奥秩父にある金峰山は、富士山と迫力のある奇岩「五丈岩」が絶景の360度大パノラマが広がる山です。初めてのテント泊登山から日帰り最短コースまで、登山初心者でもアタックしやすい日本百名山として多くの媒体で紹介されています。
今日は、登山初心者でも登りやすい最短コースのご紹介です。12月から5月までは道路が閉鎖されるので夏季限定のコースとなりますが、来シーズンに登る山の候補としてお役に立ちましたら幸いです。
目次
奥秩父の盟主「金峰山」
山梨県甲府市と長野県川上村県境にある「金峰山」は、奥秩父山塊の主脈に位置する標高2,599mの山です。
金峰山の読み方は、山梨県側では「きんぷさん」長野県側では「きんぽうさん」なんだそうです。
奥秩父を代表する盟主で「日本百名山」「花の百名山」「山梨百名山」「信州百名山」「新日本百名山」に選定されています。
古くから山岳信仰の山で、金櫻(かなざくら)神社のご神体です。金峰山のシンボルともいえる高さ約15mの巨大な花崗岩の奇岩「五丈岩」を本宮としています。ちなみに山頂一帯は金櫻神社の境内で私有地です。
金峰山山頂は周りを遮るものが無く360度大パノラマが広がります。特に、五丈岩越しの富士山の絶景は圧巻です。八ヶ岳連峰、南アルプスといった主要な山々や、瑞牆山へ続く稜線と奥秩父の山々を一望できます。
「金峰山」登山コース
金峰山の登山コースには山小屋やキャンプ場が点在しているので日帰り登山からテント泊登山まで、バリエーション豊かな登山計画を立てることが出来ます。
金峰山の主な登山コースは以下です。
大弛峠から登頂する
- 最短で登ることが出来る人気の日帰りコース。但し、冬季は道路が閉鎖
- 標高差約230m/片道約4km/約120~160分程度
最寄りの駐車場は「大弛峠駐車場」駐車場駐車可能台数約30台/無料・トイレ有
瑞牆山荘から登頂する
- 瑞牆山との縦走コースとしても人気。富士見平小屋でテント泊もできる
- 標高差約1000m/片道約5.5km/約260~300分程度
最寄りの駐車場は「瑞牆山県営無料駐車場」駐車場駐車可能台数約100台/無料・トイレ有
廻り目平キャンプ場から登頂する
- 山行が地味で距離は長いが登山者が少なく、キャンプも一緒に楽しめる
- 標高差約1000m/片道約5.9km/約220~260分程度
最寄りの駐車場は「廻り目平駐車場」駐車場駐車可能台数約120台/500円/人・トイレ有
今日ご紹介するのは大弛峠から登頂するピストンコースです。朝日岳を経て、金峰山を目指す縦走(複数の山を登る)するコース取りになります。コースは以下のような流れになります。
モデルコース 標高差約230m/総距離約8km/コースタイム約240~320分
大弛峠駐車場→金峰山登山口→朝日峠→朝日岳→鉄山分岐→賽の河原→金峰山山頂→五丈岩→大弛峠駐車場
順を追って説明しますね。
大弛峠駐車場→金峰山登山口
登山道の最寄りの駐車場は、中央自動車道勝沼インターから車で約80分の場所にある大弛峠駐車場です。
駐車料金は無料で約30台駐車可能。日本で一番高い場所にある車道峠で、標高は2365メートルもあります。
出典:山梨県公式ホームページ大弛峠駐車場でネックとなるのが、駐車場までのアクセスと、駐車スペースの確保です。大弛峠を結ぶ「川上牧丘林道」は、すれ違いが困難な曲がりくねった悪路が20km以上も続く難所です。
大弛峠駐車場は駐車が困難なことで有名な人気の駐車場で、駐車台数が少ないこともあり、休日の深夜には満車になります。このコースを利用するのであれば、いつもより早く家を出ることをお勧めします。
大弛峠から登頂するコースは難易度が低い代わりに、駐車場の確保が大変です。車の運転に自信が無い方や、前日に前乗りできないのであれば、別の登山コースの利用をお勧めします。
また大弛峠には登山道が2つあるので混乱します。金峰山の登山口は駐車場の奥にあります。駐車場の目の前にある登山口は国師ヶ岳へ登頂するコースなので、間違えないようにしましょう。
金峰山登山口→朝日峠
第一のチェックポイントとなる朝日峠までは距離にして約1.0km、標高差60メートルを20~30分かけて登ります。出だしだけ緩やかな道のりですが、すぐに本格的な登りに差し掛かります。
登山道は岩と倒木があり、若干歩きづらいところはありますが、比較的整備されている印象です。距離にして300メートル程度は、直登で急こう配の登りごたえがある道のりが続きます。
急こう配の直登が終わると、細かなアップダウンの繰り返しが続く尾根道歩きです。所々で木々が朽ち果てているので、樹林帯歩きでも見晴らしが良い道のりです。
朝日峠に到着です。沢山の石が積み上げられたケルンが良い目印になります。ちょっとした広場のようになっているので小休止に最適です。
朝日峠→朝日岳
1つ目の山頂である朝日岳までは距離にして約1.0km、標高差140メートルを30~40分かけて登ります。木々に囲まれた直登気味の急こう配がしばらく続きます。黙々と登りましょう。
700メートル程度、景色の変わらない登山道を歩き進めると突然景色が開けます。ここから先は岩がゴロゴロとした歩きづらい道のりが続きますが、絶景が広がるので苦になりません。
朝日岳山頂手前には大ナギと呼ばれるガレ場(岩がゴロゴロごした場所)が広がり、木々が無いので展望が最高です。天気がよかったら富士山と南アルプスを一望できます。富士山だけであれば、この場所が一番絶景です。
朝日岳山頂は、木々が生い茂った尾根道の先にあります。展望が開けているので景色に目を奪われがちですが、岩がゴツゴツしているので足元に注意です。ケガをしないように気を付けながら絶景を楽しみましょう。
朝日岳に到着です。標高は2579m。金峰山の途中にある山ということもあり地味な印象ですが、金峰山の存在が無かったら主役級レベルだったと思われる不幸な山です。
朝日岳は金峰山より20メートル低いだけで絶景が広がります。富士山だけの景色で比較した場合、朝日岳のほうに軍配があがります。大弛峠から登頂する場合、絶景の山を2座も制覇できてしまうのでお得なコースかもしれません。
朝日岳→鉄山分岐
次のチェックポイントである鉄山分岐までは距離にして約0.9kmです。折角稼いだ標高ですが、標高差約100メートルを35~40分かけて下ることになります。
目の前にゴールの金峰山を見ながら、急こう配の岩場を下る絶景の道のりです。右手の山頂に見える突起物が金峰山のシンボル「五丈岩」ですよ。
樹林帯に突入してもガレ場(岩がゴロゴロした滑りやすい道)が続きます。つづら折りになっているとはいえ、急こう配には変わりなく、滑りやすい道のりです。下山ではこの道を登ることになるので萎えますよね。
急こう配を下りきるとケルンが見えてくるので良い目印になります。ケルンから先は20メートル程度の登り返しが待ち受けています。
鉄山分岐に到着です。地味な標識で見落としやすいかもしれません。以前は鉄山に登ることが出来たようなのですが、現在はロープが張られているので登ることができないようです。
鉄山分岐→賽の河原
鉄山分岐から賽の河原までは距離にして約0.6km、標高差80メートルを20~30分かけて登ります。出だしは岩がゴロゴロとした樹林帯歩きですが、比較的緩やかな登りです。
段々と傾斜がきつくなるにつれ木々が低くなり、景色が開けていきます。この先は360度大パノラマの稜線歩きが待ち受けています。
大展望の稜線に出ました。この辺り一帯が、賽の河原と呼ばれる場所のようです。
登山道から少し外れた場所には石が積み上げられています。親に先立った子供が石を積んで苦を受ける「賽の河原」そのものを連想させますね。
石が積み上げられた場所からは、日本百名山「瑞牆山」の岩々しい山容越しに、八ヶ岳連峰を一望できます。
賽の河原→金峰山山頂
金峰山山頂までは距離にして約0.5km、標高差30メートルを15~20分かけて登ります。山頂までは360度大パノラマの稜線歩きを満喫できるビクトリーロードです。
山頂までは岩がゴロゴロとした歩きづらい道のりです。丘を越えると更に巨大な岩場になります。金峰山では所々で岩場ゾーンが出現するので、その度にストックが邪魔になります。
巨大な岩場をクリアすると、一旦平坦な道のりになりますが、山頂手前に最後の岩場が待ち受けています。今までの山行で一番登りごたえがある岩登りで、しかも道が不明瞭です。金峰山の核心部かもしれません。
巨大な岩登りをクリアしていくと、岩のトンネルが見えてきます。山頂はトンネルをくぐった先にあります。
金峰山に到着です。標高は2,599m。金峰山の最短コースとはいえ、登り返しの激しい山行なので登りごたえがありました。山頂手前の岩場ゾーンは登山入門者にとってハードルが高いかもしれません。
金峰山山頂からの景色
山頂標識のある場所からは岩が邪魔をして360度大パノラマを満喫できませんが、山頂標識の上にある岩場からは大パノラマを満喫できます。山頂以外も大展望が広がり、所々で異なった絶景を楽しめる山です。
山頂標識のある場所から南側に目を向けると富士山ドーンの絶景です。
浅間山がある北側の眺望も開けていて、山々が連なっています。他の方角と比べると少し地味かもしれません。
東側に目を向けると、歩いてきた稜線と登山コースを見渡せます。背後には朝日岳や北奥千丈岳・国師ヶ岳。遠くには日本百名山の「甲武信ヶ岳」「両神山」を一望できます。
岩の上から北西方向を見渡すと、手前に日本百名山「瑞牆山」の岩々しい山容越しに八ヶ岳連峰を一望できます。
そして、南西方向を見渡すと、五丈岩越しに南アルプスの山々を一望できます。五丈岩は目の前です。早速向かってみましょう。
金峰山山頂→五丈岩
五丈岩は岩場を下った場所にあります。山頂以上に絶景が広がる、正に金峰山を象徴するシンボルです。
五丈岩の前まで降りると、何故か金峰山の山頂標識がありました。隣には方位盤があり、どの方向にどんな山があるかが一目でわかるので便利です。
五丈岩は金櫻神社の本宮で、神聖な場所です。以前は五丈岩に登る方が多かったそうなのですが、登山禁止です。最近、そのことが認知されるようになり、五丈岩に登る方は減ったそうです。
五丈岩に登れない代わりに、富士山が見渡せる岩に登る方は数知れずです。多くの登山者がインスタ映えを求めて記念撮影をされていました。
金峰山の山頂は岩場で大変狭いのですが、五丈岩の周りは大変広く、草木の無い岩場です。昼食を摂るには十分なスペースがあるので、多くの登山者が休憩をしていました。
五丈岩→大弛峠駐車場
下山は同じコースを往復するピストンルートなので来た道に戻ります。暫くは絶景を満喫しながら余韻に浸ることが出来るビクトリーロードが続きます。
しかし、鉄山分岐からは修行タイムです。何故なら朝日岳までは、標高差約100メートルの登り返しが待ち受けているからです。下山での登り返しは、意外とダメージをくらいます。
辛い登り返しをクリアして到着した朝日岳の景色は、登った時よりも絶景に思える筈です。やはり富士山の眺望に関してだけならば、金峰山よりも絶景であることを再認識させられます。
大弛峠駐車場が見えてきました。一般的に下山では下り続きなので、登りよりもコースタイムが大幅に短くなるのですが、朝日岳の登り返しがあるお陰で、下山のほうが大変に感じてしまいました。
金峰山を登ってみてわかったこと
金峰山の最短コースは、異なる絶景を満喫できる山を2座も楽しめてしまうという、お得感満載な山でした。
金峰山に登ってみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 登山初心者でもアタックしやすい絶景の日本百名山
- 大弛峠から登頂するコースが日帰り最短。但し冬季利用不可
- 大地峠駐車場までは20キロ以上の悪路が続くので運転が大変
- 駐車場の確保が熾烈。満車時は路肩駐車することになる
- 縦走路なので朝日岳と金峰山絶景の2座同時に踏破できる
- 富士山だけで見るのであれば大ナギからが一番絶景
- 賽の河原から山頂までは360度大パノラマのビクトリーロード
- 山頂手前で岩登りが続くので足元に注意
- 山頂からは富士山と五丈岩が絶景の360度大パノラマが広がる
- 金峰山のシンボル「五丈岩」は登山禁止なので注意
- 下山では登り返しがあるので大変に感じる
最短コースは初心者にもお勧め!360度大絶景の山
大弛峠から登頂するコースは、冬季は利用できないことと、駐車場までのアクセスと場所取りがネックですが、他のコースは初心者向けとは言い難いので、登山を始めて間もない方にお勧めしたいコースです。
金峰山は筆者が想像していた以上の絶景の山です。山頂からも、山頂以外からも360度大パノラマの異なった景色を満喫できるので、是非ともチャレンジしてみてください。
ギア
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