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【ハイヒールと登山】命を守るための山登りのいろは

【ハイヒールと登山】命を守るための山登りのいろは

ぶっ飛びました。

私が通っていた高校では、山小屋で1泊2日の学習(山学校♡)があり、薪運びや水汲みを行います。薪と水は自分たちの炊事用と、後日、山小屋を使う人のために満杯にしておきます。水場は100mほど下った沢ですが、標高差40mなのでキツい登り下りに。

20リッターのポリタンクに水を汲み小屋まで登る。薪は小屋から140m上のデポにあり、1本の長さは50〜60cm、重さ5kg前後を3、4本まとめて担いで下ろす。ずるずるのヌタ泥、ガレ場など危険な急坂ばかり。これが超しんどい。

ガレ場

ところが、山岳部員は急な登山道を走って登り、担いでぱっぱと降りてくる。自分が1回運ぶ間に2往復する凄さ。これが山小屋の生活です。みんなの装備は頭に手拭いを巻き、足元は登山靴かトレッキングシューズ。一通り山用の格好でした。

楽しい山小屋の一夜も終わり、翌日は周辺をトレッキング。後はバスが待つ刈田岳へ。煙で燻臭い髪の毛と泥まみれの姿で登山道を登り、蔵王エコーラインが目の高さまで来た途端、目に飛び込んで来たのはハイヒールとパンプスの行列です。

ギョっとしました。ここは頂上の刈田嶺神社登り口(現在は蔵王ハイライン)。観光バスを降り歩いて御釜見物に登る場所です。平らな遊歩道なので、ハイヒールでもいいでしょう。が、今回は登山の「いろは」=山で命を守る靴、歩き方、地図、水のお話をします。

植村直己に影響されて私が青春を賭けた泉ヶ岳登山

青春を山に賭けて出典:Amazon

登山のきっかけは山の名著でした。串田孫一、新田次郎、深田久弥、植村直巳など。中でも植村直巳の「青春を山に賭けて」「北極圏12000キロ」「北極圏グリーンランド単独行」を読んで単独冒険行に興奮。

ついになんちゃって登山を決意。目指すはアコンカグア、K-2、ビンソンマシフ!ではなくすぐ近くの泉ヶ岳です。

仙台市内から北西にぽっこり見える小さな山で標高は1175m。冬はスキー、夏は親子で登るお手軽な山。5月の連休、この泉ヶ岳に単独行ではなく男二人で挑戦。

泉ケ岳から北泉ヶ岳(1253m)、三峰山(1417m)、舟形山(1500m)まで尾根を縦走するコース。気軽な登山ですが登山靴にスパッツ、地図とコンパス、テント、コンロ、コッフェル、水筒、食料、シュラフ(寝袋)、着替え、雨具などフル装備で臨みました。

先ず2万5千分の1地図で登山道と水場を確認。泉ヶ岳キャンプ場の水場で、水筒や携行ポリタンクに水を詰めます。比較的順調に泉ケ岳を越え北泉ヶ岳、そして三峰山への稜線をたどります。三峰まではなだらかな尾根が続き軽快なトラバースです。が、三峰山の残雪の急登で時間と体力をがっつり消耗し、山頂近くで陽が傾き始めました。

暗くなる前にテント設営と夕食の準備は鉄則。気がつくと気温は急降下し、強風が吹き始めました。予定では船形山小屋泊りでしたが仕方ありません。春山の天候急変で全く眠れない寒さと暴風のビバーク(緊急野宿)でした。翌日、船形山登頂は諦めて、後白髪山(1422m)から定義に降りてバスで帰路へ。

甘ぐねがった春山を実感。船形山は登山家でもハイレベルな山でした。

山登りのいろは

山登りのいろは

今は空前の山ガールブーム。もちろんハイヒールじゃなくてバシっと登山靴。登山道はガレ場(むき出しの岩場)、滑る粘土、大木の根、雨が降れば道は沢になり危険な急坂の連続です。山では登山靴かトレッキングシューズを履きましょう。

登山靴は捻挫や骨折から足首を守る硬い皮製で、くるぶしの上まで覆います。靴底は岩や地面にがっちり食い込む厚いビブラムソール。岩壁、氷雪登攀も想定した頑丈で重い靴です。

一方トレッキングシューズ(軽登山靴)は、軽くてしなやかです。本格的な登山ではなく、釣りやキャンプ、自然観察ならトレッキングシューズがおススメ。私はトレッキングシューズと、バイク〜キャンプにも併用できるセダークレストのワークブーツを使っています。アメリカ軍のコンバットブーツから進化したもので特殊な防弾用布を使っています。

自分に合った靴は、選択が難しいのでショップで相談して買ましょう。

山の歩き方

今日から始める山歩き出典:Amazon

山の歩き方は、体力消耗の少ない「ゆっくりのんびり」が一番。

歩幅を狭く取り、靴底全面が地面に着くように一歩一歩確実に踏みしめます。急登攀では、つま先をしっかり蹴り込み崩れや滑りがないことを確かめて登ります。そして何より、休憩が大事。山登りは、ついついあせって山頂を目指しがち。でも、一息入れて景色を眺めましょう。最初の1時間は猛烈に辛く、その後は体がふっと山に馴染みます。

登りよりも怖いのが下り。疲れが膝、腰、腿に来ているので、下りは滑落、転倒が起き易くなります。靴底全部でしっかり地面を踏み両足で体を支えるように降りましょう。

地図を読む、登山用アプリを使う

登山ガイドブック

登山に行く前に必ず登山計画書を作ります。目的は登山?トレッキング?日帰り?そうだ温泉に泊まるのもいいかも。楽しみを全部入れたワクワク計画にしたい。この時、登山ガイドブックが参考になります。

「日光」「尾瀬」「丹沢」など全国の山が揃っていて、私は昔から昭文社の「山と高原地図」を使っています。名所案内のほか、地図には登山道やコース、登り下りの所用時間、施設や目印、山小屋、水場など詳しく載っています。

次に必要なのが国土地理院2万5千分の1地形図。登山道と周りの詳細な環境(標高差、勾配、眺望の有無等)が分ります。但し地形図が読めるまで、少し習練が必要。この地形図なら等高線は10mごとに細い線、50mごとに太い線で表記。等高線の間隔が広ければ傾斜はゆるく、狭いほど急な斜面。

地図とマップメジャー

地図記号も覚えれば行動中の目標物がすぐ分ります。地図上で曲がりくねった登山道のおよその距離を測るには、マップメジャーを使います。メジャーの先端に小さな歯車があり、1:1と2万分の1、5千分の1の縮尺目盛付き。地図上のコースを歯車でなぞり、縮尺に合った目盛を読むと距離が測れます。

ちなみに1:1は地図上の長さをcmで表示するので、地図の縮尺に合わせて計算し直します。2万5千分の1地図上で1cmは250mです。このように距離、時間を予測しますが、本当は現地を歩かないと分りません。ガイドブック記載の所用時間より1割〜2割増しが目安だと言われています。

登山で重宝するのが、地図とコンパス(磁石)ですが、コンパスの使い方は勉強が必要。今は、スマホを使った登山用GPSアプリがあり、地図上で現在地や目的地の方角、その地点の天候を確認でき非常に便利なアプリです。スマホの電池切れや故障時にコンパスがあれば安心なので、やはり使い方を覚えて持って行きましょう。また、登山計画書は登山口のポストに投函して山に入りましょう。

なんてったって命の水

ポリタンクと水筒

水は登山、トレッキングで一番大切。山では行動中の水分補給と料理用の水が必要です。

山に入る前に麓のコンビニでペットボトルを2〜3本買いザックに詰めて行けばいいじゃん、と思うでしょ。でも登山では、岩にぶつかる、こすれる、滑るなど色々なハプニングが起きます。ペットボトルは破損しやすく、その結果はとてもザンネンな状態になります。ザック中の着替えや食料が水没し、水はなくなり命にかかわります。

そこで行動中の飲水には金属製の水筒を、料理用には携行用ポリタンクを使います。1度に全量担いで行くのではなく、山道の途中にある水場を地図や現地案内看板できちんと確認して、補給しながら行動します。山小屋や温泉宿泊まりなら料理用の水は必要なく行動中の補水量だけ考えます。

各地に名水があり金玉水とか銀玉水など有名です。この水場だけを目指す人もいるほどです。

今、登山靴はファッションアイテム!

山ガール

山ガールは登山がオシャレだと気付きました。ファッションと健康と景色とおいしい空気をゲットできるし。おかげで登山靴、トレッキングシューズは最近どんどん進化し、かっこ良くて使い安い。街中で履いている姿をよく見かけます。

登山で大切なのは安全に自然を楽しむこと。

なので、少し面倒だけど今回紹介した登山の「いろは」を守って山に出かけましょう。

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  • 男3人、雪山をジムニーで登るいう日本初?の大胆な挑戦をした。実態は男どもがせっせと除雪し車が進むというアホな登山だが大成功。本物の雪山登山訓練隊に嫌な顔をされた。日本海を望むキャンプ場ではUFOを見ながら美酒に酔い、凍てつく砂浜では大規模焚き火宴会。都市のど真ん中を流れる清流を、徒歩でとぼとぼ遡上し上流の川原で宴会を開催。バカバカしくて、真面目なアウトドア遊びをしてきた。

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