キャンプや登山とはちょっと違った新鮮なアウトドアアクティビティをお探しの方は、廃線ウォークなどいかがでしょうか。廃線巡りといっても不法侵入ではありませんのでご安心ください。今日は往復約12kmの廃線路を4時間かけて歩く、合法の廃線歩き「アプトの道」ハイキングコースをご紹介いたします。
目次
鉄道の廃線跡を利用したトレッキングコース「アプトの道」
群馬県安中市にある「アプトの道」は、1997年に廃止された信越本線「横川」~「軽井沢」間にある、アプト式鉄道時代の廃線敷の一部を遊歩道として整備したハイキングコースです。
横川駅~熊ノ平駅間の約6kmのハイキングコースには国の重要文化財である「碓氷第三橋梁(めがね橋)」や、「旧丸山変電所」といった観光名所をはじめ、6つの橋と10のトンネルがあり、碓氷峠鉄道遺産に触れることができます。
碓氷峠を走る碓氷線横川~軽井沢間は、最大勾配66.7(1000mの距離で66.7mの勾配)を誇る鉄道の難所として知られていましたが、登山のような急こう配ではないので、ハイキングをするにはちょうど良い勾配です。
距離は長いですが、道は大変整備されているのでスニーカーでもハイキングを楽しめるのが魅力です。鉄道遺産のほかに碓氷湖といった絶景スポットもあり、自然観満載です。いつもとは違ったアクティビティを満喫できること間違い無しですよ。
「アプトの道」トレッキングコース
アプトの道を歩く場合、ルートは1つです。信越線横川駅から旧熊ノ平駅を歩く約6km、2時間のコースで、横川駅からスタートします。標高差は約300メートルと、緩やかな登りが続きます。
スタート地点の横川駅には電車が走っているので電車でのアクセスが容易です。車をお持ちでない方でもトライしやすいのは良いですね。但し、ゴール地点である旧熊ノ平駅にはバスや電車が無いので、必然的に往復するコース取りになります。
今日は、横川駅から旧熊ノ平駅を目指し、同じ道を戻る総距離約12km/徒歩約240分程度のコースをご紹介いたします。
ハイキング中は観光スポットを含め、以下のルートを通ります。
アプトの道コース(往復)
- 横川駅→アプトの道起点→旧丸山変電所→とうげのゆ駅→碓氷湖→めがね橋→旧熊ノ平駅→アプトの道起点
順を追って説明しますね。
横川駅→アプトの道起点
アプトの道の最寄り駅である信越線横川駅は駅弁で有名です。「峠の釜めし」は、今や様々なお店で売られている駅弁を代表する商品です。昼食用に購入してみてはいかがでしょうか。
車の利用の場合、最寄りの駐車場は「松井田町営駐車場」と「横川駅市営駐車場」で、それぞれ無料です。駐車台数は両方合わせて30台程度です。
アプトの道起点の傍には「碓氷峠鉄道文化むらの駐車場」もあるのですが「駐車のみの利用は有料」とあるので、施設利用者以外は有料です。
因みに碓氷峠鉄道文化むらは、碓氷線の歴史を見て触れて体験できる鉄道テーマパークで、本物の電車の運転体験もできてしまうという、鉄道ファンからお子様連れファミリーにお勧めの施設です。
ハイキングコースの入口は、碓氷峠鉄道文化むらの傍にあります。
アプトの道起点→旧丸山変電所
観光名所でもある旧丸山変電所までは距離にして約1.8km、徒歩にして30分程度の道のりです。出だしはアスファルトで舗装された道を歩きます。お店や公衆トイレも充実していて便利です。
左手に鉄道文化むらの車両と廃線路を横目に歩くと「碓氷関所跡」の案内がみえてきます。アプトの道からコースが外れるので筆者は寄り道しませんでしたが、関所史料館があったりと、観光名所なんだそうですよ。
「この道は遊歩道です」と書かれたゲートから先が、本格的なアプトの道です。左手には平成9年に廃止となった信越線横川~軽井沢間の下り線を使用したトロッコ電車が走っています。
旧丸山変電所までは緩やかな勾配が続く直線の道のりです。はじめは廃線路を歩く新鮮さがあるのですが、ずっと同じ景色が続くので正直、段々と飽きてきます。日差しを遮るものが無いので日焼け対策は必要です。
30分程歩くと右手に建物がみえてきました。旧丸山変電所です。因みに左手にみえる建物は「まるやま駅」で、トロッコ電車が停車します。注意すべき点は「峠の湯行き」のみ停車ということです。行きは電車で行けますが、帰りは歩いて帰る必要があります。
旧丸山変電所は明治45年。碓氷峠区間の電化に伴って建設された純煉瓦造りの変電所です。平成6年、碓氷峠鉄道施設として国の重要文化財の指定を受けています。
旧丸山変電所→とうげのゆ駅
中間地点にあたる「とうげのゆ駅」までは距離にして約1km、徒歩にして20分程度の道のりです。引き続き緩やかな勾配が続く直線の廃線路が続きます。
一直線の道を800メートル程歩くと線路が途切れます。廃線の下をくぐり、反対側へ移動するようです。左手に見える建物は日帰り温泉施設「峠の湯」です。
反対側へ移動して200メートル程進むと「とうげのゆ駅」に到着です。トロッコ電車の終点でもあり、トイレや自動販売機もあります。丁度半分歩いた絶妙な場所に休憩スポットがあるのはありがたいですよね。
「峠の湯」にはレストランや売店、トイレもあるので休憩には最適です。しかも日帰り温泉もあるので、帰りに入浴して、トロッコ電車で帰るなんてことが可能です。
とうげのゆ駅→碓氷湖
碓氷湖までは距離にして約1.1km、徒歩にして25分程度の道のりです。後半はトロッコ電車も走っていない、ハイキングコースらしい本格的な道のりになります。
碓氷湖までは2つの煉瓦製のトンネルを通ります。1つ目のトンネルは結構な長さがあります。
トンネルの中はひんやりとしていて、夏場は天然のクーラーを満喫できます。ありがたいことに照明があるので真っ暗ではありませんが、午後6時に消灯するので夜は歩くことが困難です。
とうげのゆ駅から先は、前半のような景色が変わらない1本道とは異なり、自然観満載のハイキングコースなので、歩いていて楽しいです。「とうげのゆ駅」まではトロッコ電車を利用して、ハーフコースで楽しむのも有りだと思います。
2つ目のトンネルは短いのであっさりと通過します。トンネルを抜けた先に碓氷湖があります。
碓氷湖は中尾川と碓氷川の合流点を堰き止めて造った人工湖です。残念ながらアプトの道からは湖の全貌が見えません。筆者は碓氷湖に寄り道しませんでしたが、大変絶景スポットなんだそうですよ。
碓氷湖→めがね橋
観光スポットして有名な「めがね橋」までは距離にして約1km、徒歩にして20分程度。3つの煉瓦製のトンネルを連続して超える、アプトの道で一番見どころ満載の道のりです。
トンネルの先に次のトンネルが見える光景は圧巻です。レンガ造りの美しい人工物を堪能できるのは、廃線ウォークならではです。
人工物と自然のコントラストを堪能しながら、第三、第四、第五トンネルを歩きます。普段のトレッキングや登山では決して味わうことが出来ない特別な景色がそこにあります。
5つ目のトンネル「第五隧道」は緩やかなカーブの長いトンネルです。まるで洞窟を探検している気分になります。トンネルの先には本日のメインディッシュ「めがね橋」が待ち受けていますよ。
碓氷第三橋梁(めがね橋)に到着です。観光スポットとして有名なこの橋は、実は10年前に訪れたことがあるのですが、橋の上を歩くことが出来ることは当時、知りませんでした。
めがね橋は、アプトの道にある6つある橋の中でも別格です。橋の上から望む景色は大変絶景で、遠くに信越本線新線の鉄橋を見ることが出来ます。こちらも廃線になった橋です。
因みに橋の下に降りることが出来ます。めがね橋を下から見上げた風景は有名なアングルではないでしょうか。100年以上前に造られたというのは驚きです。近くに無料駐車場があるので、観光で立ち寄ることが出来ますよ。
めがね橋→旧熊ノ平駅
ゴール地点の旧熊ノ平駅までは距離にして約1.3km、徒歩にして25分程度の道のりです。第六~第十の5つのトンネルが連続するという、行程の大半がトンネル歩きです。
特に6つ目のトンネルでもある「第六隧道」は圧巻で、側面にある空気を通す為のアーチ型の窓が印象的です。10あるトンネルの中で最も距離が長く、543メートルもあります。
いくつものトンネルと橋が連続する道のりは秘境感満載で、探検をしている気分になります。人通りも少なく、静かなトレッキングを楽しめるところもプラスポイントです。
10こ目のトンネルを抜けると、アプトの道の終点「旧熊ノ平駅」に到着です。碓氷峠にある唯一の平地でもあります。熊ノ平駅は、アプト式鉄道時代は変電所や信号場として重要な拠点でした。
旧熊ノ平駅より先は通行禁止ですが、実は「廃線ウォーク」ツアーに申し込むと、ガイド付きで合法で歩くことが出来るんだそうです。これは後で知りました。機会があったら是非チャレンジしてみたいと思います。
旧熊ノ平駅→アプトの道起点
旧熊ノ平駅にはバスや電車といった公共交通機関が無いので、必然的に往復するコース取りになります。来た道に戻りましょう。旧熊ノ平駅を反対側から見ると、トンネルが4つもあることに驚きます。
帰り道は緩やかな下り坂なので、行きよりも楽です。思っていた以上に快適なハイキングを満喫できる筈です。
とうげのゆ駅まで戻ると、偶然トロッコ電車が到着していました。本当はゴール地点まで歩く予定でしたが、これも何かの縁です。迷わずトロッコ電車を利用しました。文明の力は偉大です。
ぶんかむら駅に到着です。最後はちょっとズルをしてしまいましたが、アプトの道は各拠点に駐車場があり、トロッコ電車も利用できます。柔軟な計画を立てることが出来るのも魅力ではないでしょうか。
アプトの道を歩いてわかったこと
観光がてらに廃線ウォークを楽しむことができるアプトの道は、大変歩きごたえがある充実のハイキングコースでした。アプトの道を歩いてみてわかったことをまとめました。
まとめ
- 鉄道の廃線跡を利用した遊歩道で、観光名所や鉄道遺産に触れることができる
- 道が大変整備されていて緩やかなので、スニーカーでもハイキングを楽しめる
- 「とうげのゆ駅」までの前半の道のりは同じ景色が続くので段々と飽きてくる
- 中間地点にあたる「とうげのゆ駅」には温泉施設やレストランがあるので助かる
- とうげのゆ駅まではトロッコ電車を利用して、ハーフコースで楽しむのもあり
- とうげのゆ駅以降はハイキングコースらしい本格的な道のり
- 碓氷湖からめがね橋は、アプトの道で一番見所満載の道のり
- めがね橋から旧熊ノ平駅は、大半がトンネル歩きで洞窟探検の気分になる
- 旧熊ノ平駅には、バスや電車が無いので必然的に往復するコース取りになる
- アプトの道は各拠点に駐車場があるので、柔軟な計画を立てることが出来る
- 廃線ウォークツアーに申し込むと、立ち入り禁止区間も歩くことが出来る
いつもとは違ったアウトドア体験をお探しの方にオススメです
廃線巡りと聞くと探検をしている気分になるのは筆者だけでしょうか。登山のように本格的な装備や知識が不要で、スニーカーでも楽しめる「アプトの道」は、いつもとは違ったアウトドア体験ができること間違いなしです。
いきなり登山はハードル高いけど新鮮なハイキングを体験したいという方や、キャンプで珍しいアクティビティをお探しのキャンパーにお勧めです。
ギア
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