地元民にすら忘れ去られていた山が、地元の有志やボランティアの手によって登山可能な状態にまで蘇ったという記事を見つけました。その山は伊豆の観光名所「浄蓮の滝」の近くにあり、山頂までたったの1時間で登ることが出来ます。山頂付近の展望台からは富士山の絶景を拝めるだけではなく、噴火口跡をお鉢巡りできるんだそうですよ。
今日は登山系メディアやYoutubeでも殆ど取り上げられていない穴場の山「鉢窪山(はちくぼやま)」のご紹介です。
目次
地元民にも知られていなかったマイナーな山「鉢窪山」
伊豆市にある「鉢窪山(はちくぼやま)」は、伊豆縦貫自動車道月ケ瀬インターから車で約10分。観光名所「浄蓮の滝」の近くに位置する標高674mの火山です。約1万7000年前の噴火の際にマグマのしぶき(スコリア)が降り積もってできた「スコリア丘(きゅう)」と呼ばれる円錐台形の山容が特徴的です。
鉢窪山が噴火した際、流れ出た溶岩が浄蓮の滝を作り出したんだそうですよ。鉢窪山は浄蓮の滝と合わせ、伊豆半島ジオパークのジオサイト(観光スポット)に指定されています。
天城越えで有名な「浄蓮の滝」とは対照的に、鉢窪山は最近まで登山道も整備されていない、地元民にすら忘れ去られていた山だったそうなのですが、2018年から地元有志の「茅野はちくぼ活性化委員会」やボランティアの手で登山道の整備がなされ、ベンチや展望スペースが設けられたりと、日々蘇りつつあります。
鉢窪山は山頂まで1時間程度と、さくっと登ることが出来る初心者にお勧めの山です。展望スペースからは富士山の絶景を拝むことが出来て、山頂付近にある噴火口跡ではちょっとしたお鉢巡りができます。登る前からワクワクしますよね。
「鉢窪山」登山コース
鉢窪山で登山する場合、2つの登山ルートがあります。コース別で簡単に説明します。
1.はちくぼ遊歩道コース
標高差約270m/片道約1.5km/約50~60分程度のコース
最短で山頂に行けるコースで、地元の有志やボランティアの手によって整備された登山道です。山頂手前には富士山の展望が素晴らしい展望デッキがあり、登山感が強い登りごたえのあるコースです。
2.作業道コース
標高差約270m/片道約2.6km/約70~90分程度のコース
元々は森林整備のために作られた道で、車が通ることが出来る道幅があります。但し関係者以外の車両の通行はできません。距離が長いかわりに緩やかな歩きやすいコースです。
どちらもルートも最寄りの駐車場は一緒で、駐車可能台数は約5~10台/無料・トイレ無しです。駐車場は静岡大学天城フィールド・セミナーハウス近くにあるのですが、駐車場の名前自体が存在しないようで、地図にも載っていません。
将来的には駐車場も整備されて名前も付くのだと思うのですが、2022年3月時点、地元の方か鉢窪山に行ったことがある方以外、駐車場を見つけるのは困難でしょう。
そういった事情もあり、登山するのであれば鉢窪山から1km離れた場所にある浄蓮の滝の駐車場からスタートするのが確実です。今日は浄蓮の滝無料駐車場から、はちくぼ遊歩道コースで登頂するルートをご紹介いたします。
浄蓮の滝無料駐車場から登山口駐車場へ
観光名所の「浄蓮の滝」には第一~第三の無料駐車場があり、100台以上の車を停めることが出来る広大な駐車場です。
トイレは勿論のこと、レストランや売店も充実しています。登山後に浄蓮の滝観光も楽しめるのでお勧めです。登山中はトイレが無いので登山前に利用しておきたいところです。
鉢窪山登山口までは約1kmの道のりです。道迷いしやすいので詳しく解説しますね。まずは駐車場の反対側、「浄蓮の滝無料駐車場」の看板の左手に見える、側道の坂を登っていきます。
坂道はコンクリート製で、目の前の民家は良い目印になります。
道なりに進んでいきます。この道路は関係者以外の車両の通行が出来ないようなので車の通りはありません。安心して歩くことが出来ます。
突き当りにあるゲートを開いて左方向に進みます。ゲートは手作りで開閉が結構大変でした。
すると再び突き当たりになるので、右方向に進みます。
突き当りには標識が立っています。旧天城トンネル方向を進むことになります。
暫く真っすぐ歩きます。車の通りがある登り坂です。意外ときつい登りですよ。
300m程歩くと、左手に静岡大学天城フィールド・セミナーハウスの看板と、鉢窪山遊歩道入口の看板が見えます。
はちくぼ遊歩道コースを目指す
駐車場から登山口である、はちくぼ遊歩道コースを目指します。ちなみに駐車場から山頂を目指す場合は1時間以内で登頂できるのでお手軽登山が可能です。
道路を道なりに100m程進みます。登山道への看板があるので迷うことは無いと思います。
左手にはちくぼ遊歩道コースが見えました。標識は最近立てられたようです。
この日も地元の有志とボランティアの方々が登山道の整備をされてました。日々、登山道が整備されていってる様子が良く判りました。
下山した時には立派な看板の設置が終わっていましたよ。
展望スペースを目指す
第一のポイントとなる、山頂手前の展望スペースを目指しましょう。距離にして700m程度ですが、標高差が200m程度あるので急登が続きます。
急登ではありますが、つづら折りになっているのでそこまで大変ではありません。しばらく樹林帯を歩くので景観はお預けです。
樹林帯は木漏れ日の気持ち良い登山道なのですが、登山道を整備している途中であることと、登山者が少ないこともあり踏み跡が少なく、全体的に登山道がわかり辛くなってます。
随所にピンクテープがあるので、確認しながら歩く必要があります。うっかり見落とすと高確率で道迷いをします。
案内板も設置されているとはいえ、全体的に少な目です。今後は案内板も整備されていくんだと思います。
中盤にロープが設置された急登ポイントが続くエリアがあります。滑りやすいので慎重に登りましょう。
このあたりから何故か景色が開けてきます。低山ということもあり、山頂まで樹林帯が続くものと思っていたので不思議な気持ちです。
気になったので後日、GoogleMapの航空写真で確認すると謎が解けました。鉢窪山は植林された杉の木で覆われた山なのですが、一部植林されてない場所があるみたいですね。
後半は広葉樹林に囲まれた見晴らしの良い登山道が続きます。
時折富士山が見え隠れする絶景ポイントもあり、登っていて楽しい山です。
再び杉に囲まれたエリアが見えてきました。展望スペースはこの先にあります。
こちらが展望スペースです。地元の有志の皆さんが力を合わせて丸太を運び、釘を使わず木組みだけで作った展望デッキとベンチです。
展望スペースは富士山がばっちり見える絶景ポイントです。中伊豆でここまで富士山が綺麗に見える場所は貴重なんだそうですよ。
鉢窪山山頂へ
鉢窪山まで距離にして200m程度、標高差30m程度です。再び樹林帯に突入します。少しだけ進むと分岐があるので左方向へ進みます。
作業道コースへ合流するようで、車が通る幅がある立派な山道になりました。
しかし進めど進めど、山頂らしき面影が見当たりません。一体山頂はどこにあるのでしょう。答えは右手の看板にあります。
こちらが鉢窪山山頂です。標高674m。あまりにも地味な標識で完全に通り過ぎてしまいました。
山頂は木々に囲まれていて景観はゼロです。なんとも地味な山頂ですね。山頂の標識も、将来的に立派なものに建て替わるのでしょうか。
標識の傍には三角点がありました。とりあえず気を取り直して元の道に戻りましょう。というのも見どころは山頂手前にある噴火口跡なんです。
山頂から噴火口跡を目指す
先ほどの分岐点を右に進むと噴火口跡があります。何やら奥の方に広場のような開けた場所が見えますね。
真ん中の白いサークルが噴火口跡のようです。噴火口跡の周りには木々が無く、火口だったことが判ります。
約1万7000年前の噴火で浄蓮の滝を作り出した火口は完全に塞がっていました。まるでミステリーサークルのような不思議な景色ですよね。
火口跡の直径はかなり小さく、ざっくり3~5メートル程度といった感じでしょうか。なぜ火口跡だけ白くなっているのかはわかりませんでした。兎に角不思議な景色です。
鉢窪山火口跡に残る「スコリア」と呼ばれる、火山噴出物の一種でもある岩滓(がんさい)が、鉢窪山が大昔、活火山だったことを物語っています。
噴火口跡を周回できるように登山道が整備されているので、ちょっとしたお鉢巡りができます。折角なので周回してみましょう。
噴火口跡を周回できる道はしっかりと整備されていて歩きやすかったです。あっという間に周回できてしまいますが、これも立派なお鉢巡りです。
鉢窪山に登ってみてわかったこと
鉢窪山は60分で登頂できる低山ですが、想像以上に登山感満載で登りごたえがあり、斜め上をいく面白い見どころが続く楽しい山でした。鉢窪山に登ってみてわかったことをまとめました。
見どころ満載な穴場の山
鉢窪山は最近登山道が整備されたばかりということもありマイナーな山ですが、全体的に景観が素晴らしく、山頂以外は見どころ満載の登っていて飽きない山でした。登山中、誰ともすれ違わなかったのは初めての経験です。それだけ穴場な山でした。マイペースに静かな登山を楽しみたい方には本当にオススメの山です。
中伊豆で富士山を拝める貴重な山
山頂は展望ゼロの残念な山ですが、登山中の開けたエリアや展望スペースからは富士山の絶景を拝むことが出来ます。中伊豆でここまで富士山が綺麗に見える場所は貴重なんだそうですよ。富士山ハンターにはオススメの山です。
噴火口跡が不思議な光景
鉢窪山ならではの光景といえば、山頂の外れにある噴火口跡ではないでしょうか。まるでミステリーサークルのような噴火口跡は滅多に見ることが出来ない不思議な光景です。しかもお鉢巡りが出来るように道が整備されています。イベント会場のような広場になった場所なので休憩スポットとしてもお勧めです。
駐車場がわかり辛い
駐車場がある場所は地元の方か鉢窪山に行ったことがある方以外、判りずらい場所にあります。しかも駐車場自体に名前が無く、地図上にも載っていません。距離は長くなってしまいますが、初めて鉢窪山に登るのであれば、鉢窪山から1キロ離れた場所にある浄蓮の滝無料駐車場に車を停めることをお勧めします。
道迷いしやすい
鉢窪山は最近登山道が整備され始めたこともあり、油断すると道迷いします。ピンクテープが随所にあるとはいえ登山者が少ないので踏み跡が少なく、全体的に登山道がわかり辛くなってます。現に道迷いで登頂できなかったといった書き込みも見かけました。鉢窪山に登るのであればGPSアプリは必須です。
数年後はメジャーになる予感しかしない穴場の山
鉢窪山のポテンシャルは想像以上で、たったの1時間で登ることが出来るのに登りごたえがあり、バリーエーション豊かな飽きない山でした。富士山の絶景も素晴らしく、山頂付近に広がるまるで広場のような噴火口跡は、なかなかお目にかかることが出来ない不思議な景色です。伊豆にお越しの際は是非に登って頂きたい山です。登山道が今以上に整備されて認知されていけば、数年後はメジャーな山になる予感しかしない穴場の山ですよ。
ギア
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