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夏の山や渓流で気をつけるべき毒草・毒キノコ一覧

夏の山や渓流で気をつけるべき毒草・毒キノコ一覧

もうそろそろ梅雨も明け、アウトドアに最適なシーズンである”夏”がやってきます。

それに伴って山や渓流沿いに入り、キャンプをしたりバーベキューを楽しむ人も増えるでしょうが、毒草や毒キノコを誤って食べてしまったために体調を崩し病院に運ばれたり、年に一回は死亡事故としてニュースに取り上げられているのを目にします。

今回の記事では、そんな夏の自然で気をつけるべき毒草・毒キノコについてまとめました。

食べるまでいかずとも触れてしまうだけで肌がかぶれたり、痛みを感じるものも紹介しているので山菜採り・きのこ狩りをする予定がなくとも参考にして見て下さい。

夏の自然で気をつけるべき毒草

彼岸花

夏のこの時期は山や川に限らず、公園や街の植え込みなどでも植物が多く見られるようになる時期であり、必然的に毒草の種類も増えます。

以下では、その中でも特に気をつけるべき毒草を紹介します。

ヤマウルシ

ヤマウルシ

ヤマウルシはウルシ科ウルシ属の落葉低木で、秋には葉全体が綺麗に色づくため鑑賞用としては人気がありますが、樹液に毒成分を持ち不用意に触れると肌がかぶれてしまいます。

また、新芽は山菜の王様とも呼ばれ重宝される“タラの芽”にも似ており(特に日照過多により赤くなったタラの“赤芽”に似ている)、誤食による被害が毎年のように報道されております。

ちなみに、タラの芽とヤマウルシを見分ける方法としては、ウコギ科特有の香りの有無を確認するほか、タラには鋭いトゲが全体にあるので、一目でわかると思います。

毒成分自体はあまり強くないため食べても死亡することはほぼありませんが、どこにでも生えてくるその身近さ・間違いやすさから、特に気をつけるべき毒草の一つだと言えます。

ヨウシュヤマゴボウ

ヨウシュヤマゴボウ

ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で、梅雨時期から発生し始め、地域によっては晩秋まで残っていることも多いです。

また、その名前から道の駅などで売られているヤマゴボウと間違えて根っこを食べてしまう人が後を絶ちませんが、市販の“ヤマゴボウ”はモリアザミなど『アザミ属の根を食用に加工したもの』あるいは普通のゴボウの事であり、種名のヨウシュヤマゴボウ及び在来ヤマゴボウとは全く別の植物です。

更に、ヨウシュヤマゴボウはフィトラッカトキシンやサポニンなどの複数のアルカロイドを含むため誤食すれば嘔吐・下痢を引き起こすほか、特に毒性の強く誤食されやすい根を食べてしまうとの危険性もあるため十分に注意が必要です(実際に食べたことのある人によると根は非常に固く、とても食べられたものではないとのことですが)。

また、一見ブルーベリーやヤマブドウの様にも見えるため子どもによる誤食の多い果実にも少量の毒成分は含まれており、大人が数粒食べる程度は問題ありませんが、多食すると上記と同様の症状が現れますので侮ってはいけません。

もしも、誤って食べてしまった場合はすぐに吐き出し、お近くの病院へ向かう事をおすすめいたします。

クサノオウ

クサノオウ

クサノオウはケシ科クサノオウ属の一年草です。

ケシ科には麻薬として有名なケシをはじめ多数の毒草が含まれており、このクサノオウも非常に強い毒性を持っており、誤食した場合には死の危険性もあります(ちなみにクサノオウには麻薬としての効果はありません)。

しかし、毒草として恐れられている植物も以前は民間薬として利用されていた・・・という事例も多く、実際このクサノオウも皮膚疾患などの外傷の治療薬として人間の役に立っていたという記録があります。

毒草・薬草のどちらであったとしても安易に植物を引き抜いたり、乱獲することはその山の生態系を壊す事に繋がる可能性もあるため、ここで紹介した毒草を見つけた際にも何もせず通り過ぎるようにしましょう。

夏の自然で気をつけるべき毒キノコ

前の記事でも紹介しましたが夏場は大量にキノコが発生します。

キノコ狩りを楽しみ食べるのも楽しいレジャーの一つですが、キノコにはまだ未知の部分も多く、毒草と比べものにならないほどの毒成分を含むものも多数見つかっています。

ここでは、その中でも特に注意するべき3種の毒キノコを紹介します。

カエンタケ

カエンタケ2

カエンタケはボタンタケ目ボタンタケ科トリコデルマ属に属する子嚢菌の1種で、その発生数こそ少ないですが、数ある毒キノコの中でもトップクラスに強い毒性をもちます。

多くのキノコは直接摂取することによって症状を引き起こしますが、カエンタケは触れるだけでも皮膚にやけどのような症状が残るほか、誤って食べてしまうと10分ほどで消化器症状に加え、めまい・呼吸困難・言語障害・造血機能障害・多臓器不全の症状を引き起こします。

また、カエンタケの致死量は僅か3gと極めて少量で、万が一助かったとしても脳に障害が残ることもあります。

更にカエンタケに限らず、毒キノコは種類によって様々な毒成分を含むことから、具体的な治療法は見つかっておらず、胃洗浄や人工透析などの対処療法による治療しかできないため、もし見つけても絶対に近づかないようにしましょう。

ドクツルタケ

ドクツルタケ

ドクツルタケはハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコで、海外では“破壊の天使”という異名を持つほど毒性の強いキノコの一つです。

多くの毒キノコが、数本を摂取するだけであれば軽度の胃腸障害等で治まるなか、ドクツルタケは1本(約8グラム)を食べるだけで死に至ったという事例もある上、味も良いためほとんどの場合は毒キノコだと気づかず食べきってしまう場合が多いようです。

また、誤食するとすぐに、コレラの様な胃腸系の中毒症状を引き起こしますが、この症状は1日程度で一旦治まるため病院にも行かず、次の症状が現れた際にはもう手遅れになっているケースも多いため、絶対に手を出してはならない毒キノコの一つだと言えるでしょう。

ベニテングタケ

ベニテングタケ

ベニテングタケはハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコです。

上で紹介したキノコの中では比較的毒性が低く味も良いため、毎年、少量を楽しむことを恒例にしている人もいるほか、長野県ではこのキノコを“塩に漬け、毒抜きをしてから食用に利用する”ということも行われているようです。

しかし、この方法でなぜ毒が消えるのかと言うメカニズムは不明であり、継続的に摂取すると確実にダメージが蓄積され、肝臓をスポンジのような状態にするため注意が必要です。

また、同種は非常に美味な食用キノコであるタマゴタケによく似ており、特に中毒例の多いキノコの一つでもあります。

毒草・毒キノコに気をつけて快適なアウトドアを楽しもう!

焼きキノコ

この記事では毒草や毒キノコなど自然の危険さに的を絞って紹介してきましたが、もちろん自然の中には楽しいこともたくさんあります。

キャンプのついでに山菜採りやキノコ狩りを楽しみ、その場で調理して食べることで普段感じられない自然そのものの美味しさを味わうこともできますし、一部の毒草・きのこが怖いからと言って他のものまで必要以上に恐れることはせっかくの楽しさを半減してしまう事にもつながります。

そのため、この記事を読んで頂いた皆さんには、自然の危険さを十分に理解した上で正しい知識と行動を身につけて頂き、アウトドアの楽しさを100%楽しめるよう強く願っております。

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  • フリーランスライターとして日銭を稼ぎ、道端の雑草を食べながら日々を生きています。フィールドワーク全般が趣味で、野草・薬草・キノコについて勉強中です。

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