山菜採りを始める前にまずは最低限知っておかなければならないルールがあります。
このルールと言うものは例えばその種を絶やさないためのものであったり、本人の身の安全を保つためのものなど目的は様々ですが、知識が無い状態でいきなり入山してしまうと、時には命の危険にさらされることもあります。
そのため、今回の記事では山菜採りにおいての基本的なルールやマナーなどについて解説します。
目次
山菜採りの前に確認しておくこと
まず山菜採りは、山や公園であればどこでも出来るというものではありません。基本のルールを学ぶ前に、ここでは植物を採取する前に確認しておいた方が良い事について記しておきます。
目的の場所をあらかじめ定めておく
山菜は私有地や特定の場所を除く山や河川敷、公園などで採取することが可能ですが、家を出る前に近所に手ごろな場所があるかどうかを確認した方が良いでしょう。
確認方法としてはアナログなもので地域の地図などを確認するか、一般にはインターネットで[地域名+自然公園]や[地域名+山]で調べたり、Google MAPを利用するのも良いでしょう。また、ある程度の知識があればGoogle Earthを使ってその場所に生える樹種の確認をしたり、野池を見つけることも可能になります。
私有地か否かを確認する
当然ながら目的の場所が私有地であった場合には山菜採りはおろか、進入することすら出来ない場合もあります。里山であれば所有者の好意によって開放されているケースもありますが、タケノコの採れる竹林など部分的に立ち入り禁止になっている場合もありますので注意が必要です。
では、どのような場所ならば山菜採りが出来るのかと言うと、基本的には国の土地である“国有林”を利用することになるでしょう。いずれにせよ事前の確認は必須です。
その場所が全国的に有名な場合
これは割と特殊なケースですが、大きな山や全国的に有名な場所においては植物採取を禁止する看板が立っていることがあります。この場合は当然、数に限らず山菜採りは出来ませんし、罰則がある可能性もあるため花を摘んだりするのもやめておいた方が良いでしょう。
またお寺や神社、駐車場なども私有地に当たりますのである程度気にしておいた方が無難です。田舎などでは色々とあいまいな部分もあるので、それほど神経質になる必要もないと思いますが・・・
山菜採りの基本的なルールとマナー
ここからはいよいよ山菜採りにおいてのルールとマナーについて書いていきます。先ほども書いた通りこれらのルールを守らないと種の絶滅や身の危険にもつながりますのでしっかり守りましょう。
一つの場所・株から採り過ぎない
山野に自生する植物と言うのは栽培品よりも生命力が強いと思われがちで、平気で同じ場所から大量に採ったり、根ごと引き抜くような人がいます。
確かにタンポポやヨモギなど、“雑草”と呼ばれるような植物は生命力・繁殖力共に非常に強く、抜いても抜いても死なないものもありますが、山菜として知られているものの中には非常に枯れやすいものも多く存在しています。
例えば写真の“シュンラン“も、乱獲によって生息数を減らしている野草の一つであり、現在でも食用・栽培用に採っていく人が多く存在します。
また、地上部を採取するだけでは死なないような植物であっても、地下茎を持たないものであればその年は種子を作ることが出来ないので実質的には採った分以上に数が減ることになります。そのため山菜採りの際には常に植物の生息数に気を配って、出来るだけ成長に影響が出ない程度の採取にとどめましょう。
自分で食べられる分だけを採る
山菜採りを始めると、タラの芽やフキノトウなど有名でかつ人を選ばず美味しいと思えるものを人にも分けたくなったり、分けてほしいと頼まれる場合があります。
これ自体は別に悪い事ではありませんが必要以上に採ってしまって株が枯れてしまうと、来年から採取することが出来なくなり、本末転倒のような状態になるため採り過ぎにはくれぐれも注意しましょう。
更に言えばタラの芽やコシアブラ、フキノトウなど有名な山菜に限って足が速く、1~2日おいただけで味が落ちてしまうので、その点からも取り過ぎは良くないと言えます。
むやみに木や茎を折らない
毎年山菜の季節になるとタラノキやコシアブラの枝や幹が折られて、立ち枯れしている個体をよく見かけます。確かにこれらは大木になることが多く採りにくいのは分かりますが、だからと言って節操なく枝を折るのは自分の事しか考えていない、また現在の事しか考えていない最悪の行為です。
枝を折ってその時はいくつか採取できたとしても、それで枯れてしまったら元も子もありません。
タラの木などは栽培されている場合は枝を折って収穫量を増やしたり、挿し木することもありますが、野生種はしっかり管理された栽培種に比べると土も肥えておらず、栄養状態が良いとは言えませんので故意に枝を折るのはやめておきましょう。
またタラの芽についてもう一つよく言われることですが、採取するのは一番上にでる一番芽と多くとも二番芽までにしましょう。
野生動物に気をつける
危険な野生動物と言うとクマやイノシシが一般的ですが、山野には他にも多くの動物が生息しています。例えばシカは一般的に温和な動物だと思われることが多いですが、野生のものは体も大きく角も長いため突進されればひとたまりもありません。
これはリスやイタチ類などの小動物であっても同様で、近づくと大抵の場合は逃げていきますが手を噛まれることもあります。動物を見つけた際には遠くから見るだけにして、触ったり、餌付けしたりするのはやめておきましょう。
余談ですが私は奈良公園に行った際、つれていた柴犬がニオイを嗅ぐためにシカに近寄ったところ前足でビンタされた瞬間を目にしました。基本的には動物は危険なものであるということを忘れてはなりません。
斜面や崖などの地形に気をつける
山の危険な尾根沿い-著者撮影
山菜採りをする際にはしばしば斜面や沢沿いなどに赴くことがあります。初心者のうちは登山道から離れず、わきに生えている植物を採取する程度にとどまることが多いですが、ある程度慣れてくると好奇心から危険場所にも入りたくなってしまうので注意が必要です。
日当たりの良い南向きの斜面には多くの植物が生えておりますが、下ばかり見るのではなく、常にいろいろな場所に注意を向けましょう。
初心者でも基本のルールを守って山菜採りを楽しもう
ここまで山菜採りにおいての基本的なルールや注意点などをあげてきましたが、これらは最低限の知識であり、覚えておくことが必須のものばかりです。また、山菜採りでは自ら危険な場所に赴いたり山奥に入っていくことが多く、その性質からアウトドアのなかでも特に身の安全に気を配っておかなくてはなりません。
そのため、ここで得た知識だけではなく常に状況を読んで自分で考えることも必要になりますから、それを念頭に置いて安全に山菜採りを楽しみましょう。
ギア
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