高尾山へはケーブルカーやリフトを使って観光目的で登ったことはありますが、麓からちゃんと登ったことはありません。登山を趣味にしているのであれば、ケーブルカーを使わないで登りたいですよね。そこで、富士山の次に有名な山といっても過言ではない山「高尾山」を、ケーブルカーやリフトを使わないで登ってみました。
目次
世界一登山客が多いギネス認定の山「高尾山」
東京都八王子市にある「高尾山(たかおさん)」は、首都圏中央連絡自動車道高尾山インターから車で約5分。関東山地(秩父山地)の東縁に位置する標高599メートルの山です。
都心から約1時間と大変アクセスが良好なので多くの登山者が訪れる人気の山で、電車を利用すれば京王電鉄高尾線高尾山口駅から徒歩0分ということもあり、年間の登山者数がおよそ300万人と、世界一登山客が多い山としてギネスブックに認定されています。
高尾山からの眺望は素晴らしく、関東平野を見渡す絶景と、晴れた日には富士山が見えるスポットとして、ミシュラン社が発売した旅行ガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」三ツ星を獲得している他に「日本遺産」「八王子八十八景」「関東富士見100景」に認定されています。
高尾山は信仰の山で、修験道の霊場として知られています。真言宗智山派大本山高尾山薬王院有喜寺の寺域となっている高尾山には、髙尾山薬王院という立派な寺院が建っています。
駅前をはじめ、山頂に至るまでお店や観光スポットが充実した関東有数の観光名所として人気で、登山以外にも多くの観光客が訪れます。
高尾山は上級者から登山未経験者まで、誰もが楽しむことが出来る沢山の登山コースが用意されています。ケーブルカーやリフトを使うと標高472メートル付近まで登ることができて、山頂まではスニーカーでも歩くことができる大変整備された歩道が続きます。世界一登山者が多い山であることも納得です。
「高尾山」の登山コース
高尾山には6つの自然研究路をはじめ、本当に沢山の登山コースがあるので、ケーブルカーやリフトを使う登山ルートや、複数の山を縦走するロングコースは割愛させて頂きます。
麓から本格的な登山をする場合、3つのルートのうちのどれかを利用するのが一般的です。どのルートもケーブルカー清滝駅前広場からスタートになります。
1号路コース
- 標高差約390m/片道約3.8km/約100分程度のコース
- 薬王院に参拝するための表参道で、高尾山のメインロードです。スタートから山頂まで全て舗装された道を歩きます。人工物だらけで登山感は薄いのですが、スニーカーでも登頂可能で、登山中は至る所にトイレや売店、観光スポットがあるので、初めての登山にお勧めです。
6号路コース
- 標高差約390m/片道約3.3km/約90分程度のコース
- 沢沿いを歩く木漏れ日が気持ちの良いコースで、「水のコース」と呼ばれています。本格的な登山道で、山頂手前までトイレや売店が無く、道幅も狭く足場が悪いので、最低限の登山装備は必須です。
稲荷山コース
- 標高差約390m/片道約3.1km/約90分程度のコース
- 高尾山の南尾根を通るコースで、比較的登山道も広く、歩きやすいので人気のコースです。距離は他のコースと比べて若干短いですが、急な登りもあり、登山感満載です。こちらも途中にトイレや売店が無く、最低限の登山装備は必須です。
今日は6号路コースから山頂を目指し、稲荷山コースで下山する周回コースをご紹介いたします。
高尾山口駅からケーブルカー清滝駅前広場へ
車を利用の場合、最寄りの駐車場は高尾山口駅前にある「市営高尾山麓駐車場」です。駐車可能台数は80台。駐車料金は1日1000円です。
駅近なのですぐに満車になる人気の駐車場なのですが、近隣にも沢山の駐車場があるので安心です。但し、駐車料金は1500~2500円と、若干高めです。
電車を利用の場合、京王電鉄高尾線高尾山口駅下車です。駅前はリニューアルされているので大変綺麗です。売店やレストラン、温泉施設をはじめ、楓Kaedeというモンベルショップまであります。
駅前には登山靴を洗うコーナーまであります。世界一登山客が多い駅ならではですね。
ケーブルカー清滝駅まで続く「もみじ通り」には売店やレストランが充実しています。
高尾山はとろろそばが有名です。通りには沢山のお蕎麦屋さんがあるので食べ比べするのも楽しいかもしれませんね。
清滝駅までは大変賑やかで、誘惑も多いですが、5分程度でケーブルカー清滝駅に到着します。ここを起点に様々な登山コースへ進むことになります。
ちなみに清滝駅の広場には喫煙スポットがあります。近くにはベンチもあるので多くの観光客や登山客で賑わっていました。
清滝駅から6号路登山口へ
清滝駅からケーブルカーやリフトを使うと、標高472メートル付近まで標高を稼ぐことができます。今回は麓から登るのでスルーします。
6号路登山口は駅の左側にある舗装路を進みます。
道なりに数分歩くと分岐が見えてきます。目印は判り易いので道迷いする心配はありませんよ。
妙音橋まで進むと6号路登山口の入り口に到着です。
6号路登山口→琵琶滝
6号路登山口からは舗装路は無くなり、砂利道が続きます。比較的整備されているので登り易いですよ。まずは最初のチェックポイントとなる琵琶滝を目指しましょう。
沢沿いを歩くコースは木漏れ日が気持ち良く、登りも緩やかなので、マイナスイオンをたっぷり浴びながら歩きましょう。
途中に、弘法大師の伝説がある「岩屋大師」が右手に見えます。
琵琶滝手前で分岐します。右へ進むと琵琶滝に寄り道できます。寄り道をしなくても滝を見ることが出来るのでそのまま6号路へ進みます。
登山開始から約30分程度で琵琶滝に到着です。琵琶滝は薬王院の水行道場で、滝行者は滝まで行くことが出来るんだそうです。
琵琶滝→大山橋
琵琶滝から先は本格的な登山道です。低山特有の木の根が張り巡らされた、躓きやすい山道が続くので足元に注意です。
所々に橋があり、沢を何度か渡りながら進んでいきます。
6号路コースは「水のコース」と呼ばれているだけあって、沢に降りることができる場所が何か所かあります。ちょっとした水遊びが出来ますよ。夏にはオススメなコースです。
段々と道が狭くなっていくのですれ違いが大変です。紅葉シーズンは大変混雑するので一方通行になるんだそうですよ。
高尾山は登山客が多い人気の山だけあって、至る所に立派なベンチがあります。休憩スポットが多いのでファミリーでも安心です。
途中に「硯石」と呼ばれるポイントがあります。名前の通り、硯に使われることから「硯石」と呼ばれているんだそうです。
大山橋が見えてきました。ここまでのコースタイムは大体60分程度。全体の1/3を歩いてきたことになります。
大山橋→稲荷山コース分岐
高尾山山頂まで、あと1.3キロ程度です。この先は滑りやすい岩場の道が続き、登りも急になってきます。
6号路で最も沢登りをしている雰囲気を感じることが出来る、自然感満載の山道ですが、岩がむき出しで滑りやすいので慎重に歩きたいところです。
場所によっては道幅が狭く、足場の悪い岩場が続きます。この区間は本格的な登山を楽しむことが出来ます。
6号路にはポイントごとに立派な看板があるのですが、右側には現在地がわかるように目印が付いているので、大変親切です。
岩場の登山道が無くなり、木製の階段が見えてきたら稲荷山コース分岐はすぐそこです。
稲荷山コース分岐です。稲荷山コースと6号路は平行して交わることは無いので、稲荷山コースを繋ぐ脇道みたいなものなんだと思います。
稲荷山コース分岐→5号路交点
稲荷山コース分岐から暫くは沢の中を歩くイメージです。水が流れているので岩場は本当に滑りやすく、最も注意が必要なポイントです。
川の中を濡れずに歩くことが出来る「飛び石」があるようなのですが、雨で流れてしまったのでしょうか。見当たりませんでした。
沢を抜けると2021年にリニューアルされた、立派な木製の階段を上ります。相当長い階段です。
リニューアル前の階段は、よくある丸太の階段だったそうなのですが、リニューアル後は大変登り易い階段になっていて、ありがたいです。とはいえ、果てしなく長い階段なので6号路コースで一番辛い山行でした。
長い階段を上りきるとベンチがあります。高尾山は本当に休憩スポットが多く、登山初心者に優しいですね。こういった誰でも登山を楽しめる環境作りが世界一登山客が多い理由なんだと思います。
6号路はベンチまでで終了です。その先はしっかりと舗装された山頂下のループコース「5号路」を登ります。5号路は様々な登山道を繋ぐ、ラウンドアバウトのような役割を果たしています。
5号路交点→高尾山山頂山頂へ
5号路交点から山頂まではコンクリートで整備された立派な道です。まずは坂を登り切りましょう。
坂を登りきると、高尾山のメインロード「1号路」に合流します。トイレや水場が充実した大変立派な建物が目印です。
あとは1号路を真っすぐ登るだけです。段々と賑やかになってきました。
高尾山山頂に到着です。標高は599m。登山中は厳しすぎず、優しすぎず、登山をしている感じをたっぷりと実感できる、登っていて楽しい山行でした。
高尾山からの景色
山頂は広場の様になっていて山頂感ゼロでしたが、ベンチやお店が沢山あり、かなり広大です。本当に多くの登山者で賑わっていました。
売店や食堂。ビジターセンター、トイレから東屋まで、休憩するには最高の環境です。食べ物や飲み物に困ることは全くありません。
「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で3つ星を獲得した高尾山山頂からは、丹沢の山々などの眺望を楽しむことができます。晴れた日には富士山も見えますよ。
最も眺望の良い場所は、山頂の端にある展望台です。この日は生憎の曇り空でしたが、それでも本当に多くの登山者で賑わっていました。
稲荷山コースから下山
高尾山は沢山のコースがあるので、下山では別ルートの利用ができます。稲荷山コースは高尾山展望台の脇を降りていきます。
稲荷山コースは高尾山口駅まで3.5キロ程度と、6号路コースより若干短いのですが、後半にきつめの坂が待ち受けています。
前半は大変整備された木道や階段を進みます。段差も少なく、大変歩きやすいです。
木道の階段を降りきると登山道らしくなります。6号路コースよりも道幅が広く、しっかり整備されているので歩きやすい印象です。下山にはオススメなコースだと思いました。
稲荷山コースは名前の通り、稲荷山という山頂を経由するコースです。その為、ちょっとした登り返しがあります。
稲荷山山頂には展望台がありますが、エスケープも可能です。折角なので寄り道してみましょう。
こちらが稲荷山山頂のようです。山頂の標識というよりは、案内板のようで、山頂扱いされていない感じが寂しいですね。
展望台からは関東平野と都心を一望できるんだそうですが、この日は真っ白な景色でした。
展望台の傍には立派な東屋があるので休憩スポットとして賑わっていました。屋根は2020年に撤去されたんだそうです。
後半は傾斜がきつい、本格的な登山道です。傾斜がきつい箇所には丸太の階段もあります。
階段を降りると清滝駅前広場手前の道に合流します。高尾山は思っていた以上に登りごたえがあり、かといって急登や危険個所は無いので、全体的に楽しく登ることが出来ました。
高尾山に登ってみてわかったこと
高尾山には観光でしか登ったことがありませんでしたが、登山として登って初めて知ることが出来た魅力が沢山ありました。高尾山に登ってみてわかったことをまとめてみました。
都心から近く、交通の便が良すぎる
高尾山は都心から僅か1時間程度と、交通の便が良すぎます。電車を利用すれば徒歩0分で登山開始ができる環境で、車の利用でも駐車場が充実しているので困ることはありません。思い立ったらいつでも登ることが出来るアクセスの良さは本当に魅力的です。高尾山よりアクセスが便利な山は無いのではないでしょうか。
トイレや売店、ベンチが多く登山者に優しい
高尾山が世界一登山客が多い山である理由の1つは、トイレやベンチの数が多く、誰もが登山を楽しめるように登山道の木道や階段がしっかりと整備されているからだと思います。1号路に至っては、車が走れそうな舗装された道で、大変歩きやすいです。登山デビューには本当にオススメな山です。
ケーブルカーやリフトで楽々登山が出来る
ケーブルカーやリフトを利用すれば、高尾山中腹まで簡単に登ることが出来ます。山頂まではしっかり舗装された道のりで、スニーカーでも楽々登山が可能です。下山が面倒になったらリフトやケーブルカーで楽々下山も出来るので、「登頂までは頑張れても、下山のことを考えると登山はちょっと」という方にとって、理想の山ではないでしょうか。
観光客から上級者まで楽しめる多彩なコース
高尾山には観光客から上級者まで楽しめる多彩なコースが用意されています。登山道は縦走コースまで含めると本当に多彩で、トレイルランイングのトレーニングやテント泊登山の練習でリピート利用する上級者も数知れずです。誰もが楽しめる山ではないでしょうか。
あらゆる施設や観光スポットが整っている
高尾山は関東屈指の一大観光地なだけあって、山頂含め、本当に沢山の施設があります。下山後もショッピングや温泉を楽しむことが出来るので高尾山をフルコースで満喫できます。高尾山は至る所が見所満載で飽きることがありません。
世界一登山客が多い理由も納得!誰もが楽しめるリピートしたくなる山
高尾山を麓から登ってみて個人的に思ったことは、登山に興味を持つきっかけになる山というよりは、登山の楽しさを再認識できる山なのでは。ということです。交通のアクセスが良好で、本当に多彩なコースがあるので、トレイルランニングや、縦走登山のトレーニングで利用する上級者も多く、楽しくハイキングするファミリーやお年寄りから観光客まで、本当に多種多様な登山客で賑わう山でした。
季節によって違った顔を見せてくれて、観光名所やグルメスポット、温泉もあるので、リピートしたくなる要素も満載です。山全体が本格的なハイキングコースであり、観光地であり、グルメスポットでもあり、信仰の場でもあるという、よくよく考えてみれば唯一無二の山ではないでしょうか。世界一登山客が多い理由も納得です。
ギア
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