読者より「キャンプ利用は禁止されている」という情報提供を頂き、キャンプクエスト編集部で公園管轄の大垣市と河川管轄の西濃総合庁舎に確認を取ったところ【約20年前はキャンプ場だったが、現在は森林(公園内)はキャンプ利用は禁止、ハンモックは木々を傷つける可能性があるので禁止。河川は自由利用であり、常識の範囲内で利用をお願いしている。】という回答を頂きました。掲載されている内容はアーカイブとして保存されたものとなります。ご注意下さい。
西暦1600年(慶長5年)関ケ原の戦いのあった地「関ケ原IC」より車で15分、岐阜県大垣市上石津町にある多良峡森林公園でキャンプをしてきました。
上石津町(かみいしづちょう)といえば、日本史好きの夫は真っ先に「明智光秀!」と口にします。そうです、上石津町は明智光秀の出生地なのでは?と考えられている町でもあるのです。
目次
明智光秀出生の秘密
明智光秀の出生については諸説あります。現存されている明智家の家系図によると「多羅は進士家の居城」と記されています。この進士家というのは、光秀の母の嫁ぎ先であり、子のなかった兄の元へ次男を養子に出したそうです。その養子先が明智城の明智光綱であり、これが後の明智光秀ではないか、と言われています。
多羅城については、関ケ原の戦いの後に高木貞利により築かれた城を思い浮かべる方が大半でしょう。でも現在、それ以前の戦乱の時代にはここ上石津町に多羅城があったのではないか、と推測されています。
明智光秀の逸話
出典:本能寺の変 - wikipedia
明智光秀は、どこで生まれいつ死んだのか、未だに多くの謎に包まれています。
明智光秀といえば、織田信長に仕えていた身でありながら突如織田信長を討った「本能寺の変」があまりにも有名です。これにより、裏切者のイメージが強い光秀ですが、本当の黒幕は光秀ではない可能性もあり、今もなお多くの仮説が立てられています。
その後の「山崎の戦」で亡くなったとされている明智光秀ですが、その遺体は発見されることはなく、一部では、光秀は天海として生き延びていたのではないか?とも言われています。
光秀以外にも上石津にまつわる歴史人物はいた
出典:大垣・西美濃観光ポータル上石津町周辺には、歴史好きなら周ればならぬ観光スポットが点在しています。
今回、キャンプをしたのが地図で右下の多良峡です。そのすぐ北には「西高木家陣屋跡」があります。
こちらは膨大な量の古文書群が残っていることから、平成26年、国に史跡として指定されました。この高木家は大和高木村の出身。関ケ原の戦いの功績により、この多良の地を拝領し、それぞれ陣屋を構えたとされています。
現在は、西高木陣屋跡に郷土資料館が建っています。ここでは上石津で出土された石器などの他に「島津の退き口」の紹介もされています。
島津の退き口にまつわるストーリー
多良峡森林公園から車で10分ほどの場所に「島津豊久の碑」があります。島津藩は薩摩の国(現、鹿児島県)にあり、西郷隆盛が在籍していたことで有名です。
当時、島津藩は全国に名を轟かせており、天下を目指す人々から「このままにしておくと強敵になりうる」と恐れられていました。そして徳川家の援軍として駆け付けた関ケ原の戦いで孤立し、最後は徳川家康の命により井伊直政らに追撃されてしまいます。
しかし、島津藩当主・島津義弘の甥であった島津豊久が「捨てがまり」という戦法を取り、敵を狙撃しました。これはその場に数名が留まり、敵を食い止めて時間を稼いでる間に、他の部隊を逃がすという決死の作戦です。豊久はこの戦法を何度も用い、命を懸けて義弘を薩摩まで帰還させたという逸話が残っています。
乱戦の末に豊久は討死しましたが、この功績は受け継がれ、大正時代、第30代島津藩当主により上石津町の地に「島津豊久の碑」が建立されたのです。
多良峡森林公園の概要
このまま歴史ライターと化す前に今回のキャンプレビューを致すでござる。
といっても多良峡森林公園は、キャンプ場ではありません。大垣市と上石津町が運営するキャンプを許可している森林公園です。
そのため、設備は公衆トイレのみ。飲料水や炊事棟、入浴施設などはありません。
また、オートサイトではないので駐車場から荷物を自力で運び込む工夫が必要です。
駐車場からこの坂道を下れば森林サイト、さらに奥に河原サイトがあります。ソロキャンパーや大人のみのキャンパーの方は、自分の荷物を全てバックパック+両手で完結して一気に運んでいるので身軽に見えます。
しかし、我が家含めファミリーキャンパーは何度も行き来する必要がありますので、時間と体力が必要です。でも戦乱の世を考えれば、こんなの屁でもありません。
多良峡森林公園の駐車場の注意点
多良峡森林公園には無料駐車場がありますが、15台程度しか止められません。
また、公園への入口はかなり急カーブな上に急な下り坂。道も狭いので、対向できません。大型車で来る時は十分な注意が必要です。といっても、我が家のミニバンは問題なく通過できますし、ランクルなども見かけるので不可能ではありません。
多良峡森林公園のエコトイレ
駐車場と同じ敷地内に、公衆トイレがあります。トイレは男女別で洋式と和式とそれぞれあります。設備は新しくありませんが、綺麗で気持ちよく使えます。
多良峡森林公園のトイレは「環境対応型常流循環式トイレ」らしいです。ん?って思うかもしれませんが、常に水が循環してて、排泄物を一切放流せずに分解する仕組みになってるようです。環境に配慮してていいですね。
ちなみにトイレ横の手洗い水道に「凍結防止のため水は止めないでください」と張り紙されています。都会では、凍結で水道管が破裂するなんてトラブルないかもしれませんが、これは田舎あるあるです。思わず止めたくなりますが出しっぱなしにしといて下さいね^^
多良峡森林公園内には吊り橋がある
多良峡森林公園は、公園と名は付きますが、遊具がある訳ではありません。でも、子供がワクワクするのはこちらの吊り橋でしょう。
全長72m・高さ18mの吊り橋をキャッキャしながら渡っていく息子と、高所恐怖症の私。こんなことでは、戦国の世の武将たちに笑われてしまいます。
橋の上からは河原でキャンプする人たちが見えます。紅葉シーズンになると、ここから木々の彩りを眺められます。
吊り橋の向こうには冒険が待っている
72mの吊り橋渡り終えたら、そこから今度は遊歩道が始まります。
片道およそ1時間半・2.5kmの遊歩道は、アップダウンも激しく果てしない階段が続きます。これはもはや遊歩道ではなく、プチ登山さながらです。
また、周回コースではなく、来た道を引き返す必要もありますので、往復3時間以上の道のりです。普段山歩きが好きな方ならきっと楽しめますが、キャンプに来て軽い気持ちで進んでしまうと後の予定が大きく狂う可能性がありますのでご注意ください。
それでも、歴史を辿った後にこの静かな道を歩いていると、まるでタイムスリップでもしたかのような感覚になれるかもしれません。
写真右手の森の中が遊歩道です。ちなみに遊歩道から対岸の河原にも出れます。
多良峡森林公園のテント設営場所
多良峡森林公園は公園なので、キャンプ場としてサイトが整備されてるわけではありません。しかし、大きく分けて河原サイトと森林サイトとあります。
森林サイトは、木々の木漏れ日が気持ちよく「キャンプと言えばハンモックでしょ」的な人には最高なロケーションです。
ひとつだけ気を付けないといけないのは、森林サイトは直火はおろか火気厳禁です。つまり、焚火台どころかバーナーも使えません。これはかなり残念なポイントですが、山火事を防ぐためなので、必ず守りましょう。山火事の広がり方の異様さと言ったら、ほんとにもう、衝撃的ですから…(目撃者は語る)
もう一方の河原サイトは直火OKなので、人気があります。THE・昔ながらのキャンプ場って感じのワイルド感が最高ですが、森林サイトを抜けて河原まで降りるので、ファミリーキャンパーには結構距離が辛いです。
今回はこの森林サイトに宿泊し、河原で食事を準備しました。
BBQは手ぶらで!養老町で和牛を調達しよう
多良峡森林公園周辺はただただ山道です。多良峡森林公園へ入口の365沿いにファミリーマートがあるくらいですので、食材調達は現地ではオススメできません。
でも、多良峡から車で20分ほど走れば、養老町があります。養老町には和牛肉の卸会社が多く存在しており、安くて質のいい焼肉が食べられることで有名です。
多数の焼肉店が連なる養老焼肉街道では、飛騨牛を筆頭に有名な和牛が多数取り扱われています。こちらで食べていくもよし、肉を調達してBBQにしてもいいですね。珍しい部位も売っているので、本格焼肉がキャンプでも楽しめますよ。
私のおススメは「やきにく藤太」さんです。飛騨牛をまるごと一頭買いするお店としてかなり人気です。新鮮でお値打ちの焼き肉が食べられますし、精肉店も併設してるのでお持ち帰りも可能です。人気店なので、多いときは2時間待ちですが、お持ち帰りであればすぐに買えます。
多良峡森林公園内を流れる清流
多良峡森林公園内には、清流・牧田川も流れています。
牧田川には、アマゴやアユなども生息していて、地域の人が環境保全に務めていらっしゃいます。透明度が高く、本当に美しい川で、夏場の川遊びは多くの方で賑わっています。せっかくの清流なので、遊んだあとは綺麗にして帰りましょうね。武士ならば「立つ鳥跡を濁さず」です。
牧田川は、浅瀬の箇所もありますが、急に深くなったりします。全体的にどこも流れが強いので、小さな子供と遊ぶ時は必ずしっかり目を配りましょう。
締め括りは大垣城と、関ケ原の合戦跡地で
多良峡森林公園のある大垣市には「大垣城」があります。大垣城は、関ケ原の戦いで徳川家康とやりあった西軍の大将・石田三成の本拠地です。
昼には西軍優勢で進んでいた戦でしたが、小早川秀秋の裏切りにより、夜には一気に東軍・徳川家康に進行を握られます。これにより三成自身も合戦の地へ赴きますが、やむなく西軍が敗退してしまいました。その関ケ原の合戦の跡地も多良峡森林公園から車で20分程に位置します。
現在は田園風景が広がっていますが、大きな石碑や徳川家と石田家の家紋入りの旗がはためいています。また、ここからほど近くの「関ケ原笹尾山交流館」では甲冑体験ができます。甲冑を身に着け、史跡散歩なんてテンション上がりますね。2020年7月には関ケ原古戦場記念館も完成予定で、歴史好きであれば観光だけで日が暮れてしまうかもしれません。
多良峡森林公園でのキャンプついでに大垣市と関ケ原町を巡って歴史観光なんていかがでござるか?
読者より「キャンプ利用は禁止されている」という情報提供を頂き、キャンプクエスト編集部で公園管轄の大垣市と河川管轄の西濃総合庁舎に確認を取ったところ【約20年前はキャンプ場だったが、現在は森林(公園内)はキャンプ利用は禁止、ハンモックは木々を傷つける可能性があるので禁止。河川は自由利用であり、常識の範囲内で利用をお願いしている。】という回答を頂きました。掲載されている内容はアーカイブとして保存されたものとなります。ご注意下さい。
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