ツーリング四日目 20年ぶりに走る津軽半島
出発直前迄、天気予報に翻弄され。それでも強行した津軽半島ツーリング。実に20年ぶりの高野崎!天気予報の8月9日雨が外れ、日中は雨に祟られることなくたどり着いた高野崎。しかし夜から…。
高野崎到着時、既に厚く垂れ込めていた雲は、予想を裏切ることはありませんでした。運命の9日夜、そして10日の予定変更…。旅もいよいよ終焉です。
2019年8月9日 運命の高野崎 その夜
走り疲れにお酒の酔い、シャワーで体も温まり、ストンと眠りに落ちました。が…。1時間後くらいでしょうか、強制的に目覚めさせられました!
私のテントは、mont-bellのモノポールシェルター。もう10年選手。フロアのないシェルターで、8箇所をペグダウン。中心にポールを立て、ペグとポールのテンションによって設営します。フロアはありません。コットをセットし、その上に寝袋です。
そのシェルターが強風に煽られ、生地が大きく風ではらみ、顔に触れてきます。しかも外は雨!シングルウォールですから、生地はどうしても内側が濡れてきます。お分かりですよね?雨で濡れたシェルターの生地が顔に張り付く。そりゃ目も覚めます!
しかも、風の強さが半端ではありません!シェルター自体が吹き飛ぶのではないかと…そんな恐怖が生まれる状況!
ウトウト、睡眠、また起こされ…朝までそれが続きました。生き地獄。
早朝から
結局風が少し弱まった(あくまで比較した場合のこと。朝も風は結構強く吹いています)のは、朝の4時過ぎでした。同じシェルターで寝ていたMさんは、朝まで熟睡!羨ましい。
5時には起き出し、取り敢えず一晩倒壊せずに持ちこたえたmont-bellモノポールシェルターに感謝です。
シェルター内での料理
目覚めはしましたが、外は小雨。風もあって気温も低い!外での料理はできません!こういう時こそ、フロアレスシェルターの本領発揮!シェルター内で、目覚めのコーヒー準備です。
次いで、朝食の料理もシェルター内で!ここでもアルスト大活躍。
玉ねぎ、ベーコン、ピーマンを刻み、スキレットで炒めてから、最後に卵投入。
それをパンに挟みます。前回の朝食は食パンでした。今回は3名なので、背負いパンではあまりが出ます。写真の様なパンを買っておきました。実はこのパン、新潟の米粉で作られています。青森市内でわざわざ新潟産のパンを買う…。狙ったのではなく、スーパーにこれしかありませんでした。
寒い1日を想定して皆でしっかり食べます。
シェルター内は、コット二つを撤収し、椅子だけにした場合、4名迄収納可能。ですから、MさんT君と3人で食事です。これも、自立式ドームテントではできない芸当!フロアレスシェルターは一度使うと手放せません。
出会いと決断
8月10日朝、気温が全く上がりません。寒さから雨具を着用します。今回は半袖Tシャツしか持参していないのです。取り敢えず、景色を見て写真撮影。
昨日はかすかに見えていた北海道、雨では見えませんね!高野崎方面は霧の中…。とてもオートバイで向かう気分になれません。さて、どうするべきか…。
何にせよ、出発準備をしなければなりません。オートバイに荷物を積んでいると、完全雨天装備のライダーが1人、駐車場に入って来ました。話をすると、昨晩大間に泊まり、これから龍飛を目指すかどうか思案中とのこと。天気についての情報交換をします。
結局、長期天気予報の8月9日雨は、1日ずれ込み9日夜中から雨となりました。しかしその雨は、下北半島と津軽半島のみ!雨の前線が、両半島と津軽海峡にかかっているのですね。何とも悩ましい前線です。
優しいラーメン屋さん曰く、竜飛崎方面は濃霧で車でも危ないくらいとのこと…。3人で協議の結果、竜飛崎は断念し、青森市内に戻ることにルート変更。
霧と雲の中に、遠く竜飛崎が見えます。
青森市内は…
津軽半島を南下している間、気温は何と18度!岩手県内で38度だった時から、その差は20度。冷える訳です。ずっと小雨の中の走行でしたが、青森市内に入った途端、青空となりました。気温もどんどん上昇です。
しばらく走ってレインスーツを乾かし、コンビニ駐車場で脱ぎます。そしてこれからをどうするか…。
昨日遅い昼食を青森市内のコンビニで摂った時、8月10日の宿を予約しました。予定では、10日は竜飛崎を巡り、津軽半島の日本海側におり、そのまま南下。不老不死温泉、高山稲荷神社に千枚敷、十二湖や五所川原近辺の景色を堪能して秋田市入り、でした。
けれど、そのルートはもはや使えない。青森市から大舘市を経由して秋田市に向かうしか最早ルートはありません。
あとは全て消化試合
そうなると、残念ながら残りは全て消化試合。特段見るべき景観も観光もなく、ひたすら走ります。MさんT君は初めての土地、けれどもこちらはすでに何度も訪れた地。ただただ街を抜け、田舎道を走り、ワインディングを抜け…。
お土産買ってお昼を食べて
この日、漸くお土産購入。これはマスト、です。手ぶらで帰宅は許されません、3人ともに。次に旅立てるか否かが、ここにかかっています。青森の道の駅で購入。ついでにお昼も済ませます。
無料区間を使って
東北は高速としてまだ機能できていない道が自動車専用道路として生かされています。無料です。そうした道路を活用しつつ距離を稼ぎます。ひたすら消化試合で走るだけ。
秋田のホテルへ
到着は17:30頃だったかな。この日、秋田市内は部活動の大会やコンクール等で結構ホテルが満室。今夜の宿は秋田パークホテル。ここにも大会関係者らしき人がちらほら。もう絶滅したと思っていた「このバイク、何CC?」と聞いてくる、「何CCおじさん」久々に遭遇しました。排気量を聞いて驚いていましたが、Harleyだったら当たり前の排気量。バイク知らないなら聞いて来なきゃいいのにね。
最後の乾杯は秋田市「居酒屋くまがい」にて
秋田市は、市役所県庁のすぐ近くに殿町があり、ホテルもすぐ近くにあり、酒舗はすぐに決まりました。今宵最後の乾杯は「居酒屋 くまがい」にて!
こちらは妙齢なお父さんと奥様の2人で営業しているのかな?決して大きなお店ではありませんが、どの肴も美味ばかり!長芋のバターソテー明太子和え、あん肝、絶品でした!何を食べても美味しく、お酒も旨く、大満足なお店です。とても良いお店に出会えました。これもまた、旅の醍醐味!
ツーリング最終日 完全消化試合
6:00起床。部屋で朝食です。ツーリングで宿を取ると、決まって素泊まり(温泉は別ですよ)。経費節減です。ホテルの朝ごはん程度に、数百円は出したくないもの!
夜、居酒屋で乾杯し、沢山食べて沢山呑んで、コンビニで朝食を買って宿に戻ります。朝はこれで十分なのですよ。
今日は旅終焉の日。仕方ないことですが、最終日はもの悲しい空気が朝から流れます。このままずっと、流れて行きたいけれど。そうはいかないのが人生。幾つになっても「自分1人だけの気ままな人生」なんて、ならないのですよねぇ。柵ばかり…。
最終日は完全消化試合ですが、帰りの道中、山形の鳥海山に寄るつもりです。
オートバイに荷物を取り付け、出発は9:00。すでに日は高く気温は上昇中。津軽半島の天気だけが恨めしく思えて来ます。あそこ以外は猛暑だったのに。
鳥海山へ
下界は晴れていますが、鳥海山の山頂には雲がかかっています。登りだす前から見えていた風景。山頂まで駆け上がると、雲の中にすっぽりです。景色はもう何も見えません。
雲の中で止まってもねぇと、山頂では止まらず一気にパス。
少し降りだすと、雲の中から出ることができました。あぁ良かった!雲から出たところでオートバイを止めます。パチリと一枚撮影。
大平山荘より
そのまま下ると、大平山荘に出ます。こちらはもう燦々と日を浴びています。ここからは山形の海岸線が望め、日本海一望!でも振り返ると、やはり鳥海山山頂は雲の中。
鳥海山道の駅
鳥海山も降り、遊佐町にある鳥海道の駅で昼食です。これが3人で食べる最後の旅飯。焼き牡蠣でも食べようかとも思いましたが、観光客相手の商売で、高いこと高いこと!海の幸に恵まれた県民ですから、こんな高価な牡蠣を買う気にはなれません!
あまりお腹も空いてなく、こんな感じでつまんでお終い。ツブ貝、いか、豚バラ肉、そして大ぶりなたこ焼き。食事にはなりませんね。旅の終わりが悲しくて、食べても美味しくは感じません。ツーリング最後に必ずやって来る、ennuiです。
食べ終われば、あとは自宅に帰るだけ。
食べ終えて出発が、確か13:00だったかな。
旅の終わり
最終日、昼食後のルートは初日のルートと同じ道。日本海側から山形に入るなら、この道になってしまうのです。16:50頃、T君とも別れます。クラクションが悲しいね。
自宅到着は17:45。5日間の東北ツーリング、20年ぶりの津軽半島。1400kmの旅でした。
19の頃に400ccのバイクに乗り、初めて旅立ったあの頃から。もう34年。ずっと旅を続けています。オートバイに乗って走る旅。あの頃走った多くの仲間は、オートバイを降りました。
一体全体、何が良くてオートバイに乗るのか。何が良くて旅立つのか…。行って帰ってくるだけなのに。
既に、沖縄県以外全ての都道府県は、走りました。泊まりました。けれども、まだ見ぬ地があるのです!見たことのない風景があるのです!走っていない道があるのです!旅の良さは、ここにあります。「未だ見たことのない景色を見る為、走る為」少なくとも、私の中ではこれにつきます。
車では、駄目なのです。四角い鉄に囲まれた車での移動では、駄目なのです。体が剥き出しの、剥き出しであるが故に、全ての五感と第六感を駆使して走るオートバイだからこそ、喜びも感動も、切なさも苦しさも、ひとしおなのです。
鉄に囲まれ、エアコンの効いた快適空間で移動する旅は、私の中では旅とはなりません。
雨に濡れ、風に煽られ、人馬一体となり走り続けて、走る行為の中に目的がある、オートバイの旅でなければ、分からないことがあるのです。
今回、凡そ20年ぶりとなる東北へのツーリングに回帰しました。高速道路を駆使して西へ西へと走ったツーリングをやめて。原点回帰…。そして、仕事柄ここ4、5年、一緒に走れなくなっていたE君とも走りました。かつて共に走って行った高野崎にも泊まりました。若かりし頃、テントを張った同じ場所で、またテントも張りました…。
須川湖もアスピーテも、十和田湖も奥入瀬も高野崎も、全てかつて行った場所。けれどもアプローチは異なります。たとえ同じ地でも、見せてくれる表情は、同じではありません。それはいつだって「未だ見たことない風景、未だ走ったことのない道」なのです。
普段、仕事も異なれば住む場所も違う、けれど気心の知れた仲間と。普段は会えない仲間と、それでも会えば即「以前」に戻れる仲間と、未だ見たことない風景、走ったことのない道を求めて、走る。そんなオートバイでの旅は、これからも続きます。
E君T君と、来夏必ず一緒に走れるかどうかは、分かりませんけれど…。
次は秋です。1泊か2泊か、まだ未定ですが。今年最後のツーリングとなるかも知れません。さて、何処へ行きましょうかね?そして来夏、またロングの旅に出ます。バイク歴35年目の夏、2020です。
この日の様子は、動画でもご覧頂けます。宜しければ、こちらでどうぞ!
ギア
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