登山で、やむなく登頂を断念したことはありますか?筆者は何度かあります。登山の世界では「撤退」なんて言い方をしますが、どんな時に山頂を諦めざるを得なくなるのかをまとめてみました。登山初心者の方は参考にしていただいて、ぜひ無理のない範囲で山登りを楽しんでください。
目次
登山で撤退を余儀なくされる状況
登山は自然が相手なので、場合によっては山頂を諦めざるを得ないこともあるでしょう。その時、一番悩むのは撤退を判断するタイミングです。
そこで、撤退の判断になる5つの状況を15の事例でご紹介します。ギリギリまで行動をして手遅れになる前に、ちょっとでも「無理かも」と思ったら迷わず引き返しましょう。
天候が原因で撤退を余儀なくされるケース
撤退理由の筆頭ともいえるのが急激な天候の変化です。山の天気は本当に変わりやすいので、突然の雷雨や突風といった「悪天候」は突然やってきます。「そのうち天気も落ち着くだろう」という期待は危険です。少しでも無理だと思ったら引き返す勇気を持ちましょう。
強風
登山で一番怖いのは風です。強風が原因での撤退は本当によくあるケースで、筆者も撤退したことがあります。特に木々の無い稜線を歩く山では台風並みの爆風が吹き続けることがあります。立っているのがやっとな程の爆風が吹いていた場合、山頂を諦めましょう。
吹雪・濃霧
強風と同じくらい怖いのが吹雪と濃霧です。酷いときは1メートル先も見えなくなるので道迷いの可能性大です。筆者は濃霧の中、強引に山頂を目指したことがあり、今となっては反省しています。撤退のタイミングが遅くなるほど道迷いの可能性が高くなるので、早めに下山の判断をしましょう。
突然の雷雨
「あれ?天気予報では雨は降らない筈だったのに」これは本当によくあります。登山では雨具持参はマストなので、ちょっとした雨であれば凌げますが、突然の豪雨。特に雷が発生した場合は凌げません。そんな時は迷わず撤退したいところです。
技術不足が原因で撤退を余儀なくされるケース
登山ではグレーディング表というものが用意されていて、山の難易度によって「体力度」「技術的難易度」の2つでランク分けされています。
自分の脚力や体力、技術力が劣るのに、難易度の高い山を選んでしまうと撤退せざるえなくなる可能性大です。事前の下調べは大事ですよ。
時間切れ
登山ではそれぞれのコースでコースタイムの目安がありますが、体力や脚力に自信がないうちは、コースタイムが長い山に登るとき、注意が必要です。日が暮れる前に下山出来なさそうなペースだと判断したり、昼前あたりに山頂に到着しないペースであれば撤退をお勧めします。日が暮れると本当に道が分からなくなり、遭難の可能性大です。
道に迷う
山での遭難事故の原因の筆頭が「道迷い」です。地図とGPSアプリがあっても登山道が不明瞭で道迷いしやすい難易度の高い山は結構あります。筆者も何度も道に迷い、怖い思いをしました。
「GPSアプリがあるから大丈夫!」と、油断は禁物です。地図読みの知識が無く、これ以上進むと本当に帰れなくなるかもと不安に感じたら、勇気を出して下山しましょう。
思った以上の難所
登山道は、地図やコースタイムだけでは見えてこない難所がいっぱいです。岩場をよじ登る箇所や、断崖絶壁の細道が続く、技術力や経験が求められる山もあります。想像以上に高所で無理かも。。と不安に思ったら迷わず撤退しましょう。そういった山は足を滑らせてしまうとケガでは済まない難易度の高い山です。
装備不足が原因で撤退を余儀なくされるケース
天気に恵まれ、体力や技術力がある程度あったとしても、撤退を余儀なくされるケースがあります。それは装備不足です。登山では万が一に備えて必ず持っていく装備がいくつかあります。万が一の時、それらの装備が無かった、忘れてしまった場合、撤退をお勧めします。
水や食料が尽きる
水や行動食は本当に大事です。登山では空腹で力が出ずバテる「シャリバテ」という用語があります。筆者は山頂手前でシャリバテを起こしたことがあり、山頂に山小屋があったので事なきを得ました。シャリバテを起こすと頭が真っ白になり、本当に動けなくなります。水や食料が早い段階で尽きてしまった場合、下山を検討しましょう。
登山で必須の装備を忘れる
登山では、必ず持っていく必須の装備を忘れてしまうといざというときに困ります。例えば、雨具やエマージェンシーキットを忘れてしまうと、突然の土砂降りや体調不良に対処できず、下山せざる得ません。最近ではGPSアプリが主流なのでモバイルバッテリーも必須装備です。スマホのバッテリーが切れてしまった場合、撤退を余儀なくされます。
冬装備を見誤る
冬登山での装備の選択は大変悩みます。一番悩むのがアイゼンのチョイスです。チェーンスパイクで何とか登れそうだと高を括っていたら、想像以上の傾斜と積雪で12本アイゼンが無いと無理だった。というケースは一度は経験したことがあるのではないでしょうか。特に残雪期では冬装備を見誤るケースが多く、筆者もこれが原因で撤退したことが数度あります。
体調が原因で撤退を余儀なくされるケース
登山では想像以上に体力を使います。体調が悪いのに登山に挑むと疲労が溜まり、最悪ケガをしてしまいます。また、万全の体調であっても、登頂中に高山病や疲労で体調が悪化したり、ケガをすることもあります。そんな時は無理をせず下山をしましょう。
体調が悪いのに登山に挑む
登山当日。なんとなく体が重い。でも快晴で登山日和。そんなとき、無理してでも山に登りたくなりますよね。筆者も体調が悪い中、なんとかなるだろうと登山を強行したことがあります。はっきりいって終始辛く、地獄でした。無事に下山できただけでもラッキーで反省です。気持ちはわかりますが山は逃げないので日を改めましょう。
突然の体調不良・疲労
体力や脚力に自信がないうちにコースタイムが長い山や、標高の高い山に挑む場合は注意が必要です。シャリバテやひざ痛、高山病といった、予期せぬ体調不良を引き起こす可能性があるからです。仮に無理をして登頂できたとしても下山が出来ないという、最悪な事態も考えられるので、無理をせずに引き返しましょう。
ケガ
岩がむき出しの道や、危険個所を歩く場合は慎重になるので意外とケガをしないのですが、落ち葉で覆われた緩やかな道や、苔で滑るような平坦な道でケガをするケースが多いです。緊張が解けた油断している状態でのケガは本当に多く、歩行が困難だったり応急処置では凌げない場合はすぐにでも下山しましょう。
登山道の状況が原因で撤退を余儀なくされるケース
登山道は一般的な道路のようにしっかりと整備されているわけではないので、事前に登山道の最新状況を調べたいところです。それでも台風や豪雨の影響で通行できなくなったり、積雪や藪で登山道がわからなくなったりします。最悪、道迷いや滑落の原因になるので、少しでも無理だと思ったら引き返す勇気を持ちましょう。
雪で登山道がわからない
冬山では積雪で登山道が無くなるので全く別の道になります。一面銀世界で景色に特徴が無くなるので、GPSアプリもあまりあてにならなくなります。トレース(足跡)を頼りに進むと全然違う道だった。なんてこともありますよ。筆者も登頂を断念したことがあります。事前のルート確認は勿論のこと、地図読みのスキルは不可欠です。
草や藪が生い茂り登山道がわからない
登山道がわからなくなるのは冬山だけではありません。夏山の低山の場合、草や藪が生い茂り、登山道を覆ってしまいます。筆者も体験したことがありますが、一面草原だったり、木々が生い茂って登山道が不明瞭だと恐怖を感じます、この先、進んで良いのだろうかと躊躇するようであれば諦めたほうが良いでしょう。
登山道が崩壊していた
事前に登山道の最新状況を調べて万全を期しても、前日の天候が原因で川が増水して先に進めなかったり、登山道の一部が崩落して通行できないといった不慮の事態は起こりえるものです。そんな時は無理をせずに撤退しましょう。
引き返す勇気は本当に大事です
「折角来たのだから山頂に立ちたい!」という気持ちは誰もが一緒ですが、判断を誤ると最悪、命の危険につながります。山は逃げないので、別の機会に再チャレンジしましょう。
こんなことを偉そうに書いていますが、実は登山を始めたばかりの頃、撤退すべき状況なのに無理して登頂したことが何度かあります。万が一のことを考えていなかったのですね。今では猛烈に反省しています。
周りに迷惑を掛けない為にも、登山では「引き返す勇気」は本当に大事です。この記事が撤退の参考になりましたら幸いです。
ギア
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