霧ヶ峰は八ヶ岳中信高原国定公園内にある約3000ヘクタールもある高原台地で、登山以外にもビーナスラインをドライブしたり、ハイキングをしたりと、様々なアクティビティを楽しむことが出来ます。前回は霧ヶ峰最高峰「車山」のご紹介をしましたが、この日は雲一つない日本晴れで、登山だけで帰るのは勿体ない陽気だったので八島湿原のトレッキングもチャレンジしました。
日本を代表する高層湿原「八島湿原(八島ヶ原湿原)」
「八島湿原(八島ヶ原湿原)」は霧ヶ峰の北西部にある標高約1632メートル高層湿原です。霧ヶ峰には八島ヶ原湿原、車山湿原、踊場湿原の3つの湿原があり、それぞれの湿原は国の天然記念物に指定されています。八島湿原は1万2千年前に誕生して以来、今もなお成長しているんだそうです。
八島湿原は霧ヶ峰最高峰の車山とは正反対の方向にあることもあり、あまりメジャーではないのですが、見晴らしが良い絶景と貴重な植物を楽しむことが出来るんだそうです。これは行くしかないですね。
「八島湿原」トレッキングコース
八島湿原をトレッキングするのであれば八島ビジターセンターに車を停めます。最寄りの駐車場は「八島湿原駐車場」で駐車可能台数約100台。駐車料金は無料です。駐車場は一方通行になっているので出入りの際は注意が必要です。
嬉しいことにトイレや売店もあるので至れり尽くせりです。トイレは募金制で有料です。とても綺麗でしたよ。
出典:八島湿原トレッキングコース | ビーナスライン八島湿原は1周約4キロ、90分~120分程度で周回できます。登山のようにキツイ登りは一切無いので、景色を楽しみながら散歩が出来ます。
当日は大変天気が良く、八島湿原の周回だけでは物足りないと思ったので、霧ヶ峰を周回できるロングコースを歩いてきました。今日ご紹介するのは八島湿原~車山を周回するトレッキングコースです。
霧ヶ峰の周回ルートを歩く
八島ビジターセンターから八島湿原~車山を周回するコースは総距離約11キロ、4~5時間程度で霧ヶ峰を周遊できる絶景コースです。周遊中はこれだけの絶景ポイントが待ち受けています。
八島ビジターセンター→八島ヶ池→八島ヶ原湿原→鎌ヶ池→奥霧キャンプ場跡→物見石→蝶々深山→車山湿原→車山乗越→車山→車山肩→沢渡→旧御射山社→ヒュッテみさやま→八島ヶ原湿原
順を追って説明しますね。
八島ビジターセンター→八島ヶ池
八島ビジターセンターのトイレの奥に八島湿原の入口があります。動物除けのネットがありますね。トンネルをくぐると階段があるので登ります。
するといきなり分岐点に到着します。周回コースなのでどちらに進んでも八島湿原を周回できるのですが、今回は車山も目指すので旧御射山方向へ進みます。
大変整備された1本道なので間違わないと思いますよ。
七島八島(ななしまやしま)の看板がある広場に到着します。八島湿原は、湿原に島の数が多いことから「七島八島」ともよばれているんだそうです。
木製の坂の道を下っていくと、八島ヶ原湿原にある八島ヶ池を見ることが出来ます。大変整備された道ですが雨の日は滑りやすいので注意が必要です。
八島ヶ池は八島ヶ原湿原の中に佇む湿原池で、八島ビジターセンターから徒歩5分程度で到着します。いきなり絶景ですね。
八島ヶ原湿原の中でも象徴的な絶景の池で、野鳥も沢山居ました。遊歩道と密接した場所にあるので、この先は八島ヶ池を眺めながら八島ヶ原湿原を周回できます。
八島ヶ池→八島ヶ原湿原
既に八島ヶ池も八島ヶ原湿原の敷地内ではあるのですが、湿原沿いに木道を周回します。大変開けた景色で、右手に湿原と池を眺めながらトレッキングです。
八島ヶ原湿原は本当に広大で、自然が大変豊かなところです。湿原で有名なスポットといえば尾瀬や釧路湿原を思い浮かべる方も多いかと思いますが、八島ヶ原湿原はそこまで広大ではないので、どんな方でも気軽に周遊できることろが魅力ではないでしょうか。
八島ヶ原湿原は野鳥スポットということもあり、バードウォッチャーが沢山いました。高そうなカメラですね。
遠くには霧ヶ峰最高峰の「車山」が見えます。丸いドームの建造物が目印になるので判り易いです。
八島ヶ原湿原→鎌ヶ池
八島ヶ原湿原を大きくカーブするように進んでいくと、木々に囲まれた木漏れ日の気持ちよいエリアに突入します。右手には大小様々な池を見ることが出来ます。
中でも鎌ヶ池は巨大な池で、鎌のような形をしていることから、そう名付けられたそうです。
すぐ傍に鎌ヶ池があるのに、木々に阻まれて全貌が見渡せないところが少し残念ですが、夏場は涼しそうなので日よけには最高の場所ではないでしょうか。
鎌ヶ池→奥霧キャンプ場跡
鎌ヶ池を右手に眺めながら林を進んでいくと建物が見えてきました。
奥霧キャンプ場跡は、その名の通り、昔はキャンプ場や奥霧小屋という山小屋がありました。現在は廃墟となっていますが、トイレだけは使えます。しかも建て替えされたようで大変綺麗です。
奥霧キャンプ場跡の先は分岐になっています。御射山方向へ進むと八島ヶ原湿原の周回コースです。今回は車山を目指すので物見石方向へ進みます。
奥霧キャンプ場跡→物見石
一旦八島ヶ原湿原を離れて物見石を目指します。八島ヶ原湿原の終わりを示す、動物除けの柵をくぐります。
この先は若干登山道のようになります。はじめは森の中を進みます。
森を抜けると景色が開けます。道はぬかるんでいて若干歩きづらい印象です。
物見石は丘になっているのでこの先は登りが続きます。足場も悪く、登山道っぽくなってきます。
丘を登りきると物見石に到着です。象徴的な岩が目印です。
丘の上は広大な岩だらけの平地が続き、絶景です。八島ヶ原湿原とはまた違った荒々しい景色を楽しむことが出来ます。
物見石→蝶々深山
蝶々深山は霧ヶ峰を構成する山のひとつで、丘のような雰囲気の場所みたいです。遠くに車山を見ながら開けた景色の1本道を進みます。
開けた丘からは北アルプスといった山々を眺めることが出来ます。
湿原とは違った広大な野原は、霧ヶ峰の別の一面を見せてくれますよね。この山道もまた絶景で気持ちが良いです。
蝶々深山山頂の手前には分岐の看板があり、下山ルートである沢渡りに行くことが出来ます。
蝶々深山山頂です。標高1,836メートル。先ほどの物見石のように広大な岩だらけの平地が続く丘のような山でした。
蝶々深山も周りに遮るものが無く、360度パノラマビューです。草原越しの高台から望む景色は、山頂からの景色とは思えない不思議な光景です。
蝶々深山→車山湿原
蝶々深山からは湿原を目指すので下りになります。近くに見える山はゴールの車山です。山容から察するに、最後は結構な登りになる予感がしますね。
緩やかに下っていくと右手に車山湿原が見えてきました。他の湿原と比べると規模が小さいので、何も知らないでいると見過ごしてしまうかもしれませんね。
谷まで降りきると、車山の目の前に車山湿原が広がります。他の湿原と比べると地味ですが、国の天然記念物ですよ。車山と湿原をセットで見ることが出来る隠れた絶景スポットではないでしょうか。
車山湿原→車山乗越
車山乗越は車山や、蝶々深山、北の耳南の耳コースの分岐点でもあり合流地点となる場所のようです。木道が美しい1本道を絶景を眺めながら進みます。
車山乗越に到着です。標識には標高1,815メートルと書かれていました。高原地帯にあるので視界が開けていて開放感抜群でした。
車山乗越→車山
車山乗越から車山までは、距離は1キロ未満と短いのですが急に高度が上がるので、急登にならないように回り道になっています。
暫く登ると、リフト乗り場から登頂できるコースに合流します。道は広く、大変整備されています。
但し、この先の最後の登りは唯一の急登になっているので、意外と辛いです。霧ヶ峰周回コースで一番キツイ場所だと思います。
最後の400メートルはトドメの階段です。リフトを横目に急な階段をひたすら登ります。
最後の最後に大変な道のりが待っていましたが、階段を登りきると車山山頂です。標高1,925メートル。車山の景色については別の記事で詳しくまとめていますので、よろしかったらご覧ください。
車山→車山肩
車山山頂からの復路は、「車山気象レーダー観測所」奥にある車山肩ルートを使います。前回紹介した、標高差約100メートル/片道約1.8キロ/約45~60分程度の、最も難易度が低い車山登山コースです。
緩やかで、景色の開けた気持ちの良い登山道を下っていくと、ゆるキャン△でりんちゃんが「ボルシチ」を食べた聖地巡礼地「ころぼっくるひゅって」が見えてきます。
車山肩には、「ころぼっくるひゅって」以外にもトイレや売店があるので休憩スポットには最高の場所です。
車山肩→沢渡
車山肩からは標識に沿って沢渡りに向かいます。標識は「ころぼっくるひゅって」の近くにありますよ。
霧ヶ峰の広大な景色を眺めながら山道を下っていきます。ここまで絶景が続いていたので、段々と感動が薄くなっていましたが、改めて写真で見返すと、この道も絶景ですね。
下りきった場所が沢渡りのようです。沢渡りというのは絶景スポットではなく、ただの分岐・合流地点のようですね。
沢渡りの近くには「ヒュッテジャヴェル」という山小屋がありました。今回は寄りませんでしたが、宿泊施設や喫茶店があるんだそうです。
沢渡→旧御射山社
沢渡からは舗装された道を暫く進みます。特に見所が無いので先を急ぎましょう。
車が走れそうな道をひたすら進みます。沢渡りから暫くの間は大変整備された砂利道が続き、草原を散歩できます。田舎に帰ってきたような感覚に陥るのは私だけでしょうか。とてものどかな雰囲気です。
すると突然神社が現れます。旧御射山社は、元々は諏訪大社奥宮だったそうなのですが、すでに諏訪大社の手を離れているので旧が付いているんだそうです。大変静かで不思議なスポットでした。
旧御射山社→ヒュッテみさやま
旧御射山社の傍にある橋を渡るとヒュッテ御射山に到着します。本当に目と鼻の先です。宿泊施設やカフェがありますよ。
広場にぽつんとある建物で、休憩スポットとして良いと思います。少し離れたところにトイレもあるので便利です。
ヒュッテみさやま→八島ヶ原湿原
ヒュッテみさやまの山道を暫く歩くと標識が見えてきます。八島ビジターセンターを目指しましょう。
この先は木道が続きます。矢張り木道があると同じ草原でも雰囲気が全然違いますね。
動物除けの柵が見えてきました。この先は八島ヶ原湿原の周回コースに合流です。
湿原は決まった場所以外立ち入り禁止なので遠目にはただの草原にしか見えませんよね。12,000年かけて泥炭層が約8メートル程度も積み重なって出来てるんだそうですよ。
八島ヶ原湿原は植物の宝庫でもあるので、季節によって様々な高原植物を鑑賞することができます。霧ヶ峰は「花の百名山」にも選ばれているので、花好きの方には堪らない場所でしょう。
スタート地点に戻ってきました。約11キロのロングコースでしたが、霧ヶ峰の様々な絶景を楽しみながら歩いたので、あっという間のハイキングでした。高低差も少ないので想像しているほど大変ではありません。運動不足の解消におすすめですよ。
霧ヶ峰を周回してみてわかったこと
霧ヶ峰は湿原や草原、山など、場所によって様々な顔を見せてくれる絶景だらけの丘でした。霧ヶ峰を周回してみてわかったことをまとめました。
がっつりと霧ヶ峰を満喫したいなら最高のコース
霧ヶ峰の最高峰「車山」の登山も絶景続きで最高なのですが、霧ヶ峰は山や湿原、草原全てを回ってこそではないでしょうか。霧ヶ峰の魅力をフルで満喫したいのであれば周回コースをお勧めします。これほどまでに見晴らしが良く、広大な周回ルートはそうそうありませんよ。
終始開けた絶景が魅力的
霧ヶ峰は樹林帯のような木々に囲まれた場所が少なく、基本的に見晴らしの良い360度パノラマビューが続きます。終始開けた広大な景色が続き、絶景のオンパレードでしたよ。
思った以上にトイレスポットがあるのでファミリーでも安心
周回コースは10キロ以上と距離が長いのでトイレが心配なところです。霧ヶ峰の周回ルートには、トイレスポットが思った以上にあるので、困ることは無いでしょう。お子様連れのファミリーでも安心してハイキングができますよ。
標高差が少ないので想像以上に辛くない
周回コースは距離は長いですが、標高差は300メートル程度なので、通常の登山と比べると辛くないという印象でした。「どうしても距離が、、」という方は1周約4キロ、90分~120分程度で周回できる八島湿原を周回するコースからチャレンジしてみましょう。
登山者が少なく、ゆっくりと楽しめる
霧ヶ峰最高峰「車山」の登山ルートは大変人気で、朝早くから駐車場はいっぱいになり、登山者や観光客も沢山います。八島ビジターセンターは車山と正反対の場所にあるのでそこまで人が多くなく、ゆっくりとハイキングや登山を楽しむことが出来ます。人混みが苦手な方にはオススメです。
霧ヶ峰の魅力を存分に満喫しよう
霧ヶ峰は車山だけではなく、様々な絶景ポイントが満載な高原台地です。車山とは正反対の場所にある天空の箱庭「八島湿原」は、これぞ霧ヶ峰!といった場所なのかもしれません。車山も大変魅力的で素晴らしい山でしたが、「八島湿原」は、全く異なった魅力がありました。
がっつりと登山を楽しみたい方は霧ヶ峰を周回するルートがオススメです。国指定天然記念物の湿原や、数々の展望スポット、山小屋を楽しむことが出来ます。車山の往復だけでは物足りないという方は是非チャレンジしてみてください。
ギア
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