冬キャンプのシュラフ選びに悩めるキャンパーの増える時期が今年もやってきました。
ベテランキャンパーはよく「寝袋だけは高くても良い物を買った方がいい」と言いますが、寝袋の良い物って5万とか6万は普通にするので、何を選ぶのが正解か分からない初心者キャンパーにはなかなか手が出せませんよね。
そこで今回、冬用シュラフの中でも激安で手に入ると人気の寝袋、ホークギアの-15度耐寒マミー型シュラフが本当に冬キャンプでも使えるのか、実際にキャンプ場で実験してみたので冬用シュラフ選びの参考にして下さい。
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目次
ホークギアの-15度耐寒マミー型シュラフとは
Amazonで口コミ件数2000件を突破する勢いの大人気寝袋、ホークギアのマミー型シュラフは「今年こそ初めて冬キャンプに挑戦したい!」と考えている方なら一度は目にしたことがある激安シュラフの1つです。
販売価格4990円というリアル高校生のお小遣いでも購入できるそのお手軽さから、キャンプブームのきっかけとなった人気アニメ「ゆるキャン△」の実写版にも登場したことで有名ですが、さすがに安すぎるとその性能に疑問を持ってしまいますよね。
©︎ドラマ「ゆるキャン△」製作委員会
なんといってもその特徴は、たった5000円でマイナス15度まで耐えるという宣伝文句と、良否の入り乱れるAmazonレビュー合戦だと思います。
そんな争いに終止符を打つべく、本当に冬キャンプで使えるのかどうか、キャンプクエスト編集部が身体を張って実験してみることにしました。
本当に冬キャンプに耐えられる性能なのか検証してみる
こちらのホークギアの寝袋、手に持った感じはズシリと重みがあり、大きさもそこそこあります。
ゆるキャン△のように女子高生が徒歩スタイルで持ち運ぶのはちょっと大変そうだと思いましたが、彼女たちはキャリーを使っていましたので、それならなんとかなりそうですね。
収納袋にはコンプレッションベルトも付いているので、ギュッと引き絞れば3分の2くらいのサイズにまとまります。
まずは寝袋の性能として公式から発表されている情報をご紹介いたします。
寝袋のサイズと公式スペック
収納サイズ | 40.4 × 28.8 × 16 cm |
---|---|
展開サイズ | 72.5 × 210 cm |
重量 | 1.79 Kg |
中綿素材 | 中空ホローファイバー |
快適温度 | 5~10℃ |
限界温度 | -15℃ |
販売価格 | オープン価格 |
どうでしょう。この数字だけで判断するなら「コスパ良すぎじゃね?」と思いますが、安い=怪しいという先入観を持っている昭和生まれの筆者としては、「いやいや、ゆーて5000円でしょ?稲造レベルじゃ信じられませんわ」という気持ちの方が正直なところ強いです。
※編集部注 稲造=新渡戸稲造。昭和61年から平成19年までに発行された5000円札に描かれていた人物。
寝袋の外側はサラサラな素材で、内側は肌触りの良い布地になっています。
個人的にはツルツル、シャカシャカした素材は肌にペタペタとくっつく感じがして苦手なので好印象。こちらは好みの分かれるところでしょうかね。
中綿は中空ホローファイバーというストロー状の化学繊維で、繊維の内部が中空となっており、暖かさをキープしながら軽量で乾きやすいという特徴があります。
カラーバリエーション
ホークギアの寝袋は、カラーバリエーションが他製品にないほど豊富なところも特長です。
現在発売されているカラーは、定番のブラック、レッド、ブルー、グレー、ネイビーの他にも、流行りのカーキやコヨーテ、オレンジや迷彩色まであり、合計9色でまさに選びたい放題(迷彩は軽量タイプのみ、オレンジとブラックはAmazon限定)。
これだけ多くの色があれば、大家族でもそれぞれ好きなカラーを選べるので、子供同士が好きな色を取り合って喧嘩になるようなことも無いでしょう。家族分の寝袋を揃えるのにもぴったりですね。
検証条件
ホークギア寝袋のスペックをご紹介したところで、今回の検証条件をご説明します。
場所は関東近郊にある川沿いのキャンプ場、フィールドは砂利、10月下旬の秋〜冬にさしかかる時季に、タープとコットだけを設置したスペースにて「寒さを感じることなく眠れるか」を検証していきたいと思います。
さらに寒さの感じ方には個人差がありますので、数値として分かりやすいように、外気温と寝袋内の温度を測るために温度計を使っての測定も行います。
しかし、検証当日に思わぬアクシデントが発生しました。天気予報では一桁台まで気温が下がる予定だったのですが、この日は空に厚い雲がかかり、夜になっても地表の空気が冷やされることなく、最低気温が12度前後と暖かい日になってしまいました。
そこで今回、ホークギアの実力を証明して貰うために急遽用意したのがコチラの寝袋。
ベテランキャンパーがおすすめする最強クラスの寝袋と比較してみた
キャンプクエスト編集部の中でもトップクラスの虫嫌いであり、虫が出ない雪中キャンプのために真冬の新潟まで遠征するほどの変態キャンパーが、3000m級の冬山でも使用できる「モンベル ダウンハガー800 #0(参考価格55,000円)」を持ってきていたので、こちらと比較したいと思います。
ちなみにこのダウンハガーも「ドラマ版ゆるキャン△の第10話に登場しているシュラフはコレではないか?」と噂されている寝袋となっています。ベテランキャンパーがおすすめする高級シュラフと、通販で購入できる激安シュラフにどれほどの違いがあるのか楽しみですね。
そしてこちらのだらしない体型をしている30代男性が今回の被験者となります。体脂肪計でBMI30以上の肥満おじさんが、寝袋の性能を一番発揮するといわれる肌着一枚で10分間寝てみて、内部温度がどのように変化するかを計測します。
撮影があるのだから脱いでも恥ずかしくない肌着を着てほしいものですが、本人的には気合十分のようです。
ホークギア -15度耐寒 マミー型シュラフ
それでは早速、コットとタープのみを設置したフィールドで、寝袋だけでどのくらい暖かさが違うかを検証していきましょう。
変態不審者おじさんを寝袋に入れて、そのまま10分間放置します。しばらくすると、じんわり暖かくなってきているとのこと。5分後には「普通に暖かいし、余裕でこのまま眠れる」と言っていました。
- 外気温 14.8℃
- 寝袋内 27.9℃
- 温度差 +13.1℃
寝袋に入ってから10分が経過した時の温度がこちらです。
日が落ちて急に暗くなりましたが、外気温はほぼ変わらず14.8℃、寝袋内の温度は体温だけで27.9度とポカポカです。
モンベル ダウンハガー800 #0
お次はベテランキャンパーがおすすめするモンベルのダウンハガー800 #0を体験します。なるべくホークギアと同条件にするために、10分程度のクールタイムを挟んでの挑戦となります。
こうして見ると、邪悪な破壊神を生み出すための怪しい儀式をしているようにも見えますが、ちゃんとした寝袋の実験です。
寝袋の価格差が10倍以上ありますので、桁違いの性能を見せつけてくれることを期待していますが、結果はいかほどでしょうか。
- 外気温 14.5℃
- 寝袋内 28.8℃
- 温度差 +14.3℃
寝袋に入ってから10分経過後の結果がこちら。先ほどより下がった外気温に対して、寝袋内の温度は28.8℃とさらに暖かくなっています。
ホークギアとの数値的な温度差は+1.2℃程度ですが、「体感的にはもっと差があるように感じた」とのこと。もしかしたら部分的な暖かさと全体的な温度に違いがあるのかも知れません。
本人談
- 寝袋に入った瞬間から暖かい
- 外気が遮断されている感じがする
- 暖かい空気に包まれているような感覚
あまり数値には表れていませんが、計測値以外での違いが5万円の価格差にある、という感じでしょうか。
寝袋に入って10分経過後の温度は意外と僅差だった
意外にも寝袋に入ってから10分経過後の外気温との温度差は、ホークギアが+13.1℃で、モンベル ダウンハガー800 #0が+14.3℃となり、そこまで大きな差は出ませんでした。
ただしこれは感覚的な話になりますが、ダウンハガーとホークギアの暖かさは「質」が異なるような感じがするとのこと。イメージ的には、布団を被せられて徐々に暖かさが広がっていくのがホークギアだとすると、外の影響を感じずに体温が寝袋内部を循環するのがダウンハガーといった感じのようです。
この日は10月下旬にしては暖かい日になってしまったので、もっと寒い日に試してみたらまた違う結果になったかも知れません。しかし価格差が10倍以上の寝袋と真っ向から比較しても、数値上ではそこまで差がなかったというのは正直驚きでした。
10月下旬にホークギアの寝袋1枚で寝てみた
高級シュラフとガチンコ比較してもそこまで大きな差が出なかったので、そのままホークギアの寝袋だけで寝てみることにします。暖かい日とはいえ10月下旬の河原サイトにテントも張らず、外気に晒されながらどれだけ快適に眠ることができるでしょうか。
※特殊な訓練を受けた人間が実験しています。通常のキャンプではテントの中でしっかり防寒対策を行なった上で寝るようにしてください。
それでは、おやすみなさい。
おはようございます
まず率直な結果からお伝えすると、「朝方に寒くて起きちゃった」とのことでした。
1日の中で一番気温が下がる朝5時過ぎ、外気温は体感的に一桁台に突入していたようですが、背中に寒さを感じて目が覚めたようです。これはすべての寝袋に共通することですが、体重で中綿が潰れて保温力が無くなる背中側には、地面からの冷気を遮るためのマットを用意しておいた方が良いでしょう。
また夜間に雲が晴れたことで放射冷却(地表の熱が上空に放出されて気温が下がる現象)が起こり、朝には風が出てきたことも影響があったかと思います。
その他にも、朝起きてトイレに行った後に足元がなかなか暖まらなかったので、ホッカイロを寝袋の中に入れたら快適になったとのこと。
胸やお腹のような体温の高い部位は温まるのも早いですが、足元や腰回りなどの温まりにくい部位には必要に応じてホッカイロや湯たんぽなどを入れることで対策すると良さそうです(ゆるキャン△ドラマ版でもリンちゃんがなでしこに同様のアドバイスをしてましたね)。
基本的な防寒対策をすればホークギアの寝袋は冬キャンプにも耐えられる
今回は冬キャンプを想定してコットだけで寝てみましたが、ちゃんとしたテントで室内空間を作り、マットで地面からの冷え対策をした上で、ホッカイロや湯たんぽなどの防寒グッズを用意しておけば、ホークギアの寝袋は冬キャンプでも耐えられる性能だということが分かりました。
しかし、正直なところ「-15℃でも耐えられるか?」と言われたら疑問に思うところではあります。
これは寝袋のメーカーによって、多くの人が快適に寝ることができる「快適温度」と、代謝の高い人が丸まってギリギリ眠れる「限界温度」の基準の違いもありますので、寝袋だけをアテにせずに冬キャンプ用の防寒対策は用意しておいた方が良いでしょう。
使ってみて良かったポイント
最後になりますが、実際にホークギアの寝袋を使ってみて良かったポイントがいくつかありましたのでご紹介します。
丈夫なダブルジッパー
まず一つ目が、チャックが大き目でしっかりした作りになっていること。ダブルジッパーで動きもスムーズなのは高評価ポイントです。簡単には壊れそうにないという安心感がありますね。
厳しいことを言うと、寝転がりながら何度も開け閉めしていたら生地を噛んでしまうこともあったのですが、元に戻せばすぐに解消されたのでそこまでマイナス点ではありません。
首元の絞りロープ
寝袋の性能を最大限に引き出すための首元の絞りロープがとても使いやすかったです。
ロープと生地が引っ掛かったり、雑な縫製で内部が狭窄していたりすることもなく、鼻と口で呼吸ができる限界までスルスルと絞れたのはストレスフリーでした。
収納袋のコンプレッションベルト
収納袋の側面にコンプレッションベルトが装着されており、グイッと絞ると大きさにして3分の2程度まで圧縮可能です。
ファミリーキャンプでは寝袋を複数枚持っていく必要があるので、小さなことですが大事な要素だと思います。積載には限りがあるため、小さくまとまるのはメリットでしかありません。
洗濯機で丸洗い可能
なんとホークギアの寝袋は丸洗いが可能とのこと。これは汗をかきやすい子供や、夏場の使用を考えるとかなり大きな利点ではないでしょうか。
本格的なダウンシュラフでも洗濯は可能ですが、ダウン専用の洗剤を購入したりバスタブでのふみ洗いや脱水、乾燥の手順に数日を要したりしてかなりの手間が必要です。シュラフ専門のクリーニングに出すにも数千円は掛かるので、むしろその値段でホークギアの新しい寝袋が買えてしまいます。
清潔に繰り返し使用することを考えた時のコストパフォーマンスは、ホークギアに軍配が上がるでしょう。
ホークギア寝袋の評価まとめ
以上、通販で購入できる激安シュラフ「ホークギア-15℃耐寒寝袋」が本当に冬キャンプで使えるのかキャンプ場でのガチ検証をお届けしました。
結論は「-15℃はさすがに厳しいだろうけど、防寒対策をした上であれば冬キャンプでも十分使える」という結果になりました。
これから初めての冬キャンプに向けた装備を揃えようとしている方の参考になれば幸いです。
※転売品にご注意ください※
楽天市場でのホークギアの寝袋は公式販売店「セレクトショップtks」のみで販売しています。
正規価格より高額で転売・取引されております転売品を購入されないようにご注意下さい。
ギア
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