ダイハツ・ハイゼット(TURBO・MT・四駆)で車中泊を開始し、3年目となりました。今までは「三つ折りマットレス」を車体に直接敷いて就寝。でもハイゼットの場合、セカンドシートを収納し、荷室から運転席までをフラットにしても微妙な段差が生じます。
マットレスを床に直置きでは無くて、空間に浮かせる必要があります。また冬の白馬での車中泊で体験したような-10度以上の極寒時、車体に直接マットレスでは冷気を防ぎきることも出来ません。車中泊でもテントでも「就寝」は最も大切なポイント。心地良い眠りを手にすべく、DIYでの「車中泊用ベッド作り」を敢行しました。
目次
車中泊用ベッドの材料について
木材で作る方法・イレクターパイプで作る方法、その他の具材での製作、作り方は様々です。大事な点は以下の通り。
- 出来るだけ安価に製作できる
- 重量がかさまない
- 加工が楽
全てを木材で製作すると、材料費がかさみます。木材は結構高額!
「簡単・入手が楽・比較的安価・部品点数を少なくすれば重量もかさまない」これらの点を考え、イレクターパイプでフレームを作り、天板をコンパネで製作することにします。
こちらが図面と材料一覧表。図面は今回、合計5回書き直しています。
複雑な車内の形状に合わせて、強度を保ち、なおかつ材料を最小に押さえる。最終的に「これで決定、明日具材を購入する」という夜にも再び赤を入れて訂正です。
フレームにはイレクターパイプを使用
「矢崎化工株式会社」さんから販売されているイレクターパイプ。
出典:ヤザキショッピング
実はこれが優れもの!長さも各種揃っていますし、パイプを連結するジョイントも実に多くの種類があります。
出典:ヤザキショッピング
何より、パイプ自体が安価で頑強、ホームセンターで全てが揃うお手軽さ。
イレクターパイプとは「金属パイプの表面に樹脂加工したもの」です。長さも各種あり(最大4000mm)、販売されている長さ以外が欲しいときは、矢崎さんのwebページからオーダーカットも可能。
私自身、新潟の田舎に住んでおりますが、近所のホームセンターの資材館にて、矢崎化工株式会社さんのwebページに掲載されている全ての具材が販売されていました。
パイプのカットは「パイプカッター」を使えば簡単にカットできます。パイプカッターはダイソーで販売中のものがおすすめ(税込550円)です。28パイのパイプしかカットできませんが、十分でしょう。
出典:ダイソーネットストア
因みにホームセンターでカットをお願いしても30円前後でカットしてくれます。
こちらが購入してきた材料。イレクターパイプと接続のためのジョイント類、そして接着剤。
ベッド製作のための課題
実際に車中泊用のベッドを製作するとなると、いくつかの課題が生じます。イレクターパイプで組む時間は1時間程度もあれば完了しますが、大事なのは前段階。詳細な図面をいかに作るか、これが鍵です。
ベッドフレームの図面製作
就寝時はベッド、食事時はテーブル。このように考えると、ベッドフレームは分割式にしなければなりません。3分割で行くか2分割で行くか。当初は「走行時のベッドフレーム収納」を考え、3分割で行こうと思いました。食事時や走行時、荷室の横に立てかけられるサイズを望めば、3分割が良いようです。
でもハイゼットの場合、セカンドシートを収納する部分が荷室より大きく凹んでいます。その凹みにベッドの足が来てしまうと、天板が綺麗な水平に保てなくなる。3分割式だと、どうしても一つ一つのフレームは小さくなるから、脚部が車体のどの位置に来るか問題が生じます。
また3分割にした場合、部品点数も増え、重量が増加します。部品代も上がります。さんざん悩んで「2分割」方式を採用しました。3分割、2分割、それぞれを図面に起こして何度も書き直しました。
2分割フレーム、それぞれへの工夫
上半身側のフレームと下半身側のフレームでは「異なる役目」を持たせました。
下半身側のフレームはテーブルとしても活用
下半身側のフレームはテーブルの役目も担います。常時車内に存在するので、だったら天板は跳ね上げ式の横開きとし「天板を開けば大収納空間」としてしまえば良い。三つ折りのマットレスとかコンテナとか、様々を収納できます。
写真が組み上がった下半身側のフレーム。脚部は四隅に配置しています。
上半身側のフレームは脚部を可動式に
上半身側のフレームは、格納したセカンドシートの上に位置しますから、こちらは収納には不向き。天板とフレームは固定します。問題となるのは脚部です。
運転席・助手席の後部に脚が来るようにしたい。けれど、ベッドの高さ次第で脚部を置くスペースが厳しくなる。そこを超えてしまえば、セカンドシートを格納している凹みに脚を立てるしか無い。
こればかりは現物合わせ、詳細な寸法計測は難しい。ジョイントでパイプを組む都合、ジョイントの大きさで全体の寸法も変わるわけだし…。
下半身側フレームのように「四隅に脚部」では難しいのです。悩んだ結果、上半身側のフレームの脚部は「お腹側は二隅に脚部を固定」として、「頭部側の脚はスライド式」としました。
これならばフレームを製作した後、ベッドを車内に持ち込んで、一番ベストな位置に脚部を調整できます。四隅に脚部を固定してしまい、実際持ち込んだら脚部の置く場所が無くなると言う最悪は回避できます。
天板コンパネへの工夫
フレームの仕組みは、以下の通り。
- 上半身側 下半身側:1辺900mmのイレクターパイプで四角を形成
- 脚部:300mmイレクターパイプ
- 下半身側の脚部:ジョイントで四隅に固定
- 上半身側の脚部:お腹方向が二隅にジョイントで固定、頭部の二脚はスライド式ジョイントで連結
するとフレームサイズは900×900mmが2つとなります。天板はフレームの上に沿わせるように配置しなければなりません。フレームの大きさより小さければ天板が落ちますから。フレームサイズより多少大きめにするとなれば、1000×1000mmが2枚必要。
けれど実際販売されているコンパネの寸法は、900×1800mmか、910×1820mmのどちらか。900×900mmを2枚用意するとなると、コンパネを2枚購入する羽目になる…コンパネは高い…。
悩んだ末、秋田杉・厚み120mmコンパネ、910×1820mmを1枚購入し、ホームセンターで910×910mmにカットして貰いました。
しかし、ジョイントで組まれたフレームを計測するとジョイントの大きさ分がプラスされ、960mm×960mmに。上半身側のフレームは脚がスライドしますから、用意したコンパネでも十分固定されます。下半身側がこのままでは、コンパネがフレームより小さい!
そこで強度を増す意味も兼ね、フレームの中にもう1本、パイプを足すことにしました。これで高価なコンパネを2枚買わずに大丈夫!
下半身側のフレームに、新しく1本のパイプを追加。これでコンパネの支えも、強度も不安無し。
上半身側のフレームは脚部がスライドします。ですからコンパネの支えは不安無し。
脚部について
脚の先端は、簡素なキャップにしてしまう方が安価。でも、車内の床は、結構凸凹しています。ここはアジャスターで解決。
パイプとジョイントは、専用の接着剤で固定します。金属ジョイントならば、ボルト止め=何度も分解可能ですが、重量もかさむしコストも上がる。
プラスチックジョイント+専用接着剤で十分です。接着剤は、パイプとジョイントの樹脂部分を溶かして癒着させます。
接着剤乾燥中。奥が下半身側フレーム(脚部が四隅に配置)。手前が上半身側フレームです(頭部側の二脚がスライド式)。
天板について
天板のコンパネ、そのままではサイド部分がささくれたまま。食事時のテーブルも兼用しますから、コンパネにはビニール加工したシートを貼り付けます。耐水性を持たせるわけです。
貼り付けるのが布ならば、サイド部分もくるみ、タッカーで固定すればOK。でもビニールだと…。ホームセンターで良いものは無いか物色すると、いけそうなテープを発見。これでサイドを保護します。
これでサイド部分の保護は完成。
ビニールシートは、専用の両面テープで貼り付けて完了。
天板にビニールシートを貼り付けるため、専用の両面テープを貼ります。
天板とフレームの固定には、この形のジョイントを使いました。
下半身側のフレームは片開きにするため、一辺だけで固定です。
使用したタッピングビス。念のために錆びに強いステンレスを使用。
接着中
車中泊用ベッドが完成
フレームを並べて裏側から見た図です。左側が上半身、右が下半身となります。
表側からはこうなります。左側が上半身、右側が下半身側で、ベット下は収納スペース。
最後に天板の表側にビニールシートを貼って完成!ここまで来れば、後はハイゼットにベッドを組み込み、各部のチェック!
実際にベッドを入れてマットレスも敷いてみました。高さが300mm以上ありますから、運転席・助手席を前に倒した際に生じる空間が見事にマットレスの全長に一致。寝具のストレスが無くなりました。
頭側のフレームの脚部も、運転席・助手席の真後ろに来ます。四隅ではここに脚部が来ませんでした。スライド式にして正解。
当然ですが、背中の凸凹なども無く、身体をまっすぐ伸ばせるのは幸せ!ベッド下の空間が収納兼断熱の役目も果たします。
費用は当初、矢崎さんのwebページに記載されている価格で算出しました。実際ホームセンターではそれよりも安価な設定で購入できて、パイプやジョイント類で9000円弱。コンパネやビニールシートで4000円強。なんと、総額15,000円を切る予算で完了です。
最後に
次回は群馬県での車中泊を予定しています。温泉を堪能する車中泊旅。車内の断熱に一工夫を加えたいですね。現在は「車種別専用シェード」でガラスの内側を断熱しています。これだけでは心許ない。車内をぐるりと囲む布を垂らし、もう一工夫加えた断熱で車中泊を行いたいです。
今回のベッド製作、時系列での製作動画、宜しければこちらでご覧下さい。
ギア
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