そろそろ脱初心者の山にも挑戦してみたくて選んだ山が日本百名山の1つでもある「蓼科山(たてしなやま)」です。広大な山頂一面が岩だらけという独特の絶景を拝みたいと思ったのが決め手でした。
本当は難易度の低いコースから登頂する予定でしたが、間違って一番難易度の高いコースから登ってしまいました。疲労感は半端なかったですが、その分達成感も半端なかったですよ。
目次
諏訪富士と呼ばれる「蓼科山」
長野県にある「蓼科山」は、中央自動車道諏訪南インターから車で45分。八ヶ岳連峰北端に位置する標高2531mの山です。
八ヶ岳連峰にありながらも、他の山々と繋がっていない独立峰で、その美しい円錐形のフォルムから「諏訪富士」と呼ばれています。
出典:蓼科山頂ヒュッテコニーデ型と呼ばれる台地状の火山にトロイデ型と呼ばれる円錐型火山が噴出してせり上がってできた二重式火山で、直径100mある広大な山頂は岩塊に埋めつくされた独特な風景を生み出しています。
周りに草木が一切生えてなく、360度パノラマビューを楽しむことも出来るとあって、山頂にはどんな絶景が待ち受けているのか期待が高まりますよね。
「蓼科山」登山コース
蓼科山の登山ルートは大きく分けると4つのルートがあります。どのルートから登っても必ず最後に岩場の急登が待ち受けているので、登山レベルによってはコースタイムは参考にならないかもしれません。
標高差約630m/片道約2.3km/徒歩約120~150分程度の最も人気な登山コース
最寄りの駐車場は「蓼科山七合目登山口駐車場」(駐車可能台数約70台/無料・トイレ有)
標高差約510m/片道約2.8km/徒歩約150~180分程度の、実は一番難易度の低い登山コース
最寄りの駐車場は「大河原峠駐車場」(駐車可能台数約40台/無料・トイレ有)
標高差約810m/片道約3km/徒歩約180~210分程度の一番険しい登山コース
最寄りの駐車場は「すずらん峠園地駐車場」(駐車可能台数約40台/無料・トイレ有)
標高差約900m/片道約5.5km/徒歩約240~300分程度の天祥寺原を経由する迂回コース
最寄りの駐車場は「竜源橋駐車場」(駐車可能台数約5台+5台(路肩)/無料・トイレ無)
女神茶屋から登頂するコース以外は蓼科山荘を経由するので、途中でトイレや休憩ができます。
本当は最も人気で難易度の低い7合目登山口から登頂する予定でしたが、様々な勘違いが重なり、一番難易度の高い女神茶屋から登頂することになりました。
女神茶屋から頂上へ
女神茶屋登山ルートから登頂する場合、すずらん峠園地駐車場に車を停めます。駐車可能台数は約70台で無料です。
女神茶屋登山ルートは、「蓼科山登山口ルート」「すずらん峠ルート」といった具合に複数の名称があり、統一されてないので混乱します。
ルート選びの際、勘違いが起こりやすいですよね。実際、私も勘違いをしてしまい、違うルートを選んでしまいました。
駐車場には立派なバイオトイレがあります。山頂までは一切トイレが無いので、ここで済ませておきましょう。登山届を提出する箱もあります。
登山口は道路沿いを少し歩いたところにあります。
1~2分歩くとバス停が見えてきます。バス停から山道に入ります。
初めの10分くらいは緩やかで開放感のある山道が続きます。この時点では7合目登山口を登っているものと思っていましたが、7合目登山口の目印である鳥居が一向に見えません。
道が段々と急になり、岩だらけになってきたところで、やっと全然違う登山道であることに気付きました。女神茶屋から登頂する場合、岩場の急登が3回も待ち受けていますよ。
1回目の岩場の急登を登る
1回目の岩場の急登では、約200mの距離で標高差約100mを登ります。距離は短く感じますが、この距離で100m登ることになるので必然的に急な登りになります。斜度にすると約25度程度でしょうか。
女神茶屋登山ルートは基本、斜面を直線的に登る直登コースです。その分距離は短くなりますが、必然的に傾斜は物凄くなります。しかも終始大きな岩がゴロゴロした登山道が続くのでサクサクとは登れません。
基本的に標高に比例して岩が大きくなっていきます。1回目の岩場の急登の最後のほうになると、写真のような岩の大きさになります。
岩場を登りきると少しだけ平坦な道と岩だらけの道が続きます。距離にして200~300m程度でしょうか。それでも傾斜は普段の登山道くらいはあります。
2回目の岩場の急登の手前に蓼科山頂上の看板が置かれています。蓼科山では道案内の標識が4か所くらいしか無い上に、距離もなにも書かれていないのでゴールが見えずらいです。
2回目の岩場の急登を登る
2回目の岩場の急登では、約800mの距離で標高差約300mを登ります。距離が長いので1回目の急登の倍の疲労感です。足腰にかなりの負担がかかりますよ。斜度にすると約20度程度でしょうか。体感的には30度近くはあるのではと思っています。
1回目の岩場の急登とは岩の大きさのレベルが桁違いになります。場所によっては両手を使ってよじ登る箇所も多々出てきます。
景観はほぼ変わることなく、樹林帯に囲まれた果てしない岩の道を黙々と登り続けます。見上げる度にゴールは一体どこにあるのだろうかという気持ちになります。
とはいえ、急激に標高をあげているので、後ろを振り返ると段々と景色が開けていく様子が判ります。疲れたら後ろを振り返ると励みになると思います。
足で跨いで登れない巨大な岩群は、両手を使ってよじ登ることになります。この日はこんなにハードなコースを想定していなかったのでグローブを持ってきていませんでした。
長い長い岩の登坂の終わりが見えてきました。
標高2110mの標識です。ここまででやっと全体の半分です。この先の300m程度は貴重な緩やかな登山道が続きます。
木の隙間から見える山が蓼科山山頂です。ここまでの道のりで相当な急坂を登ってきたにもかかわらず、まだ登らなければいけないという絶望感的なものを感じてしまいました。
ここは幸徳平というところです。比較的地面も平らで岩も無い場所なので休憩スポットとしてもってこいです。この先には平地が無いのでしっかりと足を休めたいところです。
「とっていいのは写真だけ!」の看板の先は、クライマックスの3回目の岩場です。いままでの2回の急登とは全然レベルが違いましたよ。
3回目の岩場の急登を登る
3回目の岩場の急登は、いままでの急登とはレベルが違います。約600mの距離で標高差なんと約400mも登ります。斜度にすると約30度程度でしょうか。
他のどのルートから登っても最後は岩場の急登を登る必要がありますが、標高差は200m程度と半分で済みます。
道中、左の視界に土砂崩れが起きたような場所が飛び込んできます。写真では伝わり辛いのですが、結構下の方までえぐれています。休憩がてら立ち寄ってみてはいかがでしょう。
段々と樹木が細々としてくるので景観が良くなってきます。登山中はゆとりが無くて「まだ登りが続くのか」としか思えませんでしたが、改めて写真で見返すと、登山道自体がかなりの絶景ですね。
岩の大きさも、どんどん大きくなっていきます。両手を使わないと登れない場所が増えていきます。
山頂に向かって直登が続くので、岩の道がまるで1本道のように真っすぐと伸びているのですが、先が見えないので果てしなく感じます。
後ろを振り返ると、景色が開けていっていることを確認できます。山頂にはどんな絶景が待ち受けているのでしょう。
300mほど登ったあたりから、朽ち果てた木々が目立つようになってきます。これは「縞枯れ現象(しまがれげんしょう)」という、八ヶ岳山系などで見られるちょっと珍しい現象みたいです。これもまた素敵な景色ですね。
長い登りの先に、遂に光が見えてきました。この先は高木が生育できず森林を形成できない「森林限界」のようです。ゴールが見えてきました。
森林限界で周りの樹木が無くなり、岩だけの景色になりました。巨大な岩にはペンキで「山頂」と書かれています。山頂まであと少しです。
蓼科山山頂を目指す
山頂手前からは岩がゴロゴロある道を登っていきます。鎖場があったりと、いままでの登山道とは勝手が違うので慎重に進みます。所々に立っているオレンジ色のポールがルートの目印になります。
いままでの山道は直登続きでしたが、流石にこの急斜面を直登となると岩場をよじ登ることになり危険なので、迂回をするルートをとっています。
オレンジ色のポールと、岩に書かれたルート案内の矢印に沿って進みます。登りは無いとはいえ、岩の間は隙間だらけなので歩きづらいです。躓いたりよろけてしまうと滑落する可能性もあります。
周りに一切遮るものが無いので景観は大変素晴らしいです。苦労して登った甲斐があったと思えます。私は高所恐怖症なので半分怖かったです。それだけ高度があります。
奥の方に建物が見えてきました。山頂手前にある蓼科山荘ヒュッテです。女神茶屋登山ルートは他のルートとは違い、山頂付近まで一切のトイレや休憩所が無いので、人工物が見えた時の安堵感といったら言葉に言い表せません。
山頂までは蓼科山荘ヒュッテを迂回をするのが正しいルートなのですが、健脚な方や元気な方は、迂回せずにこの岩場を直登して山頂を目指すようです。確かにショートカットできますが、登る元気はありませんでした。
蓼科山荘ヒュッテを折り返して山頂を目指します。距離にしてあと50mほど。
蓼科山山頂に到着です。標高は2530m。急登続きで休憩を挟むことが多かったこともあり、登頂まで4時間も要してしまいました。
標準のコースタイムのことは気にせずに、自分の体力や脚力と相談しながら、マイペースに登ることが大事だと思います。
蓼科山からの景色
蓼科山山頂は、評判通りの絶景でした。山頂一面が岩で埋め尽くされた、普段の生活では拝むことが出来ない独特の絶景は、登った者しか見ることが許されない最高のご褒美です。
直径100m程度の山頂は、元々は火口だったところです。一面岩で埋め尽くされて、木々が生えていないので、360度パノラマビューです。
信仰の山だけあって、山頂の中心あたりに神社があります。蓼科神社の本宮です。登った者だけがお参りできるのは言うまでもありません。
北横岳といった八ヶ岳連峰をはじめ、浅間連山や霧ヶ峰、中央アルプスや南アルプスなど、名だたる山を眺めることが出来ます。
相変わらずどれがどの山か分からず申し訳ないのですが、絶景ですよね。
山頂一面岩だらけなので同じような景色が続きますが、端っこまで足を運ぶと違った景色を楽しむことが出来るので、体力のある方は山頂を1周してみてはいかがでしょう。
蓼科山に登ってみてわかったこと
岩だらけの急登の先に待ち受ける絶景は、ご褒美感も格別でした。蓼科山に登ってみてわかったことをまとめました。
広大な山頂に岩場が広がる独特な風景
蓼科山の最大の特徴といえば、広大な山頂に岩場が広がる独特な風景ではないでしょうか。しかも他の山々と繋がっていない独立峰なので、山頂周辺には何もありません。いつもの登山とは一味違った風景を楽しむことが出来ますよ。
360度パノラマビューの絶景な山
蓼科山山頂は岩だらけで樹木が育たない為、周りに遮るものが無い360度パノラマビューの山です。山頂からは八ヶ岳連峰をはじめ浅間連山や霧ヶ峰、北アルプス、中央アルプスや南アルプスなどを見渡すことができます。
ただし山頂は広大なので、場所によって見え方が変わってきます。体力がある方は山頂を周回してみるのをおすすめします。
山岳信仰の山
その山の形の美しさから、昔から山岳信仰があった山なんだそうです。山頂に蓼科神社奥宮の石祠が祀られていたのはそういったことだったのですね。
7合目登山口から登頂する場合、鳥居をくぐるところから登山が始まります。
山頂に山小屋がある
山頂にある蓼科山頂ヒュッテは、食事・売店・トイレのほかに、宿泊施設もあります。山頂にトイレや食堂があると何かと便利です。
「ようこそ。心のふるさと蓼科山頂ヒュッテへ。」の看板が目印です。
山頂という不便な場所にあるので水の確保が大変です。そのためトイレは200円と有料です。とはいえ、トイレがあるだけでも本当にありがたいです。むしろ感謝すべきです。
山荘で食べる食事は、普段の5割増しで御馳走に感じること間違い無しです。山頂という特別な場所で、山荘でしか味わえない特別なご飯を食べるのも登山の楽しみ方の一つではないでしょうか。
初心者にオススメの山とは思えない
情報サイトをみると蓼科山は初心者でも楽しめる山と紹介されています。
人気の定番コース「7合目登山口」や、実は一番初心者向けの「大河原峠ルート」であれば、登山ルートの途中に山荘があったり、多少は難易度が低いかもしれません。しかし、どのルートを選んでも岩場の急登は避けられないので、ある程度登山経験が無いとつらいのではという印象でした。
登山初心者が間違って女神茶屋から登ってしまうと本当に大変な経験をすると思います。
本格的な登山にステップアップしたい方におすすめの山です
登山を始めたばかりの大半の方が、初心者でも登り易い山を選んで登山の魅力を少しづつ感じ取っていきながらステップアップを目指すものだと思います。
ある程度山登りの回数を重ねて、次のステップに進みたいと思っている方にとって、蓼科山はもってこいの山だと感じました。急な登りや岩場があり大変ですが、達成感とご褒美感は今まで味わったことが無いものになるでしょう。
山頂一面が岩だらけという独特の絶景が視界に入れば、苦労した甲斐があったと思うこと間違い無しです。蓼科山を登頂できれば登ることの出来る山の幅が広がるので、本格的な登山にステップアップしたい方におすすめの山です
ギア
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