多摩川源流の山として知られる「笠取山」は、日帰り登山が可能な難易度にも関わらず、敢えて笠取小屋でテント泊する方が多い人気のテント場です。何故なのでしょうか?
今日は、はじめてのテント泊や、本格的な縦走登山の練習でおすすめテント場「笠取小屋」の魅力や人気の理由をまとめました。
目次
笠取小屋について
笠取小屋は作場平駐車場から徒歩約2時間。笠取山の中腹にある山小屋で標高約1,776mの立地にあります。奥秩父山塊の縦走拠点としては勿論のこと、笠取小屋にテント泊する目的で訪れる方も多い人気のテント場です。

管理人さんの人柄が最高で、おしゃべり好きで豪快です。鹿がテント場に入ってこないように敢えて餌付けしているので、テント場から鹿の大群を間近に見ることができます。鹿と管理人さんは笠取小屋の名物です。

笠取小屋では食事の提供は無く、テント場と素泊まりの宿泊が可能です。本当に最低限の設備なので食料は自前で用意する必要がありますが、水場が豊富でトイレも綺麗なのでテント泊デビューでも安心です。

正式な営業期間は、ゴールデンウィークからお正月までの週末・連休・お盆のみで、この期間のみ管理者が常駐しています。それ以外の期間や平日は管理人不在ですが、テント泊のみは可能です。

小屋泊は予約必須でテント場は予約不要なのですが、実は連休やお盆・ゴールデンウィークは予約が必要なので注意が必要です。重要なおしらせは掲示板で告知されるので、ご利用の際は事前にチェックしましょう。

予約で気を付ける点は、笠取小屋では携帯電話が繋がらないということです。つまり、予約をしようにも管理人が出勤する土日祝日は一切連絡がつきません。予約は必ず平日に行うようにしましょう。
| 営業期間 | 4月下旬~1月初旬の年末年始・連休・夏休み以外の週末のみ ※上記期間以外はテント泊のみ可能 |
| 予約 | 小屋泊は完全予約制・テント場は予約不要 ※但し連休・お盆・ゴールデンウィークは予約が必要 |
| 設営可能数 | 約80張 |
| チェックイン | 未記載 |
| チェックアウト | 未記載 |
| 水場 | あり |
笠取小屋へのアクセス方法

笠取小屋への移動手段は徒歩のみです。公共交通機関を利用する方向けの「新地平バス停コース」と、マイカー利用者向けの「作場平口コース」があります。
新地平バス停コース
- 標高差約720m/片道約7km/徒歩150~180分程度
- 最寄りの交通機関は「山梨市民バス 西沢渓谷線」新地平バス停下車
作場平口コース
- 標高差約470m/片道約3.7km/徒歩110~120分程度
- 最寄りの駐車場は「作場平駐車場」(駐車可能台数約20台/無料・トイレ有)

作場平口へ向かう公共交通機関は無いので、マイカーをお持ちでない方は新地平バス停から登る片道約3時間のロングコース一択になります。
今日ご紹介するコースはマイカーでアクセスできる作場平口コースです。
駐車場までのアクセス
登山口の最寄りの駐車場は、中央自動車道勝沼インターから車で約60分の場所にある「作場平駐車場」です。駐車可能台数約は約20台、駐車料金は無料、トイレもあります。他にも臨時駐車場が3か所あります。

車でのアクセスは大変で、すれ違い困難な林道が約7キロ続きます。シーズン中の休日は駐車場の争奪戦になり、登山口から近い作場平駐車場と臨時第一駐車場は早い時間に満車になります。

臨時第二と第三駐車場は登山口から2キロ以上離れた場所にあるので、最悪、別の登山口から登ることになります。出来るだけ早く家を出て、登山口に近い駐車場を狙いたいところです。
作場平口から笠取小屋まで道のり

作場平口から笠取小屋までは距離にして約3.7キロ、標高差約470メートル、約110~120分程度の道のりです。全体的に緩やかな登山道なので初めてのテント泊でもお勧めです。チェックポイントとなる箇所は2つあります。

最初のチェックポイントとなる一休坂分岐までは距離にして約1.1km、標高差約140メートル程度を約20分かけて登ります。沢沿いの原生林を渡渉しながら、なだらかな道のりを歩きます。

一休坂分岐では一休坂を経由する急登コースとヤブ沢峠を経由する迂回コースを選べます。どちらのコースへ進んでもコースタイムが一緒なので、多くの登山者は緩やかな迂回コースを選びます。

2つ目のチェックポイントとなるヤブ沢峠までは距離にして約1.8キロ、標高差約230メートルを70~80分程度の道のりです。前半は緩やかな道のりで、木製の橋を何度か渡渉しながらのトレッキングが続きます。

後半は若干勾配が強くなりますが、トラバース気味につづら折りの登山道なので登りやすいです。ヤブ沢峠までは自然豊かな原生林に覆われた沢沿い歩きが続き、絶景トレッキングを満喫できます。

ヤブ沢峠から笠取小屋までは距離にして約0.8km、標高差約100メートル程度を約20分程度の道のりです。車が辛うじて通ることができる林道歩きで景色は寂しくなりますが急坂は無く、歩きやすいです。

つづら折りの林道を歩き進むと笠取小屋が姿を現します。距離は多少ありますが全体的に緩やかな道のりで、沢歩きを楽しみながら登ることが出来ました。早速チェックインしましょう。
笠取小屋の施設案内

「笠取小屋」の施設を写真付きでご紹介いたします。設備は本当に最低限なので、食事の準備だけはしっかりと整えてから登りましょう。
受付・売店

2棟並んだ建物の左手が受付と売店です。平日は管理人不在で閉まっているので、売店の利用は出来ません。
管理人不在の際、テント泊を利用する場合はノートに住所と名前を記載の上、備え付けの料金箱へお金を入れます。

売店にある飲み物はビール・酎ハイ・ジュース各種・ペットボトル飲料と、笠取山の源流の水で淹れるコーヒーです。嬉しいことに購入した飲み物の缶やペットボトルは回収してもらえるんだそうです。筆者は後で知りました。

食べ物は最低限でカップラーメン、レトルトご飯・レトルトカレーの3種類です。他にはオリジナルグッズの販売をしています。

管理人が滞在している休日は、21時まで発電機を動かしているので夜は煩く感じますが、この時間まで売店の利用が可能なのは嬉しいポイントです。
トイレ

トイレは受付のある小屋の対面にあります。最近作られたようで綺麗です。笠取小屋に宿泊する登山者は無料で利用できますが、日帰り登山者は1回100円の利用料がかかります。

男性用は小便器が1つ。個室が1つ。女性用は個室が2つあります。バイオトイレでペーパー付きが嬉しいポイントです。
水場

小屋の前の広場から2分程度下った場所にあります。笠取小屋のある笠取山は関東地方の水源地となっている山だけあって水が豊富です。真夏でも水が枯れることは無く、しかもおいしい水です。
手洗い場

トイレの対面に水が引かれていて、手を洗うことが出来ます。但し、食器等の洗い物はNGですよ。因みに飲料不可なのでご注意ください。
ベンチ

小屋の前の広場をはじめ、至るところにあります。日帰り登山客も利用できる憩いの施設です。但し、ベンチを使う場合は、管理人さんに一声かけてから使うようにして欲しいとのことです。
携帯の電波

笠取小屋ではどのキャリアも一切電波が繋がらないので注意が必要です。docomoに関しては笠取小屋からヤブ沢峠方面に5分程下った曲がりくねった開けた場所で辛うじて繋がりました。他のキャリアについては不明です。
笠取小屋のテント場レビュー

笠取小屋のテントサイトを写真付きでご紹介いたします。小型テントを約80張りできるスペースがあり、ペグは手で押し込んで刺せる位、地面が柔らかいです。テント場は大きく3つのエリアに分かれます。
小屋の裏に広がる林間エリア

木漏れ日が気持ち良い林間サイトで地面は芝生です。起伏が激しいので必然的にサイト同士の距離が保たれ、プライベート感があります。若干の傾斜はありますが、雨の日はこのエリアがお勧めなんだそうですよ。
小屋の前の広場のようなエリア

グラウンドのような雰囲気で地面は土です。サイト同士は白線で区切られているだけなのでプライベート感は期待できません。傾斜は無く、しっかりと整地されています。大菩薩嶺を一望できる解放感が魅力です。
トイレの前方にあるエリア

木々に囲まれたエリアと、グラウンドのような整備されたエリアがあり、地面は土です。人通りも多く、サイト同士も近いのでプライベート感は皆無ですが、傾斜が少ないのが嬉しいポイントです。

平日は管理人不在なので、小屋の表側以外の好きな場所に設営できますが、休日は管理人さんが設営場所を指定するので好きな場所に設営できません。設営場所は運任せです。
その他注意事項

テント場及び笠取小屋周辺は焚火(焚き火台・ウッドストーブ含む)厳禁です。設営場所については禁止エリアがあり「小屋の表側には絶対にテントを張らないでください」と注意書きがあるので守りましょう。
笠取小屋に泊まってわかったこと

笠取小屋は価格がリーズナブルで、不自由なくテント泊を楽しめる素敵なテント場でした。笠取小屋に泊まってみてわかったことをまとめました。
素晴らしかった点
- 比較的距離が短く急登が無い緩やかな道のり
- 価格がリーズナブルで不自由なくテント泊を楽しめる
- 管理人さんの人柄が最高。おしゃべり好きで豪快
- テント場から鹿の大群を間近に見ることができる
- トイレが綺麗で匂いが少ない。ペーパー付き
- 水が豊富で真夏でも枯れることは無く、美味しい
- 地面が柔らかいので手でもペグを刺せる
- テント場はしっかりと整地されていて傾斜がほぼ無し
知っておきたいこと
- 食事の提供はなし。食料は自前で用意する必要がある
- 平日やオフシーズンは管理人不在で売店の利用不可
- テント場は基本予約不要だが連休中は予約が必要
- どのキャリアも一切電波が繋がらない
- 21時まで発電機を動かしているので夜は煩い
- 管理人さんが設営場所を指定するので自由に設営できない
- 焚火(焚き火台・ウッドストーブ含む)厳禁
- 設営場所については禁止エリアがある
テント泊初心者でも行きやすいテント場

笠取小屋は比較的距離が短く、原生林に覆われた沢沿いの登山道歩きを満喫できます。しかも緩やかな道のりなので、10キロを超えるテント泊装備を背負っても、なんとか到着できるという安心感があります。
テント場はトイレが綺麗で水が豊富です。サイトもしっかりと整地されていて、不自由なくテント泊できる最低限の環境が魅力です。笠取小屋はテント泊初心者でも行きやすいところが人気の理由ではないでしょうか。
ギア
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