キャンプをやっているとテント泊登山に憧れるようになりませんか?快適なオートキャンプとは正反対の過酷なキャンプ。登った者だけが知りえる魅力がそこにあるんだと思います。
とはいえ山登りの経験が無いので、いきなりテント泊登山に行く自信がありません。そこで1時間もあれば登頂できる超低山の日帰り登山からスタートすることにしました。
静岡県は西伊豆にある「烏帽子山」は、標高たったの164mなのに超絶景の低山です。しかし低山とはいえ登りごたえがあり、1時間もあれば登頂できるので登山未経験者にお勧めの山ですよ。
目次
テント泊登山に憧れはあるけど
文明の力を駆使したオートキャンパーな私も、いつかはザック1つで登山キャンプをしたいという夢があります。その日に備えて装備だけは充実していっています。
しかし山登りの経験が無いので、テント装備を背負いながら登る自信がありません。周りの足を引っ張ってしまうので、テント泊登山のお誘いがあってもすべてお断りさせて頂いています。そもそも装備以前にまずは山に登れという話ですよね。
超低山から体を慣らそう
画像引用:山ほど遊べるTAKAO
ということで、いきなり本格的な登山は体力的に自信がないので、まずは日帰りで行ける山を探すことにしました。
都心から近くて日帰りで気軽に登山できる山といえば、真っ先に「高尾山」を連想します。しかしケーブルカーで山の中腹まで行けて、頂上までは整備された緩やかな道を登るので、登山というよりはハイキングというイメージを持ってしまいます。
せっかく登るのであれば登山感を味わいたい、という我儘な思いから見つけたのが西伊豆にある超低山「烏帽子山(えぼしやま)」でした。
標高164メートルの超低山「烏帽子山」
烏帽子山は新東名長泉沼津インターから車で約2時間。静岡県は西伊豆地方にある標高164メートルの低山です。
マグマの通り道が地殻変動などで隆起して地表に姿を現した山で、急傾斜で尖った形が特徴です。烏帽子山の山頂には雲見浅間神社が鎮座するパワースポットでもあります。見た目からして登りごたえがありそうですよね。
登山道の入口「雲見浅間神社」
烏帽子山の入り口は雲見浅間神社(くもみせんげんじんじゃ)の駐車場近くにあります。
駐車場は神社の参拝客専用駐車場で、3~4台程度しか停めることができないため、満車の確率が高いです。神社の駐車場が満車の場合は、雲見大橋の下をくぐった海岸のすぐ横にある雲見海岸の駐車場を利用できます。
神社の鳥居をくぐると案内図の看板があります。展望台のある山頂まで2つの長い階段がありますね。
案内図では烏帽子山の標高が「164m」となっていますが、紹介サイトによっては163mだったり162mだったりと表記がバラバラなので、本当に正しい標高がどれだかわかりませんでした。記事上では雲見浅間神社が案内図で公式にアナウンスしている164mを正とさせて頂きます。
130段の石段~拝殿
早速、案内図の看板の先の鳥居をくぐり、約130段ある石段を登ります。多少急な階段ではありますが、手すりもついていてお年寄りの方でも登りやすくなっています。
階段の途中にある巨大な松の木は、夫婦松の御神木です。パワースポットの象徴ですね。
ほどなく拝殿に到着しました。立派な建物ですね。参拝者の殆どがここで参拝して帰るんだと思います。その理由は次の写真でお判り頂けるでしょう。
320段の石段~中之宮
拝殿を右手に進むと、最初の難関である約320段の石段が待ち受けています。手すりが有るとはいえ階段は急で、しかも階段が下向きに斜めになっているので滑りやすいです。
この階段を見てしまうと、ほとんどの参拝者が引き返しますよね。
130段の階段と比べても明らかに急で登り辛いです。どれほど急な階段かは写真の通り。下手すれば登山より辛いかもしれません。
もちろん一気に320段を登りきるわけではなく、途中に踊り場が設けられていますが、それでも本当に長い階段です。この時点で足腰がガクガクになってしまいました。
踊り場から階段を見上げると、果てしなく階段が続いているのがお判りいただけるのではないでしょうか。想像している以上に長い階段です。
長い長い階段を登り終えると木々の隙間から海が見えます。この時点でかなりの絶景ですよね。きっと頂上からの景色はもっと素晴らしいのでしょう。苦労して登った甲斐があるというものです。
石段を登りきった先にある中之宮は、祠のような小さな建物でとても風情があります。
この中之宮はしっかりと手入れされていて、お供え物も綺麗に保たれていました。宮司の方が毎日あの長い階段を登って手入れされているのかと思うと想像を絶する過酷さだと思います。これも一種の修行ということなのでしょうか。
山道~本殿まで
中之宮でのお参りをすませて、いよいよ本殿と山頂を目指します。ここから先は階段もなく山道です。いよいよ登山らしくなってきました。
雲見浅間神社は、往古は女人禁制の神社で、女性は中之宮までしか参拝できなかったそうです。それがいつ開かれたのかは調べても分かりませんでしたが、今では誰でも登れるようになっています。しかし気軽に登ろうと思っても、この先はなかなかに険しい道が続いており、そういう意味では女性一人での登山はあまりおすすめ出来そうにはありません。
はじめのうちは道らしい雰囲気なのですが、元はといえばマグマの通り道が地表に姿を現した山なので、火山岩がむき出しです。進めば進むほど足場が悪くなり、岩だらけの道を登ることになります。これは320段の階段よりもしんどいかもしれません。
途中にちょっとした階段がありますが、手すりも柵も無く側面は崖です。落ちないように気を付けてください。特に雨の日は滑りそうで怖いですね。
中之宮から約10分程度で本殿に続く階段が見えてきます。ここも段差が高く、疲れが溜まっている身には相当しんどいです。
やっとの思いで階段を登ると、木々の隙間から先ほどより更に絶景をみることができました。
木の枝の間に見える尖った岩は、千貫門(せんがんもん)という火山の根「火山岩頸(かざんがんけい)」の一部です。烏帽子山と同じで、かつて海底火山の地下にあったマグマの通り道が隆起して地表に姿を現した岩となります。
本殿は立地が悪い場所にも関わらず大変立派な建物で、屋根の瓦が大変美しく、しっかりと手入れされていました。このような場所にある神社のメンテナンスは本当に大変だと思います。宮大工さんは一体どんな装備でここまで登ってくるのでしょうね。
いよいよ山頂へ
本殿の左側にある展望台へ続く階段を登ると、いよいよ頂上です。こちらも急な階段ですが段差はそんなにありませんよ。残りの体力をふり絞って一段一段上がっていきます。
こちらが展望台からの景色です。周りに遮るものが無い360度パノラマ絶景です!
超低山ではありますが、急傾斜で尖った山なので意外とハードでした。しかしこの絶景を味わってしまうと疲れも吹っ飛びますね。
麓の駐車場から展望台がある頂上までは約45分位だったと思います。写真を撮りつつ、景色を楽しみながら登っても、これくらいの時間で登ることが出来ますよ。急いで登れば30分を切ることもできると思います。
晴れた日は山頂から駿河湾超しの富士山をはっきりと見る事できます。
地元では「烏帽子山で富士山を褒めると怪我をする」などの言い伝えがあるそうです。どうやら日本神話の伝承で、この烏帽子山は富士山のお姉さんと呼ばれているのだとか。その物語が西伊豆にあるリゾートホテル銀水さんのブログで紹介されていました。
少し悲しく、それでいて心温まる姉妹のお話でした。うかつに烏帽子山の山頂から「富士山綺麗!」なんて言ってると展望台から振り落とされるかも知れないので気を付けましょうね。
本殿からみえた千貫門も、展望台からは全体をしっかり見ることが出来ます。以前ご紹介した「雲見夕陽と潮騒の岬オートキャンプ場」同様、千貫門と富士山を眺めることができる西伊豆屈指の撮影スポットでもあります。
登山の他にも、烏帽子山は急斜面の岩山なのでロッククライミングの名所だったそうですが、2016年に死亡事故があり現在は禁止になっています。
展望台からの眺めは本殿隣の看板で解説されているので、展望台に登る前に確認しておくとより絶景を楽しむことができますよ。
しかし展望台は大変狭く、せいぜい2~3人までしか入ることが出来ません。あまり長居をしてしまうと下で待ってる方に迷惑をかけてしまいます。
一通り景色を楽しんだら階段を下りて交代しましょうね。
登山キャンプの前に低山登山からはじめてみよう
いかがでしたか?「烏帽子山」は超低山でも絶景なことがお判り頂けたかと思います。標高が高いガチな山を登る自信はないけど、初心者でも無理なく登頂できて、登山の魅力を感じたいと思っている方にはお勧めです。
コロナ下でテレワークや外出を控えることが多くなり、運動不足の方も多いかと思います。超低山登山はよい運動にもなりますので、登山キャンプに挑戦する前にまずは烏帽子山から初めてみてはいかがでしょうか。
ギア
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