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房総グランドキャニオン「小鋸山」は危険がいっぱい!低山なのに危険といわれる理由を解説

房総グランドキャニオン「小鋸山」は危険がいっぱい!低山なのに危険といわれる理由を解説

千葉県で最も有名な山で、代表的な観光名所の1つでもある「鋸山」には、登山愛好家の間でちょっとした有名な場所があります。「房総のグランドキャニオン」と呼ばれる「小鋸山」からの絶景です。標高196mと本家の鋸山よりも標高が低く、観光名所の近くにあるので気軽に登れそうに思ってしまいがちですが、完全に別物です。

今日は小鋸山の登山ルートと、低山なのに危険といわれる理由を解説します。

房総のグランドキャニオン「小鋸山」

房総のグランドキャニオン「小鋸山」

千葉県鋸南町にある「小鋸山」は、南房総を南北に隔てる郡界尾根上にある小ピークの一つです。山頂標識では標高196mとなっているのですが、国土地理院で標高を測量していないので、公式なものではないようです。

鋸山登山マップ

出典:鋸山復興プロジェクト

小鋸山という山は存在せず、鋸山の稜線の先にあることから、登山者の間で「小鋸山」と呼ばれるようになったんだそうです。そんなこともあり、地図で探しても見つけることはできない山です。読み方も「このこぎりやま」「しょうのこぎりやま」どちらか不明です。

小鋸山は周りに遮るものが少なく

小鋸山は周りに遮るものが少なく、パノラマビューの絶景が広がります。中でも西側に広がる採石場跡地は岩肌がごっそりと削り取られ、日本とは思えない絶景が広がります。その壮大な景色から「千葉のグランドキャニオン」「房総のグランドキャニオン」「チバンドキャニオン」の異名を持つようになったんだとか。

「チバリーヒルズ」や「房総のXXX」に代表される、千葉県独自のネーミングセンスが小鋸山でも如何なく発揮されていますよね。

小鋸山が危険だとおもう理由

小鋸山が危険だといわれる理由

小鋸山は標高196mと低山なのですが、気軽に登れる山ではありません。何故なら滑落事故や遭難を起こしやすい荒れた登山道なうえに、正式な登山コースではないからです。さらに、立ち入り禁止や通行止めの区間が点在しているので十分な下調べが必要です。具体的にまとめてみました。

正規ルートが無いコース

正規ルートが無いコース

小鋸山への登山ルートには正規のルートが無く、非公式のバリエーションルートを歩くことになります。Googleマップや国土地理院の地図にも載っていないくらいなので、YAMAPやヤマレコといったGPSアプリでもルートが存在しません。

他の登山者の活動データだけが頼りになるという、登山初心者にはお勧めできない山です。

道迷いしやすい

道迷いしやすい

バリエーションルートは登山道が荒れているので道迷いのリスクがあります。特に小鋸山は後半に差し掛かると必ず道に迷います。

筆者は念入りに登山コースを下調べのうえ、GPSアプリを利用したにも関わらず、何度も道迷いをしそうになりました。実際、多くの登山者が途中で断念しているんだそうです。小鋸山に登るのであれば事前のルート確認やGPSアプリの利用は最低限必須です。

滑落事故の危険がある

滑落事故の危険がある

小鋸山は標高差だけでみると楽勝に思えてしまうのですが、終始アップダウンが激しく、後半になればなるほど断崖絶壁の痩せ尾根の岩稜歩きや、両側が切れ落ちた岩登り、急登急降下のロープ場が待ち受けています。

滑落事故の危険があり、足を滑らせてしまった場合、無事では済まないと思います。高度感は勿論のこと、荒れた登山道も相まって、気が抜けない登山道です。

電波が入らない上にエスケープルートが無い

電波が入らない上にエスケープルートが無い

小鋸山に登る場合、ソロ登山は避けたいところです。何故なら登山道は電波が入らないうえに、エスケープルートが無いからです。しかも1日数組程度しか登らないメジャーとはいえない山です。万が一遭難したり、ケガをした場合、詰みます。

近辺に駐車場が無いので登山道までのアクセスも一苦労

近辺に駐車場が無いので登山道までのアクセスも一苦労

小鋸山の登山道付近には駐車場がありません。かといって登山道付近の路上駐車だけはNGです。登山道までは数キロ以上の山道を歩く必要があり、アクセスだけでも一苦労です。

小鋸山は、所要時間や休憩を含めると往復6~7時間の山行なので、昼前には山頂に着くスケジュールで山行計画を立てる必要があります。

立ち入り禁止区間と通行止め区間がある

立ち入り禁止区間と通行止め区間がある

小鋸山周辺に点在する採石場跡地は私有地のままのエリアが沢山あります。登山道をそれたり、採石場跡地を間近で見ようと下りたりすると、気づかないうちに不法侵入なんてことも起こりえます。ルートによっては私有地を通る場所もあるんだそうですよ。

また、登山道の傍にある林道金谷元名線は土砂崩れで現在通行できないので、注意が必要です。

小鋸山に登るのであれば一人で登らないことをおすすめします

小鋸山に登るのであれば一人で登らないことをおすすめします。念入りな準備や登山コースの下調べは勿論のこと、GPSアプリの利用は必須です。また、自力で帰着ができる装備やスキルも不可欠です。

「小鋸山」登山コース

「小鋸山」登山コース

小鋸山を登頂する場合、立ち入り禁止区間や通行止め区間を避けた登山コースは2つ考えられます。

鋸山・小鋸山ピストンコース

  • JR浜金谷駅から鋸山山頂を経て林道口から山頂を目指す、標高差約320m/片道約5km/徒歩約180~240分程度の登山コース
  • 最寄りの駐車場は、JR浜金谷駅駅近辺のお好きな駐車場を利用

白狐峠・小鋸山ピストンコース

  • JR保田駅から白狐峠を経由して山頂を目指す、標高差約180m/片道約8km/徒歩約150~180分程度の登山コース
  • 最寄りの駐車場は、JR保田駅近辺のお好きな駐車場を利用

今日ご紹介するのは鋸山山頂から小鋸山を目指すコースです

今日ご紹介するのは鋸山山頂から小鋸山を目指すコースです。鋸山山頂までの登山コースは以下の記事からご確認頂けます。

鋸山山頂 → 林道口

鋸山山頂 → 林道口

鋸山山頂までは約2.4km、徒歩約100分~120分程度の道のりです。山頂からは林道口方向へ進みます。

林道口までは距離にして約1400メートル

林道口までは距離にして約1.4km、標高差約130mを下ります。林道口は公式の登山ルートなので、比較的道が整備されていて歩きやすいです。

中間地点あたりに「東の肩」

中間地点あたりに「東の肩」という広場があります。ベンチもあるので休憩に最適。

後半は見通しがよくなりますが

後半は見通しがよくなりますが、倒木が増えていき、段々と険しい登山道になっていきます。とはいえ、公式の登山ルートなので危険個所はありません。

林道口への道のりでは

林道口への道のりでは、所々で採石場跡地を見ることができます。絶景ポイントも多いのでなかなか足が前に進みません。

ひたすら下りきると林道口に到着です

ひたすら下りきると林道口に到着です。林道口を通る「林道金谷元名線」はオフロードバイクで人気のツーリングコースなんだそうですよ。車での通行は大変そうなダート道が続きます。

林道金谷元名線から保田駅へ続く道

林道金谷元名線から保田駅へ続く道は現在通行止めになっているので、下山で利用ができません。この道を使うことができれば下山で多少楽ができるようです。復旧が待ち遠しいですね。

林道口 → 切通し

林道口 → 切通し

小鋸山の登山口はちょっと分かりづらく、通行止めの柵のちょっと先にあります。小鋸山・嵯峨山の看板を左手に進みます。

ここから先は正規ルートではなく

ここから先は正規ルートではなく、バリエーションルートになります。チェックポイントの切通しまでは600メートルほどです。

出だしは比較的整備された登山道で

出だしは比較的整備された登山道で楽勝ムードかと思いましたが、すぐに登山道が荒れます。切通しまでの道のりは倒木との闘いが続きます。

両側が切れ落ちた細尾根が見えてきました

両側が切れ落ちた細尾根が見えてきました。この先はこんな道ばかりです。

岩尾根も随所に出現します

岩尾根も随所に出現します。左側が切れ落ちているので慎重に渡りたいところ。場所によっては岩をよじ登る必要があります。

台風の影響で倒木が酷く

台風の影響で倒木が酷く、進んでいくにつれ、登山道が巨木で塞がれた箇所が増えていきます。

小鋸山の道のりは

小鋸山の道のりは、標高差でみると数10m程度なのですが、細かなアップダウンの繰り返しなので累積標高でみると軽く100mを超えます。

随所に見晴らしの良い絶景スポットがあるので

随所に見晴らしの良い絶景スポットがあるので良い休憩になります。遠くに鋸山が見えます。結構遠くまで歩いてきましたね。

切れ落ちた岩尾根や

切れ落ちた岩尾根や、倒木で道を阻まれた登山道を30分程歩くと割れた岩尾根が見えてきました。チェックポイントの切通しです。

切通しの幅は2~3メートル程あります

切通しの幅は2~3メートル程あります。登山道はこの先です。飛び越えるには距離がありすぎるので一旦岩尾根を降ります。

下に降りると道になっていました

下に降りると道になっていました。恐らく採石場から石を運ぶために作られた通路なんだと思います。

切通し → 小鋸山山頂へ

切通し → 小鋸山山頂へ

切通しの反対側の岩尾根へ向かいます。道が大変不明瞭で、登山道らしい道へ進んでしまうと全く違う方向へ向かってしまうので地図が手放せません。この道であってるの?と疑ってしまうような斜面を登るのが正解のようです。

不安になりがながら登り進めると

不安になりながら登り進めるとロープが見えてきます。このポイントは地図を見ながらでも道迷いしやすい難関ポイントです。

小鋸山山頂は距離にして約300メートル程度なのですが

小鋸山山頂は距離にして約300メートル程度なのですが、今までとは別次元の難所が続く、核心部だらけの登山道です。ここから先も危険個所だらけです。

岩がむき出しの急斜面がある

岩がむき出しの急斜面がある尾根にはロープがあるとはいえ、足を滑らせると大変です。そして、ここはまだ序の口。

山頂が近づくにつれ見晴らしが良くなり

山頂が近づくにつれ見晴らしが良くなり、岩場をトラバースする細い登山道が多くなります。

郡界尾根の南側は採掘場跡地が沢山ありま

郡界尾根の南側には採石場跡地が沢山あります。絶景ですが、これは千葉のグランドキャニオンとは別物のようです。

尾根の南側をギリギリまで削って採石した結果

尾根の南側をギリギリまで削って採石した結果、右側は断崖絶壁の険しい岩尾根に変貌を遂げています。ここから先は小鋸山核心部。

断崖絶壁の痩せ尾根の岩稜歩き

断崖絶壁の痩せ尾根の岩稜歩きは、写真では伝えきれない高度感があります。滑落してしまったら無事では済まないでしょう。

両側が切れ落ちた岩稜にはロープ場が待ち受けています

両側が切れ落ちた岩稜にはロープ場が待ち受けています。足を引っ掛ける箇所が少なく、登るのも一苦労です。

小鋸山最大の難所を乗り切ると

小鋸山最大の難所を乗り切ると、最後の試練が待っています。この先は進んで良いのか不安になるくらい木々で覆い塞がれていて、完全に登山道が無くなります。

道迷いをしたのかと不安になり

道迷いをしたのかと不安になり、GPSアプリで現在地を確認すると、山頂まで数十メートルのようです。木々をかき分けて進むとロープが見えてきました。

後ろを振り返ると

後ろを振り返ると今まで歩いてきた郡界尾根を一望できます。改めて見ると、とんでもない登山道ですね。

見晴らしの良い岩場が見えてきました

見晴らしの良い岩場が見えてきました。山頂標識のようなプレートや紐が見えます。ここが山頂なのでしょうか?

小鋸山に到着です

無事に小鋸山に到着しました。標高196m。バリエーションルートは道迷い箇所が何か所かあり、倒木ゾーンから切れ落ちた尾根歩きと、スリル満点の道のりでした。

小鋸山山頂からの景色

小鋸山山頂からの景色

小鋸山山頂は360度とはいきませんが、パノラマビューが広がる絶景の山です。山頂は物凄く狭く、断崖絶壁の岩場です。高所恐怖症の方には居心地が悪い場所かもしれません。

東側に目を向けると鋸山

東側に目を向けると鋸山が見えます。雲の無い日は鋸山の右隣に富士山が見えるんだそうですよ。

北側に目を向けると

北側に目を向けると、山々越しに遠くには東京湾が見えます。

南側は木々に囲まれていて展望が無いのですが

南側は木々に囲まれていて展望が無いのですが、何故か置物が飾られていました。フクロウでしょうか?それともコアラなのでしょうか?

そして、西側に目を向けると

そして、西側に目を向けると本日のメインディッシュでもある「房総のグランドキャニオン」とご対面です。

まるで異国にいるかのような

まるで異国にいるかのような圧巻の景色は、小鋸山からしか見ることができない、正に秘境の絶景です。

山頂のプレートは

山頂のプレートは最近作り直されたようで綺麗になっていました。裏側にはメッセージが書かれています。プレートを裏返しにしてから下山しましょう。

奥のほうに進むと「白狐峠」

奥のほうに進むと「白狐峠」の標識がありました。ここから下山すると房総のグランドキャニオンを間近で見ることができるようです。

しかしながら今回

しかしながら今回、どこからが私有地で、どこからが立ち入り禁止区間かまで下調べをしていなかったので下に降りるのは断念して、同じ道を使って下山をしました。

小鋸山に登ってみてわかったこと

小鋸山に登ってみてわかったこと

小鋸山は想像していた以上に険しい道のりで、念入りな下調べは言うまでもなく、十分な装備やスキルが無いとお勧めできない山だと思いました。小鋸山に登ってみてわかったことをまとめました。

まとめ

  1. 小鋸山という山は存在せず、地図で探しても見つけることができない
  2. 鋸山山頂から林道口までは公式の登山ルートなので比較的道が整備されていて歩きやすい
  3. 林道金谷元名線から保田駅へ続く道は現在通行止めになっているので下山で利用ができない
  4. 小鋸山のバリエーションルート前半は倒木との闘い
  5. 切通しから反対側の岩尾根へ向かう道が不明瞭で高確率で道迷いする
  6. 切通しから山頂までの300メートルは断崖絶壁の険しい岩尾根が続くので危険個所だらけ
  7. 山頂手前で登山道が一瞬無くなるので不安になる。登頂を断念するケースもあり得る
  8. 房総グランドキャニオンの異名を持つ採石場跡地は小鋸山からしか見ることができない絶景
  9. 小鋸山の標高差は数十メートル程度だがアップダウンの繰り返しなので足腰への負担は想像以上
  10. 十分な装備やスキルが無いとお勧めできない山

小鋸山に登るなら登山ガイドツアーを利用するのも手です

小鋸山に登るなら登山ガイドツアーを利用するのも手です

いかがでしたか?マイナスなことばかり書いてしまいましたが、小鋸山から望む「房総のグランドキャニオン」はまるで異国にいるかのような絶景で、いつもの登山とは違う達成感があったのも事実です。

十分な下調べが必要な山なので手放しでお勧めできる山ではありませんが、そんなときは登山ガイド主催のツアーに参加するのも一つの選択肢だと思います。登山のプロがガイドをしてくれるので安全・安心に小鋸山の登山を楽しむことができますよ。

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ギア
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