「鳥海山と月山はセットで行った方がいいよ!」という山の大先輩のお告げを守り、鳥海山に登頂した翌日に月山にも立ち寄りました。
しかし、あいにくのお天気で山頂付近は立っているのもやっとなくらいの強風と雨。残念ながら山頂に到着した頃には景色どころではありませんでしたが、下山途中に晴れ間が見え、少しだけ景色を望むことができました。
雨登山となった今回の月山登山は、数々の失敗から危うく死にかけました。そんな登山レポートと、今回の反省点から雨登山での注意点をご紹介します。
目次
信仰の山「月山(がっさん)」
山形県にある月山は、標高1,984mで日本百名山にも選ばれています。信仰の山として地元の人から愛されてきた山です。
たおやかな山容で初心者でも登りやすく、8合目付近に広がる「弥陀ヶ原(みだがはら)湿原」は観光スポットとしても人気となっています。
今回の登山ルート「羽黒山口コース」の紹介
出典:月山ビジターセンター月山の山頂へは、複数のルートから登ることができます。今回は、人気スポットでもある弥陀ヶ原を歩けることと、前日の登山で疲労が溜まっていたことから、初心者向けの「羽黒山口コース」で登ることにしました!
コース全体としては、よく整備されたとても歩きやすい道といった印象。ただ、ほとんどが石の道だったので雨登山では石がめっちゃ滑る…。あちこちでみんな滑っていました。雨の日は、細心の注意を払って歩く必要があります。
絶景の駐車場から登山スタート!
月山8合目駐車場に車中泊をしましたが、すでに標高が1,400mほどあるので景色が最高です。町の夜景がめっちゃキレイでした!山には登らず、景色を見るためだけに駐車場で車中泊しているキャンピングカーがあったり、座って景色を眺めながらゆっくり食事している人がいたり、駐車場だけでも憩いスポットになっているようでした。
登山口からすぐ!人気観光地「弥陀ヶ原(みだがはら)」
登山口からすぐのところには、「弥陀ヶ原」が広がっており、一般の観光客にも人気の観光スポットとなっています。いくつも点在している池塘が美しい湿原です。
弥陀ヶ原湿原だけを散策するコースもあるので、ハイキング感覚で訪れることもできます。景色が良いので、天空の木道歩きだけでも気持ちいいですよ!
黙々と「月山沸生池小屋」を目指す
ガスガスの中、黙々と木道を歩きます。遠くの景色は見えないものの、ほんのり紅葉している草紅葉の湿原がきれいなのはわかります。
歩きだして10分ほどのところに御田原参篭所があります。お参りをして、急ぎ足で先を目指します。
このあたりですでに「なんか寒い…」となり、フリースを取りに戻るか悩んだ挙句、やっぱり面倒やしいいか!と先を目指すことに。
ここから先は石の道が続きます。この石がとにかくツルツルで滑りやすい!歩きやすいように作ってくれているのですが、石の道って微妙に歩きにくくて疲れます。
月山山頂まで2時間半。思ったより結構距離あるな~と思いつつ、ガスガスの中とにかく進みます。
ちょこちょこ木道も出てきますが、とにかく滑る!!晴れの日は歩きやすくて嬉しい木道ですが、雨の日はかなり滑るのでただただ怖いです。
昨夜の天気予報では、午前中は晴れる予報だったのに、むしろガスが濃くなり小雨が降っているような…。
ガスの中に突然小屋が!悪天候の中で小屋が見えると、すごくほっとするんですよね…。ただ雨風はますます強まり、体温がどんどん奪われているのがわかります。先に進むか、引き返すか…。
せっかく来たので山頂を目指すことに
小屋から少し登ると、何やら山頂らしきものが。と思ったら、その名も「オモワシ山」。紛らわしい!ニセ山頂に惑わされるのは登山あるあるですね。
ここからどんどん雨風が強まり、遮るものがないので雨風が直に体や顔に打ち付けます。キャップをかぶってこなかったので、レインウェアから滴り落ちた雨が目に入って前が見えない…。登りもきつくなってきて、「帰りたい!」と思いながらも山頂を目指します。
本来なら歩きやすいであろう道も、雨風が強くて立っているのもやっとの状態。
本来なら最高に気持ちいいであろう、山頂付近の木道歩き。風が強すぎて周りを見る余裕もなく…。本当は、すごく景色が良くてすごく気持ちのいい木道歩きなのに、美しい景色をお届けできなくて残念です。
いよいよ強風で立っていられません。が!!多分あと少しで山頂…ここまで来て引き返したら、何のためにここまで頑張ったのかわからない…という葛藤の末、周りの人たちも「とりあえず山頂にだけ立とう!」という雰囲気だったので、強風の中なんとか山頂に立って写真を撮ることに成功。
下山する頃には嘘のように青空が…
死ぬ思いで山頂まで辿り着いたのですが、駐車場に下山する頃には、先程までの悪天候が嘘のような青空が…。でも、最後に街並みと日本海、そして美しい月山を見ることができて救われました!
危うく低体温症に…今回の反省点
月山自体は、とても美しい素晴らしい山だったと思います。しかし、準備不足のせいで危うく低体温症になりかけました…。「人ってこうやって体温が奪われて動けなくなっていくのか…」と初めて実感し、救助要請も頭によぎるほど過酷な状況でした。
反省点1. 出発前に天気予報を確認しなかった
いつもなら直前にも天気予報や雨雲レーダーを確認するのですが、前日の夜の予報で「午前中は晴れ」だったのですっかり安堵してしまい、出発前の確認を怠りました。その結果、前日の予報とは打って変わって、まさかの午前中は雨。分かっていたら無理して登らなかったと思います。
すっかり晴れると思い込んでいたため、レインウェアも上だけ持参してレインパンツは置いてきてしまいました。そのため、濡れたタイツに風が吹きつけてどんどん体温を奪われる結果に…。
登山靴の中にも雨が入り込み、靴下もビショビショで足先も冷えました。手袋も防水ではない手袋だったため、濡れて余計に指先が冷えて感覚がなくなるほど。さらに、ザックのレインカバーも持って行かなかったため、ザックの中身もびしょ濡れに…。直前に天気予報を確認しなかったことで、散々な目に遭いました。
反省点2. 軽量化を重視し過ぎた
今回のコースは初級者コースということもあり、少ない荷物で登れるのも魅力のルートでした。前日の登山で疲労が溜まっていたこともあり、できるだけ荷物を少なくしたいという思いが勝ちすぎたのも反省点です。
東北の山なので寒いかなという思いもあったものの、かさばるフリースを持って行きたくなくて置いて行った結果、あまりの寒さに死にかけました。レインパンツも同様です。
いつもなら晴れ予報でも念のために持って行くのですが、「すぐ下山するし荷物減らしたいし…」という気持ちが勝ってしまい、見事に失敗しました。どれだけ軽量化したくても、最低限のアイテムは持参すべきだと改めて痛感させられて反省しています。
反省点3. 強行突破すべきではなかった
正直、山頂手前の稜線に出た時には、強風でどんどん体温が奪われて寒くて仕方ありませんでした。何度も「引き返す?山頂行く?」という話にはなったものの、「せっかく東北まで来たからもったいない」という思いから、結局強行突破を選びました。
しかし下山途中、本当に寒すぎてこのまま動けなくなるのではないかという不安に駆られ、今回はなんとか自力で下山できたものの、本来なら引き返すべきだったと反省。
今までも悪天候で山頂は諦めて引き返した経験がありますが、今回は「こんな遠くまで来たんだから」という思いが強く、引き返すことができませんでした。
よく考えれば、生きていたらまた東北に来ることができますが、死んだら終わりですよね。「山は逃げない」といつも言い聞かせていたのに、人間の欲とは恐ろしいものです。命の大切さを改めて感じた山旅となりました。
登山は絶対に無理をせず、安全第一で!
楽しい登山は命あってのものです。経験を積めば積むほど、大切なことを忘れがちだということを痛感させられました。今後は初心に戻って、安全第一の登山を優先したいと思います。
ギア
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