もしも急に月のものが始まってしまった時のために「パンツは黒や紺などの血がついても目立たないものを選ぶ」「パンツや非常用ショーツなどの着替えを用意しておく」などの対策をしておくと安心ですね。
登山後の汗の匂いなどが気になる
夏場はとくに山であっても汗をかきやすいので、下山後、電車やバスなどで帰る際は体臭が気になりますよね。山を下りて近くに温泉などがあればいいのですが、そうも都合よくありませんし…。
そこでオススメの対処法を紹介します。
汗拭きシートを用意しておく
携帯用の汗拭きシートを準備しておくと便利ですよ。汗によるベタベタや匂いをサッと拭き取れるので、匂いを軽減することができます。登山中にも使えるのでザックに忍ばせておくとよいでしょう。
ただし、登山中に香料のついたもので体を拭くと虫(蜂など)が寄ってきたりすることがあるので、登山中は無香料のものやミント(虫の嫌がる匂い)などを使うようにしましょう。
水のいらないドライシャンプーを用意しておく
ドライシャンプーとは、水やお湯を使わずに髪を清潔に保ったり、頭皮の匂いを抑えたりすることができるアイテムです。
登山では帽子をかぶるので頭が蒸れやすくなりますし、汗もかきます。夏場は汗でビショビショになるなんてこともあるので、こちらもザックに忍ばせておくと良いですね。
最近は災害グッズの必須アイテムとして需要が高まっているので、各メーカーから様々なものが出されています。
お気に入りの匂いや使用感のものを一つ持っておくと、いざという時にも役立ちますよ。ただし、こちらも登山中は無香料のものを使うようにしましょう。
化粧品や整髪料・柔軟剤などの香料による虫トラブル
女性は日焼け対策に日焼け止めをしたり、化粧をしたりすると思います。また普段何気なく使っている整髪料や柔軟剤、良い匂いしませんか?良い匂いがすると山では虫が寄ってきます!
私は甘いジュースの匂いと花の匂いの柔軟剤のせいで、結構な数のミツバチに追いかけられたことがあります(汗)秋頃はよく「スズメバチに刺された」なんてことをよく聞きますし…。
とくに整髪料や柔軟剤は汗に反応すると「モワ~」っと匂いが放たれるので、登山の日はすべて無香料のものにするのが無難です。登山ウエアはついつい洗う時に柔軟剤を入れがちなので気をつけましょう。
対策としてはただ一つ、登山の日は無香料のものを使う!これだけです。
男性登山者に声をかけられやすい
女性だけで登山をしているとけっこうな確率で男性から声をかけられます。声をかけられることは悪いことではなく、ルート情報や山情報などを教えてもらえたりするので、正直、良いことの方が多いです。
とくに普段はなかなか話す機会のない年齢の方と山談義で盛り上がったりできるので、最近では逆に自分から話しかけたりすることもあります(笑)山の話や登山道具の話って山を登らない人にはなかなか話すことができないので、ついつい長話になったりしちゃうんですよ。
そしてなぜか「山を登る人に悪い人はいない!」と思ってしまうのです(※あくまでも個人的な価値観です)。よく考えればそんなことはなく、地上だろうが山だろうが悪いことをする人はいるのです。
ただどうしても「山頂からただ景色を見る為だけにきつい思いをして頑張れる人に悪い人はいないだろう」と漠然と思ってしまうんですよね(何度も言いますが、あくまでも個人的な考えです)。
奇跡的にも私はこれまで山で悪い人に会ったことはありません。大体話しかけてくるのって、山ガールなんて言葉が生まれる遥か昔から山に登っている中高年層なんです。下心で声をかけていることはほぼないと思います。
「ただウンチクや山マナーなどを話したい」「自分の経験や凄さをしれっと自慢したい」などなどの可愛い理由なのです。
だって、下界では若い子と話す機会もなかなかないですし、可愛いウェアを着た女性が山にいたら、そりゃテンション上がることもあるでしょう(笑)
あまりの話の長さに「チーン…」となったことも
しかし、あまり知られていないだけで山で怖い思いをしている女性も中にはいるようです。とくに単独登山をしている女性は気をつけましょう。
私も何度か単独登山をしたことがありますが、声をかけられて山頂や途中まで一緒に登ることになっちゃいました。私の場合はたまたまいい人ばかりだったので良かったですが、なかにはしつこくつきまとわられたり、連絡先を聞かれたりということもあるので注意しましょう。
ではもし「しつこくつきまとわられたり」「連絡先を聞かれたり」など、一人で困った場合、いったいどう回避したらよいのでしょうか!?
連れがいると嘘をつく
「この先で連れが待っているので…」などと嘘をついてその場を去りましょう。先に行くと着いてきて嘘がバレることもあるので、できれば相手に先に行ってもらいましょう。
もし本当に下心ありありのヤバい人の場合、茂みに隠れて待ち伏せている可能性もあるので気を抜かないようにしましょう。山は隠れられるところが無限にありますから、警戒心は常に持っておかなければいけませんよ!
連絡先を聞かれて断れない場合でも、電話番号や個人情報が特定されやすいSNSは絶対に教えない!
きっぱり断れるのであればきっぱり断るのが一番いいのですが、どうしても断れないなど最悪のケースもあるかもしれません。
そんなときは意外にLINEを教えるのが一番安全かもしれません。速攻、ブロックしてしまえばよいので(笑)ただし、ID登録する際に本名を登録していると表示されるので、相手に本名がバレてしまいます。本名がバレるとブロックしたとしてもSNSなどで辿って身元を特定されたりするので注意が必要です。
一番良いのは「連絡先は絶対に教えない」ということです。自分が教えてもいいなと思う人は別ですよ…その代わり自己責任ですので、判断力を身に着けておきましょうね。
名前を聞かれても本名は教えない
先ほども言いましたが、本名がバレるとSNSなどで特定されやすくなるので本名(フルネーム)は教えないようにしましょう。下の名前だけ教えるとか、名字だけとか(珍しい苗字の場合は避ける)偽名を使うとか…自分を守るための嘘なので、そこは引け目を感じなくても大丈夫です。
この際なので、こういった時用の名前(例えば憧れの名前とか好きな女優の名前とか)を考えておくのも良いかもですね。
単独登山をするのであれば、まずはきっぱり断れる勇気を持つこと
まず、こういった事態を招かないように、きっぱりと嫌なものはイヤ!と断れる勇気を持つことです。なかなか難しいかもしれませんが、それも安全で楽しい登山をするために必要な心の装備だと割り切りましょう。
もし、断れないのであれば「単独登山はしない」「人気(ひとけ)の多い山(人気の山・人の多い土日・人の多いルート)を選ぶ」などの対策をしっかりしましょう。人気(ひとけ)があれば、周りの目もあるのでそこまでしつこくはしてこないでしょうし、最悪助けを求めることも出来るので…。
最後に
いかがでしたか?山は女性にとって不安なことやトラブルが起こりやすい場所でもあります。「不安だけど恥ずかしくて聞けず悩んでいた女性」や「これから登山を始める女性」、「登山初心者女性」などのお役に少しでも立てるような内容になっていれば良いのですが…。
また、この記事をきっかけに山を登る男性が「女性にはこんな悩みがあったのか!」と知ることが出来たら良いなとも思います。さり気なく女性を気遣うことが出来る男性登山者が増えることにもチョッピリ期待しています(笑)
ギア
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