日本一低い火山「笠山」へ行ってきました。屈指の観光名所ということもあり、車で山頂付近まで登ることが出来て、山頂からは信じられない海の絶景を拝むことが出来ます。山頂だけではなく、各名所ポイントにも駐車場が完備されているので、歩くことなく絶景巡りを楽しむことができますよ。
目次
日本一低い活火山「笠山」
山口県萩市にある「笠山(かさやま)」は、中国自動車道美祢東JCTから車で約40分。萩市北東部の陸繋島にある標高112mの火山です。北長門海岸国定公園、萩ジオパークに指定されています。
約40の小火山体から成る阿武火山群(あぶかざんぐん)の1座で、2003年に活火山に指定されています。笠山の由来は、山容が市女笠(いちめがさ)に似ているからなんだそうです。
山頂には直径30メートル、深さ30メートルの小噴火口があり、小ぶりではありますが、お鉢巡りを楽しむことが出来ます。日本一どころか、「東洋最小の火山」とも言われているんだそうですよ。
笠山は山頂展望台から望む日本海の眺望や、国の天然記念物に指定された「明神池」、約25000本の藪椿が自生する「笠山椿群生林」等、見どころ満載の絶景の山です。
山頂含め、これらのスポットには車でアクセスが可能というスーパーチートな山です。
「笠山」登山コース
笠山はハイキングコースが充実しているので本格的な登山も可能ですが、車で山頂付近までアクセスが可能です。
最短で登頂できるコースは以下です。
笠山山頂駐車場から登頂する
- 標高差約4m/片道約50m/約3分程度のコース
- 最寄りの駐車場は「笠山山頂駐車場」(駐車可能台数約40台/無料・トイレ有)
笠山は山頂だけではなく、各名所それぞれに駐車場完備の観光名所でもあります。今回は猛暑日ということもあって殆ど歩くことなく、車で登山コースを走ってみました。
笠山山頂駐車場→笠山山頂
笠山山頂の最寄りの駐車場は「笠山山頂駐車場」で、駐車可能台数は約40台。駐車料金は無料です。もちろんトイレもあります。流石に山頂付近にある駐車場なので道幅は狭いです。徐行で進みましょう。
駐車場の傍にある階段を登ります。大変整備された階段です。
階段を登りきると広場のような場所に出ました。山頂標識を見つけることが出来ませんでしたが、ここが山頂のようです。標高は112m。
山頂は木々に囲まれ、公園のようになっています。木漏れ日が気持ち良いのですが、絶景は望めません。
よく見ると奥のほうに建物が見えます。展望台のようです。行ってみましょう。
笠山展望台に到着です。2階にはカフェと展望台が。3階には展示休憩室と展望台があります。
展望台は大変整備されていて、室内はエアコン完備です。そして、展望台からの景色こそ、笠山の絶景ポイントでした。
笠山展望台からの景色
笠山展望台からは萩市の街並みや日本海を一望できるパノラマビューの絶景が広がります。日本海に浮かぶ小さな島々はどれも平べったい独特な形をしていて目を奪われます。
北西方向に目を向けると、大島、櫃島、肥島、羽島、尾島、相島から成る六島諸島(萩六島)と呼ばれる特徴的な形の島々を一望できます。
北東方向に目を向けると笠山越しに山陰の海岸線と日本海が広がり、左手には大島が見えます。
南西に目を向けると、手前に九島という小さな無人島越しに萩市の街並みを一望できます。
南東方向に目を向けると、狐島(きつねじま)と呼ばれる半島越しに街並みが見えます。この島は廃校があるスポットとして有名です。
笠山は夕日の名所で「日本の夕陽百選」に選定されています。展望台のお陰で海の絶景を楽しむことが出来るのは嬉しいポイントですよね。
笠山山頂→お鉢巡り
笠山は火山なのでちゃんと火口があります。展望台から少し下りた場所に分岐があります。早速下りてみましょう。
火口の規模は直径約30メートル、深さ約30メートルと小ぶりです。立派に整備された階段を降りると火口です。
階段を降り切ると、フェンスに囲まれた真っ赤な岩が見えます。どうやらここが火口のようです。想像していた形とは違い、溶岩の壁に覆われた崖のようです。
フェンスからのぞき込むと、何かが見えますが、火口と言われなければわからないですよね。笠山は同じ場所からは噴火しない「単成火山」なので、この火口から再び噴火することは無いんだそうです。
因みに火口はお鉢巡りができる道が整備されています。ぐるっと周回してみました。日本海の絶景を拝めるかと期待していましたが、火口の外側も内側も木々に覆われていて叶いませんでした。
国の天然記念物「明神池」
明神池は、島だった笠山が、砂が堆積する砂州で陸続きになったときに出来た天然の塩水池です。1923年に国の天然記念物に指定されています。
明神池の最寄りの駐車場だけ有料です。池の周りにはお土産屋さんが軒を並べ、本当に多くの観光客が訪れる萩市でも屈指の観光名所のようです。
明神池は大池、中ノ池、奥ノ池の三部から成り、溶岩のすき間を通って海水が入り込んでくるので、池なのに海水です。潮の満ち引きで水位が変わり、海の魚も泳いでいる不思議な池です。
池の奥には森林が広がっていて、「萩厳島神社」が鎮座しています。江戸時代初期に、藩主の毛利元就が「厳島明神」から神仏の分霊を迎え入れたんだそうですよ。
人気の観光名所というともあり、魚に餌をあげることができるサービスがあります。「天然の水族館」と呼ばれているようで、本当に沢山の魚を間近で見ることが出来ますよ。
笠山椿群生林
最後に笠山椿群生林へ寄り道してみました。椿が開花する2月中旬~3月下旬は激込みするスポットで、山頂から車で5分程度です。道は狭く、曲がりくねっているので徐行で運転したいところです。
海沿いを走る道なので、所々で絶景を拝むことが出来ます。思っていた以上に海抜が低く、本当に目の前には日本海の絶景が広がります。
最寄りの駐車場は笠山虎ヶ崎第1・第二駐車場で、駐車可能台数約100台。駐車料金は無料です。もちろんトイレもあります。
笠山椿群生林に到着しました。笠山の北端、虎ヶ崎に広がる約10ヘクタールの敷地には、約25,000本のヤブツバキが自生しています。筆者が訪れたのは真夏なので、残念ながら椿は咲いていません。
今回は35度を超える猛暑日ということもあり、登山は諦めて車をフル活用しましたが、椿のシーズンであれば丁度良い気候で最高の登山を楽しめること間違いなしです。また機会があれば歩いて笠山を周回してみたいと思います。
日本一低い火山は2つある?!
出典:松江観光協会笠山に登った後に、衝撃的な事実を知ることになりました。なんと、日本一低い火山がもう一つあったのです。
その火山とは、島根県松江市の大根島にある「大塚山」です。標高42.19mと、笠山より低く、文句なしで日本一低い火山ですよね。一体どちらの山が本当の日本一なのでしょうか。そこで火山の定義を深堀りしてみました。
どちらが日本一低い火山?
平成15年1月まで、火山は「活火山」「休火山」「死火山」の3つに分類されて、それぞれ定義されていたのですが、かつて死火山とされていた御嶽山の噴火など色々とあり、現在では「活火山」のみ定義されています。「休火山」「死火山」は廃止となり、使われない用語となりました。
活火山の定義は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」ということで、2023年現在、111座が活火山に分類されています。笠山は「阿武火山群」として気象庁のリストに掲載されています。
対して大塚山は「活火山」に分類されていません。昔の定義でいうところの「休火山」や「死火山」に分類されるのだと思いますが、そもそも定義が無くなったので、「活火山以外の火山」という、宙ぶらりんな位置づけになっているようです。
火山の定義が変わったので、笠山は「日本一低い活火山」。大塚山は「日本一低い活火山ではない火山」に分類できそうです。考え方次第では、どちらも日本一低い火山ということになります。
「活火山か活火山以外か」で日本一論争が起きてもおかしくないのですが、そんな気配はありません。日本一低い山については少なくとも4つの山が名乗りを挙げ、決着がつかない永遠のテーマという記事を紹介しましたが、何故なのでしょうか。それは以下の理由が考えられます。
自治体が「日本一低い火山」をアピールしていない
日本一低い山については、それぞれの自治体が「我こそが日本一低い山!」と名乗りをあげています。各自治体の公式のホームページでも、「日本一低い山」をアピールしています。
日和山(標高3メートル)宮城県仙台市にある築山
仙台市市民センターでの山の説明
日和山は仙台港の南側、蒲生干潟に面した蒲生地区にあり標高6.05mの山で平成3年の国土地理院の地形図に掲載され「日本一低い山」となりました。
天保山(標高4.53メートル)大阪府港区にある築山
大阪観光局公式サイトでの山の説明
標高4.5mの日本一低い山として有名な天保山。
弁天山(標高6.97メートル)徳島県徳島市にある自然の山
徳島市公式ウェブサイトでの山の説明
弁天山は、標高6.1mの、国土地理院発行の地形図に載る自然の山としては、日本一低い山です。
ところが火山については、それぞれの自治体の公式のホームページでも「日本一低い」というアピールはありません。笠山に至っては標高の低さにすら触れず、「小さな火山」と説明しています。
山頂の低さよりも、観光名所や絶景スポットであることを売りにしている印象です。論争が起こらない理由も納得ですが、「日本一低い火山」であることも大々的にアピールすると、更に盛り上がる気がするのは筆者だけでしょうか。
笠山に登ってみてわかったこと
笠山は見どころだらけなので、「日本一低い火山」を売りにしなくても多くの観光客が集まる人気の観光名所であることがわかりました。地笠山に登ってみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 「東洋最小の火山」ともいわれる、日本一標高が低い活火山
- 国の天然記念物「明神池」や「笠山椿群生林」が見どころの屈指の観光名所
- 山頂には直径30メートル、深さ30メートルの小噴火口がある
- 本格的な登山も可能だが、車で山頂付近までアクセスが可能
- 山頂含め、各名所それぞれに駐車場完備なので車で名所巡りができる
- 山頂は木々に囲まれていて景観は望めない
- 笠山展望台からは日本海を一望できるパノラマビューの絶景が広がる
- 日本一低い火山は2つあるが、どちらも低さを売りにしていない印象
- 椿が開花する2月中旬~3月下旬は激込みする
- 車で山頂まで行ける日本一低い火山
車で山頂まで行ける日本一低い火山
車で山頂まで行ける山は登山感ゼロですが、たまには観光がてらの登山もありだと思いました。勿論、ちゃんとした山なので、yamapやヤマレコといった登山アプリにも活動記録を残すことが出来ます。
とはいえ、何時間もかけて登頂した山と同じ1座としてカウントされるのは、なんだか複雑な気分です。
笠山は、キャンプや観光がてらで立ち寄るにはお勧めの山です。標高からは想像がつかない、信じられない海の絶景を拝むことができますよ。
ギア
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