夏が来れば何故か尾瀬を思い浮かべます。きっと「夏の思い出」の歌のせいですね。マイカー規制で交通の便が悪いにも関わらず、多くの観光客が訪れる人気の景勝地「尾瀬」には、実はキャンプ場が3ヶ所もあります。尾瀬でキャンプが出来るなんて最高ですよね。どのキャンプ場も大変魅力的なので、キャンプ場選びで頭を悩ませるかと思います。
そこで今日は3つあるテント場の中から個人的にオススメしたい「見晴キャンプ場」の魅力とオススメする理由をご紹介します。尾瀬のテント泊の参考になれば幸いです。
目次
尾瀬にある3つのキャンプ場について
群馬県・福島県・新潟県・栃木県にまたがる尾瀬は本州最大の高層湿原で、尾瀬国立公園、日本百景に選定されています。
尾瀬の代名詞にもなっている「尾瀬ヶ原」と「尾瀬沼」のハイキングは勿論のこと、日本百名山「至仏山(しぶつさん)」「燧ケ岳(ひうちがたけ)」の登山でも人気の、日本屈指の景勝地です。尾瀬には車の乗り入れが出来ないので移動手段は徒歩のみとなります。
尾瀬には数多くの山小屋があるので宿泊も可能です。そんな中、テント泊が可能なキャンプ場が3つあり、群馬県側、福島県側、ど真ん中にそれぞれあります。キャンプ場の特徴を簡単にまとめてみました。
山ノ鼻キャンプ場
鳩待峠から徒歩1時間。尾瀬ヶ原の入り口「山ノ鼻地区」にある至仏山荘管轄の、標高約1400メートルの立地にあります。鳩待峠から近く、日本百名山「至仏山(しぶつさん)」の麓にあるキャンプ場です。
尾瀬ヶ原へのアクセスが便利で、至仏山登山者の利用が多いテント場です。キャンプ場は予約不要で、テントを約50張できる広さがあります。キャンプ場周辺には山小屋が3件あります。他のキャンプ場と比べて距離が短いので、初めてのバックパックキャンプではオススメだと思います。但し、人通りが多い場所なので賑やかです。
営業期間 | 4月中旬~10月中旬 |
---|---|
予約 | 不要(不可) |
設営可能数 | 約50張 |
近隣の山小屋 | 3件 |
キャンプ場までの距離 | 鳩待峠より約3.3キロ/徒歩1時間 |
見晴キャンプ場
鳩待峠から徒歩3時間。尾瀬の中心部「見晴地区」にある燧小屋管轄の、標高約1400メートルの立地にあります。3つのキャンプ場で一番距離が長いですが、尾瀬を代表する「尾瀬ヶ原」の傍にあるキャンプ場で、尾瀬ヶ原や尾瀬沼といった景勝地へのアクセスが便利なところが魅力です。
燧ケ岳登山者の利用も多いテント場ですよ。キャンプ場は予約不要で、テントを約100張可能と、尾瀬で一番広いキャンプ場です。キャンプ場周辺には山小屋が6件もあるので大変便利です。距離は長いですが尾瀬のど真ん中に位置するキャンプ場なので人が少なく、尾瀬の大自然を満喫したいならオススメです。
営業期間 | 4月中旬~10月中旬 |
---|---|
予約 | 不要(不可) |
設営可能数 | 約100張 |
近隣の山小屋 | 6件 |
キャンプ場までの距離 | 鳩待峠より約10キロ/徒歩3時間 |
尾瀬沼キャンプ場
出典:尾瀬沼ヒュッテ沼山峠から徒歩1時間。福島県側の「尾瀬沼」にある尾瀬沼ヒュッテ管轄の、標高約1600メートルの立地にあります。福島県側の沼山峠から近く、日本百名山「燧ケ岳(ひうちがたけ)」麓にあるキャンプ場です。
尾瀬沼へのアクセスが便利で、燧ケ岳登山者の利用が多いテント場です。尾瀬のキャンプ場で唯一予約が必要ですが、ウッドデッキ付きの区画サイトでプライベート感を確保できるので、プライベート感重視であれば尾瀬沼キャンプ場1択です。テントを約28張できる広さがあり、キャンプ場周辺には山小屋が3件あります。福島県側からアクセスするのであれば一番近いキャンプ場です。
営業期間 | 5月中旬~10月中旬 |
---|---|
予約 | 必要(完全予約制) |
設営可能数 | 28張 |
近隣の山小屋 | 3件 |
キャンプ場までの距離 | 沼山峠より約2キロ/徒歩1時間 |
見晴キャンプ場がおすすめの理由
いかがでしたか?どのキャンプ場も魅力的ですよね。そんな中、筆者が「見晴キャンプ場」をおすすめしたい理由をご紹介します。
尾瀬の中心にあるので名所へのアクセスが良好
見晴キャンプ場は尾瀬の中心にあるので、各所へのアクセスが良好です。目の前には尾瀬を代表する「尾瀬ヶ原」が広がり、徒歩1時間~2時間圏内には「尾瀬沼」「大江湿原」「三条の滝」といった名所が沢山あります。がっつりと尾瀬の大自然をハイキングしたい方にはオススメのベースキャンプ地です。
山小屋が充実している
見晴地区には6つも山小屋があるのが最大の魅力です。とにかく売店や食事が充実しているので不便することがありません。しかも、どのお店も美味しいので食べ歩きしたくなること間違い無しです。最低限のテントと寝具さえあれば、いつでもキャンプが出来るので、初めてのバックパックキャンプでも心強いですよ。
100張程度可能な予約不要のフリーサイト
見晴キャンプ場は予約不要のキャンプ場で、チェックイン・チェックアウト時間も特に決まっていません。設営可能なテント数は約100張と、他の尾瀬のキャンプ場と比べても圧倒的多さです。思い立って尾瀬でテン泊するのであれば見晴キャンプ場一択ではないでしょうか。
遠い場所にあるので静か
見晴キャンプ場は最寄の登山口から徒歩3時間と圧倒的に遠いです。その代わり、観光客が少ないので大変静かです。大自然でおもいっきりチルアウトしたい方にお勧めのキャンプ場ですよ。
トイレや休憩所が綺麗
見晴キャンプ場のトイレは本当に綺麗です。勿論、不快な臭いも一切ありませんよ。最低限の設備しかありませんが、マメに掃除もされています。
見晴キャンプ場へのアクセス方法
見晴キャンプ場までは鳩待峠より徒歩で約3時間以上。約10キロの道のりと、3つのキャンプ場のなかでも最も距離があります。「見晴キャンプ場」へのアクセス方法をまとめました。
尾瀬はマイカー規制があるので、鳩待峠までは乗り合いバスかタクシーを利用します。最寄りの駐車場は戸倉駐車場で、第一、第二とあります。第一駐車場が280台。第一駐車場が250台車を停めることができます。駐車料金はどちらも1日1000円です。
乗り合いバスは頻繁に運行しているので待ち時間は殆どありません。バスの料金は片道1000円です。
鳩待峠までは30分程度で到着します。トイレや自動販売機があるので便利ですよ。ここからは徒歩です。
第一ポイントである山の鼻までは距離にして約3.3キロ、1時間の道のり。
山の鼻までは木々に囲まれた木漏れ日の気持ち良い道です。標高差約200メートルを下ります。行きは良いのですが、帰りは登りが続くのでハードです。
山の鼻にはキャンプ場や山小屋があるので良い休憩ポイントになります。
山の鼻のすぐ先は尾瀬を代表する「尾瀬ヶ原」。広大な尾瀬ヶ原を端から端まで横断する本日のメインイベントです。次のポイントの「牛首」までは2.2キロ。
途中には「逆さ燧」という絶景ポイントがあります。多くの観光客で賑わう人気のスポットですよ。天気が良く、無風であれば池塘に映り込む燧ヶ岳を拝むことが出来ます。
牛首は尾瀬を代表する人気のスポットで、多くの観光客が訪れます。正に思い描いていた「尾瀬」のあの絶景を拝むことが出来ます。ベンチが多いので休憩にはもってこいです。
次のポイントの「竜宮」までは2.2キロ。ここからは段々観光客が減るので尾瀬ヶ原を独り占めできます。贅沢な時間です。
「竜宮」には山小屋があるので、休憩スポットとして大変ありがたい場所です。
竜宮からキャンプ場のある見晴までは残り1.5キロ。もう一息です。
尾瀬ヶ原を横断した東端に「見晴」が見えてきました。尾瀬ヶ原は周りに一切遮るものがないので、日焼け対策と水分補給はしっかりと行いましょう。
見晴キャンプ場の施設案内
見晴キャンプ場の施設を写真付きでご紹介します。キャンプ場としての設備は最低限ですが、周りに山小屋が充実しているので食事に困ることはありませんよ。
管理棟(燧小屋)
キャンプの受付は燧小屋で行います。受付を済ませると札を渡されるので、テントの目立つ位置に付けましょう。チェックイン・アウトの決まった時間はありませんが、チェックアウトはバスの時間もあるので必然的に昼前には撤収することになります。テントやギアといったレンタルはありませんが、毛布は1枚200円でレンタル出来ます。
燧小屋は本来は宿泊施設で、キャンプの受付のみ委託しています。その為、キャンプ場利用者は燧小屋のトイレや談話室といった設備の利用が出来ないのでご注意ください。
トイレ
キャンプ場利用者は燧小屋のトイレを使うことができないので、キャンプ場内にある公衆トイレを利用します。チップ制でトイレ利用料100円を払うシステムです。尾瀬は殆どのトイレがチップ制なので100円玉は沢山用意しておきましょう。
ウォシュレットや温水便座は無く、最低限の設備ですが設備は新しく、定期的に清掃されているので大変綺麗です。
見晴らし休憩所
キャンプ場利用者以外でも利用できる施設です。外にはベンチが沢山あるので多くの方が休憩で利用していました。
建物内にもベンチがあり、午前8時から午後5時まで利用可能なのですが、2022年シーズンは床の老朽化で利用できなくなっていました。
水場
見晴らし休憩所にあります。飲み水が無料なのは大変嬉しいですよね。炊事場ではないので炊事をはじめ、洗い物は禁止です。
お風呂
以前は燧小屋で入浴が可能だったそうなのですが、コロナの影響でしょうか。2022年度は使えませんでした。しかしご安心ください。6つある山小屋の中で「尾瀬小屋」のお風呂は利用可能です。これは神対応です。
山小屋
キャンプ場の施設ではありませんが、見晴キャンプ場の周辺には燧小屋を含めて6つの山小屋があります。これは他のキャンプ場と比べても圧倒的な数です。食べ物や飲み物が充実しているので不便することはありません。それぞれの山小屋について簡単に紹介しますね。
燧小屋
見晴キャンプ場の傍にある山小屋です。キャンプ場の受付のほかに、冷たい飲み物やお菓子を購入できます。
尾瀬小屋
尾瀬ヶ原を一望できるテラスがあるオシャレな山小屋です。売店や食事、お風呂の利用が可能です。個人的には見晴にある山小屋で一番のお気に入りです。
原の小屋
見晴地区の奥のほうにある山小屋です。カフェがあるのでちょっとしたひと時を過ごすのであればオススメです。
弥四郎小屋(やしろごや)
目の前が尾瀬ヶ原の山小屋です。目の前には沢山のベンチがあり、沢山の観光客で賑わっていました。売店がありますよ。
桧枝岐小屋(ひのえまたごや)
尾瀬小屋の対面にある山小屋です。尾瀬ヶ原の眺望もよく、飲み物や食事を購入できます。カレーは美味でした。
第二長蔵小屋(だいにちょうぞうごや)
原の小屋の対面にある山小屋です。静かな雰囲気で風情があります。売店が充実しているので何かと便利。
見晴キャンプ場のサイトレビュー
見晴キャンプ場のテントサイトを写真付きでご紹介いたします。テントサイトは全面フリーサイトで設営場所は早い者勝ちです。テントサイトから尾瀬ヶ原を見ることはできませんが、木々に囲まれた木漏れ日が気持ち良いフィールドです。
サイトの広さ
小型テントを約100張りできる広さがあります。奥の方にも設営場所があるので、思っていた以上に設営ポイントは沢山あります。場所探しで少しだけ悩むかもしれません。
木々に囲まれているので開放感はありませんが、木漏れ日が気持ち良いです。尾瀬は日よけする場所が少ないので早めにチェックインして日陰ポイントに設営したいところです。
プライベート感
アクセスが不便な場所ではあるのですが、繁忙期はかなり混雑するのでテントが密集します。休日ともなると100張以上はテントがありそうな程密集するのでプライベート感はゼロです。
しかし見晴キャンプ場は、タープや大型テントをはじめとした快適ギアの持ち込みが物理的に不可能なので、夜に騒ぐ要素が見当たりません。その為、夜は大変静かになります。
サイトの地面の特徴
サイトの地面は草混じりの土です。土がむき出しのところもありますが、そういった場所は地面が平らで快適な場所ということ。設営される頻度が高い快適エリアなので狙い目です。
傾斜はあるの?
場所によっては傾斜がありますが、そういった場所は草がボーボーなので判り易いかもしれません。土がむき出しの場所は比較的平らな印象です。草に覆われたエリアは起伏が結構あるので、設営場所は慎重に選びたいところです。
ペグの刺さり具合は?
ペグの刺さり具合は普通です。場所によっては石に当たることもありますが、ペグをずらして打ち直せばスムーズに打ち込めます。
見晴キャンプ場の注意事項
「見晴キャンプ場」で事前に知っておきたい情報をまとめました。
徒歩でしか行けない上に3時間以上歩く
見晴キャンプ場への唯一の交通手段は徒歩のみです。しかも距離にして10キロ程度、3時間以上歩くことになるので、キャンプ道具はザックに収まる範囲でしか持って行くことが出来ません。
距離は結構ありますが、全体的にきつい登りは無く、尾瀬を代表する「尾瀬ヶ原」を横断しながらのトレッキングなので、絶景に癒されること間違い無しです。
焚き火や炭の使用は一切禁止
「見晴キャンプ場」だけではなく、尾瀬のキャンプ場すべてで焚き火は勿論のこと、炭の使用も禁止です。「え?キャンプで焚き火が出来ないの?!」という、タキビストには不向きのキャンプ場です。
営業シーズンが限られる
標高の高い立地にあるので営業期間は4月下旬から11月上旬あたりと短めです。営業シーズンは毎年微妙に異なるので最新の情報を確認しましょう。
ゴミは持ち帰り
見晴キャンプ場に限らず、尾瀬のキャンプ場ではゴミを捨てることが出来ません。ゴミは必ずすべて持ち帰りましょう。
水場で食器類を洗ってはいけない
見晴キャンプ場には炊事場がありません。昔はあったそうなのですが、雪害で無くなったんだそうです。その為、洗い物や炊事が出来ないのでご注意ください。休憩所にある水場は飲料用なので、食材や食器の洗浄は禁止です。
電波が入らない
尾瀬は基本、ほとんどの場所が圏外です。見晴キャンプ場も例外なく圏外なのでご注意ください。但し、小屋付近では嬉しいことに無料Wifiの利用が出来ます。電波は弱いですが、電波があるだけありがたいですよね。
1泊2日で尾瀬の名所をたっぷりと満喫したいならオススメのキャンプ場
尾瀬の中心に位置する「見晴キャンプ場」であれば、あらゆる名所へのアクセスが良好です。尾瀬の名所をたっぷりと満喫したいならオススメのキャンプ場だと思います。
そしてなんといっても、早朝の尾瀬の壮大な絶景は宿泊しない限り拝むことが出来ない特別な景色です。しかも、「これぞ尾瀬!」ともいえる無限に広がる尾瀬ヶ原の絶景は、見晴地区からしか拝むことが出来ません。はっきりいって異次元の絶景です。この絶景を拝むだけでも「見晴キャンプ場」に行く価値ありです。
ギア
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