ヨシダケン
「初心者におすすめの山」の謳い文句は本当?鵜呑みにして大丈夫?検証してみた

「初心者におすすめの山」の謳い文句は本当?鵜呑みにして大丈夫?検証してみた

筆者が初めて登った山は、ネットで「初心者におすすめの山」と紹介されていた低山です。実際に登ってみた感想は「めちゃくちゃキツイ。これで初心者向けなの?」でした。皆様もそんな経験ありませんか?

初心者にお勧めの山の基準は、「登る側」の体力、経験値、年齢、装備等で、大きく変わってきます。そこで、筆者が初めて登った山に3年ぶりに登ってみて、当時の感想とどれくらい温度差があるかを検証してみることにしました。

登山未経験だけど、初心者はどの山から登ればいいの?

登山未経験だけど、初心者はどの山から登ればいいの? (2)

「登山デビューするぞ!」と意気込んだものの、日本には沢山の山があります。どの山に登ったら良いのかわからないですよね。そんな時はGoogle先生に「登山 初心者 おすすめ」と聞けば沢山の山を紹介してくれます。

筆者が初めて登った山は千葉県南房総市にある「富山(とみさん)」です。標高349メートルの双耳峰で、小説「南総里見八犬伝」の舞台として、天皇陛下が皇太子の時にご夫妻で登られた山として有名です。

筆者が登山デビューでこの山を

筆者が登山デビューでこの山を選んだ理由は、自宅から近いことと、ブログや口コミで初めての登山でもピクニック気分でサクッと登ることができるお勧め山だと紹介されていたからです。

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因みに、登山デビュー時の筆者のスペックは以下の通りです。当時はコロナ渦で平日はリモートワーク。休日は外出も許されない雰囲気の中、毎日家に引きこもる生活をしていました。
体力 毎日家に引きこもる生活で絶賛運動不足中
登山経験 無し
年齢 半世紀手前の年齢
登山装備 全くなし。スニーカーとジーンズで挑む

初めて富山に登った時の感想は

初めて富山に登った時の感想は「思っていた以上にハードな山」でした。登りは急なコンクリートの坂道と階段の連続で、下山では両ひざが痛くなり、大変だった思い出が残っています。

勿論、初めての登山に加え

勿論、初めての登山に加え、上記のスペックなので、そう感じても自然なことだと思います。当時の山行の詳細はこちらでご確認頂けます。

登山デビューで登った山に3年ぶりに登ってみた

登山デビューで登った山に3年ぶりに登ってみた

登山デビューから丸3年。今、同じ山に登ると楽勝に感じるのでしょうか?それとも同じ感想なのでしょうか。個人的に大変興味があります。

富山の登山コースは

富山の登山コースは「伏姫籠穴コース」「福満寺コース」「伊予ヶ岳縦走コース」の3つがありますが、登山デビューと同じ「福満寺コース」から登りました。

 福満寺コース

  • 標高差約320m / 片道約2.5km / 徒歩90~120分程度
  • 最寄りの駐車場は「市営富山地域無料駐車場」(駐車可能台数約35台/無料・トイレ無)
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因みに、現時点での筆者のスペックは以下の通りです。あれから100座近くの山に登り、登山装備もそこそこになりましたが、平日は在宅勤務で外を歩くことがないので、運動不足感は否めません。
体力 引き続き在宅勤務で休日も車移動メインで絶賛運動不足
登山経験 100座近くの山に登る
年齢 半世紀
登山装備 テント泊登山ができる程度の装備

当時と同じ環境で検証したかったので

当時と同じ環境で検証したかったので、登山コースだけでなく、出発時間も、登山時期も、3年前と同じ条件にしました。それでは検証開始です。

駐車場→福満寺

駐車場→福満寺

福満寺までは車道歩きです。距離にして約0.6kmを約10分かけて歩きます。最寄りの駐車場から登山口までロード歩きが長い山は正直「思っていたのと違う」となりがちです。

登山口でもある福満寺には

登山口でもある福満寺にはトイレがあります。但し、自動販売機は無いので飲み物は十分な量を用意しておきましょう。登山口にトイレが有るか否かは登山において大切なポイントになります。

ここまで歩いた感想は

ここまで歩いた感想は、長い車道歩きが人によっては苦痛に感じるかもということ。登山口にトイレがあるのは高ポイントです。

福万寺→三合目

福万寺→三合目

三合目までは距離にして約0.7km、標高差約170メートル程度を約30~40分かけて登ります。富山は七合目まで短いスパンで目印があるのでペースが掴みやすく、登山初心者には心強いかと思います。

とはいえ、出だしから急こう配

とはいえ、出だしから急こう配なので、体が慣れないうちにハードな山行が待ち受けています。しかも三合目まではコンクリートの急坂が続き、登山道らしさゼロなのも苦痛ポイントです。

この区間を登った感想は前回と同じで

この区間を登った感想は前回と同じで、はっきり言ってめちゃくちゃ辛いでした。出だしから急こう配の登山道は登山経験者でも辛いと感じます。この点は初めての登山ではお勧めできないといった印象です。

三合目→ベンチ

三合目→ベンチ

三合目までは距離にして約0.5km、標高差約10メートル約15~20分かけて登ります。一旦標高差30メートル登った後は標高差20メートル下ります。この区間は比較的緩やかな道のりで一息付けます。

一見ラクチンな区間に思えるのですが

一見ラクチンな区間に思えるのですが、樹林帯歩きが続き景観が望めないので、人によってはマンネリ化するかもしれません。山行中、所々に開けた場所があるとモチベーションを保ちやすいかなと思います。

この区間を歩いた感想は、登り一辺倒

この区間を歩いた感想は、登り一辺倒ではなく、所々で緩やかな道のりを挟む山は一息付けるのでありがたいということ。中盤に見晴らしの良い場所やご褒美ゾーンがあれば尚良しではないでしょうか。

ベンチ→富山南峰

ベンチ→富山南峰

富山南峰までは距離にして約0.3km、標高差約140メートル程度を約20~30分かけて登ります。この区間は容赦のない階段地獄が続くので辛いと感じます。

今までの標高を取り戻すかのように

今までの標高を取り戻すかのように急な階段が続いていきます。段差が高く、足への負担はかなりのものです。富山では南峰山頂まで階段が続くだけでなく、北峰山頂手前も階段地獄が待ち受けています。

この区間を歩いた感想は前回と同じで

この区間を歩いた感想は前回と同じで「階段地獄が辛すぎる」です。階段で整備された登山道は危険個所が無くありがたいのですが、階段だらけの登山道は登山経験者でも辛いと感じてしまいます。

富山南峰→富山北峰

富山南峰→富山北峰

富山北峰までは距離にして約0.4kmを約15~20分かけて登ります。この区間は緩やかな道のりで、北峰に到着する手前で絶景スポットや名所が目白押しの天国ロードです。

富山山頂は360度パノラマビューです

富山山頂は360度パノラマビューです。山頂はとても広く、トイレやベンチがあるのでゆっくりと昼食を楽しむことが出来ます。お子様連れファミリーでも安心ではないでしょうか。

山頂に到着した感想は

山頂に用意されている施設や見晴らしについての感想は、登山初心者に優しい理想の山頂だろうということです。富山の山頂には絶景のご褒美だけではなく、休憩できるベンチやトイレまであります。山頂にベンチやトイレがある山は本当に希少です。

下山

下山は同じコースを往復

下山は同じコースを往復するピストンルートなので来た道に戻ります。大変整備された登山道なので、登山口までは約70~90分程度です。下山では一般的にコースタイムは短くなります。

往復コースの場合、同じ道

往復コースの場合、同じ道を降りるので登山初心者には安心です。ただ富山の場合、途中に登り返しがあるので少しだけ辛いと感じるかもしれません。

下山した感想は (2)

下山道についての感想は、大変整備された登山道のお陰で安心ということです。さらに登り返しが無ければ理想だと思います。山選びの際、登り返しが激しい山を選んでしまうと下山でも大変なので重要なポイントになりますよ。

同じ山に登ってわかったこと

同じ山に登ってわかったこと

3年ぶりに富山に登った感想は前回と一緒で「思っていた以上にハードな山」でした。初登山の時よりはコースタイムは短縮できて膝が痛くならなかったとはいえ、何故なのでしょうか。

理由は、登りはじめに待ち受ける (2)

理由は、登りはじめに待ち受ける急なコンクリートの坂道と、後半に待ち受ける長くて急な階段地獄です。登山デビューで選んでしまうと「思っていたのと違う」と感じてしまう要素満載といった印象です。

確かにデータだけで見ると

確かにデータだけで見ると、標高差、距離、山行時間共に、初心者にお勧めの内容です。千葉県の山にはグレーディング表がありませんが、恐らく体力度、技術度共に一番優しい難易度に該当するのではと思います。

登山デビューで登った山に3年ぶりに

登山デビューで登った山に3年ぶりに登ってみてわかったことは、山選びの際、標高差、距離、山行時間だけで判断すると「めちゃくちゃキツイ」となりかねないかも、ということです。

そこで、「登る側」の体力、経験値、年齢、装備等を踏まえたうえで、データでは見えない以下のこともチェックすると幸せになれるのではないでしょうか。

チェックポイント

  1. 駐車場や公共交通機関から登山口が近いか
    ※遠いとモチベーションが下がる
  2. 駐車場や公共交通機関、登山口にトイレがあるか
    ※自動販売機があれば尚良し
  3. 登りはじめは登山道が緩やかか
    ※いきなり急こう配は登山経験者でも辛い
  4. チェックポイントとなる目印が随所にあるか
    ※目標が無いと長い山行に感じる
  5. 所々で緩やかな道のりを挟むか
    ※登り一辺倒だと心が折れるかも
  6. 山頂以外にも見晴らしの良い場所があるか
    ※モチベーションを保ちやすくなる
  7. 登山道の大半が階段で構成されていないか
    ※何百段も続く階段地獄は心が折れる
  8. 山頂からの景色が良く、ご褒美感満載か
    ※展望のない山頂は達成感を味わいづらい
  9. 山頂が広く、昼食を楽しむことができるか
    ※ベンチやトイレがあると尚良し
  10. 下山では同じ道を降りるルートか
    ※ピストンルートだと安心感がある
  11. 登り返しが激しい山ではないか
    ※登り返しが激しいと下山でも大変

「初心者におすすめの山」は鵜呑みにしていいの?

「初心者におすすめの山」は鵜呑みにしていいの?

多くの媒体で紹介されている「初心者にお勧めの山」は、概ねその通りだと思います。本当に初心者向けなの?と思う山も時々見かけますが、標高差、距離、山行時間だけでみると納得の内容です。

ただ、データだけでは見えてこない細かい内容を加味すると、100%鵜呑みにするのは危険かもしれません。ご自身の体力、経験値、年齢、装備等を加味しつつ、登って楽しいと思える理想の山を探してみてくださいね。

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