冬キャンプの寒さ対策で永遠のテーマといっても過言でないのが「底冷え対策」です。これまで底冷え対策については過去に紹介した「銀マットやブランケットなどを何重にも重ねる」「コットを使う」「限界使用温度が低いシュラフを使う」ことで対策してきました。
これで十分暖かいのですが、積載が増えることと、設営や撤収が面倒なので、もっとシンプルに出来ないか悩んでました。そんな悩みを一気に解決してくれたギアが「EXPED(エクスペド)」ダウンマットです。
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目次
EXPED(エクスペド)ってなに?
EXPED(エクスペド)は、あまり聞きなれないメーカーだとおもいます。1997年創立のスイスのアウトドアブランドで、主に登山用のテント、タープ、バックパック、マットを製造しています。
テント泊登山をするキャンパーの間では有名なブランドで、ヒマラヤ登山家が愛用するなど、性能面で絶大な信頼を誇ります。スイス生まれと聞くだけで寒さに強そうなイメージを持ちますよね。
エクスペドのマットは何が凄いの?
スリーピングマットは沢山のメーカーから出ているのに、どうしてエクスペドのマットが底冷え対策におすすめなのか。それは「DownMat(ダウンマット)シリーズ」はエアーマットの中にダウンが、「SynMat(シンマット)シリーズ」はエアーマットの中にマイクロファイバーが入っているからです。
空気の層にダウンやマイクロファイバーといった中綿が入っているお陰で、エアーマット特有のヒンヤリした感じが無く、寝心地が最高で暖かい構造になっています。ダウン入りのエアーマットは他にはありませんよ。
マットのラインナップ
エクスペドのマットは種類が豊富で、冬キャンプの定番であるダウンマットシリーズ以外にも沢山の種類があり、全部で7シリーズ、19パターンがラインナップされています。
種類が豊富でどのマットを選べば良いか悩むと思いますが、今回は冬キャンプで使うことを前提にしているので対象は絞られてきます。
対応温度が-10度以下、R値 (EMPA)が4以上の「DownMatシリーズ」か「SynMatシリーズ」を選べば問題ありません。サイズはお好みでお選びください。拘りが無いのであればMを選んでおけば良いと思います。
今回はコスパ最高で売れ筋の「ダウンマットライト5」と、軽量で設営・撤収が爆速な人気モデル「シンマット UL ウインター」の使用感をご紹介いたします。
DownMat Lite 5(ダウンマットライト5)の概要
冬キャンプに適したDownMat(ダウンマット)シリーズのエントリーモデルです。店頭に置かれているのはDownMat Lite 5が多いこともあり、一番の売れ筋なんだとおもいます。コスパが良く、暖かいので当然かもしれませんね。
DownMat Lite 5(ダウンマットライト5)は2種類のサイズが用意されています。Mサイズが183×52×5(cm)、LWサイズが197×65×5(cm)です。今回ご紹介するのはMサイズです。
高いR値を提供するために、115gのダウンを圧着技術によってエアーマット内部に封入しているのが最大の売りです。
その結果、対応下限温度が-10度、R値が4.1と、極寒のキャンプ場や冬山でキャンプをしない限り底冷えで悩まされることが無いスペックを実現しています。R値(R-value)はマットの断熱力のことで、数値が大きいほど断熱力があります。一般的にR値が4以上あれば冬キャンプで快適に寝ることが出来るとされています。
DownMat Lite 5は、ダウンが膨らむ力を表すフィルパワーダウン値が650FPと、十分な膨らみがあるのでダウンの暖かさを十分確保できます。FP(フィルパワーダウン)の数字が大きいほどダウンが膨らむので暖かさを確保できます。
収納サイズは26×13(cm)、重さはたったの620グラムです。ダウン入りなのに想像以上にコンパクトでびっくりしました。1リットルの紙パックと比較すると、大きさが伝わるかと思います。
DownMat Lite 5(ダウンマットライト5)を使ってみた
中身を取り出すと、本体の他にマットを膨らませるミニポンプ、修理用のリペアシート一式が入っています。万が一エアーマットに穴が開いてしまった時も応急処置ができるのでありがたいですよね。
それでは早速膨らませてみましょう。1ヶ所あるバルブを開けて、ミニポンプを取り付けます。エクスペドのエアーマットは逆止弁を採用しているので、空気が漏れることはありません。
ミニポンプを使って空気を入れます。エクスペドのマットは口で空気を入れることが出来ない構造になっています。これは口から空気を入れるとマット内に結露が発生してマットが劣化しやすくなるからです。
ミニポンプは一度に大量の空気を入れる事が出来ないので、かなりの回数をプッシュする必要があります。ざっくり数えると120回以上はプッシュしたと思います。膨らみきるまで時間にして3~4分はかかったと思います。地味な作業で面倒でした。もっと簡単に空気を入れる方法がありますので後程ご紹介いたします。
Mサイズの183×52×5(cm)は、コットにすっぽりと収まるサイズです。丁度良い大きさですね。逆にLWサイズだとコットによってははみ出るかと思います。
厚さが5センチあるので地面のゴツゴツが伝わってきません。はっきりいって物凄く快適です。地面の冷気も伝わりにくく、冬でも快適に寝ることが出来ますね。
しかも耐久性の高い溶着による縦型のバッフル(隔壁)構造なので、溝に身体が少し沈むことで横ずれを防止し、寝相が悪くてもエアーマットから転げ落ちる心配がありません。写真をよく見ると両端の膨らみが大きく、盛り上がっているのがお判りいただけますでしょうか。実際に寝てみると包み込まれているような感覚でした。
表面の素材には75デニールポリエステルが使われていて、TPUポリエーテルフィルムラミネート加工されています。表面がツルツルしていないのでエアーマット特有のヒヤっとした感覚は皆無で、滑り止め効果もあります。耐加水分解で長期間の使用でも快適に使えることが証明されているということです。
撤収するときはバルブに棒を挟んで弁を浮かせると勝手に空気が抜けてくれます。
これだけでは完全に抜けきらないので、畳みながら空気を押し出していけば綺麗に空気が抜けますよ
実際に使ってみた感想
控え目にいって最高です。それはマットの上に寝転がって1分で実感しました。今までは底冷えはしないけど暖かいとは感じたことはありませんでしたが、DownMat Lite 5は寝転がって1分すると背中が暖かくなるのを感じたからです。
これがダウンの力なんでしょうか。背中が暖かくなるだけで熟睡度が全然違いました。むしろ夜中、暑くて目が覚めた程です。ここまで効果が判り易いギアは久しぶりです。
残念な点をあげるとすれば、空気を膨らますときに若干面倒なところでしょうか。しかしご安心ください。別売りのポンプバックを購入すれば2~3回のポンピングでマットを膨らませることができます。時間にして1分もあれば膨らむうえに、収納時に防水スタッフバッグとしても使用可能なので買う価値ありです。
SynMat UL Winter(シンマット UL ウインター)の概要
軽量化重視の山岳向け用途に適したSynMat(シンマット)シリーズで、冬に特化したモデルです。SynMatシリーズではダウンの代わりに中綿にTexpedloftマイクロファイバーを採用しています。撤収や設営がスピーディーにできる設計になっていて、通常は別売りのポンプバックが標準装備されたお得なモデルです。大変人気のようで店頭ではどこも売り切れでした。
SynMat UL Winterは2種類のサイズが用意されています。Mサイズが183×52×9(cm)、LWサイズが197×65×9(cm)と、DownMat Lite 5と厚さ以外は同じです。今回ご紹介するのはMサイズです。
高いR値を提供するために200gのマイクロファイバーを圧着技術によってエアーマット内部に封入しているのが最大の売りです。
その結果、対応下限温度-20度、R値5.2と、DownMat Lite 5よりも高スペックです。冬山でのキャンプでも使えると思います。一般的にR値が5以上あれば厳冬期でも快適に寝ることが出来るとされています。
SynMatシリーズがダウンではなくマイクロファイバーを採用しているのは、濡れと湿気に強く、結露でロフトが潰れる心配が無いからです。過酷な山岳用途を想定したモデルだけあって中綿にも拘りがあるんですね。
収納サイズは24×13(cm)、重さはたったの585グラムと、DownMat Lite 5より高スペックにも関わらず容量・重量とも軽いのが素晴らしいですね。1リットルの紙パックと比較すると、大きさが伝わるかと思います。
SynMat UL Winter(シンマット UL ウインター)を使ってみた
中身を取り出すと、本体のほかに修理用のリペアシート一式と、通常は別売りのポンプバックが入っています。ポンプバックだけで4200円するのでこれは大変お得ですよね。
それでは早速膨らませてみましょう。DownMat Lite 5と違ってバルブが2つあります。実は片方のバルブは空気抜き用なんです。逆止弁が付いている方のバルブを開けて、ポンプバックを取り付けます。
ポンプバックに空気を入れて、空気取り込み口をクルっと巻いてから押し込むように空気を入れます。ミニポンプとは違い2~3回空気を入れてあげると膨らむので1分もあれば設営完了です。エアーマットは一般的に空気を入れる手間がかかるのが弱点とされているので、これは爆速です。ポンプバックはマストアイテムですね。
Mサイズの183×52×9(cm)は、コットにすっぽりと収まるサイズです。丁度良い大きさですね。逆にLWサイズだとコットによってははみ出るかと思います。
厚さが9センチと、DownMat Lite 5の倍近くあるので更に快適です。これだけ厚みがあるので地面の冷気は全く伝らなく、めちゃくちゃ快適に寝ることが出来ます。
しかも耐久性の高い溶着による縦型のバッフル(隔壁)構造なので、溝に身体が少し沈むことで横ずれを防止し、寝相が悪くてもエアーマットから転げ落ちる心配がありません。
表面の素材には20デニールポリエステルが使われていて軽量化されています。グリップスキンハニカムパターンコーティングをされているので、DownMat Lite 5以上に滑りにくくなっています。勿論、エアーマット特有にヒヤっとした感覚は皆無です。更にTPUポリエーテルフィルムラミネートは気密性があり、加水分解に対してしっかり対策されています。
撤収するときも爆速で、空気を抜く専用のバルブを開けると、あっという間に空気が抜けます。DownMat Lite 5と比べると、撤収スピードがケタ違いです。体感にして3倍のスピードです。設営と撤収が楽なギアは長く使うポイントになるのでとても重要な要素です。
実際に使ってみた感想
DownMat Lite 5を使った時も感動しましたが、それを上回る感動でした。スペックはこちらの方が高いので快適なのは当然なのですが、なんといっても設営と撤収のスピートが圧倒的に速いです。エアーマットは一般的に設営と撤収が面倒なイメージがありますが、SynMat UL Winterではそういった憂鬱は皆無です。
DownMat Lite 5とSynMat UL Winterと比較してどちらがお勧めかというと、間違いなくSynMat UL Winterです。
というのも金額で比較してもDownMat Lite 5 Mは14,500円。SynMat UL Winter Mは20,000円と、性能差がある割にはそんなに金額が変わらないからです。
なんといっても撤収と設営のスピードが全然違います。DownMat Lite 5と比べると3倍のスピードです。これは非常に魅力的なポイントだと思います。しかも通常だと4,200円の別売りポンプバックが標準装備と考えると、コストパフォーマンスでみても圧倒的にSynMat UL Winterのほうが上です。
底冷え対策で「エクスペド」ダウンマットをお勧めする理由
冬キャンプの定番「DownMat」とUL重視の「SynMat」の人気商品で詳細を説明してきましたが、どちらも底冷え対策が完璧な素晴らしいギアでしたね。それでは「エクスペド」のマットが底冷え対策でお勧めな理由を改めてまとめますね。
ダウン入りなので本当に暖かい
エクスペドのダウンマットは本当に暖かいです。寝転がるだけで接地面がどんどん暖かくなっていくのを感じることが出来ます。ダウン入りだからこそなせる業ですよね、底冷えなど無縁のマットですよ。
めちゃくちゃコンパクト
エアーマットなので本当に軽量でコンパクトです。ウレタン入りのインフレーターマットも暖かいのですが、積載が大きくなるという欠点があります。エクスペドのダウンマットはインフレーターマットと比べると圧倒的にコンパクトです。
積載問題が改善される
はっきりいってエクスペドのダウンマットがあれば他は何もいらないと思います。コットも不要になりますし、銀マットやブランケットなどを大量に持って行く必要もなくなります。先述の通りエクスペドのマットは大変軽量でコンパクトです。積載量を比較したただけで、こんなにも違ってきます。
表面がザラザラなので滑らない
表面にザラザラとした加工がされているのでエアーマット特有のツルツルした感じや、寝た時にヒヤっとする感覚がなく、滑りません。しかも縦型のバッフル(隔壁)構造のお陰で寝相が悪くても大丈夫な作りになっています。朝起きたらマットから落ちていて寒い思いをしたなんて悩みからもおさらばです。
コットより寝心地が良い
正直な話、コットより寝心地が良いです。どんな硬い地面でも寝心地を保てるので、朝起きても体中が痛くなることはありません。コットも快適で大変便利ですが、どうしても沈み込んでしまう感じがある上に、寝返りをうちづらいので、個人的にはあまり向いていないなと思っていました。
設営・撤収が爆速
エアーマットは空気を入れたり抜いたりするのが大変なイメージがありますよね?エアーマットの欠点としてよく取り上げられます。エクスペドのSynMat UL Winterであればそんな悩みは皆無です。DownMat Lite 5でも、オプションのポンプバックを使えばお悩み解決です。
「エクスペド」ダウンマットは底冷え対策の最終兵器
いかがでしたか?寒さ対策となるとどうしてもシュラフの性能に目がいってしまいますが、シュラフ以上に見直すべきは実はキャンプマットではないかと思いました。
底冷えを完全にシャットアウトできるエクスペドのダウンマットがあれば、極寒地帯で使うような分厚い高額なシュラフが無くても快適な睡眠ができますし、銀マットやブランケットなどを何重にも重ねる労力や、コットを組み立てる手間からも解放され、積載も信じられない位軽減されます。
他のエアーマットより少し高く思えるかもしれませんが、メリットのことを考えると最高のコストパフォーマンスだと思います。底冷えで悩まされているキャンパーさんはご検討してみてはいかがでしょうか。
ギア
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