夏の登山キャンプのために購入したバイオライトのソーラーパネル10+、モンベルショップでひとめぼれしてしまい「ちょっと高いなぁ~」と思いつつ衝動買いしました。
登山を終えた今!今回、果たして価格に見合う性能だったのかどうか実験検証を行いたいと思います!怖い!
この記事では他の人気ソーラーパネル3点とのスペック比較と、実測結果を詳細に考察していきます。調べるうちに、「オート・リコレクト機能」という自動で充電先を選択する機能があることがわかり、その機能についても検証します。
登山、キャンプ用や、災害時の緊急用などにソーラーパネルの購入を検討している方は、良かったら参考にしてみてください。
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目次
スペック比較
人気ソーラーパネル4商品との比較
まず、バイオライトのソーラーパネルとAmazonで評価の高い他の商品を比較しました。
比較対象の選び方としては、人気があり、なるべく各性能の尖った商品を選びました。一覧にまとめましたので、参考にして下さい。特に優秀なところは赤で示しています。
BioLite SolarPanel 10+ 相対評価
発電・充電性能
普通です。
発電・充電性能のスペック値だけみると、CHOETECH ソーラーチャージャー19Wの方が優秀ですが、バイオライトソーラーパネルも、通常の充電性能5V×2.1A(急速充電相当)は満足しており、そこまで大きな差はないと思います。
バイオライトの公式サイトでは、10Wの発電であればスマホが約1時間で充電できる、との見解ですが、後述の実測ではそこまでの性能は出なかったので、最速で1時間というスペックと考えられます。
また、災害時を想定して家族全員分のスマホを充電できるようにしたい!車中泊でソーラー発電しながら色んなガジェットを使いたい!といったパワフルなニーズに対しては、Aiperソーラーチャージャー 60Wのようなパネルとして大出力のものと別売りの大容量バッテリーを組み合わせた方が良いと思います。比較的手ごろな値段で100Wを超えるものもあるようです。ただし、携行性は悪いので登山・キャンプには不向きです。
内蔵バッテリー
内蔵していること自体が優秀。容量はスマホ充電1回分と最低限。
黄色い部分が内蔵バッテリー。かわいい
色々商品を見ましたが、バイオライトソーラーパネルのように通常のソーラー充電性能を備えながら、内蔵バッテリーを搭載している商品は少なく、かつ後述する充電元を自動選択する「オート・リコネクト機能」も備えていることもあり、トータルで考えると優秀です。内蔵バッテリーの充電方法はソーラー充電と、USB入力端子にケーブルを繋いでコンセント充電もできます。
比較対象としては例えばSoxonoソーラーチャージャーのような、大容量(スマホ充電10回分程度)のモバイルバッテリーで、補助的な低スペックのソーラーパネルが付属しているものがいくつかあるようです。
そういった商品はコンセント充電した電力を持ち運ぶ使い方がメインになると思うので、災害時やキャンプ、登山の電源がない状況で、充電量が少ない状況になるとソーラー充電性能が通常充電の10分の1程度のため、ほとんど充電できず役に立たなくなる可能性があります。このような低スペックソーラーパネルは正直安心のための「お守り」みたいなもので、実用の場面での活躍は期待できないので無くてもいい、と筆者個人は思います。
独自機能
最大の利点「オート・リコネクト機能」と「日射角調整機能」が優秀。
サンダイアルで太陽にロックオン!スタンドが無段階可変なので、簡単に狙える
「オート・リコネクト機能」とは、ソーラーでスマホ等を充電しているとき、突然の曇りで日光が無くなった場合は、内蔵バッテリーでの給電に自動切替するという賢い機能です。この機能により、不安定な天気であっても放置しているだけでスマホがしっかり充電されることが保証されます。
登山、キャンプで確実にスマホが充電できる機能は重宝するのではないでしょうか。後述の実測でも実験検証しています。
「日射角調整機能」は2つあり、「サンダイアル」と「可変スタンド」です。サンダイアルは、日時計の要領で太陽に対しパネルが垂直に立っているか目視確認できる機能です。そして、角度をほぼ無段階、360°調節できる可変スタンドによって、最適な角度を維持しながらパネルを立てたり、木や棒に吊るしたりすることができます。とても直感的で使いやすい機能です。
価格
かなり高いという印象。
登山・キャンプ用ソーラーパネルの性能としては、並の発電性能、スマホ1回分のバッテリーを内蔵、オート・リコネクト機能によるスマホ充電保証があり、使いやすい日射角調整機能を備え、バランスがとても良いと言えますが、18,000円台はかなり高いと感じます。個人的な感覚では12,000円くらいまでであれば納得できる値段だったと思います。
バイオライトソーラーパネル10+発電実測結果
こんな感じで測りました。
冬至の時期のため年間で最も発電効率が悪い条件。東西の杉林で日照時間も短め
測定項目
- ソーラー充電能力測定(ソーラー→スマホ)
- 内蔵バッテリー給電能力測定(内蔵バッテリー→スマホ)
- オート・リコレクト機能実験
- その他機能の確認
能力測定1、2は基本的にスマホの充電量と日光の強さ(インジケーターの表示)、その時の時間を記録して、その変化を見ていきます。
たまに電流値や電圧値をアプリで読み取ります。本来はUSBから直接測定する機器で測定すべきですが、持ち合わせていないため、スマホアプリ「Accu Battery」で代用しています。アプリの測定アルゴリズムや信頼性は不明なので、あくまで参考値として考えて下さい。
測定したスマホはXperia Z5 SOV32 (購入して3年以上)で、スマホバッテリー容量は2900mAh(劣化により実質2400mAh程度とのアプリ推定)です。
機能実験3、4は、それぞれの機能がどのタイミングで機能するか確認しています。
測定方法
- 基本は約30分間隔で充電量チェック
- 基本スマホはスリープモード。チェック時のみスリープ解除。
- チェックのタイミングで日射角を調整。
- たまに電流、電圧値を測定。(常時でないのはアプリの電力消費を考慮したため。)
BioLite SolarPanel 10+ 測定結果
充電能力測定(ソーラー→スマホ)
測定条件
以下のようなかなり最悪の条件(クリスマスイブに一人で黙々と丸一日測定していた意味も含む)なので、最低ラインの発電能力の測定ができました。
- 時間:12/24(12/22が冬至で最も太陽が低く、日照時間が短い)
日の出8:00過ぎ頃 ~ 日暮れ16:00過ぎ頃(約8時間) - 天候:晴れ、時々曇り、昼頃のみ雪
- 場所:岩手県内 四方を杉林で囲まれた日照時間短めの田舎
測定結果
日出~日暮の約8時間で5%→70%の合計65%の充電ができました。フル充電ならず!平均すると1時間当たり8%の充電速度になりました。条件の悪い中でもちゃんと充電しています。
ソーラー充電の電流値は0.16~0.2A程度、電圧値は3.8V程度、したがってワット数は0.6~0.8W程度と考えられます。(スマホアプリでの測定であり、あくまで参考値です。)最悪に近い条件では、スペック最大値10Wの10分の1以下の発電量でした。
天候は基本晴れていましたが、午前中は雲が多く、日光の強さを示すインジケーターが1と2の間を行ったり来たりしていました。昼の1時間は急な雪となりましたが、ちゃんと発電していました。
内蔵バッテリーはゼロの状態でスタートしています。日暮のあたりでは、日光が無くなっても「オート・コレクト機能」により内部バッテリー給電に自動切替して充電している様子がわかりました。(インジケーターの点滅→点灯の変化でわかります。)
ただ、最初に内蔵バッテリーがゼロの状態でスタートしたのにもかかわらず、最後内部バッテリーから1%給電されていたのに疑問が残ります。仮説ですが、ソーラー充電中にスマホを充電しながら、一部の電力を内蔵バッテリーにも回して充電しているのかもしれません。(その検証まではできませんでした。)
給電能力測定(内蔵バッテリー→スマホ)
今度は内蔵バッテリーによる給電能力の実験を行いました。
内蔵バッテリー満タン(インジケーター4)の状態から空の状態になるまでスマホへ給電を行いました。
充電時間は1時間37分、スマホ充電量は13%→70%で57%増加しました。2回実験しましたが、どちらも満充電までいかず、50%前後の充電量となりました。1時間あたりの充電量は35%です。
電流値は0.7~1.1Aで、電圧は3.8~4.1Vで程度でした。ワット数は4W程度となりました。
オート・リコレクト機能実験
オート・リコレクト機能の予想図です。日光の有無で充電方法を自動選択します。
自動で充電元を変更する「オート・リコネクト機能」のシステムを検証した結果が上のフロー図になります。全体がループしたシステムであり、日光があれば自動で充電を開始します。基本的にソーラー充電は全自動であり、内蔵バッテリー給電はモバイルバッテリー同様、手動のボタン操作で給電開始します。
一度充電が開始、継続されれば、ボタンを押さずとも日光の有無で自動でソーラー、バッテリー2種の給電源を切り替えてくれます。スマホが満タンになったあと、内蔵バッテリーへのソーラー充電へ自動切替する機能についても検証しましたが、今回ははっきりと確認できませんでした。
ここからはシステム予想の根拠となる実験です。すごく細かい話なので、読み飛ばして頂いて構いません。
日光あり⇒日光なしの実験結果
- 日光あり(パネル開)の状態でスマホを接続するだけで充電自動開始
- そのまま日光なし(パネル閉)の状態にすると、自動で内蔵バッテリー充電に切替
この実験で「オート・リコレクト機能」を確認できました。賢い機能です。
日光なし⇒日光ありの実験結果
- 上→日光なし(パネルを閉じた状態)でスマホを接続しただけでは動作せず
- 中→給電ボタンを押すことで、インジケーターが点灯し内蔵バッテリーから給電開始
- 下→そのまま日光あり(パネルを開く)にすると自動でソーラー充電に切替
日光なし状態での充電開始は、ボタンを押す必要があるようです。これはモバイルバッテリーと同じです。ここから日光あり状態になると、自動でソーラー充電に切り替わります。つまりソーラー充電が自動で優先されるシステムのようです。賢いです。
スマホ100%でソーラー充電し続けた実験結果
スマホの充電量100%でソーラー充電を継続し、内蔵バッテリーへのソーラー充電に切り替わるかを確認しようとしました。手順は以下。
- 内蔵バッテリーのインジケーター4の状態から、少し減らしてギリギリ3の状態にします
- 充電100%のスマホを接続し、ソーラー充電を開始
- スマホの充電電流値を1分毎に20分間記録
- 内蔵バッテリーのインジケーターを確認。→3で変化がありませんでした
結論としては、ソーラー充電において、スマホ充電100%→内蔵バッテリー充電への自動切替は確認できず、よくわかりませんでした。
最終的に内蔵バッテリーへソーラー充電され、インジケーターが4となれば証明できましたが、3のままでした。実験中常にスマホのバッテリー表示は充電状態でしたが、アプリで測定した充電電流値は0またはマイナスであり、充電されていないようでした。電流測定のアプリの信頼性も不明なので、正しい証明はできませんでした。
その他の機能確認
インジケーターの点滅パターン一覧表
このソーラーパネルを使っていると、「インジケーター光ってるけど、これなんだっけ?」と、点灯、点滅が何を意味しているのか分からなくなってきます。
一覧にまとめましたので参考にして下さい。
各マークは、◎=点滅、○=点灯、・=消灯、に対応しています。
インジケータ― | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
日光無し | ・ | ・ | ・ | ・ |
日光強さ1 | ◎ | ・ | ・ | ・ |
日光強さ2 | ◎ | ◎ | ・ | ・ |
日光強さ3 | ◎ | ◎ | ◎ | ・ |
日光強さ4 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
インジケータ― | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
内臓バッテリー残容量0 | ・ | ・ | ・ | ・ |
残容量レベル1 | ○ | ・ | ・ | ・ |
残容量レベル2 | ○ | ○ | ・ | ・ |
残容量レベル3 | ○ | ○ | ○ | ・ |
残容量レベル4 | ○ | ○ | ○ | ○ |
インジケータ― | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
内臓バッテリー残容量1 | ○ | ◎ | ・ | ・ |
残容量2 | ○ | ○ | ◎ | ・ |
残容量3 | ○ | ○ | ○ | ◎ |
残容量4(満タン) | ○ | ○ | ○ | ○ |
給電ボタンの意味
この給電ボタンも「これなんに使うんだっけ?」と分からなくなりがちです。
給電ボタンの意味は2つです。
- 日光なしの状態から、内蔵バッテリー給電開始(USB接続時)
- 内蔵バッテリー容量を確認する(USB未接続時)
バイオライトソーラーパネル10+ 最終評価
バイオライト ソーラーパネル10+は、価格は高いですが、登山、キャンプ用の個人の電源としてはバランスが良いです。発電能力は並ですが、独自機能の「オート・リコレクト機能」「日射角調整機能」が優秀です。お財布に余裕があれば、悪い選択ではないと思います。
年間で最も太陽が低い冬の時期でも、しっかりソーラー充電できることは確認できました。ただし冬では8時間で65%(1時間で8%)しか充電できませんでした。
内蔵バッテリーでの充電は、充電量としてはスマホの50%程度の容量の供給ができそうです。充電速度は、1時間で35%程度で、冬のソーラー充電よりは早いです。
いかがでしたでしょうか。もしよかったら購入の参考にして下さい。
ギア
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